駿side
自己紹介も終わって、やっと俺も戦に参加出来た。実のところ、ビスッコティとの戦はまだ一桁代しか行っていない。ユッキーともエクレともダルキアンさんともまだしっかりと戦えてない。シンクも帰ってきているし、今日は楽しもうと思ったのだが・・・・・・・・・・・・。
「ユキカゼ式忍術!閃華双連舞!」
ユッキーが黄色い輝力を大きな手裏剣のようにして投げる。それをレオ様は盾とグランヴェールで防ぐ。それを俺は見ている。
その近くでは七海とシンクが戦っている。それにしても七海の適応力たるや、まぁ凄まじいことこの上ない。それを俺は見ている。
そう、俺は見ているだけ。シンクと七海、レオ様とユッキー、エクレで戦っており完全に孤独だった。いじめか?国2つでの大掛かりないじめか?
「はぁ、こんなことなら別行動n「獅子王烈火爆炎斬!!」・・・・・・・・・・・・もう嫌」
前半戦は諦めよう。そう思って映像に目を向けるとシンクと七海の戦いがさらに白熱していた。てか、シンクもだけど七海もなんでピョンピョン跳べるんだ?というか、あいつら周り巻き込み過ぎだろ!?あぁ、紋章砲まで撃った。これまた周りを巻き込んだ。あれだけで3桁いくぞ、けもの玉の数。
その後、リコとベルの妨害により2人の攻防は中断、2人とも防具破壊された。シンクはマントとかだけで済んだのだが七海はスポーツブラというのだろうか、まぁ、それだけになってしまった。まぁ、当の本人七海は一切気にしていなかったが・・・・・・。
*
昼休み、戦に何故そんなものがあるのかという質問は既に愚問だろう。まぁ、その昼休みに俺と七海はレオ様に連れられてビスコッティに来ていた。領主2人の計らいにより勇者勢揃い(魔神1名)のお話会が開かれていた。
「もぉ、本当にびっくりしたんだから」
お話会の筈だったのだが、現在はレベッカによるお説教会になっていた。主にシンクが何も言わずに連れてきたことだ。
「せめて、もうちょっと事前に説明しといてくれれば・・・・・・・・・・・・」
「あはは、だからごめんって」
「まぁまぁ、ベッキー」
まぁ、シンクの自業自得だ。怒られるのもしょうがないだろう。
俺は怒られるシンクを見ながらビスコッティの美味しい紅茶を飲んだ。まぁ、レベッカとはあまり接点がないしここはゆっくり傍観者に徹しよう。
「それに天理さん!」
「・・・・・・・・・・・・え?」
傍観者になろうとした矢先、いきなり矛先がこっちに向いた。
「天理さんもいきなり死んだってニュースがきてびっくりしたんですから!」
「あ!それ私も~!」
まさかの七海も参戦。
「いやいや、お前と俺の接点からして聞き流すニュースだろ、そんなの」
「そんな訳ないでしょ!駿も私たち幼馴染なんだから」
「そうだよ」
「そういうもんか?まぁ、ごめんなさい」
七海とレベッカの真剣な表情に気圧されて謝っってしまった。幼馴染ねぇ、でも正直3人と違って俺は長期休暇だけしか会ってなかった上に中学時代はそれもなかったしな。
「ははは、駿は女子に弱いようだな」
「レオ様、そんな訳ないじゃないですか」
「確かに駿さんって嫌々言っても言うとおりにしてくれますよね」
ミルヒさんからのまさかの援護攻撃。
「えっと、それは当たり前でしょ?」
一応こっちに来てから、正確には魔神騒動が終わってからは約束はなるべく聞き入れてきた。
「そういえば駿、お主はここ最近随分と予定が詰まっておったな」
あれ?そうだっけ?
