dog days not勇者   作:鮪瓜

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第12話

疑問点の補足的な小話。

 

 

さて魔神騒動も終わって2日が経った。

 

俺自身結構変わった。

 

まず、みんなの呼び名が変えた。これは一応新しい俺の誕生の区切りとしてやったことだ。これくらいのことなのだが喜んでくれる人は喜んでくれた。

 

次に魔神について。魔神の輝力は俺の輝力と混ざって1つになっているらしい。だが元々俺の生命力とは別なのでうまく操れない。なので毎朝座禅を組んで輝力として馴染ませることにした。

 

まぁ、他にも髪の毛が伸びたとか目が赤いままとか微々たる変化はいくつかあるが主な変化はこれくらいだろう。

 

「私とのキスで変わったことはないのか?」

 

「は?」

 

こっちの心の声を勝手に聞かないでほしい。

 

ここはガレットの城の俺の部屋、何故か毎日ドルチェは俺の部屋に来て、こうやって世間話をして帰っていく。

 

「何故かってそりゃ、好きだから?」

 

「人の心を勝手に読むな。って好き?いや、意味がわからん」

 

こいつはどこか掴みどころがない奴だ。だからこんなこと言ってもまず信用しない方がいいだろう。ってこいつにはこれも読まれているのか。

「全く君は・・・・・・・・・・・・」

 

あれ?もしかして俺、これ喋る必要なしか?なんか便利だな。

 

「わかった。この能力は封印するよ。だからちゃんと喋ってくれ。これでは私が独り言を言ってる変な人になってしまう」

 

「わかったよ。それで俺が好きってなんで?」

 

「そんな感じで訊くのか・・・・・・まぁ、言っちゃうと、ひ、一目惚れだよ」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

「そすっか」

 

「軽いな!?君もう少し深く聞かないのか?」

 

どうやら訊いてほしいらしい。

 

「で、一目惚れって・・・・・・・・・・・・あれか魔物騒動の時か」

 

「そうだね。あの時一目惚れしたから私は君に魔神の欠片を渡した」

 

一目惚れして魔神の欠片を・・・・・・おかしくないか?それってあれだよな。好きな人を魔人にして一生2人だけで生きていく気だったのか?それって俗にいう心中って奴じゃ・・・・・・・・・・・・。

 

「お、そうだ。そういえば俺はお前に訊きたいことあったんだ」

 

「なんでも訊いてくれたまえ」

 

魔神はない胸を張って言った。そう言ったら大変怒られた。数十分かけてじっくりと怒られた。

 

「・・・・・・・・・・・・で、あの本って何だったんだ?」

 

「何もなかったかのように始めるね。まぁ、いいか。それで、あの本かい?あれは私の友人が作った物でね、私がどうしようとも決して消せなかった物だね」

 

「つまり、お前はあれに手出しは出来なくて自然消滅を待つしかなかったのか」

 

「だね。彼女の紋章術はとても私には・・・・・・・・・・・・」

 

魔神の力を持った魔人にこれ程まで言わすとは余程強い人だったんだな。

 

「成る程、力が強すぎて周りにも影響が出てみんなも記憶を保てたのか。それでその人って?」

 

「私が魔人になってから出会った少女、結局忘れられたが本当にすごい人だった、アデルは」

 

何か遥か昔を思い出すように遠い目をしながらドルチェは言った。それにしてもアデル?これ以上キャラを増やされても・・・・・・。

 

「まぁ、この話はこれでいいや。後は、なんでエルディーナって名乗ったんだ?」

 

「う、そ、それは・・・・・・・・・・・・恥ずかしかったから・・・・・・」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、何回沈黙するんだよ。

 

「いや、それだけじゃないんだ。あの時私は実質エルディーナだったし。ドルチェというのは魔人になった時点で捨てた名だったから」

 

いやいや、そんな最もな理由があるならそれをまず言おうよ。

 

「それで、ドルチェって何者?」

 

「ズバズバいくね~。私かい?何故、エルディーナを持っていたかを考えれば分かるんじゃないのかい?」

 

「あの国の関係者、宝剣持っているから・・・・・・あれか?砲術士のリーダーか?」

 

確か軍事記録にはエルディーナ使うのは砲術士だって書いていた様な・・・・・・。

 

「違うよ。大体君は私の日記見ただろ?」

 

「は?えっと、つまりお前はあの国の領主の妹?」

 

「正解」

 

本日3回目の沈黙。

 

「え、えぇぇぇぇええええ!!?」

 

「な、何をそんなに驚いているんだ?」

 

「いや、だってキャラとか全然違うし。え?え~~・・・・・・」

 

あの日記の主はこう、なんというか、物静かで虫も殺せないような感じがしたんだが。

 

「いや、人間何年も生きれば性格変わるよ」

 

「あぁ・・・・・・まぁ、そうか」

 

俺も結構性格変わったしな。

 

「それじゃ、最後に俺って魔神になったよな?あれって悲しみとか憎しみていう負の感情で出来る存在だろう?なのに俺はほら、この通り。どういうことなんだ?」

 

なんかあれを吸収したなら俺の中で負の感情が渦巻いて俺が崩壊するんじゃないのかと思ったが、俺は特に何もない。

 

「君は10年近く、負の感情に触れてきた。しかも他の人間とは比べ物にならないくらいのものを」

 

確かに思い出してみたら同年代の奴らからはいつも妬みを俺自身は親を殺されて悲しみや憎しみが渦巻いていた。

 

「そんな体験をすれば人はそれに飲まれて人でなくなる。でも君はどうだ?人からいくら阻害されようと信頼を忘れなかった」

 

俺が信頼を忘れなかった、シンク達だけは信じようとかんがえていたことか。

 

「絶望をした人間でありながら希望を持っている君にはあの程度の負の感情、大したことなかったのだろう」

 

「ふぅ~ん、でも俺拒絶反応起きたよな」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

え?何その沈黙?俺何かやばいこと訊いた?

