雨にも種を。(リライト版)   作:re=tdwa

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初任務を受けてから、シオンがイライラしている。

俺の勘違いかと思っていたが、実はそうでなかったらしい。

どうやら、ゼルとセルフィも同様の感想を抱いていたのだ。

 

「あのシオンが学園長や女の子に噛みついてるんだぜ?」

「私もそこまで彼のこと知っているわけではないけどさ~。

 なんか焦ってるよね~?」

 

ゼルとセルフィもシオンの行動には違和感を抱いていたらしい。

確かに疑問な点や不可解な点、納得のいかない場所は幾つもあった。

だが作戦としては一応実行可能。危険度も高いものではなかった。

 

「スコール、一回話聞いてきてみてよ」

 

セルフィが俺が聞き耳を立てていたことに気づいていたらしい。

話の延長線で俺にそんなことを言ってきた。

 

「……どうして俺なんだ」

「シオンと一番仲いいだろ」

「そうそう。

 お互いに信頼してるっていうか、そんな感じあるし」

 

一番仲の良い、信頼している、か。

確かに俺にとっては、唯一といっていいほど関係性がある相手だ。

面倒臭くない距離を自分から保ち、言いたいことを理解してくれる。

 

複雑だと、投げやりになってしまう俺にとっては、ほぼ唯一の。

友達といっていいのかは判らないが、そういう存在、だと思う。

 

シオンが焦っているということは、理由があるのだろう。

複雑で面倒なことだが、シオンに思うことがあるなら聞いておきたい。

初任務の緊張だけだとしても、その解消ぐらいはしてもいいだろう。

 

「――行ってくる」

「おーう」

「期待して待ってるよ~」

 

俺の背に、2人はそんな言葉を投げかけてきた。

 

 

 

 

 

バラムガーデンを出発した俺たちは、大陸横断鉄道に乗った。

大体17時間程の行程になるだろうか、決して短くない時間だ。

丸一日仕事なものだから、俺たちは仮眠をとる必要があった。

 

とはいうものの、スコールたちは仮眠を取るまでもなく。

ソファに座ってすぐにスコールたちは意識を失った。

エルオーネによって、過去のラグナたちに接続させられたのだ。

 

念の為、彼らの手元のジャンクションマシーンを見る。

G・Fとの適合率が100%と、ありえない数字となっていた。

やはり、彼らの意識は身体にないということが窺えた。

 

だからといって何をすることでもない。危険ではないのだ。

時間さえ経ってしまえばこの身体に戻ってくる。

俺は3人の身体をベッドに横たえると、俺も寝ることにした。

 

俺が目を覚ましてから1時間ほどして、3人も目覚めてきた。

 

「何が起こったか、判るか?」

「ん」

 

異常事態だ、とは三人も思ったらしく。

事情を聞いてきた彼らに、ジャンクションの異常を伝える。

すると、G・Fの専門家としての俺に質問をしてきた。

 

「100%ってあり得ないのか?」

「普通はないんじゃないかな……」

 

普通は、ない。ジャンクションの仕組みからして、そうだ。

ジャンクションとは、G・Fを頭の、記憶容量にセットすること。

その上で、個々人との魔力パターンとの適合を行う。

 

まず、記憶容量自体が綺麗に開いているという前提がある。

それは、まあ殆どの人が記憶の消失でクリアすることが出来る。

しかしその後の魔力パターンとの適合は、かなりの難事だ。

 

G・Fっていうのは、詰まるところ精霊とかその類である。

そういうのと魔力パターンを適合させるということは。

強いて言えば、どこまでそれに身を任せられるかということ。

 

人間としてアイデンティティが確立されているほど、出来ない。

或いは、幼少期からそういうものに慣れ親しんでいるか。

イデアの家の子どもたちは、慣れ親しんでいるってことだろうけど。

 

それにしても100%は異常な出来事である。

人間である以上は、身を任すにしても限界があるものである。

それこそ、自分自身が魔女の適性でもなければきっと無理な話だ。

 

「じゃあ、さっきの私たちには魔女の適正があったの?」

「まあ、なくもないだろうけど。

 でも実際には無理だと思うけどね」

「だよねぇ」

 

