雨にも種を。(リライト版)   作:re=tdwa

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D地区収容所は堅牢だったが、案外大したことはなかった。

見た目は異質で、近寄り難いもので防衛機構も強固ではあったが。

中にいる人間は、ジャンクションもしてない兵士に過ぎない。

 

外で暴れまくっていると、中でも騒ぎが起き始めた。

スコールたちだと信じて戦っていると、突然建物が地面へと潜り始めた。

驚きながらも離れると、頭を少しだけ残して埋まりきってしまった。

 

そこからスコールたちが出てきて、なんとか僕たちは再会した。

結局、みんなは昔のことを覚えていないようだったけれど。

それでも、みんなはみんなだ。全員が無事のようで嬉しかった。

 

だけど再会を喜ぶ暇もない。

僕たちはミサイルのことをスコールたちに伝えなければいけなかった。

シオンの情報であることには、不安が隠しきれなかったが。

僕たちは、全員で直ぐにバラムガーデンに戻ることになった。

収容所の軍用車にに乗り込むときに、遥か遠くに火柱が上がった。

それがミサイル基地の爆発したものと僕たちは何となく理解した。

 

セルフィたちが上手くやったのだと喜んだのもつかの間。

トラビアにミサイルが発射されて、そういう訳にもいかなくなった。

バラムにも、撃たれるかもしれない。特にゼルが焦っていた。

 

僕はシオンが何かしたのかと思ったが、決め付けは出来ない。

とにかく、落ち合うと決めたバラムガーデンに向かうことになった。

バラム・ガーデンは、まだ無事であると信じて。

 

バラムガーデンに着くと、そこは混乱の真っ只中であった。

学園長とオーナーのノーグが争っているらしい。

そのことが、シオンと学園長を探して駆け回る中で判った。

seedを中心にした学園長派は、大多数のノーグ派に劣勢だった。

班長は学園長派として動くことに決めた。

そうでなくても、マスター派、延いてはガルバディア派には入れない。

シュウという人なら学園長の居場所を把握しているらしいと知った。

 

彼女に話をすると僕たちは着いてくる様に指示されたのだった。

 

 

 

 

 

「スコール!」

「シオンか!」

シュウの居場所を探そうとして、知覚範囲を広げる。

すると、彼女は丁度学園長室に来ようとしているようだった。

そしてそれだけではない。更にG・Fの気配が着いてくる。

 

まさかとは思ったが、流石というかなんというか。

主人公の特性なのか最高のタイミングで現れた俺の心の親友。

無事であったことも含めて、こんなに嬉しいことはない。

でも、残念ながら再開を喜ぶような余裕はない。

現状の混乱を収め、早くガーデンを動かさないといけない。

どちらにしても、そう遠くないうちに事態は動くのだ。

 

ミサイルは飛んでこないにせよ、バラムは占領される。

そうなれば、ガーデンを動かさないと身動きがとれない。

ガルバディア・ガーデンから、一方的に攻め込まれることになる。

 

とはいえ、どこまでそれを説明するかという話だが。

 

「無事だったんだな、良かった!

 悪いけど、今からセルフィを連れてMD層に向かって欲しい」

「MD層?」

「ガーデンの地下だ。ガーデンの自衛機能がそこにある。

 一刻も早く、ガルバディアへの対策を取る必要があるんだ」

 

嘘のような、本当のような。

そういうラインで物事を話すから、みんなから疑われるんだけど。

ほら、セルフィとアーヴァインの視線がまた冷たくなっている。

 

じゃあ、もう少し想像の範囲で収まる情報を公開するべきか。

 

「ミサイル発射が阻止されたなら。

 次にくるのはガーデンへの直接攻撃だと推測される」

「MD層にはなにがあるんだ」

「ガーデンは元々シェルターとして作られたって話だから。

 多分、防衛関係の設備が整ってるはずだよ」

 

ですよね、と学園長に視線を向けると。

恐らくはと不確かそうにだが、学園長は俺の意見を補佐した。

スコールは頷いて、他のみんなを軽く横目で見渡した。

 

「経緯はセルフィに?」

「ああ、道中聞いてくれ」

短い指示だが、スコールは俺の意図を汲み取ってくれた。

MD層はスコール、アーヴァイン、セルフィ、リノアの4人で侵入。

残りは、ガーデン上層で事態の収束に当たることになった。

 

俺は、予定通りミサイル発射との誤情報を流し始めた。

 

できる限りの生徒に避難勧告、バラムに逃げ出すように伝える。

バラムなら、ガーデンの動きに巻き込まれることがないだろう。

例え占領されたとしても、大きな影響はないと踏んでのことである。

 

数十分がたった時、バラムガーデンは大きな振動に包まれた。

絶望する人が逃げようとする中で、俺は成功したのだろうと安心した。

バラム・ガーデンは、機動要塞となったのである。かっこいいね。

 

ガーデンが動き出して、また混乱を始めた学園内。

スコールたちを探しながら、みんなと一緒に混乱を収めてまわる。

途中でスコールに再会し、ガーデンが動いているのだと伝えられた。

出来ていないと知っているが、制御は出来ているの?と聞く。

全く考えていなかったらしく、スコールは腕を組んで悩み始めた。

そうしていると放送がなり、スコールが学園長室に呼び出された。

 

