ネオ・ボンゴレⅠ世も異世界から来るようですよ?   作:妖刀終焉

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リボーンとISのクロスでVGがIS化みたいな
そんなssを読んでみたい


初日が終わりを告げるそうですよ?

 死ぬ気になったツナはレースマシンのようなスピードで皆を置いて走っていった。消え行く背中を唖然とした表情で見ていた箱庭組の三名。それもその筈、突然ツナの脳天が撃ち抜かれたと思えば、パンツ一丁になって復活し、今まで見たことも無い荒々しい表情で走っていったのだからあっけに取られるだろう。

 

「な、なんだありゃ!?」

 

「へ、変態だー!!」

 

 道行く人々の声など気にもかけずにツナは並盛中へ向かって走り続け、ついに到着した。校門前には風紀委員や粛清委員の者達が集まっている。

 

「うおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

 ツナはその人ごみをその勢いのまま跳び越えた。

 

「並中到着!!」

 

 並中の校庭に叫びながら着地するツナ。その険しい顔が見据えるのは互いにぶつかり合っている雲雀と十六夜だ。

 

 校舎は、アーデルハイトの氷河の炎でコーティングすることであれ以上の損傷は負っていないが、校庭の木々は倒れ、そこかしこに小さなクレーターが出来ている。あの二人が本気で喧嘩を行った結果がこれだ。

 

「沢田?」

 

「小動物?」

 

 喧嘩中の二人も乱入者を前にその手が止まる。その顔は喧嘩に水を差されたことで、とても不機嫌極まりない。

 

「喧嘩両成敗!!」

 

 ツナの目的は二人の喧嘩を止めること。

 

「邪魔だよ、小動物」

 

「言った筈だぜ? 俺の喧嘩に手ぇ出したらお前から潰すってな」

 

 二人はツナへと標的を変えた。

 

 雲雀はVGで作り出した手錠をツナに投げつける。

 

「う!?」

 

 手錠はツナの両足首を拘束して動きを封じてしまう。そして雲の炎の特性である"増殖"によってツナを拘束する手錠がどんどん増えていき、身動きがとれなくなった。

 

 そして迫るのは拳を構えた十六夜。

 

「ガッ!!」

 

 ツナは十六夜の拳に対して、首を動かして頭突きを当てた。

 

「か、硬てぇ……」

 

 死ぬ気の炎を額に集中させたことで、十六夜の一撃を相殺することが出来たのだ。

 

「ならもう一発!!」

 

 しかし、その一撃は何かによって阻まれた。十六夜の目の前にあるのは、骨を模したパーツで構成されたリングフレーム。その中央に透明な障壁が張られている。障壁は嵐の炎と雷の炎でコーティングされていて、破るのは容易ではない。

 

「こ、これは……?」

 

 驚愕する十六夜の横を何者かが過ぎる。それはツナの動きを封じていた拘束具を瞬く間に斬り裂いて彼を解き放った。

 

「お待たせしました十代目!」

 

「助っ人とーじょーっ!」

 

 

 

 

「おもしれえことになってんな」 

 

 リボーン達が並中に到着した頃には、既に戦いは始まっていた。意外なことに、雲雀や十六夜と戦ってたのはツナだけでなかった。彼をサポートする二人、獄寺と山本の姿があったのだ。

 

 山本は和服を身に纏い、両手には二本の刀を握っている。獄寺は体中にダイナマイトを帯びたベルトを装着し、パイプ型の発火装置を口に咥えている。

 

「山本さんと、ダウンしていた獄寺さんまで……!」

 

「獄寺のヤツ、先回りしてツナに駆けつけたな」

 

 リボーン達の下へ、リーゼント頭が特徴の老け顔の男が走ってきた。男の名前は草壁哲矢、並盛中学校風紀副委員長。こんな顔をしてはいるが一応中学生だ。

 

 右肩を抑えながらヨロヨロと走る背が高く、長い黒髪を後ろに縛った女性がその後に続く。彼女は粛清委員長にしてシモンファミリー氷河の守護者である鈴木アーデルハイト。

 

「リボーンさん!」

 

「草壁か」

 

「アーデルも!」

 

 リボーン達が話し合っている間、飛鳥と耀と視点はアーデルハイトのとある一部分を凝視していた。――そう、胸部だ。

 

((で、でかい……!!))