実際には、他の誰かにジャンクションされて。

自分の意識が完全になかったというのが事実なんだけども。

そこらへんは今の俺が知っていていい話ではないしね。

 

取りあえず、ガーデンに戻った際には身体検査。

そういう方針で、現状身体に大きな変化がないことを確認し。

スコールたちは一旦納得してくれたようであった。

 

ティンバーについて、森のフクロウと連絡が取る。

森のフクロウ自体は、昔からある組織だけあって有名だ。

昔には、ガルバディア軍によって排斥作戦もあったほどである。

 

しかし、現在の主要メンバー、というか。

メンバーは現在三人だけ。そういう組織の実情なわけである。

そのことに、スコールたち3人は言葉を失ったようだった。

 

俺は知っていたから特に何も反応しなかったが。

最高に杜撰な作戦と組織にちょっとだけ文句をつけることにした。

 

彼らの作戦は非常に大胆なものである。

大統領の誘拐をするのに、大統領の乗る列車を走行中にすり替える。

そのままアジト列車に接続し、誘拐するというものだ。

 

先頭車両と前後の護衛車両、そして大統領の車両。

4つで構成された列車を、切り替えポイントを使いながら切り離し。

ダミーの大統領車両と、本物を入れ替え誘拐をする。

 

正直作戦自体にちょっと無理がある気がするが。

それはともかく実行上の問題点に文句をつける。

 

伝えたことは主に3つ。

 

簡単に情報を得れたということはダミー情報の可能性があること。

任務中に気づかれた場合の撤退手段が確保されていないということ。

まあ、ここまでなら失敗前提で動くのだし構わないのだが。

 

むしろ、もし大統領の誘拐に成功した場合が問題である。

ティンバーの独立を認めさせても実行させない恐れがある。

いつまで誘拐したままでいるのか、という問題もある。

 

誘拐し、どうやってティンバー独立を認めさせるのか。

命でも、拷問でもするか?しかしその命令をどうやって出させる。

誘拐した大統領に要求だけしても、ティンバー独立には繋がらない。

 

恐らくは偽者の大統領だから、考えなくてもいいのだが。

もしも本体だった場合の方が問題になってくるわけである。

纏めると危険だらけということを淡々と挙げてみる。

 

これで聞き入られなくても聞き入れてもどっちでもいいのだが。

強いて言うなら、俺の役割的な分析業務を行ったわけである。

まあ、多分聞き入られはしないんだろうなとは思っていたが。

 

結局、作戦はリノア・ハーティリーにSeedなんだから!と強硬された。

判っていてもイラッとするが、依頼者に当たる程のことでもない。

取りあえず、失敗するだろうけど、初任務スタートである。

 

その、大統領誘拐作戦実行まで1時間。

 

スコールたちとの事前打ち合わせは終了していた。

今回の任務は潜入任務であるが、移動が激しいため念話は使えない。

動きも電車の音も大きいだろうからね。使える要素が少ない。

 

更に、走行中の列車に進入である。

非常に身体能力が必要とされることをすることになる訳で。

必然的に、俺は失敗した際の逃走経路を確保する役割についた。

 

その逃走経路に関しても、俺は楽をさせてもらった。

流石にティンバー内の情報は森のフクロウが詳しいのである。

地図と警備情報で、比較的安全な経路を見つける程度であった。

 

だが、落ち着かない。

森のフクロウのアジトの中で、俺は少しだけイライラしていた。

何せ、失敗すると判っている任務に3人を送り込むのだ。

 

この任務は恐らく、失敗する運命にある。

どれだけ完璧な行動をしても、原作通り大統領が影武者であれば。

その時点で、作戦を始めただけで失敗である。

 

失敗すると判っている任務に仲間を向かわせること。

任務に自分が直接参加することなく、安全地帯にいること。

そのどちらも俺の苛立ちを加速させる。ムカムカである。

 

一応、この作戦について嫌疑はかけたけども。

どっちにしても俺も割りと乗り気であるので何とも言いがたい。

原作通りに進めることも、知識を活かす上では必要なのだ。

 

今後のことを考えたらこの作戦を行わないのもマイナスである。

決行されることも強ち悪いこととは言い切れない。

ただ、俺は軍人には向いていないのだなと再確認する思いである。

 

 

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