dog days not勇者   作:鮪瓜

21 / 33
第21話

空は快晴、サンサンと輝く太陽は暑いものの地球のような鬱陶しさは無く、地球温暖化の脅威を今し方感じさせられる。今日はシンク達が滞在し始めて3日目、夏合宿の日だ。風月庵の近くの川で行われるこの合宿、水着をかばんに入れていたのを見た美保が俺の腕を掴んで「へぇ、彼女ほっといて他の子と水着になって遊ぶんだぁ」と言ったのは記憶に新しい。

合宿はかなり楽しみなのだが、朝の散歩が終わった今でもまだ結構時間がある。もう一度寝るにしては短い中途半端な時間、俺は自然と書斎の方に足を運んでいた。

「…………ここらへんはこの前見たし……まぁ、それを言うなら全部見終ってるし…………」

適当に何かを考えて時間を潰そうかと思ったのだが、ここにある本は全て読み終っていた。無駄足を踏んでしまったな。

「…………どうすっかな」

「すぅ…………すぅ…………」

足を止めて黙った瞬間、寝息が聞こえた。周りを見渡すと、リコが寝落ちしていた。

(前にもこんな展開があったな…………)

前は確か、見ていたら起きたんだっけ?今回はどうしようか…………リコが何時まで起きていたかは定かではないが、起きそうにない。

俺はリコの横に座り、改めて寝顔を見た。

…………そういえば、こっちに来て初めて会ったのってリコだったよな(正確にはミルヒさんな気もするが、あっちが気づいていなかったのでノーカンだ)。あの時は良く信じてくれたよな、リコも。俺だったらまず疑ってかかったな。

こうして思い返してみると俺って結構リコといること多いよな。一緒に研究して、お昼も一緒に食べたっけ。

思い返すとかなりの密度があるな、こっちに来てからの思い出。16,7年の思い出よりずっと、ずっとずっと煌めいている。

もう一度、リコを見る。

「すぅ…………すぅ…………」

先ほどと変わらず規則正しい寝息をたてている。

このまま寝かしておいてもいいのだが、机に突っ伏して寝るのは後で腰とか痛くなる。折角だし寝室まで運ぶとしよう。

 

 

リコside

自分は前日、次の戦に備えて書斎で研究をしていたであります。

勇者様も帰ってきて少し張り切り過ぎて、どうやら寝落ちてしまったようであります。ですが、起きてみると自分は書斎にはいなかったであります。

「……………………」

「♪~♪~♪♪~~」

何故か、駿様にお姫様抱っこされて廊下にいたであります。駿様は上機嫌、鼻歌を歌いながら揚々と進んでいき、着いた場所は自分の部屋でありました。

「ここ、だよな…………さて、どうやって開けようか」

どうやら自分を抱えている所為で扉が開けれないようであります。そろそろ自分が起きたことを駿様に伝えるべきでありますしょうか?

「sy「あ、駿!」」

「お、七海」

声を掛けようとしましたが、七海様が来てタイミングを外してしまったであります。

「あれ?リコちゃんどうしたの?」

「書斎で寝てたから寝室まで運んできたんだ」

起きているでありますよ。その一言が何故か言えないであります。何故でありましょう?何故かもう少しだけ駿様に抱っこされていたいと思う自分がいるであります。

「そっか、駿は優しいね~」

「そりゃあ、何回も机で寝落ちして腰が痛くなるのを体験しているからな」

「そっか、そっか。そうやって天理ハーレムを増やしていくんだ~」

「そんなもんを増やしてねえし、存在しない」

いや、研究員の中にも駿様が気になっている子たちがいるでありますよ。恋愛関係の話が出るといつの間にか駿様の話になることが多いでありますよ。

「そう?そういえばリコちゃんとも仲良いらしいね」

「ん?ああ。こっちに来て初めてあったのがリコでな、一緒に研究したりしてたんでな。たぶん一番仲良いぞ。普段は親友だし、研究時は良い好敵手だよ」

親友、という言葉に一瞬、胸がズキンとした気がしたであります。何故でありましょう?

「親友、ねえ…………ま、いっか。それより扉開けよっか?」

「おぉ、頼む」

七海様に扉を開けてもらい、駿様は自分の部屋に入って自分をベッドに寝かしたであります。駿様は今日は夏合宿、もうそろそろ出なければいけない筈でありますから、急がないといけないでありましょう。

「げ!?もうこんな時間か…………。どうすっかなぁ」

何時まで経っても扉が閉まる音が聞こえず、自分が薄目を開けてみると駿様は机で何かをしていたでありました。そして「よし」と言って部屋を後にしていったであります。

「なんで、ありましょうか?」

自分は駿様が出て行った後、机に向かったであります。そこには一枚の紙に走り書きで書いたメモがあったであります。

 

なんか分からないけど、今言いたいからとりあえずここに書いておく。

一緒に何か研究しよう

                               駿

 

 

美保side

現在、私は一時ガレットに戻ろうとレオ様と二人乗りでセルクルに乗っている。少し道があるので適当にレオ様や七海ちゃん、ベルちゃんやジョーちゃんとお喋りしていた。ジョーちゃんは何故か分からないけど関西弁を使う何故だろう?

話題は駿君のこと、こっちに来てからこの話題は多い。余程話題が無いか、みんな駿君のことが好きなのか…………前者では無いだろうし、後者だったら困るような嬉しいような……。

「それで駿がリコちゃんのこと親友って言ってたの」

「へぇ~リコちゃんって親友だったんだ」

あの時のリコちゃんの大好きがラブかライクかはっきりしない今ではそれがいいことか悪いことかは私には分からない。だけど一つだけ引っかかることはある。

「ん?どうしたんや、美保」

「え?いや、羨ましいと思ってね」

「羨ましい?お主は駿の彼女であろう。何が羨ましいのじゃ?」

そう聞かれてしまえば言葉にするのは少しばかり難しい。

「告白、したのはしたんですが、きっと駿君は実感ないんだと思うんです。どこかやっぱり前の関係と変わりないと言うか、友人止まりというか…………」

関係が前と変わりない。単に私が描いていたものと違っているだけかもしれないけど。やっぱりどこか付き合っているとは違う気がする。

「駿君は最近やっと好きの気持ちの区別が出来てきて、まだ彼氏彼女の関係までいかないんです。その中でたぶん親友っていうのは一番仲が親密なんだと思うんです。だから羨ましいなって」

「なるほど、確かに駿が一番仲が良いのは発明王だったのう」

「は、発明王?あぁ、リコちゃんのことか。そうなんですか?」

「はい。ガレットに住んでいるのにわざわざビスコッティまで行って。確か週5くらいで行ってましたよ」

「ベルちゃん本当!?うわぁ駿君、相当だね」

もうそれ通い妻ならぬ通い夫だよ。明らかに依存してるよ。

「その度、ノワが不機嫌になっとったな」

「そうだったねぇ」

どうやらまだ天理ハーレムの底は見えないらしい。




ちょっとお試し原作キャラ視点。
ちなみに駿が手紙を残したのはリコが初めての趣味が合う親友だと理解して何か話したかったけど起こすのも忍びないと思ったからです。駿本人もあまり分かっていないのでここで補足しておきます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。