スキマ妖怪、邁進す   作:りーな

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超短め。しかも説明多め。リザードマン侵攻までの繋ぎ。
正直、リザードマン侵攻は変わり映えがしないからカットしてゲヘナに行こうかと思ってます。


幕間:妖魔の蠢き

モモン率いる「漆黒」がアダマンタイト級冒険者チームとなってから、早くも一週間が経った。

モモンがせっせと外貨獲得(息抜き)に精を出す中、紫は藍を伴ってナザリックの中に詰めていた。

紫とて別に何もしていなかったわけではない。むしろその逆、スキマにて戦力の増強に努めていた。

紫の種族は妖怪系で、【妖怪召喚】のスキルを持つ。勿論上位から下位まで幅は様々で、実験を繰り返すとどうもアインズの【アンデッド創造】に似たところがある事が分かった。つまり、時間経過で消えるのである。

消えるというよりは送還と言った方がいいのだろうが、どちらにしてもナザリックとしては好ましくない。兵はより多く、より強く。傾城傾国という明確な脅威があった以上、自身を守る壁は、策は、多ければ多い程良い。

 

さて、そんな欠陥が見て取れた【妖怪召喚】だが、欠陥が共通するのなら改善策も共通しているのではと紫は考えた。

つまり、召喚に死体を利用する。それで克服できるのでは、と。

結果だけ言えば、失敗だった。死体をそもそも媒介にできなかったのである。

ならば、と次に挙げたのが、狂気の滲んだ発想の転換の賜物。

 

「死者が駄目なら、生者はどうかしら」

 

紫の一言で、それは実行された。

紫も与り知らぬ何処かから攫われた成人男性。スキルの発動と共にその血肉が弾け飛び、魔法陣を描いて妖怪が召喚された。

その様は、生ける者に害なす存在を喚び出す為の“生贄の儀式”そのものだった。

そうして召喚された妖怪は消えることなく。

結果として、「実験」は止め処なく続けられた。

そうして得た成果は、ナザリックにとって間違いなく有益だった。

 

およそ30レベル中盤までの妖怪は1人の生贄で保持が可能。そこから先は、召喚する妖怪のレベルの十の位と同数の生贄を用いることで同様に保持が可能と判明した。

ただし80レベルを越すとなると、そもそも生贄を用いての召喚ができない事も分かった。

 

そうして今現在、藍がスキマで攫ってきた人間を用い、紫はせっせと軍団強化に励んでいるのである。

召喚しているのは土蜘蛛(つちぐも)餓者髑髏(がしゃどくろ)

土蜘蛛も餓者髑髏も、どちらもそれぞれ蜘蛛とスケルトンを大きくしただけに見える妖怪だ。そしてレベルにして60を超える、この世界基準では比類なき力を持つ。

土蜘蛛は見た目そのままの大質量を活かした物理攻撃を得意とし、防御力が低下する代わりに1日に1回だけ全ステータスを全回復する【脱皮】というスキルを持つ。その上、デバフをばら撒きまくるという嫌らしい戦闘スタイルを取っており、ユグドラシルでも「うざい」と嫌われていた。

餓者髑髏はアンデッド然とした見た目に反し妖怪系のモンスターで、殴打系統や信仰系魔法によるダメージを受け付けず、むしろHPを回復させるという見た目に喧嘩売ってるとしか思えないスキルを持つ。

反面、スキルである程度補えるものの、攻撃力に欠けるという少々痛い欠点もある。

そしてどちらも、本職は盾役(タンク)または支援である。

 

実験におよそ3日、召喚に4日。両妖怪が合計にして20。こまごまとした雑魚妖怪が数知れず。

犠牲となった人間は百や二百では足りないだろう。

しかし紫が「そんなこと」に頓着する事はない。自分やアインズ、ナザリックこそが最優先。そうでなければ哀れみの一言位は言ったのかもしれないが、所詮はそれだけ。

“精神の人外化”。それを自覚しながらも、紫は受け入れていた。

実に相応しいではないか。人でありし頃から創作の存在といえど人外に憧憬を抱き、その姿を模倣して偽悪的に振る舞い、果ては異世界に辿り着いてその身は人ならざるものへと移り変わった。

その行き着く先に、これまでの自身が酷く当てはまった。まるで最初から決められていたかのように。

今ある生を全力で謳歌している紫にとっては、精神の変質すらも「そんなこと」でしかなかった。

 

友と、友の残した部下がいるのならばどこまででも堕ちてやろう。そう臆面もなく言い切れる程度には、紫は現状に充足感を得ていた。




・実験ゆかりん
当然内容は捏造。餓者髑髏は見た目詐欺。
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