雨にも種を。(リライト版)   作:re=tdwa

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バラムガーデンseed実地試験D班班長。それが今回の俺の役割だ。

 

筆記試験と事前課題に続く、Seed試験の最終段階。

実際の任務に参加し、適切な行動をとれるかどうかを判定する実地試験。

戦闘行動や任務貢献を総合評価して、合否が判定されることになる。

今回の任務はドール奪還。

72時間前、ドール公国が、通告なしでガルバディア軍に占領を受けた。

 

対モンスターに特化した自衛力しかもたないドール軍は撤退。

突然の事態に対応出来ず、現在ドール山間部で抗戦を続けている。

ガルバディア圏ではあるが規定違反の為にドール公国議会が反発。

 

そして、今回のSeedへの依頼に至る。

Seedに依頼されたのはドール市街地の奪還。

ガルバディア軍は僅かな戦力をドール市街地に残しており。

殆どを、山間部に向けてドール軍の無力化を図っている。

 

今回の作戦では、がら空きの市街地の奪還を優先。

その後、山間部のガルバディア軍をドール軍と排撃し、撃退。

最終的には、市街地経由で追い出すことが全体の目的である。

この任務においてseed予備生の役割はシンプル。

ドール市街地を電撃作戦により解放すること。

その後seedが戻ってくるガルバディア軍の撃退をする間、

市街地の安全維持と前線への情報伝達を行うことである。

 

ま、その通りになるかどうかは原作のみぞってことである。

今回の任務はseedにおいても珍しい対人戦闘を含んだ依頼である。

実地試験として相応しいものであるかには俺としては疑問だが。

難易度は適当なものであるとガーデン上層部は判断したらしい。

 

現役seedは9人。

候補生は12人で4班。

それに試験を担当する教官としてキスティス先生が参加している。

任務についての説明が全体に対して行われ。

その後は部屋を別れ、各班で戦力などの確認が行われることになった。

 

 

 

「じゃあ手短に自己紹介して戦力確認をしようか」

案内された小さな部屋でD班の3人が顔をつきあわせている。

D班の担当は、ドール市街地南部の解放だ。

また上陸地点と他の班の担当場所の中心であるため、伝令も担当。

 

戦闘は比較的穏やかと予想されるが、何せ足手まといがいるのだ。

それを踏まえて考えていく必要がある、が。

どうやら、学園長には、俺を受からせる積もりがあるらしいね。

 

メンバーをちらりと見て、俺は最初に口を開いた。

 

「まずは俺からいこう」

シオン・グレイル。

バラムガーデンの専門部。seed試験は今回が初めて。

戦闘能力には欠けるが、その他色々な技能には自信がある。

そこまで言ったところで。

事前に配られたそれぞれの能力評価シートから目を離し。

茶髪の癖っ毛の少女が口を開いた。…初顔だが、初顔ではない。

「戦闘能力は確かに低いみたいだね」

「ああ。だからみんなに頼ることになる」

「うん、でも」

少女はチラリと能力評価シートに目をやった。

「魔術、ね。念話と探索とあるけど?」

「説明させてもらう」

俺は来るだろうと思っていた質問に、用意していた答えを返す。

「G・Fによる知覚能力の強化と通信の能力だ。

 半径100メートル程の範囲で何が起こっているかが見られる」

「精度は?」

「何人いるか、どこに何があるか判るぐらいだね。

 上空にカメラがあって、それを覗いているぐらいの精度だ」

 

そう思ってもらえば、面倒臭さも判るだろうか。

それなりに集中力が必要であるし、何よりほぼ俺が無力になる。

その代わりに、こういう作戦ではある意味絶大な武器になりうる。

 

「範囲を広げたりは?」

「射程なら300メートルまで出来なくもない。

 その射程で20メートルぐらいの範囲を調べるのが精一杯だ。

 精度もかなり落ちる。

 G・Fの反応を調べるだけなら大体3kmぐらいまでなら大丈夫」

 

G・Fの反応だけなら、という限定は付くがね。

それでもSeedがどう分布しているのかは、それで見れば判る。

もっと言えば、どのG・Fかも属性パターンからは判るけど。

 

「狙撃に気付くのは無理なんだね」

「その通りだ」

 

頷く俺に、茶髪の少女は小さく頷いた。

もう1人の黒髪の女生徒がこの部屋に入って初めて口を聞いた。

「通信は?」

「使うG・Fと同じものをジャンクションした人間にだけ。

 ただ、距離が離れると成功しにくい」

「成功しにくい、とは」

 

繰り返してくる黒髪に、頷く。

 

「これはジャンクションを利用していてね。

 君たちにも先に体感してもらおうと思っている」

 

二人が頷いたのを確認して、集中を始める。

二人にシヴァの波動があることを確認、ジャンクションに介入。

流石に、Seed候補は適合率がかなり高いが、隙間もある。

 

隙間から、自分のシヴァと二人のシヴァと同期化する。

同時に知覚能力を、俺の魔力でブーストさせて適合を図る。

若干のノイズがあるが、接続を確認して。――聞こえる?

