1.勢いだけで書いた結果、今までで一番キャラ・設定崩壊・ご都合主義がある(と思われます)
2.今までと雰囲気違います。全然ほのぼのしてない
3.オリキャラがクッソ不快。書いてて楽しかったけど
4.にとりちゃんの扱いが不憫
今回は前編です。
香霖堂には様々なお客さんが訪れる。古道具が好きで熱心に商品を見る者もいれば、まったく買い物をする気もなく、ただ世間話をしたいだけの者も訪れる。それでも僕は、この店でずっと店主を続けていくことだろう。そう、たとえどんなことが起きようとも・・・
「急性上気道炎?」
僕はおうむ返しに魔理沙に尋ねる。
「ああ、結構熱も出てるし、数日間は安静に、だそうだ。まあ、萃香と華扇が交代で看病してるから、心配ないんじゃないか」
「ふうん・・・というか、それ、要するに風邪のことだろう?」
「まあな」
うーん、数日前にここに来た時点ですでに辛そうな感じを見せていたけど・・・あれから悪化したのか。流石の博麗の巫女も、風邪にはかなわないということか。
「さて、こんな時に異変が起こったりしたら大変だと思わないか?」
魔理沙はニヤニヤ笑いながら僕の方を見る。
「そういう縁起でもないことを言うもんじゃないよ」
僕は呆れ顔で魔理沙に言う。
「何言ってんだ、幻想郷の異変は、この霧雨魔理沙も解決しているんだぜ」
「そういう問題じゃなくてだね・・・」
「ねーえ」
店の奥から呼ぶ声が聞こえる。
「ちょっとこれ、私の一存じゃあ決められないよ。このまま予定通りにやったら、使う人自身が大ダメージ受けちゃうかも」
「あー、悪いな、ちょっと待っててくれるか。それまで時計のほうの修理頼んだ」
「りょうかーい」
店の奥では、魔理沙の持ち込んだ道具をにとりがいじくりまわしている。
「・・・本当に、ミニ八卦炉の改造をさせる気かい?」
「改造というか、アップデート?いやグレードアップってやつか?まあいいや、より使いやすく、より強力になるっていうんだからやってもらうべきだろ」
「・・・やっぱり少し残念だな。僕の努力が無駄になってしまうよ。色々考えて作ったのに」
「まあまあ、にとりは基本的な所はいじらないって言ってるぜ」
「・・・どうだろう」
とにかく好奇心旺盛な種族である河童のその言葉、信頼できるものなのだろうか。
「それに、改造代としていくら請求されるか」
「その点は心配ないぜ。大量のキュウリで二つ返事でOKだ」
「・・・下道の菜園の奴か」
「そう、真兵衛のおすそ分けがいーっぱいな」
自分で用意した奴じゃないのか。まったく・・・
「ところで、霊夢に弟子入り志願しようとしたあいつ、相当上達が早いって慧音が言ってたな。もちろん、基本からきちんと順番にやってるそうだ」
へえ、あの子、真面目にやってるようじゃないか。
「結界術だけじゃなく、弾幕の才能も光るものがあるってさ。もっとも、実戦ではコントロールが効かないから、まだまだこれかららしいけどな」
「そのうち、彼女もしっかり異変解決に協力してくれるといいね」
「おいおい、私たちの役割が減るのはちょっと勘弁してほしいぜ」
ふいに、バァン!という物凄い音を立てて扉が開いた。
真っ黒い長髪に、白装束を着た少女が入ってくる。
「いらっしゃい。扉はもう少し易しく開けて・・・」
「・・・」
少女は僕の言葉には答えず、後ろをぱっと振り返り、さらに顔をこちらに向けなおすと、僕と魔理沙の顔を見回した。
「どうかしたのかい?何か―」
「香霖!」
魔理沙が血相を変えて、僕の服の袖を物凄い勢いで引っ張った。
「うわっ、ちょ・・・」
「にとり!逃げ・・・」
「させないよ!」
少女の鋭い声が店内に響いた直後、僕の右足に激痛が走った。
「ぐうっ・・・」
何かの妖術か、呪術の類かはわからないが、とにかくその少女の攻撃を受けたということは理解できた。
「おい大丈夫か!しっかりしろ!」
魔理沙の必死な声が僕の耳に響く。
「まずは動けなくしよ」
少女はそう呟くと、魔理沙にすっと腕を向けた。
「やべっ」
次の瞬間、少女の腕から光線のようなものが発せられた。
魔理沙は辛うじてそれは避けたが、バランスを崩し、思い切り転倒した。
「ぐはぁっ・・・」
魔理沙の顔が苦痛で歪む。
「魔理沙!」
足を引きずりながら、僕は魔理沙に近づいた。
「畜生・・・足、捻っちまった。いてて・・・」
くそ、魔理沙も満足に動けなくなってしまったか。しかし、一体何なんだあの少女は。
「なんだよもう、うるさいな・・・」
今頃になって、にとりが奥からのそのそと戻ってきた。
「動くな」
少女はにとりをジロリと睨み付けた。殺気の籠った鋭い眼差しである。
「何だお前!」
にとりは相手に向かって勇敢にも・・・いや、今思い返せば非常に間抜けにも思える言葉を吐いた。
「馬鹿野郎!そいつ・・・」
「ひゅい!?」
魔理沙の声を聞いたにとりが、そちらに目を向けた刹那・・・
バヒュ、という乾いた音が少女の腕から発せられた。その腕の先に向けられていたにとりの体が吹っ飛んだ。
