dog days not勇者   作:鮪瓜

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第2話

さて、迷った。おっと間違えた。困っただ。まぁ、迷っているから間違ってもいない感じがするが。旅行用の鞄を持ちながら歩き続けて数時間、空はもう真っ黒・・・・・・じゃないな。星がきらきらと輝いている。つまり夜だ。

「はぁ、暇だ」

何も無い等しい平地をひたすらに歩いていく。しんどい上に暇になる。昼は空に戦の状況が映されてたから逆に楽しい位だったんだが・・・・・・。それにしてもこっちの戦ってスポーツみたいだったな。アスレチックな足場を進んで、敵と会ったら戦う。しかも切られたりしてもなんか丸いのに変わるだけで誰も死なない。あれって俺もなんのかな?

「あぁ~!ひ~ま~だ~!!」

さっきからずっと森だ。さっきようやく一番下の地面に降りたって言うのに森ばっか。いくら異世界に来たからってこれじゃつまらん。

まったく、シンクは戦に参加、しかも勇者とか呼ばれちゃってアスレチックの中をアクロバティックに進んだり、ビーム出したり、あろうことか領主さんと戦うとか、羨ましい!

・・・・・・・・・・・・とりあえず頭を冷やす為に綺麗な空を眺めて落ち着こう。そう思って上を見上げると、明らかに星ではない光が空を駆けていった。

あれはもしかして魔法か!?そう言えば戦の映像でもビームとか使ってる人いたな。ということは近くで戦やってんのか?俺は気がついたら光の発射元へ走っていた。さっきまで何時間も歩いていたとは思えない程軽い足どりだった。

「・・・・・・ここか!」

草木を掻き分けて走っていた先には数個の小さい大砲とぴょこんと可愛い耳を付けたオレンジ色の髪の少女がいた。別に俺は驚かないぞ、さっき映像でいっぱい耳つけた人いたからな。

「え?だ、誰でありますか?」

流石にいきなり現れて大声出したら警戒されるわな。俺は振り切って上がったテンションを一度下げることにした。

「ふぅ・・・・・・俺は異世界から来たんだが・・・・・・」

と言ってから少し後悔した。果たしてこれは信用してもらえるだろうか?かなり不審者感が否めない。

少女は少し考えた後、俺の頭を見てまた少し考えた。

「異世界?・・・・・・勇者様のお友達でありますか?」

あれ?なんか普通に信じられた。もしかしなくても耳だろう。俺は信じられたことに安心して一度深呼吸した。

「そう、シンクの友人の天理駿だ。君は?」

「リコッタ・エルマールであります」

リコッタ、よし記憶した。よく見るとリコッタには尻尾をあった。へぇ、耳と尻尾でワンセットか。

「ところでリコッタ、これ何?」

俺が小さい大砲を指さすとリコッタは丁寧に教えてくれた。まず今はリコッタの国の姫様が攫われたらしく、今は奪還中。リコッタは砲術士として参戦しているらしい。

「そしてこれを操る力こそg「しっ」・・・・・・へ?」

「あはは・・・・・・、ごめん。囲まれた」

俺がそう言うと共に木の影から黒い鎧を着た人(でいいよな?)が数人出てきた。全員がそれぞれ何かを言っていたが俺は聖徳太子ではないので聞き取れない。

「ありゃりゃ・・・・・・、やっちゃったであります」

「すいません」

どうしようか?俺のせいだしな。何か手は・・・・・・う~ん、無いな。鞄から何か取り出すとしても時間がかかるし。

「万事休すか・・・・・・」

俺が諦めかけた瞬間

ひゅんひゅん、ボシュ!

