「リゼさん、お疲れ様でした」
「ああ、じゃあな」
「バイバーイ!」
今日の仕事が終わり、リゼさんは服を着替えて帰って行った。
「今日の夕食はシチューにしましょう」
チノはそう言ってエプロンを付けて料理を始める。
「チノ、何か手伝おうか?」
「いえ、一人で大丈夫です」
そう言ってチノは料理を始める。
頼ってくれてもいいのに……………
そう思ってるとココア姉がケータイの画面をチノに見せる。
「チノちゃん!これ見て!」
そこにはココア姉が練習で作ったラテアートの写真があった。
「これは…………私達?」
チノの言う通り、そこにはチノとリゼさん、そしてココア姉と僕をデフォルメさせたような似顔絵が描かれたラテアートがあった。
「そうだよ!さっきこっそり作ってたの!」
その写真にチノは嬉しそうな表情になる。
その時、部屋に一人の男性が入って来た。
「何者?」
「こちら父です」
てことは、今のラビットハウスのマスターさんか。
「君がココア君とテイ君だね。この家も賑やかになるなぁ。今日からよろしく」
「お、お、お世話になります!」
「よろしくお願いします」
ココア姉と一緒に頭を下げて言う。
「こちらこそ、チノをよろしく」
そう言ってチノのお父さんが頭を下げると、チノの頭に居たティッピーがぴょんとチノのお父さんの頭に乗る。
「じゃあ」
そして、ティッピーを頭に乗せたまま部屋を出て行く。
「お父さんは一緒に食べないの?」
「ラビットハウスは夜になるとバーになるんです。父はそのマスターです」
「へぇー、そうなんだ」
なんかバーのマスターってかっこいいな…………
「なんか裏世界の情報とか提供しそうでカッコいいね!」
「…………なんの話ですか?」
ココア姉って偶に凄い変なこと言うからなぁー
まぁ、それがココア姉らしいからいいんだけどね。
「そろそろかな?」
ココア姉が鍋の中を見ながら言う。
「もうすぐです」
「えへへ……こうしてると姉妹みたいだね」
「姉妹………ココアお姉ちゃん……ですね」
「う……うおおおおおお!」
チノにお姉ちゃんと呼ばれて、物凄く喜んでる。
そうしてるうちにシチューが完成した。
ココア姉はもう一度お姉ちゃんと呼んでほしいのか、チノに色々胡麻をすりながらお姉ちゃんと呼んでもらおうとしていた。
ちなみにシチューは毎日食べてもいいぐらいにとても美味しかった。
その後、チノはお風呂に入りに行き、そして、ココア姉はそこに乱入していった。
ココア姉に誘われたけど、いくらなんでも同い年で中学生の男女を一緒に風呂に入れさせようとしないでよ。
二人が上がるまでの間、僕は自室で窓から夜空を眺めていた。
星空がとても綺麗だ。
一年の時の部活合宿で、夜中にこっそり友達と合宿所を抜け出してみた夜空と同じぐらいに綺麗だった。
そう言えば、皆は元気かな?
何も言わずに転校しちゃったし、きっと怒ってるだろうな…………
特にアイツは滅茶苦茶怒り狂ってると思う。
どうして、アイツは僕のやる事に一々起こるんだろう……………
「あの………テイさん」
チノの声が扉の向こう側から聞こえる。
「チノ?どうぞー」
そう言うと、チノがパジャマ姿で入って来る。
「お風呂空いたので、どうぞ」
「うん、ありがとう」
「………あの、どうかしましたか?」
「え?」
「なんか、寂しそうな顔をしてたので………」
表情に出てたか………
「ちょっと友達の事を思い出してさ。殆ど何も言わずに転校しちゃったからね」
「そうでしたか………」
「でも、後悔はしてないよ。ココア姉一人じゃ心配だし、それにこの街はこの街で楽しい。来てよかったよ」
僕は笑顔でそう言った。
「そうですか」
するとチノも笑顔でそう言ってくれた。
この街は本当に良い所だよ………………………