「にとりー!!」
魔理沙が絶叫した。天井近くまで浮き上がったにとりの体は、床に物凄い勢いで叩きつけられ、大きな音を立てる。床に横たわったにとりの小柄な体は、僅かにピクピクと痙攣したものの、その後は微動だにしなくなった。
「てめぇ・・・」
魔理沙が目に涙を浮かべながら少女を睨んだ。
「はい、大人しくしてて。ああはなりたくないっしょ?」
少女は僕たちの顔を交互に見ながら言う。
「くっそ・・・ミニ八卦炉が手元にあれば」
魔理沙が呟く。・・・まいったな、万事休すか。
「あそこか!」
「香霖堂だ!」
店の外から数人の怒鳴り声が微かに聞こえた。少女はその声に反応すると、舌打ちしながら言う。
「ちっ、来るの早すぎ」
少女は店の扉の前に行くと、外に向かって大音声を上げた。
「こっちには人質がいるぞー!もうすでに一人やった!もう二人も消されたい?嫌だったら絶対に来るな!」
「素直に成仏すりゃいいだろ・・・お前」
魔理沙が少女を睨み付けながら言う。
「ふん。あたしはまだ消えたくない。ここは楽園って聞いたからさ。だったら居させてもらっても―」
「ちゃんとルールは守ったらどうだ?」
「ヤだね。ここであたしは思いっきり楽しみたいのさ。なのにいきなり強制成仏させられるってどーいうこと?」
「何が楽しみたいだよ・・・邪気をプンプンさせやがって。・・・ここに来るまでに何やらかした?」
「妖精の乱れ撃ちぐらいしか出来なかった。辻斬りは、最初の一人が未遂で終わり。あーあ、巫女がすぐそばに居なかったらもっとやれたんだけど」
「馬鹿じゃねぇの」
魔理沙は軽蔑の籠った声で少女に言う。
「はっきり言ってやろうか?お前みたいな怨霊は、他人に悪影響しか与えないんだよ」
「何とでもほざいてなさい。あんたらも用済みになったら逝かせてあげる」
僕はしばらく彼女らのやり取りを聞いていたが、どうやらこの子はとんでもない怨霊らしい。確かに冷静になってみると、彼女からはドス黒い負のオーラがひしひしと伝わってくる。魔理沙は、この子が店に入ってきた直後にすぐ感づいたようだが・・・。
香霖堂の外には、立て籠もりとなったことで、容易に手出しは不可能となった退治屋たちが相談していた。皆、一様に不安の表情を浮かべている。
「中の様子はどうだ?」
「分からん、下手に近づけないからな」
「どうしましょう?早苗さん」
皆の視線が、一斉に東風谷早苗に向けられる。
「非常に不本意ですが、私たちはとりあえず待つしかないでしょう。人質の安全が分からない今、下手に動かないほうがいいと思います。あの怨霊が、何か要求してくる可能性もありますから」
早苗はそう言うと、ちらりと真兵衛が去った方向を見た。
(『外堀を埋める』って言ってたけど、間に合うかな)
怨霊の少女は、僕たち二人の顔をちらちら見ながら、薄ら笑いを浮かべている。
「さあて、別に人質は一人でもいいしなー、それじゃあ・・・」
少女は僕の顔を見、次に負傷した僕の右足を見る。
「痛い?なあ痛いかこれ?きゃはは」
不快な笑い声を上げながら僕を見下ろす少女は、まるで悪鬼のような表情になっている。
「もう一本も、同じようにしよっか?つんつん」
ニタニタ笑いつつ、僕の左足を指で押す少女。体から嫌な汗がどっと出る感覚が強まった。
「それとも、右のこれ、根元からちょん切るか?痛みで意識が飛んで、逆に楽になるぞー」
「・・・お前、死ねよ」
魔理沙がぼそりと呟いた。
「とっとと消えろ!くたばれ!外道が!」
魔理沙は涙目になりながら喚いたが、その顔の横を一筋の光線が通り過ぎた。一瞬で魔理沙の顔が白くなる。
「・・・うっさいからあんたから殺すわ。えーっと、せっかくだしー」
少女はきょろきょろと辺りを見回していたが、ふいに魔理沙の箒を掴むと、こちらに戻ってきた。
「・・・これ誰の?」
「私のだよ」
魔理沙は少女を睨みながら言う。
「あんた魔女?」
「ああ」
「で?普段どんな道具使ってんの?これ以外に」
「さあな」
次の瞬間、僕の脳天に思い切り魔理沙の箒が振り下ろされた。
「香霖!」
魔理沙が叫ぶ。箒だから致命傷にはならないのだが・・・不意打ちは相当きついものがある。
「あんたの道具、どこにあんの?」
少女は魔理沙にもう一度質問した。
「・・・」
「やっぱお兄さんから殺ろうかなー?足はもういいや、次は腕、首は最後に取っといてー」
「よせ!」
魔理沙が少女に向かって叫ぶ。
「・・・殺すなら、私からにしろ」
「魔理沙!・・・僕はどうなってもいい。彼女だけは―」
「はいはーい、そこまで」
少女は僕にじっと顔を近づける。
「いい男だねえ、あんた。でもあたし、最後はどっちも生かす気ないから」
怨霊の少女は冷たく僕に言い放った。
「この野郎・・・」
魔理沙は赤くなった目で少女を睨み付けている。
くそ、なんとかして魔理沙だけでも助けてやらないと。何とか―何でもいい、何とか手は無いものか。・・・この状況を打開する手が何か、一つでも・・・。