しゃるてぃあの冒険《完結》   作:ラゼ

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シャルティアがすぐ人殺すねん。動かしにくすぎやねん。





人間でいいな

「帰ったでありんすえ。何か目新しい情報は入りんしたか?」

「ただいまー」

 

 法国の特殊部隊をそれと知らず壊滅させたシャルティア。日を跨ぐこともなく、驚くべき速度で帰還した彼女は『蒼の薔薇』が拠点としている宿に帰還して、部屋でくつろぐラキュースに問いかけた。

 

「昨日の今日で解る……わ……け」

「? どうしたでありんすか、人間」

「い、いえ、その、胸のボリュームが……ううん。なんでもないです、はい」

「そんならいいでありんすが。で?」

「情報を渡すのはいいんだけど、仮にも情報提供者にその見下した態度はどうかと思うわ」

「ああん?」

 

 己とは比べるべくもない脆弱な人間が戯言を宣っている。ラキュースの態度はシャルティアの視点からすればそんなところだろうか。彼女は人間を、というよりはナザリック以外の者を自分より上に置くことはない。故にラキュースの言は傲岸不遜な増上慢のように聞こえたのだろう。

 

 だがシャルティアは守護者統括のように人間を下等生物と嫌悪しているわけではない。ナザリック随一の頭脳明晰な悪魔のように人間の苦痛や悲鳴だけを喜びとしているわけでもない。それは人間を性欲の対象として見ることが出来る時点で間違いようのない事実であろう。玩具と見るにしても、人によっては玩具とはとても大切にするものでもあるのだから。

 

 彼女はカルマ値と呼ばれるものに準じて確かに邪悪であったが、存在が現実として確立された今、かつてのデータ上の存在というわけではない。それが何を意味するかというと、つまるところゲームに反映されないテキスト上の設定さえ彼女は引き継いでいるということだ。彼女の創造主ペロロンチーノが欲望まみれに自分の理想を体現した存在、それが今のシャルティア・ブラッドフォールンなのである。

 

 男も女もイケるくち、サディズム全開ロリババア。特に屍体が大好きで、ロリでビッチな処女パイア。簡潔にいうならばこんなところだろうか。これだけで製作者の嗜好が透けてみえるのは流石至高の41人である。そしてそれこそが重要なところなのだ。

 

 彼女は自覚していないが、初めて自己を認識したのはこの世界に来た時―――—生まれ落ちた時と言っていい。それ以前の記憶はあれどそれが本当に真実なのかは解らない。彼女はそんなことを考えもしないだろうし、結局のところそれを考えるのに意味はない。そんな小難しい話は哲学者にでも任せるべきで、本当に自分が存在していたのか、存在しているかなど答えが出るわけもない。

 

 しかし一点重要なことは、今の彼女の在り方はゲーム由来の設定とテキスト由来の設定、そして彼女の親とも言えるペロロンチーノの影響を受けて存在が為っているということだ。それがどういうことかというならば、つまり彼女もまた脈々と受け継がれる変態紳士の系譜であるということなのだ。

 

 両刀という設定は若干だが女の子好きに寄り、可愛い少女ならば尚更である。日本生まれの一般人程度の善性が彼女に与えた影響は、人間に対してほんの少しの歩み寄りを可能にしてくれた。それが親であるペロロンチーノの意図したことではないとはいえ、この状況の彼女にとってそれは何よりの贈り物かもしれない。

 

 とはいえ、やはりそう簡単に相いれるものでもない。ティアのように可愛く従順で有能な下僕でもなく、イビルアイのように金髪ロリ吸血鬼というドストライクな存在でもないラキュースに生意気な口をきかれれば不快になるのは彼女にとって当然のことだ。むしろドスの利いた声で殺気を出す程度ならば優しい方かもしれない。もちろん情報収集の役に立つという部分があればこそで、それがなければ既にラキュースの首が飛んでいる可能性もあった。

 

