雨にも種を。(リライト版)   作:re=tdwa

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ティンバーからは列車で脱出した。

切符は森のフクロウが用意してくれて、なんとか助かった。

いや、最悪徒歩で脱出も出来なくはなかったんだけどね。

 

その場合足手まといになるのは俺だからね。

歩くことにならなくて、本当に助かったというのが本音だ。

森のフクロウには感謝しても足りない。そうでもないか。

 

ガルバディアガーデン最寄りの駅について、そこからは徒歩。

途中の森でジャンクション事件も発生。

今度はスコール、キスティス、セルフィの3人が倒れた。

 

流石に、今度はみんなも不安がっていた。

何が不安って、任務中に起きないかどうかってことである。

ただ、その割りに4人全員はそれ程心配していなかった。

 

それは、もしかしたら、犯人の記憶がどこか残っているからか。

エルオーネの記憶が、僅かながらでも痕跡を残しているのだろうか。

とにかく、部外者のリノアさんの方が心配をするほどだった。

 

心配していたスコールとリノアの言い争いは起きなかった。

 

リノアが落ち込んでいること。

スコールが不器用ながらも、多少の気遣いを見せること。

どちらも上手くといってはアレだろうが、働いたらしい。

 

気分を持ちなおしたリノアを見て、安心そうな顔をした辺り。

意外と彼もリノアのことが気になっているのだろう。

実は、案外とお互いに一目ぼれだったりするのだろうか。

 

ガルバディアガーデンではキスティス先生が説明に行った。

案内された部屋の中で、残った5人は微妙な感情で席に着く。

特に、目立って微妙な顔をしているのはゼルだろうか。

 

「ゼル」

「……なんだよ」

 

声を掛けても、憮然とした表情であることは変わらない。

 

「多分、心配いらないと思うよ。

 君が思っていることにはならない」

「根拠は」

 

じろりと睨み付けるような視線が、俺に向けられる。

ゼルが心配してるのは、バラムガーデンのことであるだろう。

だとしたら、恐らく、どうあがいても心配は要らないはずだ。

 

「現状でバラムガーデンを潰す理由にはならないからね」

「どういう意味だ?」

 

強いて言うなら、そのまんまの意味である。

ジャンクション技術をまともに使えるのはガーデンだけ。

それも、バラム・ガーデンだけなのである。

 

後の二つのガーデンはジャンクション訓練をしていない。

それは原作からして同じこと、この世界においても同じである。

魔女イデア視点ならともかく、大統領視点ではまだ早い。

 

「まだ、Seedは利用価値があるから」

 

魔女イデアなら、ガーデンを即座に潰そうとするだろうが。

大統領はまだ必要としているはずだ。だからこそ。

まだ、完全に権力を奪いとってない現状では、まだ早い。

 

どこまで説明するか、と更に口を開けようとしたとき。

キスティス先生は戻って、二つのことについて説明を始めた。

丁度俺たちが話していた、サイファーについてを含めて。

 

大統領誘拐は、実行犯の単独行動。

ガーデンを批判はせず、犯人の処断はガルバディア法に基づき行う。

俺が知っている通り、そして知らずとも予想する通りの結論だ。

 

まあ妥当な判断だろう。

恩を売りつつ、ガーデンを潰さなくてすむ選択として、正しい。

原作知識がなくても妥当だと思う。魔女の意図は別として。

 

それを聞いて落ち込んだリノアさんがちょっとだけ愚痴り。

色々とスコールがトラウマを刺激されそうになったり。

ガーデンから来た風神と雷神の2人が新たな依頼を持ってきたりした。

 

今度の任務はバラム・ガルバディアガーデンの協力任務だ。

ガルバディアの平和使節として任命された魔女イデアを暗殺すること。

今度こそ、学園長の本命の依頼である。Seedの存在意義でもある。

 

依頼者はフューリー・カーウェイガルバディア軍大佐。

方法は狙撃手による遠距離からの狙撃。

ガルバディア・ガーデンからアーヴァイン・キニアスが派遣される。

 

今度は作戦の精密度も準備期間もかなり高い水準のものである。

それでも失敗を逃れ得ないのは、ほぼ確定している。

魔女イデアの力の前には、たかが一発の銃弾など無意味であるのだ。

 

だからこそ俺はこの作戦の後を考える必要があると確信していた。

 

 

 

 

 

ガーデンからは、更に列車でガルバディアに移動した。

今度も、歩かなくてすんでありがたい。俺の身体能力は低いから。

そして依頼者に接触しようとするが、屋敷の門番に止められた。

 

能力の確認を要求され、名も無き王の墓に行くことになり。

今回は探索であるために俺も同行した。

こういうときぐらいは仕事をしないと何の為にいるか判らない。

 

リノアの名前を出して即座に通ることも可能だろうけれど。

能力の確認を取れるだけの時間的余裕があることを考慮したのだ。

信頼を獲得するために時間を費やしても問題がないと判断した。

 