「知らない」

 

「え?」

 

「ええい!知るか!私だって魔神継承は初めてだったんだ!あの時はああだったが結構焦ってたんだよ!」

 

なんだ、逆切れされた!?

 

「だから、私も知らん!これ以上魔神現象については訊くな!」

 

と、結局ドルチェは切れた上に曖昧な答えで終わらした。納得するにも少し決定打に欠ける気もするがこれ以上はどう訊いても答えてくれないだろうからしょうがないか。

 

「・・・・・・ところで私から質問いいか?」

 

大体聞き終えた時点でドルチェがそう言った。もちろん、これだけこっちが質問したからOKと言った。

 

「なら、君は恋とかしないのか?」

 

いや、そんなに顔を真っ赤にするなら訊かないでほしい。

 

「でも恋か・・・・・・・・・・・・」

 

前に言った気がするが、恋というのはお互いが信頼しきった人間に起きる現象で俺には早い気がする。でも俺は魔神になって人を信頼出来る様になってきて・・・・・・。

 

「いや、まだ恋ってのは分かんないな」

 

「そうか。なら・・・・・・ここで私が教えてやろう」

 

ドルチェがそう言った瞬間、俺は極寒に置いてかれた様な寒気を覚えた。そして背中に嫌な汗をかいて、椅子から立ち上がった。だがそれが失敗だった。

 

気づくとベッドにいたはずのドルチェは俺の目の前におり、一歩ずつこっちに近づいてきていた。俺もそれに合わせるように一歩ずつ下がってしまう。そして気がつくとベッドにまで追い詰められていた。だがドルチェは止まらない。そのまま俺は押し倒され・・・・・・・・・・・・その後はご想像にお任せしよう。

 

 

 

疑問点の補足的な話2

 

 

俺は父は研究者だ。色んなことを解明するために日夜、研究をしている。俺はそんな父をいつも後ろから眺めていたのだが、一度父に「道具と人は最大限利用すべき」だと言われた。父曰く、道具は最大限に利用しないと使っているとは言えないらしく、それが出来てこそ研究は成功するらしい。そして人間も同じらしく最大限の力を引き出させてこそ、その人の本質が見えて信頼出来る様になるらしい。

 

父の言葉だし、俺も結構同意出来るのでこの言葉に従うことにしよう。だが人を最大限利用するなんてやり方が分からないのでとりあえず道具から。

ということであっちの世界だとゴールデンウィークであろうそんな日に俺は通信機を使うことにした。覚えているだろうか?俺とリコが2人で作ったやつだ。

 

折角これを最大限利用しようとしているんだ、通信機について少し補足しておこう。これはフロニャルドから地球へ通信出来る機械だ。モードは通話モードと映像モードの2種類、映像モードはリコの要望によりみんなで話せる様に作ったもので不思議な原理で画面からホログラムが現れる仕様だ。

今回は俺1人なので通話モードだけでいいだろう。

 

Prrrrrrr

 

そんな久しぶりに聞く電子音の後

 

『もしもし』

 

久しぶりにシンクの声を聞いた。

 

「シンク、久しぶりだな。駿だ」

 

『あ、駿。久しぶりだね~』

 

ここからは少し世間話が続いた。こっちでの生活とかみんなの様子とか。まぁ、みんなの様子の方は俺が知らせるまでもないかもしれないが、俺観点からってことで。もちろん、魔神のことも話した。だがリコが既に話していた。ということでこれも俺観点から。

 

『へぇ、それじゃ駿は人を信用出来るようになったんだ』

 

「ああ、そういうこった」

 

さて、ここからが俺がゴールデンウィークに通信した理由の2つ目になる。

 

それがあっちでの俺の状態、たぶんだが俺は死んでいることになっている。だからその事件について聞かなければいけない。それなら一ヶ月くらい経ったゴールデンウィークくらいがちょうどいいのだ。

「ところで、シンク。そっちでの俺はどうだ?」

 

『こっちでの駿・・・・・・あ、えっと・・・・・・』

 

「成る程、死んだか」

 

そのごもりだけで十分分かるっての。そして正解らしく、シンクは小さく肯定した。

 

『それで『シンク、何してるの?』え?』

 

通信機からシンクのものではない見知った女性の声が聞こえてきた。

 

『シンク、それ何?シンクの携帯じゃないよね?』

 

『え、あ、そ、それは・・・・・・・・・・・・」

 

シンク結構困ってんな。しょうがない、助け舟だすか。

 

「シンク変われ。どうせ7月くらいにはばらすんだし」

 

『わ、わかった。七海、はい』

 

『え?あ、うん』

 

さて、どう話すべきだろうか?「あ、七海か?駿だけど」いやいや、これは駄目だろ。なら「俺が誰だか分かるか?」はい、分かりませんね、ということで却下。それじゃ、って悩んでてもしょうがないな。ちなみにこの間、0.3秒。

 

「七海か?おっひさ~」

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

うん、これはないな。七海が反応の仕方にわからず、思考停止しちゃったし。

 

「えっと、七海?お~い、大丈夫か?」

 

『はぁ!え、えっと・・・・・・駿、だよね』

 

もしかして意識失ってたのか?俺があんな挨拶したことがそこまで衝撃だったのか?