「う……」

「そう脅かしてくれるな。ラキュースもお前のために奔走していたんだ、そういう態度に出られると文句の一つも言いたくなるだろう?」

「人間風情がわらわのために全力を尽くすのは当然でありんしょう? けれどまあ、少しは認めてやるのも考えなくはありんせん。そう……情報次第でありんす」

 

ギラリと双眸を輝かせ、ラキュースを見つめるシャルティア。殺気は消えたが、ラキュースの生物的な本能とも言えるものが彼我の絶対的な実力差を感じ取って萎縮してしまうのは避けられない。

 

「おお、怖ええ怖ええ。シャルティアっつったか? ラキュースはこれでもリーダーなんでな、悪りいがあんまり虐めんでくれや」

「ふむ、虐めたつもりはありんせん……が。くふ」

「ひゃっ!?」

 

 小鹿のように怯えるラキュースがシャルティアの琴線に触れた。イビルアイが好みにばっちりな彼女だが、一つ足りないものがあるとすればそれは胸である。自分の事は棚上げ、むしろ自分が持っていないからこそ求めるのかもしれない。ラキュースが持つ自分にはない小山の頂を。

 

 綺麗な瞳にサラサラの流れるようなブロンド。ピンク色の唇から漏れる嬌声はどんなものかと想像、もとい妄想したところでティアとイビルアイからの視線を感じてシャルティアは首を傾げる。

 

「じー……」

「ふむ」

「な、なんでありんすか?」

「ガガーランには普通の対応。なんで?」

 

 自分は許可されなければ名前を呼ぶことすら出来なかったようなのに、と頬を膨らますティア。イビルアイの方は純粋に疑問なのだろう。圧倒的に格下な生物だと言って憚らない人間にあんな口をきかれたにもかかわらず、ラキュースとは違ってごく普通の対応だったのは何故なんだろうと。

 

「わらわも鬼ではありんせん。亜人系のモンスターが人の街で暮らすのは苦労しんしょう? その心意気に免じて、でありんすよ。ところで見た感じオークかオーガの変異種だと思いんすが、合っていんしたか?」

「て……てめえ……」

「?」

「俺は人間だ!」

「くひゃ、よしておくんなまし。お前のような人間がいるか……おっと、いないでありんすよ」

 

 吹き出す『蒼の薔薇』のメンバー。筋肉の塊でガタイのいいガガーランが男に間違えられることはよくあるが、まさか人間と思われていなかったとは、と腹を抱える。ガガーランはガガーランで眉間のあたりをピクピクとさせて怒りに耐えている。激昂すれば連鎖的にシャルティアも爆発してしまう可能性があるからだ。まさに周囲に気を使える優秀な漢女である。

 

「ガガーラン」

「なんだよ」

「とりあえずそういうことにしておくぞ。そう思われていた方が好都合のようだ」

「っく……! いっそ殺せ!」

「まあそう怒るな……くくっ」

「こそこそ話してどうしたでありんすか?」

「いや、なんでもない。よくガガーランが人間じゃないと気付いたな、と思ってな。流石はシャルティア、同属として憧れる、いや惚れ直したぞ」

「くふ、やはり滲み出る知性というものは隠しようがないでありんすね」

 

 シャルティアの扱いがなんとなく解ってきたイビルアイ。とりあえず褒めておけば問題ないのだろうと判断し、そして思っている以上にアホで、さらに予想以上に変態であると認識した。しかし問題は解決していない。シャルティアの人間蔑視、というより自分以外への蔑視は今のうちになんとかしなければまず間違いなく近いうちに王都が滅ぶ。そう考えて一種の問答を始める。あわよくばこれで丸め込まれてくれ、という願いを掛けながら。

 

「シャルティア、少し質問があるんだがいいか?」

「うん?」

「何故お前はそこまで人間を見下すんだ? 確かに隔絶した強さがあるというのは解る。しかし強さだけが全てではないだろう? 私は自分より強い人間など殆ど居ないと解っているが、それでも人間は嫌いじゃない。別に好きになれと言っている訳ではないが、他者への態度というものは鏡なんだ。見下せば負の感情で返ってくるし思いやりがあれば正の感情で返ってくる。無論すべてではないがな」

