dog days not勇者   作:鮪瓜

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第27話

夜、外灯などがなく月明かりしかない、そんな時間に私は隠れていた。

 

七海ちゃんが出した提案は一言でいうと囮作戦、しかも七海ちゃん本人が囮となるものだった。最初は私もビオレさんも反対だったのだけど、七海ちゃんの誠意と熱意に圧され、承諾した。

 

そういうわけで私は今、建物の陰に隠れている。ドルチェさんとユニゾンしてフル装備で待ち構えてても良かったのだけど、雷という属性からかなり派手だし、一緒にいる黒い玉がいつも雷を纏っていてこの暗闇には目立ちすぎる。なので却下。でも私が戦えるようにドルチェさんは私の中に入っている。ドルチェさんが戦えば、とも思ったけど、経験は積んどくべきとのことでこうなった。

 

「それにしても、七海ちゃんが言ってた男の人って誰なんだろ?」

 

『分からん。しかし、ほおってはおけんな』

 

もしその人が何かをやろうとしているなら、このアヤセで事件が二つ起きていることになる。それはとても厄介なことだ。是非とも止めて頂きたい。

 

『それにしても、暇だな』

 

「だね」

 

ずっと座って監視なんていうのはどうも私に向いていないらしい。ということは私は刑事に向いていないようだ。

 

「う~ん、どうしよう、手軽なガールズトークでもしようか」

 

『別に構わないが、私たち2人だと駿の話だけになるぞ』

 

「……それもそうだね。あ」

 

そんな話をしているといつの間にか、橋にいた七海ちゃんが刀を持った男と話していた。

 

「七海ちゃんが言っていたのって、あの人かな?」

 

『……なるほど、刀を持った男。そういえばこの可能性は十分にあったな」

 

何かをぶつぶつ呟くドルチェさん。そしてしばらく黙ったのち、1人で何かを納得して私の中から出てきた。

 

「美保行くぞ。場合によっては今回の問題、かなり楽になるぞ」

 

「え? え、え? あ、待って、ドルチェさん!」

 

男の人の元へ走っていくドルチェさん、速い! 運動が不得意な私は少しずつ離されている気がする……まぁ、距離がそこまでないから離されないけど。

 

「こんな夜更けにそんな格好じゃあ、襲ってくれと言って「それで自分より、何百と年下の少女を襲うのか、変態だな」……あれ? ドルチェじゃないか、なんでこんなところに」

 

「ふん、久しぶりだな、イスカ」

 

どうやらドルチェさんは彼――イスカさんと知り合いらしい。

 

「は! もしかして元彼!?」

 

「違うわ! 私が愛したのは生涯、後にも先にも駿だけだ!」

 

そう叫んだドルチェさんは自分が言ったことに気づき、顔を真っ赤にした。

 

「う、ま、まぁ、それはいい! イスカ! お前も追剥ぎうさぎを退治しにきたのだろ?」

 

「あぁ、その通りだが、よく知ってたな」

 

「まぁ、私だって長年ぶらぶらしてたんだ。それなりの知識を持っている」

 

完全に着いていけない。それは私だけではなく、七海ちゃんもベルちゃんもジョーちゃんもポカンとなっている。ここはお姉ちゃんである私が訊かねば!

 

「えっと、ドルチェさんはその人とどういった……?」

 

「あぁ、ぶらぶらしてた最中に何回か会っているんだ」

 

あれ? 確かドルチェさんって最近まで人の記憶に残らないんじゃなかったけ? 『その記憶も少し前に戻っている。駿に聞いてなかったか?』……ソウダッタナ……。

 

「……まぁ、いいか。みんな、こいつはイスカ・マキシマ。旅をしながら魔物を封印している物好きだ」

 

それを始まりにみんな自己紹介を始めた。そういえばよく見ると、あの人見たことがあるような……。

 

私は両手でカメラのあれを作り、イスカさんの顔を見てみる。駿より少し凛々しく、一般見解的にはかっこいいと思う。う~ん、顔じゃないな。もっと別の雰囲気というか…………。

 

「どうした、美保? 君も自己紹介をしたらどうだ?」

 

「あ、うん」

 

色々、気になることはあるけれど、とりあえず保留にしておこう。

 

 

 

 

???

 

アヤセ、その町の道で男が見廻りをしていた。最近、追剥ぎ事件もあって、見廻りは強化されているが、まだ一向に犯人は捕まらない。

 

そんな中、見廻りの男は怪しい人影を見つけた。その人影は本当に影の様で、夜の所為か、真っ黒だ。

 

男はその影に光を当てる。しかし、光を当ててもやはり黒い。顔には目も、口も、鼻も、耳もない。所謂のっぺらぼうだ。

 

見廻りの男は喋れない。

 

影はのっぺらぼうながらゆっくりと男の方を向く。そして…………。




この回を書いて、ドルチェと駿ってかなりの年の差があることに気が付いた。3桁差はあると思う。
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