 

「何か頭の中がザワザワしてる」

「私も」

「それが念話だよ。

 G・Fの適合率の隙間を利用して、介入してる」

 

だからこそ、俺に使える技術なワケであるけど。

ザワザワしてる時にシヴァを通して俺を意識してみて欲しい。

そういって、俺はもう一度念話を試みる。

聞こえる?

そう呼びかけながら2人を見ると、うなづき返してくれた。

「今のが念話だ。

 最初のザワザワの強さや通信の感度は距離に左右される」

「受信側が気付ける限界は?

「2kmはない。

 そこまで離れれば、待ち構えていて漸く気づけるぐらいの強さになる」

 

だから、あんまり使い勝手はよくないけれど。

この任務自体にはそこそこ適合してるし、悪くはないと思う。

伝令役もするのだし、絶対に必要になるから。

 

「難しいね」

「使いようによってはかなり便利じゃない?」

「実用は、教官のキスティス先生やB班のスコールぐらいだと思う。

 二人は訓練で受信をしなれているから」

「作戦本部に連絡が出来るってことね」

俺の紹介はこれぐらいだ。

「じゃあ次は私ですね」

黒髪の女生徒が姿勢を正して自己紹介を始めた。

 

「私はマイア・カステル、バラムガーデン専門部所属。

 私もseed試験は初めてで、対人の実戦も初めて。

 前線に立つつもりだから、フォローをお願いします」

能力評価シートに目をやると、成る程穴のない見事な数字が並んでいる。

特に戦闘技能はなかなか高いバランスで纏まっていて信頼ができる。

「武器は剣とあるけど?」

「ええ、片手剣で突きを中心にしています」

「対複数だと?」

 

フェンシングなら複数は苦手なんじゃないのかね。

若干意地悪い感じだが、聞かれることも想定してるだろう。

 

「魔術を含めてスピードで撹乱しつつ数を削ります」

「後衛はどうするの?」

 

今度は茶髪の少女から。

 

「状態異常をバラまくことで対応したいです」

「……成る程ね」

 

微妙に希望的観測っつーか。他のメンバーのフォロー頼りかな。

ま、普通に考えて一人で戦うわけではないので、別にいいけど。

俺こそ、人のこと言えた話じゃないし。

「特に問題はなさそうだね」

「私に移っていいかな?」

「どうぞ」

そして、本命である茶髪の癖っ毛少女である。

この子が、学園長が俺を受からせる積もりだと思った要因。

見たことのある、初対面の美少女が、その形のいい口を開いた。

 

「セルフィ・ティルミット。

 トラビアガーデンから試験を受けにきました。

 戦闘は近接も魔術も行けますが、ヌンチャクなので対複数は苦手です」

そう。セルフィである。なんと原作組からの参戦であった。

 

「トラビアガーデンから!

 優秀ですのね」

「seed試験はバラムガーデンだけですしね」

「それにしても凄い成績ね」

シートに並ぶのはスコール並みの数字だ。

ジャンクション適性が97%とほぼ限界値でバラつきは2%以内。

座学も戦闘もかなりの成績をとっているようだ。

そう、彼女に限らず原作の仲間キャラは非常に優秀なのである。

ガーデン生徒の中に於いても学問も戦闘もかなりの適性をもっていた。

殆どありえないような数字が並ぶ程度には、彼らは強いのだ。

 

現在3つのガーデンで5000人超の生徒を抱え。

しかし、その中でSeedは僅か32名。100分の1よりも低い割合。

その中でスコールの一行はトップになる実力を保持していたのだった。

「戦力は比較的控えめだけどかなりバランスのいいパーティーみたいね」

「そうだね~

 市街地で掃討戦をする上で、各個撃破に向いてるっていうのは利点だよ」

 

比較的、というところで俺をちらりと見るのはご愛嬌。

ま、確かに俺は戦闘向きではないからね。

その代わりに、今から別のことで活躍させてもらうとしますか。

 

「基本的には俺が索敵、

 マイアが突入セルフィが援護と警戒といったところかな」

「了解よ」

「了解だよ」

打ち合わせは順調に終わった。

さて、原作どおりに話が進むのならば、俺もやれることがある。

準備は万端、残りは出たとこ勝負ってことで。頑張りましょう。

 

 

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