 

唇を湿らせ、畳みかけるように話を続けるイビルアイ。

 

「お前がこれからも一人で自由に生きて、仲間など要らぬというならそれもいいのかもしれない。だがお前は探しているんだろう? 何より大切なものを。世界は広く、知性ある生物もまた膨大だ。どれだけ長く探索しようとも、誰の協力も情報も無しに探し当てることは砂漠で一粒の宝石を探すようなものだ。もし情報を持っているものが居たとして、癇にさわったからといって殺してしまえば二度と情報など得られんだろうよ」

 

長い、三行にまとめてくれと考えるシャルティア。しかしナザリックを探す上で大切なことならば聞き流すわけにもいかない。オーバーヒートしそうな頭をさらに酷使して真面目に耳を傾ける。

 

「情けは人の為ならずともいう。無法者やならず者に敬意をはらえなんてことは言わない。だがその強さをもって他者の役に立とうとするならば、その分以上に助けた者達が役立ってくれるかもしれない……解るな? お前が心配なんだ」

「……」

「すぐには変われないだろう。だが仲間のために変わる気があるならば、私はお前のために協力したい。まずは『蒼の薔薇』のパーティとして行動して、慣れていかないか? たとえお前が激昂したとしても、私に遭った時ぐらいになんとか我慢してくれるならこいつらもなんとか耐えられるだろう。他の人間はもっと脆いんだ、試金石というには悪くない提案だと思う」

「むう……」

 

 考え込むシャルティア。言っていることに一定の理解はしているが、シャルティアの邪悪さは生来のものだ。彼女に思いやりを持てというのは鳥に飛ぶなと言っているようなものだろう。たとえナザリックを探すためとはいえ中々に承服しがたいものがあるのは当然とも言える。

 

「知性なき者と知性ある者に境界があるならば、それは理性をもって我慢が出来るかだと私は思う。世界最高のギルド『アインズ・ウール・ゴウン』に所属する可憐な真祖の吸血鬼、シャルティア・ブラッドフォールンはどっちだろうな?」

「むむむ……」

 

 イビルアイはシャルティアのこれまでの言動から仲間とギルド、そして自らが仕えるものに重きを置いているのは見抜いていた。だからこそ論点を少しずらして、人間に歩み寄り思いやりを持つことこそが仲間と再会するために必要なことだと思わせる言動を繰り返した。

 

 とはいえ何も間違ったことを言っている訳でもない。実際にどこにあるかも解らない場所を身一つで飛び回って探すなど、不老とはいえど無謀の極みだ。他者の協力は必要不可欠だろう。

 孤独に耐えて当てどなく彷徨う辛さはイビルアイも痛いほど知っているのだから、シャルティアにそれを味わってほしくないというのもまた真実だ。

 

「出来ないか?」

「……」

「……辛いか?」

「……」

「『蒼の薔薇』に入ればラキュースの胸を好きにしてもいいぞ」

「……仕方ないでありんすな。至高の御方に会うために、どうやらわらわも譲歩が必要でありんす」

「ちょ、おま、裏切ったわねイビルアイ!」

 

 先程シャルティアがラキュースの胸に目をやっていたのを目敏く見逃していなかったイビルアイ。悩む彼女の最後の一押しになればと提案してみたが、ばっちり効果を発揮したようだ。これも人類のためだと、ぎゃあぎゃあ喚くラキュースを無視して一仕事やり終えた自分に何かご褒美でも頼むかと部屋から出て行った。

 

「俺も下行ってくるわ」

「同じく」

「に、逃げるな、ああ、ちょ、ダメ……!」

「ティア、押さえるでありんす」

「了解。リーダー、これは必要な犠牲。仕方ない」

 

 前々から狙っていたラキュースの胸が棚ボタで転がり込んできた。ティアはシャルティアに感謝しながら48の暗殺技の一つ、亀甲縛りの術を繰り出した。どこに暗殺要素があるのかは考えてはいけない。