門番にもらった地図と俺の知覚能力で、調査は直ぐに終了した。

Seedが5人。ガルバディアガーデン最高の狙撃手。魔女の素質を持った少女。

戦力としては俺の護衛分を考えても非常に充実しているのである。

 

深部まで調査して、新たなG・Fを得ることにまで成功した。

早く終わったのは、事前にレビテトを使っていたのも原因だろう。

地属性のパターンがする、と嘯いておいて正解だった。

 

そして、依頼者との接触に成功。

リノアさんが大佐の娘であると明かされ、若干不穏当になるものの。

とりあえず、俺たちは作戦の説明を受けることになった。

 

作戦の大まかな内容は次のようになる。

まず実行はガルバディアと魔女の協定を祝ったセレモニーの日だ。

その日には、魔女イデアも参加するパレードが行われる。

 

そのパレード開始前に、2チームに分かれたSeedが指定位置に移動する。

凱旋門チームはセレモニー前に凱旋門に潜入。

狙撃チームはセレモニーが終了するまで大統領官邸前に待機。

 

セレモニー後のパレードが本番だ。

パレードで大統領官邸の正門は開かれ、パレードが出発することになる。

狙撃チームはライフルが隠された時計部屋に侵入、時間まで待機。

 

パレードは街中を回り、2000に凱旋門を通り過ぎる。

その時に凱旋門チームが制御盤を操作し、鉄格子を下す。

同時に時計部屋は、狙撃チームと魔女の間には障害物がなくなる。

 

既に、ガルバディアガーデンと大佐の間で協議が持たれていた結果。

足りていなかったのは実行主となるseedだけであったようだ。

作戦は丁寧に練られたものであり、狙撃までは成功するだろう。

 

狙撃が成功し、魔女が死んだらそれでよし。

死ななかったらseedによる強襲で直接撃破を目指すことになる。

その場合、主に戦闘に参加するのは狙撃チームになるだろう。

 

この任務だけを考えるのなら問題はない。ないのだが。

ここからは原作知識を考えると変な行動は出来ない。

リノアさんの暴走は避けるべきだし、凱旋門チームの任務放棄もよくない。

 

結果に問題はなくとも、今後に支障がでそうなものは避けるべきだ。

さて、どうやって今後に影響ないように、色々誘導するかだが。

それを考えるには、まずはこれからの未来を考える必要があるだろう。

 

まず、暗殺は失敗する。これは全部が上手くいっても変更なしだ。

スコール、ゼル、セルフィ、キスティスは捕まることになる。

D地区収容所に送られ、リノアさん、アーヴァインの救出を受ける。

 

スコールは拷問を受け。サイファーが無事であることを知り。

脱出に成功した全員は、ミサイル発射阻止と避難に向け行動する。

しかし、ミサイルは発射され、ガーデン同士の戦争に移行する。

 

バラムガーデンは助かるものの、トラビアガーデンは崩壊する。

 

知っているのに、千人単位の死者を出させるわけにはいかない。

その為には魔女暗殺か、ミサイル発射を阻止する必要があるだろう。

どちらがより簡単かときかれると、悩むところだけれど。

 

前者は無理だ。いくらなんでも、方法がない。

原作と違って俺が居るが、だからといって戦力は変わらない。

戦力的に無理だし、また、殺害していいものかも微妙である。

 

下手をすると、今、リノアに継承が行われることになるのだ。

それは、あんまりよろしくない。どうなるか想像がつかなくなる。

どうなるか予想もつかない選択肢だが、そもそも取りようがない。

 

そうなると後者だ。

ガルバディアにおいてミサイル基地と呼ばれるものは2つある。

ただ片方は12年前に新しいほうが出来て以来、整備をしていない。

 

そうなれば、新しい方だけを襲撃し、破壊すればいい。

どう考えてもこちらの方が正しい一手だし、予想もしやすい。

発射されるより前に、襲撃に成功すればいいだけだからだ。

 

その為にはSeed4人の内、1人は捕まらない必要があるだろう。

潜入が出来、戦闘もこなせないと、実行は不可能であるからだ。

その上、救出の為の人材を考えると、最低でも二人は必要になる。

 

俺は暗殺失敗時に、凱旋門にいる6人の内。

どの組み合わせでもいいから、3人は助けないといけない。

どうやってそれを行うか。そして自分の身をどうやって守るか。

 

それに、どうやってミサイルのことを知ったというべきか。

そんなことを俺が知るタイミングを、どこかで作らなくては。

正直に言うと、本気で俺の手には余るレベルの難題である。

 

だからこそ、俺は気付かなかった。気付かない振りをしていた。

スコールが捕まれば、サイファーから拷問を受けることになることに。

……そんな現実味のないことが、現実になろうとすることに。

 

俺はどうしても、真っ向からは現実を見ることができなかった。

 

 

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