 

「御名答。で何か言いたいことは?」

 

『生きてたの?』

 

「生きてるよ。遺体も見つかってないだろ?」

 

反応なし。どうしたらいいのだろうか?さっきからペースを掴めない。まぁ、いいか。

 

俺は自己満足気味に七海に説明した。ただいきなりフロニャルドとか言っても意味がわからないだろうから行方不明になった意味とかを主に説明した。

 

『そんなことがあったんだ』

 

「ああ。そうなんだよね」

 

『でも、そんなことになってるなら私たちにも相談してよ』

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・本当に七海は良い奴だな。まさか怒るより心配が先に出てくるとは。

 

「ははは・・・・・・昔は利益、不利益で全てが動くと思っていたから周りを信じられなかったし、そういう俺は嫌われてると思っていたんだ」

 

俺に近づいてくる人間はみんな俺を利用しようと、利益を得ようとしているだけだと思っていたんだよな。

 

『そんな、私は駿のこと嫌いじゃないよ。むしろ好きだし』

 

「ありがとう」

 

『それに駿は表面ではそう思っていても心の底では利益とか関係なく動いているよ』

 

「へ?」

 

なんかこっちに来てから俺自身のことを他の人から教えられることが多々あるような・・・・・・・・・・・・。

 

『だって、5年前だって私たち助けてくれたじゃん』

 

え?5年前?ってことは12歳くらいのはず、その頃に俺が七海達を助けた?

 

記憶を固く閉ざす鍵は自分では開けられない。だってそれは閉ざされた時点で鍵が消えて無くなるのだから。だから思い出せない、憶えてない。だけどそれを開ける方法はある。自分の中にないならそれを共有する誰かから鍵をもらえばいい。

 

俺の場合はそれが七海だった。俺の中で固く閉ざれたはずの扉は七海の言葉で開かれた。

 

どうしてこんなことを忘れていたんだろう。

 

俺は12歳の頃、シンクの親に誘われてシンクや七海やレベッカと一緒にキャンプに行ったんだ。

 

俺もそろそろ悩んでいるべきでないと思ってその誘いを受けたが結局本を読んでばかりだった。だが元気いっぱいの七海に無理やり連れられて森に入った。

 

けれども森で遊びすぎて辺りは真暗、さらにそうとう深くに入っていたらしく、俺達は帰れなくなった。レベッカ、シンクはまだ10歳で不安でレベッカは泣いたりもしていた。七海は2人を励ましながら必死に頑張ったんだがキャンプ場には帰れない。そうして時間が過ぎていき、七海もどんどん泣きそうになった。

 

俺はそれを本を読みながら見ていたんだ。そしてバタンと本を閉じて

 

「帰り道なら、あっちだぞ」

 

と指をさしながら言った。木一本一本にも違いはある。それを見ていけば帰ることなんて俺には容易だった。まぁ、これを言ったのは正直これ以上帰りが遅くなると色々面倒がありそうだったから、だったはずだ。

 

そうやって俺が先導してみんなをキャンプ場まで連れていった。その最中、七海少し怒られもしたが無事に帰ることが出来た。

 

もしかしてそのことを言っているのか?

 

「いや、あれは俺が早く帰りたかっただけだし・・・・・・」

 

『それなら駿1人で帰ればよかったじゃん』

 

「うっ」

 

確かにそれはそうだ。他の人間がどうでもいいならそれが出来たはずだ。

 

『私はあの時絶対にもう帰れないと思ったから、すっごい感謝してるんだよ』

 

「感謝か・・・・・・まぁ、利益を求めたっても言えるが」

 

『はいはい。それで?今どこにいるの?』

 

あれ~?言ってなかったっけ?どうしようか、フロニャルドにいますよ、と言っても意味が分からないだろうし。

 

「そ、それはそうと俺ってそっちで死んだんだよな?」

 

『え、うん。後駿のお父さんの助手が捕まったってニュースで言ってたような・・・・・・』

 

「え、あの人捕まったの?」

 

これは朗報だ。俺が部屋に置いといた証拠を警察はちゃんと見つけてくれたらしい。まぁ、助手への怨みを書き連ねたり遺書的な物を置いてたりしたからあれが死んだっていう証拠になったとも思うが。

 

『それで「おっと今日は用事があったんだ、それじゃ」

 

後はシンクに全部任せよう、頑張れシンク。

 

俺は誰に見せるでもなく敬礼をした。

 

 

 

恋愛とは・・・・・・

 

 

「好きって何なんだろう」

 

「はぁ?」

 

ここはガウルの部屋、俺はベルが出してくれたジュース(一度こぼされかけた)を飲みながらふいに呟いたのだが、ガウルはそれに対して何を言っているのか分からないという顔をした。

 

「どうしたんや、いきなり?」

 

ガウルの代わりにジョーが訊いてきた。

 

「いや、ドルチェに異性として好きだと言われてな。でも俺はいまいちそういうのが分かんないっていうか・・・・・・」

 

恋愛感情いうものがまだ全然分からない俺はそういうことを言われても反応の仕方が分からない。

 

「で、なんでここに来てそれを言ったんだ?」

 

「なんでって、そりゃ、女の子3人も直属親衛隊にしているモテモテガウルさんに是非とも恋愛をご教示してもらおうと」

 

「なっ!」

 

そういうとベルは慌てだしてこけた。なんだか、あわわわ言っている。ジョーとノワは顔を少し赤くして喋らなくなった。

 

「お前、別にこいつらとはそんな・・・・・・」

 

「え?違うのか?てっきりゼェノワーズってのはガウルを好きな女子で作られたものだと思ってたんだが」

 