 

「ダメだってばぁーーー!」

 

 宿屋の一室に悲鳴と嬌声が木霊した。この日ラキュースが純潔を散らしたかどうかは定かではない。しかし処女でなければ装備出来ない白銀の鎧『無垢なる白雪』をこの日以降も装着出来ていたのは確かである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シャルティアが『蒼の薔薇』に加入してから数日後。ティアも予想していたことではあるがガゼフから聞きたいことと頼みたいことがあると言われ席を設けることになった。内容としてはシャルティアは何者なのかということと、何故あそこにいたのかということ、そしてトブの大森林の調査依頼だ。

 

 一つ目は『蒼の薔薇』の新しいメンバーであり、その強さは知っての通りなので短気な彼女をあまり刺激しないようにとラキュースは伝えた。二つ目は探し物の途中でただの偶然と押し通し、そして三つめはというと『蒼の薔薇』は依頼がなくとも行くつもりであった。

 

 ガゼフが早急に報告したトブの大森林の異変。それは情報を収集していたラキュースの耳にも入り、当然シャルティアとの何らかの関係を疑った。伝説の魔獣を逃走に追い込む強さを持つ者などそうは居ない、つまりシャルティアが急に見知らぬ場所に放り出されたのと同様にその人物もそうなっているのではないかと思い至ったのだ。

 

 とはいえ元から調査する予定のものに依頼料がおまけでついてくるとなれば快諾する以外の選択肢はないだろう。シャルティアのことについて詳細に尋ねる戦士長を宥め、事はかなり重大でありシャルティアは王国の味方というわけでも、ともすれば逆鱗に触れて国が滅ぶこともありえるのだと追及の手を躱す。

 

 ガゼフを信用していないわけではないが、腐りきった王国の上層部がシャルティアに接触すれば良いことにはならないだろう。ラキュースは愛国心あれど現実はしっかり見据えているのだ。

 

 しかし既に報告は上げてしまったと告げる戦士長にラキュースは苦笑する。それで結果はどうだった? と。その質問に苦虫を噛み潰したような表情で憮然とする戦士長。元々が貴族の陰謀で死地に追いやられたこの遠征だ。王派閥に属する戦士長が断り切れなかったことを鑑みるとその力関係は明白であり、つまりは彼の発言も軽んじられることが多いということである。

 

 報告をあげた際には難敵に食い下がったガゼフを褒め称えるでもなく、そもそも本当に難敵だったのかと疑われる始末だ。『蒼の薔薇』が関わったのならば窮地を脱したのも頷けると、冒険者を称賛し自国の戦士長を貶めるのが今のこの国の現状をよく現している。

 

 そんなこんなで彼女達は今、詳細を聞くためにカルネ村を訪れていた。伝説の魔獣がいまだ滞在しているかは不明だが住民に何か起きていないかの確認の意味も含めてである。

 

「遠目で見た限り大丈夫みたいね」

「ああ……そろそろ仮面を付けておいた方がいいんじゃないか、シャルティア。吸血鬼の特徴など知らん村人の方が多いが用心するに越したことはない」

「えー……ダサすぎるでありんす」

「それは私がダサいと言っているのか?」

「はて、そう聞こえんしたか? わらわにはとてもとても……くふ」

「ぐぬ……」

 

 茶化しあいながらも仕方ないとばかりに仮面を付けるシャルティア。それはイビルアイのものとお揃いで、しかし外套などは付けていない彼女は非常に珍妙な恰好である。ゴシックで黒を基調としたドレス。それを着ているのはへんてこな仮面を付けている少女。

 

 そして同じ仮面をつけた少女が二人居る『蒼の薔薇』もまたへんてこな集団に見える。知らぬものが見ればいったいどういう集団なのかと勘繰ること間違いなしだろう。そしてそんな集団が村に近付いた瞬間、芝居がかった声が響きわたった。

 