今度は1人になった俺は、人捜しを再開した。

探しているのはニーダ、本編でガーデン操縦士となった同期のSeed。

今後は彼の力も必要になってくる。そう思ってのことである。

 

なぜ彼が操縦士となったのか。

それは案外単純なことである、機械全般を得意としていたからだった。

彼は戦闘技術は平凡だけど、機械に天才的な勘を持っていたのだ。

目立たないというのが、本人が気にしていることではあるが。

大体にして、本人がそう思っているだけだった。ちゃんと目立ってる。

他の同期が目立ちすぎるだけで、彼は十分に優秀な学生であるのだ。

彼を見つけて、壊れたガーデンの機関を直し続けて数日が経った。

そのあいだにスコールがオーナーのノーグを片付けてガーデンは独立。

白いseedの船がエルオーネを回収していったりしていたらしい。

MD層に潜り込んでいた俺たち修理班には全く関係のない話だった。

 

数日後、これ以上直すにはまともな工房が必要だ、と結論に至った。

まともな加工が出来る場所と、そもそもの材料が必要なのである。

まとめ役をしていた学園長とスコール、シュウに伝えることにした。

 

そも、ガーデンには余り人が残っていなかった。

学園長を探し回っていた一般の生徒たちは、放送後直ぐに脱出した。

マスター派の教員も、いつの間にか居なくなっていた。

 

ガーデンが動き始めた時点で残っていたのはごく少数。

各拠点を必死に防衛していたseedと学園長派の生徒。

それにカドワキ先生や門番のおじさんなど、生徒想いの大人だけだった。

 

そうなると、ガーデンの動向を決められる人間は限られてくる。

元々最高の立場だった学園長に、学園長派の指揮を執ったシュウ。

その彼らは、スコールに委員長の座を譲り渡していた。

 

俺は修理班をしてたら、いつの間にか物資の管理もしていた。

修理班と補給班の班長として、重要人物の一人として数えられていた。

多分誰か嫌な大人が、俺に無理やり押し付けたんだと思う。

 

俺を修理班の班長と呼んだのも、学園長が最初だった気がする。

なんだか、色々押し付けられているようで、若干腹立たしい。

いやいや自分からやっていることだから、と自分を慰めてみる。

 

「というわけで、これ以上修理はできません」

「そうですか」

 

修理がこれ以上出来ないと学園長室にいた学園長に伝える。

特に興味もないというか、ごく普通に頷かれただけであった。

君たちで解決してくださいといわんばかりの投げやり感である。

 

「どこまで俺たちに任せる気で?」

「どこまでもですが」

 

くっそ野郎。なんだこいつ。許せねえぞ、爆発しねえかな。

イデアの魔女の騎士の割りに、この人本当になんもやる気ねえな!

魔女の騎士だからこそ、何もやらないのかもしれないけども。

 

……本当、どこまでわざとなんだろう、この人。

Seedを作ったり、スコールたちを魔女暗殺作戦に出したりとかは。

本物の方のイデアから聞いてのことだと思うんだけど。

 

そこに俺を追加した辺りとかはよく判んないんだよね。

なんで俺をイデアの家のみんなの中に参加させたんだろう。

考えれば考えるほどに、よくわかんなくなって来た俺である。

 

「どうかしましたか」

「……いえ?

 ただ、なんで俺をスコール班に入れたのかなと思いまして」

「仲がよかったからですが」

 

思わずそのまま口に出して聞いてしまった俺に、予想外の球。

は、まじすか。それホントでござるかー?これこれー?

そんな風に動揺しきる俺の内面である。表には勿論出さない。

 

戸惑う俺に、学園長は「ああ」と手を叩いて、言った。

 

「何か目的があると思っていたのですね。

 よくありませんよ、勝手に邪推してしまうのは」

「う、うっす」

「初の任務で班長をするスコール。

 その精神的なケアを考えただけの人選ですよ、他意はありません」

 

あ、あれ。この人、そんな悪い人じゃないのかもしれない。

というか、これに関しては俺の空回りだったのだろうか。

そう思って、まさか違うよねと学園長に視線で問いかけてみる。

 

「――スコールの親友である、と。

 そう、聞いていましたからね、それだけの理由です」

 

誰かから、俺とスコールのことを聞いていたというだけ。

そう言った学園長は、少しだけ何かを懐かしんでるかの様で。

なんとなく、それ以上のことを聞くのはやめることにした。

 

「ところで最近はスコールと話していないようですね?」

「い、忙しかったもので」

「副班長なら、班長のケアも仕事のうちですよ」

 

暗殺任務から碌に話が出来ていないでしょう、と学園長は言う。

俺もそのことは気がついて、気にはなっていたんだけども。

副班長になった記憶はないけど、様子を見に行くとしようか。

 

色々大変だったろうし、お昼ごはんでも一緒に食べるか。

そう時計を見ながら、俺はスコールの部屋へと向かい始めた。

 

 

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