ドルチェside
イスカと自己紹介を終えた後、それぞれの事情を話した美保たちは結果協力して追剥ぎうさぎを捕まえることに決まった。
その際、イスカは全員で行動すると言ったが、私はそれをすぐに拒否した。イスカが嫌なわけではない。私、いや現在での美保の技は広範囲、多数向けなものが多い。つまり集団行動が向いているということだ。
なので、私と、美保は単独行動(?)をしながら追剥ぎうさぎを狩っていた。
「言い方悪いよ~」
『間違ってはいない』
実際、私たちの周りには10匹近く追剥ぎうさぎが倒れている。この光景を3者が見たら確実にうさぎ狩りをしていると思われるだろう。
「そうなんだけど、さ!」
追剥ぎうさぎは仲間意識がかなり強く1匹倒せば次から次へと現れる。
「本当にどんどんくるね。どうしよ?」
『倒し続くるしかないだろ。ほらほら次来るぞ~』
「あぁ! もう」
そう言いながらも来るうさぎくるうさぎ、次々と焼いていく美保、その顔は案外楽しそ「してない!」……むぅ、語り部だから自由に脚色していこうと思っていたのに。
「嘘の情報混ぜないでね。後メタいよ」
メタいという言葉の意味は分からないが、ここらで一旦止めておこう。
『ん? 美保、あれはなんだ?』
追剥ぎうさぎを倒しながらアヤセの町を進んでいくとT字交差の部分に何かが立っていた。
「え? 人じゃないかな?」
確かに形は人、だが、どうも黒すぎる。夜だから黒く見えてもおかしくはないが、それにしても黒すぎる。
一体、あれはなんなのか。美保は慎重にそれに近づいていく。
一歩。一歩。ゆっくりとその全貌が見えるまで。
しかし、その姿は一向に見えない。いや、見えてはいるが、黒いままだ。服を着ていないようにも見える。顔には何のパーツも付いていないように見える。
『美保、気を付けろ。あれは、危険だ』
「うん、わかった」
その声が聞こえたのか、それはこっちを向いた。いや、向いたのか? 顔が見えない。
しかし、何なんだ、この嫌な感じは。こっちを向いた瞬間、その感じはさらに増した。妙だ、あれを見た瞬間から不安、焦り、恐怖、負の感情が強くなっている気がする。
『へぇ、君、僕と似てるね』
『なっ!?』
それは喋った。口を開き、言葉を発した。しかし、それは口か私には分からない。三日月上に黒がより濃くなったようにしか見えない。
いや、今はそれどころではない。あれの黒い部分が濃くなったとか、そんなことはどうでもいい。あれは、あれは…………。
私と、魔人の残骸と似ていると言った。
それは、つまり……。
『貴様、魔人か』
「えっ!?」
『へぇ、似ていると思ったけど、まさか同類か』
同類? 同類と言ったか、あれは、今? そんなわけがない。あれと私が同類なわけがない!
『貴様ぁ!』
「ド、ドルチェちゃん!?」
美保が私を呼んだ気がするが、私は止まらない。杖をあれに向けてサンダーボルトを放った。あれはそれを避けることなく、真正面から受けた。しかし。
『いやぁ、危なかったよ』
あれは片手を失いながらもそこに立っていた。そしてこっちに向かってきていた。
『この!』
「待って! 落ち着いて、ドルチェさん!」
杖を振るうが、あれには当たらない。どうやら、距離を見誤ったらしい。でも、もう遅い、あれは無くなった方じゃない手をこっちに振るってきていた。
軽率だった。これじゃあ、もう間に合わない。私の勝手で美保が、死んで……。
「だりゃぁ!」
目を閉じた私は何かの衝突音とそんな声を聞いた。知っている、私はその声を。私の大好きで大好きで大好きな人の声だ。
『駿』「駿君」
「よぉ、2人とも。それとドルチェ、なんかキャラ変わってないか?」
まるでヒーローのように勇者のように魔神な彼は現れた。
ドルチェだって冷静でなくなるときがある。
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