たぶん、美少女と呼べるであろう少女を3人も配下に置いているからてっきり・・・・・・・・・・・・。

 

「と、とにかく!そんなんじゃねえって」

 

「そうか・・・・・・・・・・・・」

 

「そ、そうですよ。駿君何を言ってるの!」

 

俺は自身の恋愛感情は全然分からないのだが、母が残していた少女漫画から恋愛ってものは知っている。そこから察するに、あの反応は怪しいな。

 

まぁ、人のそういうのを勘ぐるのはいけないのでここらでやめておこう。

 

「ん~、それじゃみんなは誰が好きなんだ?異性として」

 

「駿、そういうのを直接訊くのはデリカシーが無いって言うよ」

 

いつもと変わらない口調、特に変化のない表情でノワから放たれた言葉はどこか逆らったら死を覚悟しなければいけない気がした。

 

「イ、イエッサー・・・・・・今後気をつけます」

 

そういえば聞いたことある。男性は女性にはどうやっても勝てないと。ノワはもしかしてその言葉に当てはまるんじゃいか?

 

とりあえず、今日のノワは怖かった、それは魔神に匹敵するくらい。

 

*

 

ガウルの部屋を後にして俺はビスコッティ遊びに行くことにした。急ぐ理由はないのでセルクルでゆっくりと向かう。道中は少し暑くなっており、季節は巡り始めていることを自覚させられる。

 

ビスコッティに着くと俺はいつも通り書斎に向かう。辿り着くとリコは見当たらなく何人か研究士がいた。

 

「あ、駿さん。お久しぶりです」

 

「久しぶりって、来たの3日前だろ」

 

研究士の1人、確かアイサだっけ?が話しかけてきた。俺はこういうのが慣れてきてアイサの頭を自然と撫でた。

 

「あぁ・・・・・・。駿さんは撫でるの上手ですね」

 

「そうか?っていうか撫でるのに上手いとかあるのか?」

 

「ありますよ。駿さんのなでなではすっごい気持ちいいですもん」

 

気持ちいい?なでなではそういうものなのだろうか?モヤモヤ解決の為に来たはずがモヤモヤが増えてしまった気がする。

 

「そういえばリコは?」

 

「また主席ですか?」

 

アイサは不満そうに頬を膨らませながら言った。どうしたんだ?

 

「ああ、今ちょっと分からないことがあってな、リコにも訊きたかったんだが・・・・・・」

 

「それなら私にも訊いてください。答えられるかも」

 

「お、そうか。ならお言葉に甘えて・・・・・・恋ってなにかな?」

 

言った途端、アイサは完全に固まった後、カァ~という効果音が聞えてきそうなくらい顔を赤くした。

 

「ど、ど、どどどうしたんですか、いきなり!?」

 

「ん?いや、ドルチェっていう奴に好きだって言われてんだがいまいち分からないからこうやって訊いてまわってるんだ」

 

「駿さん、告白されたんですか!?」

 

アイサはグイッと俺の顔に顔を近づけて大声で言った。

 

「うおっ!?ま、まぁ、そうなるのか・・・・・・」

 

告白、母さんの少女漫画に載っていたな。そうか、そういえば俺はあれをされたんだな。あれをされた男子は・・・・・・・・・・・・あれ?なんか鼓動が早くなったり、顔が熱くなったりするじゃなかったのか?全然何にもない。

 

「で、返事は?返事はどうするんですか?」

 

「返事、今は俺自身恋愛ってのが分かんないし、保留かな?」

 

「そうですか・・・・・・」

 

話はここで終わった、というよりここで扉が開いてリコが帰ってきたので半強制終了気味だった。

 

「あれ、駿様?どうしたでありますか?」

 

「おお、リコ。実は恋について訊いて回ってたんだ」

 

「こ、恋でありますか?」

 

リコは少し頬を赤らめた。なんか、みんな似たような反応をするな。リコが少し黙るとアイサは何かを思い出したようにしてから一言言って去っていった。

「それでさっきの質問だけど・・・・・・」

 

「そ、そうでありますね!う~ん、そういうのものって考えても分からないと思うでありますよ」

 

「考えても分からない?」

 

そんなものが存在するのか?全ての物は考えれば分かると思っていたのだが・・・・・・・・・・・・。

 

「そうであります。考えなくても気がつくとそうなっているのだと思うであります」

 

気がつくと恋に落ちている。う~ん、まだいまいちよく分からない。

 

「う~ん・・・・・・リコはそういうのあるのか?」

 

「駿様、デリカシーって言葉知っているでありますか?」

 

なんか感じたことのある恐怖を感じた。

 

*

 

続いて訪れたのは風月庵、年長者の意見を聞こうと考えたからだったのだが・・・・・・・・・・・・。

 

「恋ってなんでしょうか?」

 

と訊いたのだが

 

「う~~む、分からないでござるな」

 

とダルキアンさんの答え

 

「拙者も恋はあまり・・・・・・」

 

とユッキーの答え

 

と、まぁ、結局何も分からず、縁側でいつもの感じでお茶を飲んで落ち着いていた。

 

「それにしてもどうしていきなりそんなことを知りたいのでござるか?」

 

「あ、それは・・・・・・・・・・・・」

 

と俺は先ほどしたような説明をダルキアンさんとユッキーにした。

 

「それで、駿殿はドルチェ殿と付き合うのでござるか?」

 

なんか文字だけではダルキアンさんとユッキーが見分けにくい気が・・・・・・・・・・・・ん?あれ、なんか変な電波が・・・・・・まぁ、いいか。

 

「う~ん、俺はドルチェを好きかと言われればどうか分からないですから今のところはノーで」

 

