dog days not勇者   作:鮪瓜

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第3話

昨日は大変だった。推理大会の後、チョコボに限りなく似ているセルクルというのにリコッタと二人乗りでビスコッティへと帰還した。時間はもう0時を回っており、案内された部屋で倒れるように熟睡、起きたのは8時だった。そういうことで今は廊下を散歩中であります。

窓の外では木で作られた障害物が置いてある訓練場があった。その中にエメラルドグリーンの髪に垂れ耳の少女と金髪の少年というかシンクが戦っている。

「お、シンクだ」

俺は急ぎ足で廊下を進み、訓練場へと向かった。

訓練場に着くと戦闘は既に終わって2人は地面に座って休んでいた。

「シンク、久しぶりだな」

あくまで自然に、不審に思われない様にシンクに近づく。

「あ、駿。久しぶり~」

よし、奴は何も疑問に思っていないな。俺は行く途中に槍が折れたと思える棒が落ちているのを確認してから

「覚悟!」

一気に駆けた。もちろん棒を拾って。そのまま上から振りかぶる。

ガシッ!

「ちょっと、駿!?危ないじゃん!」

「ちっ、防がれたか。さすが勇者様だな」

てかなんか変な棒で防がれたが一体どこから出したんだ?

「勇者、こいつは何者だ?」

「僕の友達の天理駿だよ。あ、レンこっちは「姫様の直属親衛隊の隊長、エクレール・マルティノッジだ」・・・・・・だそうです」

「よろしく、エクレール」

俺は手を伸ばした。まぁ、握手を求めたのだ。エクレールも察したようで握手をしてくれた。

「ところで駿、なんで襲ってきたの?」

「しいて言うなら、ここに着いた時に俺を押し潰した上に無視してどっかに行った仕返しだ」

それを言うとシンクは素直に謝ってくれた。こいつなら素直に謝ってくれると思っていたよ。

「駿様、おはようであります」

窓からでは死角にいたらしくリコッタがいることに初めて気づいた。

「おぉ、おはよう」

「んっ」

そう言いながらリコッタの頭を撫でた。するとリコッタはこそわそうにした。

「あ、すまん。なんかつい・・・・・・」

俺は手を除けた。その時にリコッタが小さく「あっ」と言った気がした。

「いや、別に嫌と言うわけではないでありますよ」

「おぉ、良かった」

俺は胸を撫で下ろした。流石に最初にあったリコッタに嫌われるのは嫌だったからだ。

その後、他の騎士達とも挨拶をした。人数は数十人いたので全員覚えれたか分からんが。挨拶も終わって俺はシンク、リコッタ、エクレールと壁にもたれて話していた。

「リコ、駿、僕はこれから風月庵に行くんだけど一緒にくる?」

俺が風月庵?と聞き返すとユキカゼやダルキアンさんが住んでいる場所だと教えられた。シンクも初めて行くそうです。

「私は勇者様が帰る方法を調べる為に書斎に行くので、ごめんなさいであります」

「書斎?あ、それじゃ、俺もこっちのことについて知りたいからリコッタについていくわ。ユキカゼとダルキアンさんにはよろしく言っといて」

「そう?それじゃ、言っとくね」

やっとこっちのことについて詳しい調べることが出来る。俺は密かにハイテンションになっていた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

書斎に着いて、俺は早速本を手にとったのだが、読めない。色んな論文を読むために何カ国語も覚えたが、一切分からない。どうしよか、リコッタに訊くか?でもなんか忙しそうだしな。よし、ちょっと自分で頑張ってみるか。まずは幾つか本をパラパラとめくる。そこから共通点を見つける。

「これは目次か?」

にしては文字数が多いような・・・・・・なら英語か。えっとインデックスだっけな。1、2・・・・・・5文字、なら"っ"は省略か?

そういうことをしばらく繰り返した結果、まず母音を基礎として、そこから子音が作られている。どうやら伸ばし棒や"ぁ"などの小さい文字は同じ文字を重複させたりするみたいだ。

俺は頭の中に五十音表を作成し、本を読み始めた。一冊一冊が結構厚く読みがいがあるな。つっても速読術を覚えているから500ページを10分弱で読めるから直ぐに棚1つ読み終え た。共通する技術は幾つかあるがやはり分からないことが多いな。でもまだこんなに本があるんだ。たぶん大丈夫だろう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・様」

成る程、魔物は封印をする物なのか。だけど危ないんだな魔物って。今は平和だけど魔物によって結構人が死んでるし。封印方法・・・・・・誰か知ってるかな?

「・・・・・・ん様!」

次は紋章術?何々、大地や空に眠るフロニャ力を自分の紋章に集めてから自分の生命の力と混ぜ合わせて"輝力"というエネルギーに変換、それを武器にしたり放ったりする技か。何これ、超興味深いんだけど。俺にも出来るかな。

「駿様!!」

「おわっ!?リコッタ?なんだ、呼んだか?」

どうやらどっぷりと集中していたようで、時計を見てみると短い針が頂点を指していた。あれ?俺何時間本読んでたんだ?