 

 大きさでは黒ウサギにも劣らないと見た。それに加えて黒ウサギクラスの太腿に、自分達と頭一つ違いそうな長身。

 

「ええ、薫は魔球の特訓で山篭り中、らうじは相撲部の遠征、SHITT-P!はネッシーを見に行くと言ったきり三日前から連絡が取れないし、紅葉も入れ違いで笹川了平とランニングに行ってしまって……」

 

「ち、ちょっといいかしら?」

 

 飛鳥は意を決してアーデルハイトへと話し掛けた。

 

「? ここは関係者以外立ち入り禁止です」

 

「問題無えぞ、オレが連れて来たんだ」

 

 見慣れぬ三名を追い出そうとするアーデルを止めたのはリボーンだ。

 

「私は久遠飛鳥。それでこっちか友人の春日部耀よ。よろしく」

 

「至門中学三年、鈴木アーデルハイト。こちらこそよろしく」

 

 現在よりも遙か未来に生まれた耀は勿論、戦後に行われた学制改革によって単線型教育の6・3・3・4制の学校体系への変更が行われたのを知る飛鳥も分かってしまった。

 

 鈴木アーデルハイトは自分達と同年代であると。

 

「そ……んな……こんな、ことって……」

 

「か、勝てない……」

 

 絶望に打ちひしがれる二人。特に飛鳥はそれなりにスタイルに自信があっただけにそれが粉々に砕かれてショックが大きい。

 

「何をやってるんですかお二方! 今は十六夜さんを止めることの方が先決です!」

 

「ツナ達がもうやってるじゃない」

 

「逆に邪魔になりそう」

 

「いやあの……それだと何故私達がここまで着たのかって話に……」

 

「「観光」」

 

「もうやだこの問題児様方……あら? イーピンちゃん?」

 

 もう5分経ったことでイーピンは元の子どもの姿に戻っている。そしてイーピンは校庭での戦いをじっと眺めていた。正確には雲雀の方をよく見ていた。

 

「イーピンちゃん。ここは危険ですよ」

 

 イーピンが黒ウサギの方へ振り向く。

 

「あら? 髪に芋けんぴが……っと、取れましたよ」

 

 一体どのような経緯があってイーピンの髪に芋けんぴが引っ付いていたのかは不明だが、その芋けんぴをみたイーピンは顔を真っ赤にしている

 

 ――額に九筒が浮かび上がってしまった。

 

「このマークは?」

 

「イーピンの筒子時限超爆(ピンズじげんちょうばく)のカウントダウンが始まっちまったみてえだな」

 

「……何ですかそれ? 黒ウサギの直感がとてつもなくやばいと察知したのですが」

  

「イーピンは極度の恥ずかしがり屋でな。恥ずかしさが頂点に達すると九筒が現れてカウントダウンが始まるんだ。額の筒子が最後の一つになった時、全身からギョウザガスを一気に噴出させ爆発するんだ。その威力は小さいクレーターが出来るくらいなんだぞ」

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!?」

 

「最近は使ってなかったからそれ以上の破壊力かもしれねえな」

 

 知りたくなかった驚愕の新事実。ちなみに筒子時限超爆はマフィアの大技ランキング816技中38位という結構とんでもない技だったりする。

 

 八筒になったイーピンは黒ウサギの足にしがみ付いてしまった。

 

「ちなみに、カウントダウン状態のイーピンは恥ずかしさのあまり近くにいるヤツにしがみついてくるぞ」

 

「えぇぇ!!?」

 

 とはいえ幼児の力だ。黒ウサギなら簡単に引き剥がすことが出来る。

 

 額を見れば筒子は残り5つ。

 

「えと……えと……飛鳥さんパス!」

 

「はぁ!? 私にパスされても困るわよ! 春日部さん!」

 

「え゛!? ……鈴木さん」

 

「なっ!? ……お願いジュリー!」

 

「あ、ちょ! オレ今それどころじゃねーっつーの!」

 

 アーデルハイトはあろうことか現在進行形で並中を幻術で覆っているジュリーに投げつけてしまった。彼女も咄嗟の判断だったので投げた後で「しまった」という顔をしている。

 

「畜生! これでも喰らえ!」

 

 ジュリーは半ばやけくそになりながら乱戦状態の校庭へとイーピンを投げつけた。

 

 

 

 

 

 大  爆  発

 

 

 

 

 

 

 

「ひ、酷い目にあった……」

 

「全くッスね。ジュリーの野郎。今度会ったらただじゃおかねぇ」

 

「ま、いいじゃねぇか。夏祭りの時みたいで楽しかったしよ」

 