好きでもない人間と付き合う、そんなことを高校にいた時に周りがやっていたとか小耳にはさんだ気もするのだが、それの意味が分からない。

 

「・・・・・・・・・・・・なぁ、ユッキー。ここで俺がお前を好きだって言ったらどうする?」

 

「へ?」

 

「ほう」

 

お、ユッキーが赤くなった。そしてダルキアンさん、面白くなってきた的な感じで目を輝かせないでほしい。

 

「・・・・・・・・・・・・そう言われると拙者も分からないでござる」

 

「そうか」

 

湯のみを置いて縁側から空を見上げる。そこには俺の悩みなどちっぽけに感じるほど、大きな青空が広がっていた。あぁ、このセリフを本当に言うことになるとは・・・・・・。

 

「駿殿、恋というのは考えるものではないと思うでござるよ」

 

「へ?」

 

唐突にダルキアンさんが言った。考えることではない、なんかそんなこと聞いたか見たかで覚えがある気がする。

 

「たぶん、気がついたら落ちているものだと思うでござる」

 

リコと似たような答えだった。もしかして、あれか?常識なのか?この考え方。

 

「たぶんって、だ・・・・・・」

 

ルキアンさんはそういう経験はないんですか?と言おうとしたのだが声には出なかった。何故か喉もとに鋭利な刃物を押し付けれてる感覚がしたからだ。俺の少ない本能がこれ以上は言うな、と言っているからだ。

 

「どうしたでござるか、駿殿?」

 

「いえ・・・・・・・・・・・・」

 

とりあえず、風月庵ではデリカシーの意味が少し分かった気がする。

 

*

 

結局恋というものは分からなかった。

 

ミルヒオーレさんに訊いてみればシンクが好きだと言われたが、何故と訊いたら、ダルキアンさんやリコと似たような答えが返ってきた。

 

エクレに訊いてみれば顔を真っ赤にしながら切り付けてきた。

 

ガレットに戻ってレオ様に訊いてみたら、今度ご教授してくれるらしいが、期待が出来ない。レオ様は恋したことあるのだろうか?

 

そうして時間は過ぎていき結局何も分からず、俺は自室のベッドで寝転んでいた。

 

「分かったかい?恋について」

 

「分からん」

 

気がつくと横にはドルチェがいた。こいつ、魔人じゃなくなったくせになんで能力が所々残ってるんだ?

 

「ふふ、まぁいいよ。ずっと私は君がそれに気がつくのを待つよ」

 

「それはありがたい」

 

と突然ドルチェは俺に抱き着いてきた。俺はそれを受け止めれず後ろに倒れこんでしまった。

 

「むしろ、私が気づかせてあげるよ」

 

こうして今日も夜が更けていく。この後、ドルチェはすぐに寝てしまい、俺は身動きとれず、寝るしかなかった。

 

 

 

戦興業

 

魔物騒動、俺自身は魔神騒動の方があって忘れかけていたが、フロニャルドにとってはとても大きな事件だった。レオ様はその時の戦興業を一度中止し、また改めて行うことにした。そうして今日5月20日、ついに戦が開かれることになった。

 

俺は今、ガレットの陣地でレオ様達と共に開戦を今か今かと待っている。

 

「駿、すごいそわそわしてるね」

 

「当たり前だろ、ノワ」

 

俺は魔神になっての初陣の上にガレットでの初陣なのでとても楽しみなのだ。正直、待ちきれない。こんな気持ち初めてだ。

 

そうやってずっとそわそわしているとレオ様が椅子から立ち上がり、カメラに向かった。映像ではミルヒオーレさんも同じ様にしていた。

 

「これより、戦を開始する!」

 

『おおぉぉぉおおおお!!』

 

戦が始まった。国民はみんな声を上げて一斉に走り出した。

 

「それじゃ、俺たちも行くか!」

 

「ああ!そうだなガウル。来い、サンダーバード!」

 

そう言うと俺の目の前にバイクが現れた。

 

サンダーバード、俺がシンクのトルネイダーを手本のして作り出したライジングモードに変わる移動手段だ。ライジングモードは疲れるからバトルの時だけ使うことにした。

 

「なんだそれ?」

 

ガウルは興味津々で訊いてきた。そりゃそうか、バイクなんてこっちには無いもんな。

 

「これはサンダーバード、えっとシンクのジェットボードの俺版だ」

 

とは言ったものの、ガウルってトルネイダーの存在知ってるのか?そんな心配もする必要がなかったようで、納得してくれた。

 

「それじゃ、行ってくる」

 

「おう」

 

俺はサンダーバードに跨りエンジンをかける感じでハンドルを回し、輝力を注ぐ。するとサンダーバードは景気いい音を鳴らした。そして黒い輝力を出しながら走り出した。

 

「うおぉぉ!」

 

イメージでこれを作り出したのだが、実は俺、バイクの操縦を本で読んだだけで運転したことないし免許も持っていない。だけど関係ないよね、ここ地球じゃないし。

 

ということで、俺はフロニャルドをサンダーバードで駆けるはずが、実践がない人のことペーパードライバーとかいうんだっけ?俺もそれだから運転はまだ安定していない。その上に道は舗装されてないのでまともに走れない。

 

「ちっ、ならこれだ!」

 

そう言った瞬間、サンダーバードの後輪部分が光に包まれて羽に変わった。これがサンダーバードタービュラーモード、気づいた人がいるかもしれないが、Wのハードボイルダーです。まんまですね、すいません。

 

だがこれでバイクではなくなったので俺はさっきより運転が安定した。

 

「ふぅ・・・・・・・・・・・・」

 

これでフィリアンノ城まで行けるな。そう思い、ハンドルを勢い良く回した瞬間

 

バシュ!

