「どうしよう!?テイがいないよー!」
ココアはテイがいないことに慌て泣きだした。
「お、落ち着いてください!」
「ちょっと私探して来る!」
そう言ってココアは店を出ようとする。
「待って下さい!」
チノはそんなココアの腕を掴んで止める。
「離して!テイがきっと私を待ってるんだよ!」
「いいからちょっと落ち着いてください!」
「でも!」
「まず確認させてください!そのテイさんは、下宿する家を知ってますか?」
「うん。名前だけは」
「もう一つ。ココアさん、ここまでの地図はどうしました?」
「テイが持ってるよ」
それを聞き、チノは僅かに息を吐く。
「ではココアさんは此処に居てください。私が探しに行きますので」
「でも!」
「入れ違いになったら大変ですし。それに、何があってもバイトの人がもうすぐ来るので大丈夫です」
そう言ってチノはティッピーをココアに預けたままチノは扉を開けて外へ出る。
そして、出た瞬間、チノは誰かとぶつかり尻もちをつく。
「あうっ!」
「あ、ごめん!」
チノが見上げるとそこにはココアに似た面影を持った少年が一人いた。
あの後、暫くココア姉を探したけど、見つからず仕方ないから僕だけ先に下宿先の香風さんちへと向かった。
「ラビットハウス?喫茶店かな」
どうやら香風さんちは喫茶店みたいだ。
「ココア姉、来てるといいんだけど」
そう思い、扉を開けようとした瞬間、水色のロングヘアの少女が飛び出してきた。
その子は僕にぶつかるとそのまま地面に倒れてしまった。
「あ、ごめん!」
急いで謝り、手を差し出す。
「大丈夫?怪我はしてない?」
「あ……はい、大丈夫です」
その子は手を取らず、立ち上がって服に着いた埃を払う。
「えっと、ここって香風さんのお宅であってますか?」
何を話せばいいのか分からずそう尋ねる。
「はい、そうですけど………貴方がテイさんですか?」
「もしかして、ココア姉いるの?」
「はい。数分前ぐらいに」
よかった。
どうやらココア姉も目的地には着いてたみたいだ。
「取り敢えず、中にどうぞ」
その子の後に続いて、中に入る。
「テイ!!」
中に入るとココア姉が涙目で抱き付いて来る。
「良かったよおおおお!もう二度と会えないかと思って……!」
「大げさだよ。ココア姉」
ココア姉を剥がし、その子の方を向く。
「知ってると思うけど、僕は保登テイ。ココア姉の弟で今年中学二年になるよ。よろしく」
「香風チノです。ここの喫茶店のマスターの孫です。同じく今年で中学二年になります」
同い年だったんだ。
てっきり小学五、六年ぐらいかと思った。
「それと、学校側からの方針で下宿させていただく代わりに、その家でご奉仕しないといけないの」
「そうですか………ですが、家事は私一人でできますし、店も問題無いですからなにもしなくて結構です」
「いきなりイラナイ子宣言されちゃった!」
ココア姉は一々リアクションが大げさだな。
まぁ、それがココア姉の良い所でもあるんだけどね。
「取り敢えず、マスターさんに挨拶したいんだけど」
「祖父は去年に……」
「あっ………そっか、今はチノちゃん一人で切り盛りしてるんだね」
「いえ、父もいますし、バイトの子が」
「私を姉だと思って何でも言って!」
そう言うとココア姉はチノさんを抱きしめた。
「だから、お姉ちゃんって呼んで」
そっちが本音なんじゃ…………
「じゃあ、ココアさん」
「お姉ちゃんって呼んで!」
「ココアさん」
「お姉ちゃんって呼んで!」
「ココアさん、早速働いてください」
「任しといて」
「あ、チノさん。僕も良かったら手伝うよ。力仕事とかなら割と得意だし」
「……そうですね。では、テイさんもお願いします。それと私の事はチノでいいです」
「そっか。分かったよ、チノ」
最初に会った時、差し出した手を無視されたから嫌われてるのかと思ったが、そうでもないみたいだ。
良かった。
そう思ったら気が抜けて思わず笑顔になった。
するとチノは急に後ろを向き出した。
「こ、更衣室に案内するんで来てください!」
そう言うとチノはスタスタと奥の通路へと歩いて行く。
どうしたんだろ?
そう思いながら僕とココア姉はチノの後に続いて奥へと入る。