という擬音と共と煙と共に周りの兵士が丸っこいのに変わった。

「リコ、大丈夫でござるか?」

そう言って出てきたのは金髪に狐の様な耳、タイツに和風の服を着た少女がいた。どうやらその少女が助けてくれた様だ。

「あ、ユッキー!」

「あら、お主は?」

「勇者の友人の天理駿です」

「おぉ、勇者殿の友人でござるか。拙者はユキカゼ・パネトーネでござる、にん♪」

忍者らしい。そしてどうやら耳と尻尾はこっちの人のスタンダードらしい。確かにリコッタが俺をシンクの友人と直ぐに信じたのは不思議に思えたが、成る程そうか、俺に尻尾と耳が無いからか。

「でユキカゼ、今戦中なら急いだ方が・・・・・・?」

「そうでござるな、リコ」

「合点であります!」

リコッタはビシッと敬礼をした後、ユキカゼにおんぶされた。

「駿殿は?」

どうやら場合によっちゃぁ俺も戦場に連れていってくれるらしい。非常にありがたいのだが・・・・・・

「戦場に行っても戦えないし、道さえ分かれば歩いていくよ」

「そうでござるか?ならこちらに真っ直ぐ走れば城が見えてくると思うでござるよ」

ユキカゼは指をさして言ってくれた。まぁ、森の中だから方角が一切分からないのだが。

「分かったよ、ありがとう」

「どういたしましてでござる。では!」

ユキカゼは消える様に走っていった。早すぎるだろ。まぁ、いいか。俺もゆっくり向かうとしよう。そう思い、俺はユキカゼが指さした方を歩き出した。

今回の戦、どうやらシンクが滞在する国が勝利し姫様奪還に成功、一方俺はやっとお目当ての城に辿り着いた。ヨーロッパにありそうな外見の城だな。俺は色々見渡しながら門をくぐると

「ん?お主は・・・・・・?」

門を抜けて直ぐ左に刀を持った女性が座っていた。もちろん耳と尻尾はついている。さっきのユキカゼと同じような和風の服を着ていた。知り合い・・・・・・だな。

「勇者さんの友人の天理駿です」

この紹介一体何回目だろうか。

「ほぉ、勇者殿のご友人でござったか。拙者はブリオッシュ・ダルキアンでござる」

ダルキアンさんの言うことには奥に行ったらシンク達がいるらしい。だが・・・・・・

「どの部屋でしょうか?」

「それはわからんでござるな」

俺は3階くらいある城を見上げて窓を1つずつ見ていく。どこだろうか?

少し眺めていると窓が1つ開いた。と同時に

バシュ!

とオレンジ色に光ったシンクが女の子を背負って飛び出してきた。

「なっ!シンク!?」

横にいるダルキアンさんはおぉ~と感嘆の声をあげていた。それにしても速い、ユキカゼに引けをとらない。

「あ、駿!駿もこっちに来てたんだ!」

走りながらもこっちに気付いたようだったが止まらずに逆にスピードが増していく気がする。

「ごめん!少し急ぎの用事があるからまた後で~!」

「うおっ!」

砂を舞い上げながら門を抜けて行った。俺がそんなシンクをぼーと見ているとダルキアンさんが上を見上げて言った。

「あの部屋に行くでござるか」

「・・・・・・・・・・・・はい、そうですね」

異世界での初めての冒険、旅行用鞄を持っているので幸先は良かったが、友人にだいぶ先を越されていることを思い知らされ、よりショックだった。

シンクへの尋問の内容を決めながらダルキアンさんについていくと先ほどシンクが飛び出てきた部屋についた。

「失礼するでござる」

3回ノックの後、ダルキアンさんはそう言ってドアを開けた。俺もそれについていく。すると中には案の定耳と尻尾が生えた人達が6人ほどいた。

「おぉ、ダルキアン卿じゃねーか」

ライオンの様な雰囲気をかもちだした銀髪の少年がそう言った。よく見るとさっき会ったリコッタもいた。

「リコッタ、久しぶり」

「久しぶりであります」

リコッタと挨拶を交わした後、いつも通りの自己紹介をした。そしてしてもらった。銀髪少年はガウル・ガレット・デ・ロウというらしい。他にもメイドさんはルージュ・ピエスモンテ。奥で気絶していた3人はガウルの直属親衛隊(ジェノワーズ)らしく、黒髪の少女はノワール・ヴィノカカオ、うさ耳のベール・ファーブルトン、どこか虎の様な感じがするジョーヌ・クラフティというらしい。一気に数が増えた、これは覚えるのがきついかも。