俺は携帯(色々弄ったのでそう呼べるのか不明)を取り出して予定を確かめる。シンクたちが帰ってくるから今日はこの戦だけだな。その後もそこまで予定が詰まっている訳ではない。
そんなことを考えていたら横からひょいと携帯が奪われた。
「どれどれ?」
「あ、七海!」
「うわ、ぎっしりじゃん。ほら」
「本当だ~」
七海が開いていたのは少し前の予定だった。内容はガウルとの朝練から始まってドルチェとの会合、ノワとの魔物退治の訓練、その後のダルキアンさんとの実習、ビスコッティへ向かってエクレとの訓練、リコとの研究、パスティヤージュに行って研究員たちと一緒に徹夜で研究。あぁ、確かこの時は1時間睡眠ですぐにガウルとの朝練に戻ったんだったな。
「これが?」
「お主下手したらワシより多忙かも知れんぞ?」
「そうですよ。駿さん、寝れてないんじゃないんですか?」
「小学校の頃から30分睡眠は当たり前だったからな・・・・・・・・・・・・おかしいですか?」
「「「おかしいよ!」」」
幼馴染3人につっこまれた。なんとまぁ、息のあったことか。
「お主もしかして願われれば断れるのか?」
「そんな訳・・・・・・・・・・・・あれ?そういえば断ったためしが・・・・・・」
「えぇ!天理さんって私たちのお誘い全部断ってましたよね?」
そりゃ、その時は人と関わるのを絶っていたからな。
「なるほど、その反動で断らないと」
「なんですか、反動って。俺が人の願いを叶えたくてしょうがないみたいじゃないですか」
「そうじゃないの?」
うぅ、言い返せない。というかいい加減俺の話題を終わってほしい。最近いじられる方になってきた気がする。
そんな願いが通じたのか何かが羽ばたく音がした。上を見ると空から鳥がこっちに飛んできている。。あれはブランシールか?ということは・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「お~~~い!レオ姉~ミルヒ姉~!」
聞こえてきた声はふわふわなリスの尻尾をお持ちのパスティヤージュ第一公女のクーベル・エンシェンバッハ・パスティヤージュ、その人だった。後お付のキャラウェイさんもいる。
「クーベル!キャラウェイ!」
「お二人ともどうしたんですか~?」
突然のことで驚くレオ様、突然のことなのに平然と対応するミルヒさん。これが姫と閣下の違いだというのか。ていうかクー様降りてこないのか?さっきから旋回しっぱなしだけど・・・・・・・・・・・・。
「この戦~!うちも~!パスティヤージュも~!参加したいのじゃ~!」
降りて話そうよクー様。叫ぶの疲れるだろ。
「でもって、うちはその子を貰いにきたのじゃ~!」
『えっ?』
その子、とは?というのは一瞬の疑問だった。だってこの場で指名される、というか残っているのはただ1人だから。全員それを分かったのか示し合せた様にレベッカを見た。
「そうじゃ!お主じゃレベッカ!」
「え?えぇぇぇぇええええええ!!?」
どうやら今年の夏は楽しいことになりそうだ。軽く現実逃避してそう思った。
*
お昼休みも終わって午後の部、ガレット領に戻って俺は待機をしていた。
『さぁ、お昼休みを挟んで午後の部いよいよ開始です』
解説さん、俺それ言いました。
『両軍とも布陣を敷き直して再開に向けて万全の体制、解説のみなさんも午後からは戦場に参戦です』
あぁ、バナードさんやビオレさん、ロランさんにダルキアンさんも解説に回ってたんだな。
『レオ様とミルヒ姫様もそれぞれの本陣で指揮につかれます』
『姫様の戦装束、凛々しくていらっしゃいます!』
その情報は・・・・・・・・・・・・こっちの戦では必要か。
『午後の決戦まもなく『その戦ちょぉっと待ったぁ~~~!!』』
さて、始まった。先ほどのお昼休みで決まったこと。撃破ポイント制の三国混戦バトルロワイヤル。勇者プラス魔神は(本人承諾済みで)攫われたレベッカを取り戻す特別ルール付きだ。それにしてもクー様はノリノリだな。カメラ2機も使っちゃって。そしてミルヒさんはぎこちないな、まぁ、仕方がないけど。
『パルネット湖水上戦、午後の部スペシャルマッチ!』
『開戦!』
