目が覚めたら本だらけ、どれも俺が胸に抱えるほどの大きさで一冊読むにも一苦労だった。だが一冊一冊に新しい発見があり、楽しいがある。その本の中俺は目の前で座りながら新しい発見をしようと頑張っている父さんの後ろ姿があった。こんなことは日常茶飯事、俺は何時も通り、「おはよう」と・・・・・・・・・・・・
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そこで目が覚めた。二度目の目覚めだ。状況は変わらず周りは本だらけ、変わったところをしいて言うならば本の大きさだ。今の俺は16歳、本は手で持てる位だった。
あぁ、そうだった。俺は昨日寝落ちしたんだ。確か、地図を見つけてパスティヤージュ公国という国があることを知ったんだ。
と俺が読んだ本のことは別にいい。今俺は変な汗をかいている上に変な体制で寝ていたせいで体中痛い。
「風呂、入るか」
覚束ない足取りだったがどうにか書斎を出る。廊下の窓から差し込む朝日が眩しい、鬱陶しいくらいに。そんな朝日を避けるように窓から離れて歩いていく。かなり眠いらしく気がつくと風呂場に到着、俺はしっかり(ここ重要)注意書きを読んでから男子風呂の方に足を運んだ。
「ふわぁ、寝みぃ」
浴場に入るとそこにいるのはミルヒオーレさんの直属親衛隊隊長エクレール・マルティノッジ・・・・・・・・・・・・ではなく、ビスコッティ騎士団の騎士団長、ロラン・マルティノッジさんである。
「ロランさん、おはようございます」
「おはようございます、駿殿」
俺は一度、桶で水をすくって体を洗い、ロランさんの隣りでお湯に浸かった。
「あぁ~いい湯だ~」
気持よすぎて声が自然と出てしまった。でも風呂はいい、疲れが全部吹っ飛んでいく。最初に風呂を考え出した人は本当に最高だ。
俺はじっくりと風呂を堪能した後、ロランさんと世間話でもすることにした。
「ロランさんはこれから訓練を?」
「いえ、訓練が終わったのでこちらに」
「あ、確かにそうですね・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
えっと、ん?あれ?・・・・・・・・・・・・なんかおかしいな。
「ロランさん、つかぬ事をお聞きしますが、今は何時でしょうか?」
「訓練が終わった頃は11時をまわっていたと思いますが・・・・・・」
マジデスカ?じゃあ、俺は一体何時に寝て、何時に起きたんだ。やばいな、集中し過ぎた。・・・・・・・・・・・・・・・・・・まぁ、いいか。
この時風呂により完全にふにゃけていました。しょうがないじゃないか!俺は風呂と食事が大好きなのだから!
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風呂上がり、目も覚めたのでもう一度読書・・・・・・・・・・・・は止めておいてそろそろお昼ということで俺は一度ご飯を食べた。胃が満腹になり、少しずつ頭の回転が速くなっていく。
どうせだから、紋章術をの練習をしよう。そう思い、直ぐに訓練場へと足を運んだ。
訓練場にくるのは2度目、木で作られたアスレチック道具がいくつかある。俺は地面に前座を組み、神経統一する。
まずは、大地にあるフロニャ力を俺の生命力を混ぜ合わせて、輝力に。
「ふぅ・・・・・・・・・・・・」
なんとなくだが、感じはわかる。手を上にあげて、後はこれを!
バシュ!!
空に一本の黄色い線が走っていった。
成功だな・・・・・・・・・・・・やった。俺にも出来た!
だけど、まだ終わりじゃない。次は輝力武装という物。俺は立ち上がり、イメージをする。シンク曰く紋章を通じて出力できる輝力は、イメージが明確なほど確かな形と力になる、らしい。お菓子パーティで訊いた。
これは難しそうだ。まずはシンクがやっていた様に足に武装して速く走る。
「集中・・・・・・・・・・・・」
すると手の甲に紋章が出現する。そして足元が光りだした。
「いける!」
そう思った瞬間、一気に駆け出す。スピードは何時もの倍、いやもう少し出てるな。
「手当たり次第に跳びはねようかな」
先ずは壁を駆け上がる。そして屋根に登り、跳ぶ。感想を言うとすっごい楽しい。だが調子に乗りすぎた。輝力というものは生命力を使う。よって、使いすぎると
「いやっほぉぉぉぉお?おぉぉぉぉ・・・・・・・・・・・・」
俺のように空中からの自由落下体(またの名を紐なしバンジーとも言うが)をすることになる。みんな、輝力を扱うときは容量、用法を守って・・・・・・って違うか。
そんなことを考えているともう目の前は地面だった。
*
本日2度目の目覚めは自室だった。背中が凄い痛い。
「あ、起きた!」
視界がはっきりとして最初に見えたのはシンクだった。少し起き上がり部屋を見渡すとリコッタやエクレール、ロランさんやミルヒオーレさんもいた。
全員が何かを言っているが頭の方はまだはっきりとしていないので正確には分からなかった。
「駿!」
「・・・・・・え?あ、なんだ、シンク?」
「みんな心配したんだよ!」
「あ、あぁすまなかった」
なんだろうか?何故か変な気分だな?
「本当に心配したでありますよ!」
「リコの言う通りですよ、駿さん」
リコッタはベッドに手を付けてぐいっと俺によってそう言い、ミルヒオーレさんはそれを援護するように言った。その上にエクレールには叱られて、ロランさんにも心配された。
・・・・・・・・・・・・なんだろうか、この違和感?
「あれ?駿?なんで泣いてるの?」
シンクに指摘されて初めて気付いた。俺の目から涙が流れていることに。
「え?あれ?なんで・・・・・・・・・・・・」
その涙でようやく違和感の理由がわかった。
神童と呼ばれた俺は一度も"天理駿"と心配されず、いつも新しい技術を生み出す"物"として心配されていた。あの馬鹿科学者どもは俺がそれに気付いていないと思っていたみたいだが小さい頃の俺は当たり前の様に分かっていた。
だがここではその肩書きは無く、天理駿として心配されていることに感動・・・・・・・・・・・・いやそんな大層なものじゃないな。単に嬉しかったんだろう。
「ごめん、少し・・・・・・落ち着かせてくれ」
俺はみんなにそう頼んで少しの間、1人にしてもらった。
俺はベッドの上で仰向けになり頭をはっきりさせていく。
フロニャルドに来てからいいことばかりだ。新しい技術に出会い、新しい友人が出来、そして天理駿として見られている。こんな嬉しいことはない。
そういえば昔、本で読んだ覚えがある。「幸福はリレーだ。人から受け取ったバトンの分、自分も受け渡さなければいけない」、自分が幸せにしてもらった分は自分も誰かを幸せにするという意味だろう。
なぜ今にこれを思い出したのだろうか?そんなこと分かっている。俺は幸せにしてもらったのだ。なら、さっきの言葉の通り俺は人を幸せにすることに励もう。それならまずはしっかりとみんなに謝ろう。
俺はそう決意して、部屋を後にした。