「え?」

 

 

前から紋章砲が飛んできた。

 

「ぐっ、この!」

 

俺はハンドルを切り、間一髪で避けた。だがそれでバランスを崩してしまい俺は大きく右へ落ちていく。俺は何とかそれを持ち堪えて危険なく着陸した。だが

 

「おぉ、駿殿」

 

ガレット初陣の最初の相手がダルキアンさんってのはハードル高過ぎませんか~?と言っても逃げるのも失礼だろう。

 

「・・・・・・お、お手合せお願いします」

 

「こちらこそ、よろしくでござる」

 

ダルキアンさんは持っていた大太刀を構えた。俺もサンダーバードから降りて、輝力解放してタイタンソードを発動。形状は少し変わっていて形がはっきりとして刃の部分は金色になっている。ライジングタイタンソードです、またまたすいません。

 

まぁ、そんなこと気にしてられない。だって相手はダルキアンさんだ。少しでも気を抜いたら一瞬でやられるよ。

 

「・・・・・・・・・・・・よし!」

 

もう一度しっかりとライジングタイタンソードを持ち、ダルキアンさんへ切りかかった。まずは普通に縦切り、これは当然ながら避けられる。そしてダルキアンさんは避けた瞬間、すぐさま隙が出来た脇を狙ってくる。

 

「ライジングモード」

 

俺もそれは予測していたのでライジングモードを発動、バックステップで避けてからすぐに前へ跳びながら横切りを放った。

 

ガキン!

 

だがそれも防がれてしまった。俺とダルキアンさんは鍔迫り合いの様になった。

 

「中々やるでござるな」

 

「そりゃ、どうも。でもまだこれからですよ!」

 

俺がそう言ったと共にライジングタイタンソードが金色のオーラに包まれて金色の大剣に姿を変えた。次はキングラウザーだ。え?一体なにが変わったって?そら・・・・・・姿かたちだろう。それでいいんだ、俺はそれだけでモチベーションが上がるからな。

 

「おぉ、これはまた見たことない武器でござるな」

 

「でしょうね。俺の尊敬する人たちの武器ですから」

 

俺は鍔迫り合い(鍔ないが・・・・・・)から剣先を一気に地面に向けて、切り上げた。がこれも見事に防がれてしまった。その衝撃で俺はダルキアンさんから距離をとった。

 

「くそ~、当たらないな。ならこれだ!紋章剣、ロイヤルストレートフラッシュ!」

 

剣を上に突き付けてそう叫んだ。すると俺の後ろに紋章が現れてそこから長方形状の輝力が5つ出現、キングラウザーへと溶け込んだ。

「うりゃぁぁぁあああ!!」

 

俺は力いっぱい振りかぶった。斬撃は真っ直ぐにダルキアンさんへと走っていく。

 

「列空一文字!」

 

ダルキアンさんも斬撃を放ち、相殺された。

 

「なら!」

 

俺のアルティウムはまた形を変える。次に現れたのは青色に黄色い線でWが記されている、トリガーマグナムだ。

 

「トリガーフルバースト!」

 

俺はそれをマキシマムドライブ状態(わかる人に分かればいい)にして一回転しながらトリガーを何回も引いた。すると銃口から紋章砲がいくつも放たれて、それは全て曲りながらダルキアンさんへと向かっていった。

 

ダルキアンさんはそれを難なく避ける。だがこれは追尾型、右に避けられても紋章砲は曲がってもう一度ダルキアンさんを追う。

 

「ほう、これは面白いでござるな」

 

「余裕ですね。さすが、ダルキアンさん」

 

面白い、そう言った通りにダルキアンさんは来る弾を避けて、1つ1つしっかりと撃退している。くそっ、どうする、次は・・・・・・よし、趣向は少し変わるが。

 

「輝力武装、ブレードチャージ!」

 

トリガーマグナムはライジングタイタンソードに戻り、真っ黒まオーラを纏った。仮面ライダーに続いてキングダムハーツ、パクリじゃないリスペクトだ。

 

「りゃ!」

 

オーラの刃の長さは2メートル弱、それをダルキアンさんに振るう。だがこれも全て防がれる。そこから斬っては防ぎ、防いでは斬る。中々勝負はつかない。というかダルキアンさん笑ってるんですけど、余裕綽々なんでが。

 

「ダルキアンさん、あなた、強すぎ、でしょ!」

 

「駿殿こそ、なかなかでござるよ!」

 

このままじゃ、負けそうだ。そうなったら奥の手でいく。

 

俺はブレードチャージを思いっきり横に振った。それをダルキアンさんは防ぐ。それは予想通り、その衝撃で俺はまた後ろに跳んだ。瞬間、ライジングタイタンソードはまた姿を変えて銀色の銃"エルディーナ・アルティウム"になった。

 

「アルテマ・キャノン!」

 

銃口から黒い紋章砲が放たれる。周り木々の揺らしてはなたれたそれは一瞬でダルキアンさんの姿が見えなくした。紋章砲が無くなったが砂煙でまだダルキアンさんは見えない。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

砂煙が晴れていく。そこにはダルキアンさんの姿は無かった。代わりにあったのは紫色の壁、いや違う、あれは・・・・・・

 

「神狼滅牙」

ダルキアンさんはたった一言言ってそれを上げた。。あれが神狼滅牙、確かダルキアンさんのみ使える輝力武装。それにしてもでかすぎないか?剣先が見えないのだが・・・・・・。

 

それがすうぅと振り下ろされ、俺は負けた。

 

*

 

「はぁ、強すぎだろ」

 

武装破壊された俺は陣地に戻り服を着直した後、そこで待機していたドルチェに愚痴をこぼしていた。

 

「いくらフロニャ力の加護があるからって魔神倒した技をああいとも容易く防ぐって・・・・・・ダルキアンさんまじ強い」

 

「あぁ、この国は私がうじうじしている間に随分強くなったな」

 

いや、それはお前の国が弱かっただけ、とは言わない。あ、心読まれてるのかな?