「呼んだかじゃないでありますよ!ずっと呼んでいたでありますよ!」

「え、マジ!?ごめん、俺集中すると周りが見えないんだ」

読んでいた本を本棚に直してからリコッタの方を向いて言った。

「むぅ・・・・・・許すであります。でも文字読めるでありますか?」

どうやらあっちとこっちでは文字が違うことをリコッタはしっているらしい。俺がリコッタに解読したこと伝えると褒められた。読んだ内容をリコッタと話しながら書斎の中を歩いていく。

「ところでリコッタは紋章術ってやつ使えるの?」

「もちろん使えるであります」

もちろんと来たもんだ。どうやらこっちでは当たり前らしい。この後、リコッタに紋章術の扱い方を教えてもらった。結構難しいな。少しずつ覚えていくか。

リコッタ別れた後、俺は客室に戻って荷物の整理をしていた。中には替えの服数着(足りないならあっちで買うつもりだったので少な目)と娯楽道具とお菓子・・・・・・・・・・・・あれ?飛行機ってお菓子持ち込みOKだったけ?まぁ、いいか。色んな物が入っていた。それをどうしようかと考えているとノックの音が聞こえた。

「はい」

「駿様、少しお時間よろしいですか?」

メイドさんが入ってきた。

とりあえずメイドさんに言われた通りについていきたどり着いたのは・・・・・・・・・・・・

「こんにちは、ビスコッティの領主、ミルヒオーレ・フィリアンノ・ビスコッティです」

「はい、シンクの友人、天理駿です」

姫様の部屋だった。昨日テレビ?に出ていた人間な上、姫様となると流石に緊張するな。そんなことを考えているといきなりミルヒオーレさんが頭を下げた。

「今回のことはまことに申し訳ありません」

「え?」

話を聞くとどうやら俺を巻き込んでしまったことを謝っているらしい。なんだ、無視したことじゃないのか。

「ミルヒオーレさん、俺は謎が大好きです」

唐突に俺がそんなことを言ったので、ミルヒオーレさんは頭の上にハテナを作った。この?ってクエスチョンマークっていうんだよね。まぁ、そんなことはどうでもいい。

「その謎の中にはもちろん異世界って言うものも含まれます。どうやったらいけるのか、いった先にはどんな物があるのか、そういったことを常時考えてました。だから嬉しいんです」

こっちに来れてこっちの大地に触れたこと、こっちの技術を学んだこと、こっちの住人と話したこと。例をあげれば限が無い。

俺は出してもらったお茶を飲む。うん、おいしい。

「こうやってミルヒオーレさんと話したり、現地のお茶を飲むことでさえ、俺にとっては重宝する様なことなんです。だからミルヒオーレさん、巻き込んでくださってありがとうございます」

座りながらも俺は頭を下げた。心からの感謝だった。

「そういって貰えるとこちらも気が楽なんですが・・・・・・・・・・・・」

そこでミルヒオーレさんは口を紡いだ。ん?どうしたのだろうか?俺は首を傾げた。

「その、帰る方法が無いんですよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ~そういえばリコッタがそんなことを言っていた気がするな。そうか帰れないのか。そうか、そうか。

「ミルヒオーレさん、そんくらいの困難があるくらいが丁度いいですよ。というかどんとこいです」

笑顔でそう言った。無いのなら作るまでだ。目標がまた1つ増えた。やっばいわ~、今超充実してる。

「ふふ、勇者様とはまた違った人ですね」

「でしょうね」

シンクとは似ているとはお世辞でも言えない。

「それでは、これからビスコッティの為に戦ってくれますか?」

そりゃ、そうしますよ。と言おうと思ったがつい昨日のことを思い出した。

「あっ・・・・・・・・・・・・あ~」

「え、どうしましたか?」

俺はミルヒオーレさんに事情を説明した。もちろん、仮定の話ついては喋っていないが。そうするとミルヒオーレさんも笑って許してくれた。隣国でしかも戦中だっていうのに・・・・・・・・・・・・まぁ、いいか。

ミルヒオーレさんとのお話はそこから数十分続いて、ミルヒオーレさんが用事ということでお開き、時刻にして6時、俺は部屋に戻って鞄の整理を再開することにした。

するとまたお客さん、次はシンクだった。

「どうした?」

「駿、何してるのかって」

どうやら、特にやることなく暇を持て余したので俺のとこへ来たということか。まぁ、いいか。そういえばこっち来てから落ち着いて話をしてないし。地球人水入らずってことで。

「ほい、お菓子」

「わぁ、持ってきてたんだ」

スナック菓子をテーブルの上に広げてシンクを座らせる。

「それにしても、お前が勇者になるとはな」

「あはは、確かに僕も驚いたよ」

勇者シンクはテーブルにあるお菓子を食べながら答えた。朝にこっちのご飯を食べたのだが結構美味しかった。けどやはりお菓子は美味しい。こっちで作れないかな?

「・・・・・・塩は?ジャガイモってあるのか?」

「?、どうしたの、駿?」

しまった、つい口に出ていたみたいだ。俺はシンクに何でも無いと言って持って来たお菓子を一かけら口に放り込んだ。チョコレート最高。

「・・・・・・・・・・・・こっちの人って全員いい人だよな」

「そうだね。みんないい人だね」

そうだ。昨日今日あっただけなのに全員が優しいと分かってしまう位だ。

「シンクは聞いたか?帰れないこと」

「・・・・・・・・・・・・うん、聞いたよ」

たぶん、俺より早く聞いたんだろうな。シンクは下を向きながらもどこか決意をしている顔だった。

「・・・・・・・・・・・・俺は、あれを聞いて少し喜んだ」

俺はお菓子を食べるのを止めて、天井を見上げた。電灯の光は思いのほか眩しく、手で遮った。

シンクも黙っている。こいつも俺の事情は知っている。ありがたいな、やっぱり持つべき物は友だ。俺は天井に向いていた顔を笑顔に戻し、シンクの方に向き直した。

「だから、俺は永住するかもな」

これ以上は雰囲気が良くなりそうにないのでここで終了、シンクはミルヒオーレさんと話をするらしく帰っていった。

あぁ、嫌なこと思い出しちまったな。こういう時は書斎に行ってひたすらに本を読むべきだな。

俺はその日、完全に本に集中して、またリコッタに怒られるのであった

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