dog days not勇者   作:鮪瓜

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第22話

駿side

リコを運んだ後、何とか遅れることなく集合場所に到着、俺、シンク、ノワ、エクレはセルクルに乗って風月庵に向かっていた。

前ではエクレとノワが何かを言い争っており和気藹々としている。俺は先ほどのこと考えながらセルクルの上でぐったりとしていた。

何故、俺は手紙を残したのだろうか?

昔、と言ってもこっちに来たときなので数ヵ月前だが、俺はシンクを友達と呼んでいた。それは上辺の言葉だけで実際俺はシンクを友達だと思っていなかった、筈だ。

なら今は?シンクを友達だと本当に思えているのだろうか?思い込んでいるだけではないのだろうか?

横にいるシンクを見る。確かに一緒に風呂に入ったり、訓練をしたり仲良くしている。

「どうしたの?駿」

「いや、俺達って友達だよな?」

「うん。そうだよ」

当然だろ、というシンクの顔。まぁ、こいつがそういうならそうなんだろう。だが、リコはどうだろうか…………うん、同じような回答しか返ってこない気がする。

話を少し戻そう。あの頃俺はシンクのことを友達だと上辺だけで言っていた。そして今回、先ほど俺は七海にリコとの関係を訊かれて自然と“親友”と答えた。今考えてみたら俺はなんで即答したのだろうか。

「ねぇ、駿」

「ん?」

いきなりシンクに声をかけられた。どうやら考え事をしていた所為で顔が怖くなっていたらしい。

「駿って、いつも何か考えてるよね?」

「まぁな」

それが俺のアイデンティティでもあるとも言える。

「でも駿はさ、考え過ぎてると僕は思うんだ」

「…………」

「きっと駿が考えていることってそうそう答えが出るものじゃないと思うんだ。だからもう少し気楽に考えていいんじゃないかな?」

これはまさか、俺はシンクに説教を喰ったのか?いや、別に不満がある訳ではないのだが……………。

実のことろ俺はシンクのことをよく知らないのかもしれない。今考えれば、正義感に溢れて皆に優しく、スポーツが得意で感受性豊か、そして勇者なこいつが裏に何を考えているのか、俺は何も知らない。だからこいつがこんなことを言うとは驚いた。

「そう、かもな。でもそう簡単に変えられはしないし、まぁ、参考にするよ」

「うん」

 

 

今回の一泊二日の夏合宿、風月庵の近くで川で行われる、あれ?これ前も言ったっけ?まぁ、いい。

そういう訳で現在はその川、さっき言ったメンバーにユッキーも加えて準備運動中、とりあえずまずは組手みたいなものをやることになっている。ちなみに5人なので1人見学になる。

最初は俺とシンク、ユッキーとエクレ。川は段差があるのでその上と下でそれぞれ訓練する。

俺はエルディーナ・アルティウムをソードモードに、シンクはパルディオンをロッドにしている。

「手加減は無しだぞ、勇者さま」

「そっちこそ、魔神」

シンクがそう言うとともに俺は水しぶきをあげながら俺はエルアル(面倒なので略)を振り下ろす。シンクはそれをパルディオンで受け止めて横に受け流した。

「うおっ」

バランスを崩してしまう俺。シンクはそこを見逃さず、パルディオンを横に振るった。俺はそれを避けるため、体制を立て直すために一度大きく飛んでシンクから離れた。

シンクは近接戦闘が得意、実際は遠距離から晶術砲や紋章砲を放つのだが、今回はあくまでも近接戦闘の訓練、苦手ながらも頑張るしかない。

「まぁあ、負ける気は、ないけどな!」

俺はエルディーナ・アルティウムを小回りがいい片手剣に形を変えて、もう一度シンクへ斬りかかる。

「はっ!」

カン!

だが、やはりこれはシンクに防がれる。その上シンクはまたすぐに反撃を繰り出す。俺も何とかそれを防ぎ反撃する。

防いで反撃、またそれを防いで攻撃、一見互角の攻防に見えなくもないが、どんどん俺が押されている。正直かなりいっぱいいっぱいだ。シンクは楽しそうだが、こっちは必死だ。

ヒュン!

顔に少し掠る。なんとか避けることが出来たが、その所為でバランスを崩してしまう。

「やっば!」

ピピピピピピピピ!!

そこでタイマーが鳴った。どうやら俺は逃げ切って引き分けに持ち込めたようだ。

俺は安堵と疲れで服が濡れるのを気にせず川に寝そべる。

「あぁ……シンク強すぎ…………」

「あはは……でも駿も強くなったよ」

「それは、まぁ、鍛えてますから」

 

 

服が濡れてしまったので俺は一旦訓練を止めて服を乾かすついでにエクレとノワの訓練を眺めていた。

「「はぁ……はぁ……」」

お互い負けず嫌いという性格が仇となって先ほどからずっと戦っている。もう何戦目だろうか?途中から数えるのを止めてしまった。もう二人ともボロボロ、正直訓練と言っていいのか、疑問に思いたくなるほどだ。

「おーい、そろそろ休憩したらどうだ~?」

「駄目!まだ私が負けてる」

「さいですか……」

満身創痍と言ってもいいくらいのノワはまだまだヤル気らしい。

「駿!変わってくれ!」

「エクレ、勝ち逃げは許さない」

「あぁ!もう分かった!私の負けでいい!」

エクレ仰向けに大の字になりながらやけくそ気味に叫んだ。ノワはそれを聞いて「やった、私の勝ち……」と座り込んで呟いた。

あ、それでいいんだ…………。




お久しぶりです。
最近忙しくなった上に軽いスランプ状態で遅れてしまいました。申し訳ございません。
まだ忙しい状態が続いてるので次も時間が空いてしまうかもしれません。
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