 

俺は横にいるドルチェを見ている。ドルチェはずっと上空にある映像を見ていた。どうやら本当に心を読むのは控えているみたいだな。

 

「駿はもう一度行くのか?」

 

「ん?ああ、まだ楽しみたいし」

 

俺は一度背伸びをして、映像を見た。今の戦場の一番の見所はなんと言ってもダルキアンさんVSレオ様だ。お互い一歩も譲らぬ攻防によって俺は気づくと食い入ってその映像を見ていた。

 

すごいな、これは俺ついていけないな・・・・・・。てかこれ見てわかったけど俺と戦った時、ダルキアンさん全然本気じゃなかっただろ。

 

そうして俺は2人の戦いに焚き付けられてすぐに戦場に飛び出した。

 

ロランさんは攻撃より防御が強かった。本気で攻撃するのだが難なく防がれてそれで出来た隙を槍で突かれる。それによりぎりぎりだったが敗北してしまった。

 

エクレは二刀流と紋章剣を駆使した戦い方が見事だった。近距離では攻撃は短剣で防がれて、距離をとると紋章剣で一気に決めにくる、中々の好勝負で俺はなんとか勝てた。

 

そうやって色んな人と戦って、勝って、負けて、戦興業は無事終了した。結果はガレットの勝利、俺が役に立ったかは・・・・・・うん、まぁ、うん!立ったはずだ、大丈夫なはずだ。

 

今回の戦興業、俺的な収穫はバイクの運転の練習と毎日の鍛錬が必要だということだった。

 

 

 

魔物

 

6月1日、5月も終わりそろそろ梅雨が面倒くさい感じがしてくるそんな季節、まだ梅雨ではないらしく雨も降ってないので俺は外で座禅を組んでいた、のだが周りにはガウルとゴドウィンさんが激しい戦いを繰り広げているらしくまったく集中が出来ない。

 

「あぁ~駄目だ。今日はもうやめよう」

 

俺は座禅を崩して後ろに倒れた。そして青い空を眺めた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「駿、おはよう」

 

気づくとノワが俺を見下ろして青い空が見えなくなった。

 

「ノワ、おはよう。どうしたんだ、今日は?」

 

「今日はお館さまやユキの魔物の調査についていくんだ。駿も行く?」

 

「行く!」

 

俺はすぐさま立ち上がり、サンダーバードを発動。ここ数日頑張って練習して乗りこなせるようになった。これで行けばすぐにつくだろう。

 

「ノワ、ほら乗って」

 

「あ、うん」

 

前にも言った気がするが2人のりとかノンヘルとか法律に関してはそんなものフロニャルドにはないので(法律はあるかもしれないが・・・・・・)気にしないでおこう。

 

ノワは恐る恐る後ろにまたがった。こっちにはバイクはないからな、かってがあまり分からないんだろう。

 

「しっかりとつかまっておけよ」

 

「う、うん」

 

ハンドルを回す。するとエンジン音(まぁ、ガソリンじゃなくて輝力が動力源だが)が鳴り響き、サンダーバードは走り出した。

 

「お、おぉ、速い」

 

 

「だろ~」

 

サンダーバードは雷の輝力を使用しているから本気を出したら音速だって超えられるだろう。死ぬからやらないが。

 

そうやって走ること数分、すぐに風月庵にたどり着いた。俺はブレーキを踏み、ドリフト気味にサンダーバードを止めた。

 

そこにはすでに戦闘用の服を着た2人が待っていた。

 

「お、駿殿も参加でござるか」

 

「うん。よろしくユッキー」

 

ダルキアンさんによると今回は少し遠くにある砂漠地帯、そこに今魔物が現れているらしくその調査と退治だった。

 

そういうことで俺はサンダーバードにノワと2人のり、サイドカーを付けてユッキーを乗せた。ユッキーをサイドカーにした理由?・・・・・・無いよ。ちなみにダルキアンさんはムラクモに乗っている。

 

「いや~また機会があれば拙者も乗りたいでござるな」

 

「おぉ、すごいでござるな」

 

「あはは、ありがとうございます」

 

ユッキーがサイドカーに乗っていると背が高い分なんか縮こまっているように感じるな。

 

「それにしてもフロニャルドって色んな場所ありますね」

 

この前地図で見たが今から行く砂漠地帯以外にも確か火山地帯とか氷山地帯とかあった気がする。

 

「そうでござるな」

 

「まぁ、人が住んでないとこはほとんど危険なんだけど」

 

「大変だな~」

 

そんなたわいもない話を続けていると間もなくして森を抜け、砂漠地帯たどり着いた。そこはあまりにも広大で砂しか見えないと言っても過言ではなかった。

 

「このだだっ広い場所を探すんですか?」

 

「そうでござるな。もっというと魔物は砂の下でござる」

 

もうそれは見つかる可能性0に限りなく近いのでは?という言葉は絶句し過ぎて出てこなかった。

 

だがそうやって駄々をこねていても何も始まらな捜索開始、俺は特に良い方法も思いつかないのでとりあえず歩いていた。

 

そうして進展もなく時間だけが過ぎていき、30分は経ったところで

 