「この村に何用でござるか? それがしはこの村を守護するもの。不埒な輩を侵入させるわけにはいかんのでござるが」

「あら、あなたが噂に聞く森の賢王さんかしら? 私達はトブの大森林の異変と聞いて調査に来たのよ。ガゼフ・ストロノーフに頼まれた、と言えば解ってくれるかしら」

「おお、あの武人の同心でござったか。ならば歓迎するでござるよ」

 

 ガゼフの名を聞いた賢王は一転して緊張を緩め、村の中へと『蒼の薔薇』を受け入れた。魔獣に付き添って村長の家まで連れていかれた彼女達に、道行く人々から視線が突き刺さる。戦士長は約束を守ってくださった、という声やあんな人数で大丈夫なのか、という声まで様々である。不躾に眺められている状況にイラつくシャルティアであったが、右手をイビルアイがしっかりと握り、左手はティナが体を絡ませているため動きには出さない。

 

「おお! あなた方が戦士長の約束してくださった……! このような辺境に来て下さるとは感謝の念に堪えませぬ」

「いえ、こちらもこちらで理由があるものですから。早速ですがお話を聞かせてもらえますか?」

「はい。とは言っても詳細は賢王様に聞いていただいた方が良いかと。私も村の娘からのまた聞きでございますので……」

 

 その言葉に家を出て再度賢王に話を聞くラキュース。賢王は一つ頷くと森であったことを語り始めた。何者かが召喚した尋常ではない強さの蝙蝠と狼が探索を掛けるように、ある一点を中心に放射状に広がり森に放たれたこと。おそらく召喚者は相当な強者であること。それを抜きにしても最近森が騒がしく、不穏な雰囲気が漂い変調の兆しが見え隠れしていたこと。

 

「なるほど……ねえシャルティア、何か心当たりはある? 仲間にそんなことが出来る者が居たとか」

「ふむ、蝙蝠と狼……。魔獣、なにか特徴はありんしたか?」

「黒い体に紅く輝く眼が特徴的でござったな。あれが何か知っているのでござるか?」

「ならばおそらく『古種吸血蝙蝠』と『吸血鬼の狼』でありんしょう。わらわの他にそれを召喚出来るものはナザリックにはおりんせん。外れのようでありんすな」

 

 はあ、とため息をつきながら残念がるシャルティア。そんな簡単に見つかるとは思っていないが、それでも期待していなかったといえば嘘になる。無駄足でありんした、と踵を返して帰ろうとするシャルティアだが『蒼の薔薇』全員の視線を感じて足を止めた。

 

「揃いも揃ってわらわに見とれてどうしたでありんすか? 流石のわらわもこの人数を一晩で相手するのは骨が――」

「いやいや、そうじゃねえよ。お前もそのなんたらってのを召喚出来るのか?」

「おぶしゃりざんすな。真祖の吸血鬼であるわらわがその程度も出来んと思いんしたか?」

「なるほど……ねえシャルティア、何か心当たりはある? 数日前に森の中でそれを召喚したとか」

「? なんで知ってるでありんす?」

 

 その答えに彼女達は徒労感を露わに空を仰ぐ。やっぱりあーぱー吸血鬼じゃないかと心の中で愚痴を溢し、ラキュースはどう報告したものか頭を痛めた。ちなみに賢王は尻尾を腹の下に隠して怯えていた。

 

「まったく、もう森に入る必要もなさそう……いえ、異変はその前から始まっていたんだったわね。少し見回って帰りましょうか」

「ああ。まったくもって確かに無駄足だよ、シャルティア」

「え?」

 

 なんだかよく解らないが、迷惑をかけたことはなんとなく気付いたシャルティア。一瞬謝ろうかと考えるもやはり人間如きに謝罪するのもどうなんだろうと逡巡し、悩んだ末にラキュースの胸をモニュリと揉んだ。

 

「やめいっ!」

 

 かくして一行は森へと足を踏み入れる。彼女達を待ち受けるのは東の巨人か、西の蛇か、はたまた湖に住む蜥蜴人か。もしくは――――




ガガーランの「くっ殺」がみれるのはこの小説だけ!
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