「それでガウル・・・・・・様?ん~まぁ、いいや。どういう状況だったの?」

と訊いた。ガウルは呼び捨てでいいと言ったので喜んで呼び捨てにさしてもらおう。そしてどうやら姫様とやらは同時に歌姫らしくコンサートの為にシンクが急いで走っていたらしい。で中継が始まるのをここで待機中らしい。みんなの様子を見る限りではかなり凄そうだった。

「しかし、勇者様は間に合うでありますかね?」

「大丈夫だろ、シンクだし」

俺が窓から外を眺めながら全員に聞こえる様に呟いた。

「ほう、どうしてそう言い切れるでござるか?」

「う~ん・・・・・・昔からあいつは多少無理しても約束を守る奴だし」

その後、予定通りに中継は始まり、シンクが無事に姫様を送り届けたことが確認出来た。

みんなは完全に姫様の歌に集中していた。気絶していた3人組も起きていた。確かにいい歌だ。俺は先ほどと同じように窓から外を眺めながら聞いていた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?」

星から視線を外して下を見るとチョコボの様な生き物にのった銀髪の女性がいた。あの人どこか暗い影がある気がするな。

「おい、駿。お前もこっち来い」

声をかけてみようかと思ったがその前にガウルによって中継をしている四角いのの前に連れて行かれた。そこにはさっきと衣裳が変わった姫様がいた。

「あれ?さっきからずっと歌ってたし衣裳チェンジの時間なんて・・・・・・」

そう言った瞬間姫様の周りが光り、一瞬にして衣裳が変わった。おぉ、この技術はすごいな。

「駿、お前ガレットに入らねぇか?」

さっきの技術についてこっちの技術で可能かを考えていた俺にガウルはそう言った。

「ガレット?あぁ、ガウルの国か。う~ん・・・・・・・・・・・・つっての俺はシンクの様にアスレチック得意じゃねぇしな~」

「そんなの鍛えていけばいいんだよ」

う~ん、正直に言うとありがたくて仕方がない申し出だ。

「・・・・・・あれ?ガウルってそのガレットの領主なのか?」

「違うぞ。俺はここの領主の弟だ。ほら、あれが領主のレオンミシェリ・ガレット・デ・ロウだ」

まぁ、小さい頃だがな。とも付け足した。ガウルが指さした方を見ると大きく引き延ばした写真があった。そこには今歌っている姫様を小さくしたのと銀髪の少女がいた。

あれ?この子は・・・・・・・・・・・・そうだ、さっき窓から見えた女性だ。ならさっき影があったのはもしかして・・・・・・

「それじゃ、現在の問題が解決するまではシンクと同じ国でいいなら契約を承諾するよ」

俺がそう言うと、全員が止まった。

「お前何か知っているのか?」

どうやら本当に何か問題があるらしい。ガウルが顔つきを変えて訊いてきた。

「いや、その・・・・・・レオ様だったか?さっき出ていくとこ見たんだが、どこか影があったんだ。それで、何かあるのかなって」

「ほう、ならレン殿。どんな問題があると思うでござるか?」

ダルキアンさんが意地悪そうに訊いてきた。

「う~ん、てか事情とかなんも知らねえし。仮定も何も無いんだけどな」

「それでは私が教えるであります」

リコッタが手をあげて提案した。

「あぁ、よろしく頼む」

と言うわけで説明会が始まった。リコッタが中心に説明をして時々ガレット側の人達が補足していく。全て終わると同時に俺は思考の海に潜る。

さて推理大会の始まりだ。

まず、半年前レオ様はさっき歌っていた歌姫ことミルヒオーレの様子を気にし出したらしい。そして最近、ミルヒオーレの国、ビスコッティを完全に掌握しようとしている。戦を興業とするガレットが戦をするのは当たり前らしいのだがここ最近は度を越しているらしい。