「見つからないでござるな」

 

「だな」

 

俺は砂漠に座り込んだ。この暑い中、だだっ広い場所で見えもしないものを見つけるのは至難の技だろう。正直、見つかる気がしない。

 

「・・・・・・・・・・・・そういえば魔物になる原因として禍太刀ってあったよな」

 

「あるでござるが・・・・・・?」

 

「それって誰かが作ってるのか?」

 

この前の魔物騒動の時の魔物もそうだったらしいが禍太刀という物がどこでどう現れるのか、俺は分かっていない。

 

「禍太刀というのは大昔に作られた刀というのは分かっているのでござるが、それ以外は・・・・・・・・・・・・」

 

大昔の誰かが作った刀、なんて迷惑な物作ってくれてんだ昔の人。

 

「その本数も何も分かってないでござるから拙者たちは旅を続けて探しているのでござる」

 

「今何本封印したの?」

 

「500と9本でござる」

 

今では7個集めれば願い事が叶う時代だぞ。509本でまだ途中とか、途方もないな。

 

「そっか・・・・・・魔物の封印って大変なんだな」

 

「そうでござるがお館さまとの旅は楽しいでござるよ」

 

「そっかそれは是非とも参加したいな」

 

俺はそう言って立ち上がった。なにやらさっきからエルディーナが赤く光っている。

 

「これ、もしかしたら魔物の反応?」

 

「確かにそれっぽいでござるな」

 

その赤い光は見る見るうちに大きくなっていく。そしてある程度大きくなったところで

 

バサァン!!

 

と砂を飛び散らしながら巨大な魚が現れた。目は1つ、口は人間を容易に丸呑み出来る程大きく、それは明らかにこっちに向かってきていた。

 

「ユッキー!」

「駿殿!」

 

そう叫んだのは同時、俺たちはそれぞれ左右へと避ける。魔物は俺たちがいたところの砂を丸呑みしてもう一度地中に潜ってしまった。

「あ!しまった。また潜っちゃったよ」

 

「いや、まだ近くにいるでござるよ」

 

ユッキーの言ったとおり、魔物はもう一度地上へと姿を現した。たださっきと違って明らか俺狙いで砂を泳ぎながらこっちに向かってきた。

 

「ちっ、エルディーナ、トライデントモード!」

 

エルディーナは三又のもりへと姿を変える。俺はまた魔物の突進を横に避けて、魔物の側面を刺した。すると魔物は苦しみながらもう一度地中に潜る。しかしエルディーナは魔物に刺さったまま縄を出して矛先が外れた。

 

縄はギシギシと音を立てながら伸びていく。

 

「来い、サンダーバード!」

 

すぐさま、もりをサンダーバードに括り付けて俺はサンダーバードにまたがった。そしてハンドルを回転させて出発した。のだがサンダーバードは進まない。そりゃそうだ、砂の上ではバイクは走れない。

 

「なら、タービュラーモード!」

 

サンダーバードの後輪が羽に変わり、前輪は横になる。サンダーバードは空高く飛んだ。そしてある程度まで上がったところで

 

バサァン!!

 

先ほどと同じように魔物が現れた。しかし先ほどとは違う、俺が釣り上げたのだ。

 

上空から見下げると騒ぎを聞きつけたダルキアンさんとノワがいた。そしてダルキアンさんは神狼滅牙を発動している。

 

「落とすぞ~~~!!」

 

エルディーナを消して魔物を落とす。みんなが少し騒いでいる気がするが俺は気にせずターンしてダルキアンさんたちのところまで降下、その途中に見事にダルキアンさんが魔物を封印していた。

 

「完了しましたか?」

 

「うむ。終わったでござる」

 

その証拠と言わんばかりに下には剣が刺さっていた。

 

「へぇ、これが封印剣ですか」

 

 

「そうでござる」

 

「後は封印されている間に精霊に戻るのを待つだけでござる」

 

そういえば魔物化というのは一種の病気、正しく治せば精霊に戻るって前にダルキアンさんが言ってたな。魔神化と魔物化は案外似ているのかもな。

 

「それじゃ、帰るか」

 

「でござるな」

 

*

 

魔物封印の後、一度風月庵へ訪れ、今回の魔物についてゆっくりお茶を飲みながら話し合い気がつけば夜、俺はノワを送る(同じ城に住んでるからこの表現は正しいか分からないが・・・・・・)ことになり、またもやサンダーバードで2人のりで走っていた。

 

「いや~今回は良い体験したな」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

どうしたのだろうか。そういえば風月庵にいた時からあまり喋ってなかったな。

 

「ノワ、どうしたんだ?」

 

「・・・・・・私、全然活躍出来なかった」

 

あぁ・・・・・・そういうことか。そうだったな、俺とユッキーが見つけてダルキアンさんとユッキーが封印したからノワはダルキアンさんについてただけだったな。

 

「次は絶対に活躍する」

 

俺が何を話していいか考えている間にノワの小さかったが完全に決意した声が聞こえた。ノワは負けず嫌いだったな。目は見えなかったけど、確実にメラメラ燃えてるよ。

 

そんな感じの会話をしながらゆっくりと走っていたのだがノワが突然そういえばと言って話題を変えてきた。

 

「レンって帰れなくなって未練はないの?」

 

「・・・・・・・・・・・・今思い返せば少しあるかな」

 

こっちには無い物はあっちにはある。それは多分機械的な技術だろうが。友達と遊園地や水族館にも行きたいと思いだしたし。でも、それよりも大きい未練があるとしたら

 

「おっと、もう着くな。この話はまた後日で」

 

「うん」




今回は短編集。
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