3国代表の宣言と共に戦はスタート。全員元気良く(セルクルが)走っていった。もちろん俺も既に(サンダーバードタービュラーモードで)走り出している。ちなみに色々ごたごたがあって後ろには七海が乗っている。
「うわぁ!凄いねこれ。どうやったの?」
「ん?輝力武装っていうんだけど、輝力を集めて形態をイメージして・・・・・・てか七海だったらシンクの見たら理解出来ると思う」
七海は頭が悪いわけではないが、見て聞いて経験した方が吸収しやすい人間だ。だからここで説明するより実践で覚えた方が早いだろう。
「そっか。でも駿って免許あったっけ?」
「ははは、フロニャルドって免許いったっけ?」
そんな戦場に似合わない話をしている俺と七海、だけどやっぱりここは戦場、前に向き直るとブランシールが大量にこっちに向かってきていた。しかも既に乗っているパスティヤージュの人々はこっちに銃口を向けている。
「晶術砲、用意!」
「・・・・・・・・・・・・は!七海、ちょっと揺れるぞ!」
「え?うわぁ!?」
七海が返事する前にパスティヤージュのみなさんは晶術砲を発射、数およそ15、俺はサンダーバードを巧みに運転して何とか避ける。それはもう必死で、死に物狂いで。
「う、わぁ!?ちょ、駿!?」
「ち、紫電15連弾!」
何とか最近覚えた晶術を発動、周りから15の雷の弾丸が発射されて相手の晶術を撃ち落とした。その際に出た爆風が目くらましぐらいになってくれるだろう。
「七海、今のうちに降りろ。あっちは俺が引き受けた」
「わかった。頑張ってね」
「おう!」
七海はジャンプして湖に立っている棒の上に降りていった。降ろそうと思ったのだが、必要無かったな。
ともかく今は目の前の敵だ。俺はアクセルを回してジグザクに進む。相手は銃、こうすれば標準が定めにくくなるだろう。その間にエルディーナ・アルティウムをソードモードにして一気に晶術隊へ近づく。
サンダーバードの名は伊達では無く、そのスピードに晶術隊の皆々様は翻弄されて案外簡単に晶術隊に近づけた。そしてその勢いのまま剣をじ振るう。その間スピードが遅くなった所為で何人かに標準を合わせられて3人しかけもの玉に出来なかった。
晶術砲が発射されたので一旦避難、避けながら2人程倒すことも出来た。結構順調だが、ここで足止めを食らっている場合では無いので早く終わらせたいので出し惜しみは止めよう。
俺はハンドルを両方離してエルディーナ・アルティウムを両手でしっかりと握る。そして自身の身体能力を格段に上げるライジングモードを発動、座席を力いっぱい蹴って晶術隊に目視出来るか出来ないかギリギリのスピードで向かう。
「轟雷連斬!」
雷の様なスピードで一気に晶術隊の間を抜けると同時に全員けもの玉に変わる。そして晶術隊のみんながそれに気づいたときには俺は既にそこから離れてサンダーバードに乗っていた。
『おぉと!一瞬にしてパスティヤージュ晶術隊が倒されました!さすが魔神です!』
解説どうも。と今は一刻も早くクー様とレベッカがいる逆ピラミッド型の謎の乗り物の元へ急がないといけないんだった。
キャラウェイさんはシンクと七海を相手にしているのでたぶんこっちに来れないだろう。今のうちにさっさとレベッカを救おう。そう思ってサンダーバードで先に進むと思いのほか簡単に逆ピラミッド型の乗り物にたどり着いた。
そこにはレベッカに歩み寄るクー様とまだ勇者になっていないレベッカがいた。
「クー様、俺たちの勝ちです」
「ほう、さすがじゃな、駿よ」
明らかに負けて悔しがる様子が無い。まさかまだ秘策があるというのだろうか。
「ふふふ、お主は今秘策が残っているのか、と考えたな。その通り!」
クー様の宣言と共にクー様の横にいきなり人が現れた。そいつはついこの間まで白かった髪を美しく綺麗な黒髪に戻している。そいつは狐の様な耳を生やして黒い着物を着ている。
そう、少し前に俺を魔神騒動に巻き込んだ上に一目惚れしたと言って良くベッドに潜りこんでくる少女、ドルチェだった。
彼女はここまでいつも戦には参加していなかった。そんな彼女が参加してきたのは驚きだ。だが、その横にそれすら霞む程の驚きが横にいた。
「美、保・・・・・・!」
そこには戦には参加しないと言った友人がいた。