さてここまで聞いてみて出てくる仮定は幾つかある。だがどれも信憑性がいまいち、あまり話したくない品物ばかりだ。だがこの雰囲気で話さないのもあれなので・・・・・・

「えっとな、まずレオ様は何かに悩んでいる。それでいいな」

「あぁ、そうだな」

ガウルが答えてくれた。

「それはミルヒオーレまたはその周辺のことについてである」

「そう、だと思う」

これにはノワールが答えてくれる。

俺は1つずつ言葉に出していきまとめていく。

「そして、悩みきった結果、レオ様はビスコッティに攻撃をし始めた」

「そうでござるな」

ここまで話をしてみたものの、俺はこの世界の常識って物を知らない。もちろん、ファンタジー小説は読んでいるので頭の中でイメージはある。その中でどこまでいけるか。

「まずミルヒオーレさんに注意をし始めた理由、これはミルヒオーレさんの危険察知したからだ」

「そうなるやろな」

ジョーヌは関西弁なのか。と無駄な思考を巡らせた。

「悩みはたぶんそれだろう。そして次に何故ビスコッティを攻撃するか」

ここは少し曖昧だが話そう。

「危険察知した原因がビスコッティにあるからと推測出来なくも無い。そこで何かそれっぽい物はないか?」

「そうですねぇ、何かあるかな?ガウル殿下」

ベールがそう言った。いや、分からないなら喋らなくてもいいのに。それに訊かれたガウルも考えていたが分からないらしい。

「ビスコッティに姫様を裏切る騎士は絶対にいないであります」

「それにいくら危険察知しても姫様は死なないでござるよ」

「え?」

「そうだ、俺達は攻撃を受けてもけものだまになるだけだぞ」

あぁ、そう言えばユキカゼさんに助けられた時や戦中は敵が丸いのに変わったな。

「なら、どんな時に人が死ぬんだ?」

「大地にあるフロニャ力が少ない場所で魔物に襲われた時、でござるかな」

フロニャ力、ダルキアンさんがいうにはここフロニャルドにある力らしく戦をする場所や町にはそれが多くて魔物は滅多に来ない、さらにそこでは"けものだま"になって怪我もしないらしい。つまりビスコッティには原因がないということになる。

「ならミルヒオーレさんは魔物に殺される。そしてその原因がビスコッティ内にある」

簡単に簡潔に俺はそう結論づけた。

「ちょっと待てよ!なんでそうなる!?」

「落ち着けガウル。すまん、結論づけすぎた。でもレオ様は何かしらで未来を知った。それはミルヒオーレさんが死ぬ未来で、止める為にまず注意をした。だが未来は動かなかった」

そこで一旦息づきする。

「そして必然か偶然か、ヒントを見つけた。それがビスコッティにある物だった。いやビスコッティにしか無い物だろう。そしてそれを手に入れる為にビスコッティを掌握しようとした」

そう言うと全員が黙った。

「まぁ、どうやって未来も知ったか分からないし、ビスコッティにしか無い物も分からない。もっと言うなら何故それが魔物に襲われる原因になるのか分からない。我ながら穴だらけの仮定だよ」

「未来を読むなら星詠みという方法がある」

「それにビスコッティにしか無い物なら、宝剣があるであります」

ノワールとリコッタが補足をしてくれた。宝剣という単語が気になったが今は空気をよんで黙った。

「でもまだ原因がな・・・・・・」

「そうでござるな。それが一番の所でござるな」

こうして俺の推理大会が終わった。結論はレオ様が何か行動を起こすまではこの話には触れないこととなった。ブーイングもあったが屁理屈で何とか納得させた。

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