「ったく。こちとらまた不完全燃焼で終わっちまったぜ」

 

 あの後、雲雀は「白けた」と言い残してそのまま帰ってしまい。十六夜との喧嘩はそのままお流れ。結果的にあの騒動は終わったのだが、今度は校庭に出来た大穴を埋めるはめになり、総勢で土を運んでいた。その際に山本からジャージを借りたのでツナは裸ではない。

 

「いきなり死ぬ気弾を撃つのやめろよ!」

 

「死ぬ気弾? 死ぬ気丸とは違うのか?」

 

「死ぬ気丸よりリスクはでけぇが、死ぬ気度は死ぬ気弾の方が上だぞ。……まあ、ツナに死ぬ気弾を撃つのがこれで最後になるかもしれねぇと思うと少し寂しいかもな」

 

「え? それってどういう――」

 

「ツナ。それで箱庭ってどういうところだ? 野球ドームとかあったか?」

 

「んなもんあるわけねーだろ!」

 

 夕方になる頃にはそれも終わり、解散となったのであった。

 

「イタタ、まさかディーン無しで土仕事させられるとは思わなかったわ」

 

「……大体十六夜のせい」

 

「おいおい、俺のせいかよ」

 

「十六夜さんは少し大人しくしていてください!」

 

 黒ウサギは大きな溜息をついた。だが、周りを見回してみると、皆の顔には笑顔が絶えない。普段あまり笑わない耀すら満面とはいかずとも薄っすらと微笑んでいる。大きな騒ぎではあったものの、皆の距離を縮めるのに一役買ってくれたようだ。

 

(どんな未知の(ギフト)を持っていようとも周囲が受け入れてくれる。そんな世界に十六夜さん達が生まれていたら、箱庭に来ることは無かったのでしょうね)

 

 そこでふと疑問が浮かび上がる。

 

(では何故ツナさんは箱庭へと招かれたのでしょうか? ツナさんには他三名と違って世界に帰る場所がある筈なのに……考えれば考える程分からない。ツナさんの先祖が英雄ジョットであることと何か関係が?)

 

 黒ウサギを現実に戻したのは二人の知らない女性の声であった。

 

「あ、ツナ君だ! 久しぶりー!」

 

「お久しぶりです! もう帰ってたんですか?」

 

 一行の目の前に現れたショートヘアの少女、笹川京子にポニーテールの少女、三浦ハル。二人はツナ達に笑顔で手を振っている。

 

「京子ちゃん! ハル!」

 

「ツナ君。ツナ君のお父さんと国際相撲大会に出場してたってお兄ちゃんから聞いてたけど、もう終わったの?」

 

(何か変な風に伝わってるーーーー!!!)

 

 ツナがその二人と話しているのを耀は他の人達と話しながらもチラチラと見ていた。今までツナが女性と話すのを何度か見ている耀であったが、あの二人、特に京子と話している時のツナの態度が違う。

 

(何だろう? 胸が苦しい)

 

 耀がツナを見ているのを、察知している者がいた。ツナと話しているハルである。

 

(はひっ、あの女の子からツナさんにラブな目線を感じます! ライバル登場ですかーーー!?)

 

 

 

 

 箱庭組みの宿は、沢田家となった。飛鳥と耀は空き部屋の一部屋を共同で使うことになり、黒ウサギはビアンキと同室。そして十六夜は同じ男であるツナと同室となった。

 

「ヤハハ、宜しく頼むぜ」

 

「あ、あんまり部屋もの壊さないでね?」

 

「お前、俺を破壊神か何かと勘違いしてねぇか?」

 

 火龍誕生祭で豪快に建物を壊しておいて何を言うかと心の中でツッコミを入れたツナであった。

 

「にしても……何だ。期待を裏切らない世界だな、ここは」

 

 敷いた布団に仰向け倒れこみながら十六夜は天井を見上げる。何の変哲も無い男部屋、だというのに十六夜は何の不満も抱かない。

 

「オレもそろそろ寝るか。……起こすんじゃねぇぞ」

 

「そ、そうだ。さっき帰り道で言った『死ぬ気弾を撃つのはこれで最後』ってどういう意味だよ?」

 

 リボーンは何も答えずにいつものパジャマに着替えてハンモックに倒れこむ。

 

「ツナ。お前はもう死ぬ気弾無しで死ぬ気になれるんじゃねぇのか?」




挿絵機能か……絵を描いて貰ってる人がたまにいるけど羨ましい

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