dog days not勇者   作:鮪瓜

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第5話

突然だが俺はガレットに来ている。

何故か?それは俺が輝力の扱いになれてきた頃、ビスコッティにガウルが来たことから始まる。

わざわざビスコッティにまで来たガウルは俺に「いずれガレットにつくのだから領主のレオ様に挨拶をしておけ」と言った。

確かにガレットに行くって言っておいて領主であるレオ様に会っていない。確かにおかしい。そしてガウルの様子も少しおかしかった。

ということで現在は客間でレオ様と面を向かって座っています。なんか、怖いです。凄い気迫が出ています。ミルヒオーレさんにはとてもいい人らしいのだが。そうとは思えない。

「話はガウルから聞いた」

話しちゃったのか~、ガウルの野郎。様子がおかしかったのはそのせいか。

「はぁ、今日は、挨拶では?」

一応確認をとる。正直、レオ様にあのことを話したらこうなることは薄々わかっていた。

「そうだな、挨拶だ。それで貴様がたてた仮定、貴様はどの位の確証がある?」

挨拶する気、皆無だね。だが、俺が呼ばれた理由はなんとなくわかった。ガウルのせいだな。

しかし、こうなったら逃げるという選択肢は無くなっている。俺は覚悟を決めた。

「まぁ、半々かな」

「ほう?」

「えっとな・・・・・・俺は試さないとまず"可能性"というものが生まれないと思っているんだ。一度成功すれば100%、そこから失敗するほど下がっていく。逆もしかりと。そして成功するかも失敗するかもわからないならフィフティーフィフティー」

まぁ、自論なんだが。おわかり頂けただろうか?わかりませんか?そうですか。

「・・・・・・成る程」

あ、レオ様にはおわかり頂けました。

「でレオ様、正直なとこあってますか?」

俺はレオ様の気迫に少し慣れてきたのでど直球で訊くことにした。

するとレオ様は苦い顔をした。その顔がもう十分の証拠になっているのだが。

「正解だ」

「そうですか」

ミルヒオーレさんが死ぬ。それはあっている。

「なら、レオ様はどうするんですか?」

「どうするとは?」

わざととぼけているのだろうか?だがここではぐらかされる訳にはいかない。

「色々ありますが、ミルヒオーレさんの救い方とか」

そう訊くとレオ様は宝剣をかけて戦い、原因であるかもしれない宝剣を手元に置こうとしているらしい。大体予想通りだな。

「それは無駄だと思いますよ」

「ほう?なぜじゃ?」

「まず、宝剣が原因の理由ってわかっていますか?」

「むぅ、わからんな」

やっぱりな。レオ様ははっきりと原因を分かっていない。

「それなら宝剣を手に入れたとしても、無駄の可能性があります」

俺も宝剣に関しては結構調べたつもりだが、あまり分からないでいる。どういった物なのか、何故国に二体一対であるのか。

「そしてもしレオ様が戦を起こしたら、その間に魔物が現れる可能性もあります」

レオ様もこの可能性には気付いているだろう。そして騎士や国民が魔物の攻撃に巻き込まれ死ぬという領主において最も駄目かもしれない可能性にも。

「・・・・・・・・・・・・だがワシは戦をやる」

はぁ、知ってるよ。この目をした人はもう揺るがない。だから俺も・・・・・・

「なら、頑張ってください」

と言うしかなかった。

その翌日、宣言通りレオ様はビスコッティに宝剣をかけての戦を申し込んだ。ミルヒオーレさんもその戦を受けることを躊躇ったが、民のボルテージが高まり、断るに断れなかった。

そんな不純な理由やモヤモヤが入り混じった戦が俺の初陣になる。それはかなり嫌だった。でもだからこそ俺はこの事件をさっさと終わらせようと思った。

そんなこんなで戦当日、現在はシンク、エクレール、リコッタがガレットに攻め込み、一般参加の人や騎士達もあちらこちらで戦闘している。そして俺、俺はかというと・・・・・・

「どうしましたか、駿さん?」

「・・・・・・・・・・・・いえ」

城の前に建てたテントでミルヒオーレ姫様のお話相手もとい護衛をしていた。

せっかくの初陣、このまま俺は何もせず終わるのだろうか?俺主人公だよね?なんで戦闘パート無いの?書けないの?なんなの?馬鹿なの?っと作者罵倒はここまでにして、現実を見ないとな。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

沈黙、圧倒的沈黙!やばい、やばいやばいやばい!何か話題は、話題は無いのか!?

「駿さんは・・・・・・」

「ん?」

俺が必死に考えているとミルヒオーレさんが先手を打った。

「駿さんはこの世界に来てどうでしたか?」

どうして今その質問を?と訊こうとしたが、そんな謎直ぐに解けた。

シンクは16日で帰ると言った。今日は確か12日、後4日しか、ないのだ。つまり、その時に俺も帰る・・・・・・ことになっている。だからこんなことを聞いてくるのだ。

「どうって・・・・・・前にも言った通り、嬉しいよ。それに楽しい。この戦の最前線に参加出来ればなおさらだな」

「そうですか」

ミルヒオーレさんは安堵に顔をした。成る程、シンクが可愛いと言う意味は分かる。

「駿さ、んは帰りたいで、すか?」

ミルヒオーレさんはなんか詰まりながら訊いた。

俺は腕を組んで少し考える。

「楽しいから帰りたくはないな。エクレールやシンクと特訓するのもだし、ご飯や風呂だってまだまだ楽しみたい。特にリコッタとこっちの技術について討論が楽しいな!最近はそんなこと出来なかったし超楽しかった」

そうやって戦中にも関わらずお喋り(主にリコッタとの討論のこと)をしていたら

『姫様、ご報告があります』

テントの外からそんな声が聞こえた。

その声によると至急報告したいことがあるらしくガレットから使者が来たらしい。そしてミルヒオーレさんはそれをとおせと言った。

そこからは想像出来るだろう。テント入口からレオ様の側近のビオレ・アマレットとそのお供が現れて襲撃された。のだが

「姫様、無礼のほど、お詫びのしようもございません。ですが我らのお願いをお聞きください」

思った以上に低姿勢。どうやらこれは本気らしい。ならミルヒオーレさんは

「ごめんなさい」

「「!?」」

この言葉は予想外だった。だがその謎も直ぐに解けた。何故ならミルヒオーレさんは一瞬煙に包まれて、なんと葉っぱを頭にのせたリコッタ変わった。そう、さっきまで散々話題にしたリコッタだ。

「え?えぇぇぇえええ!?」

俺は後ろから剣か槍かを向けられているビオレさんを無視して大声で叫んだ。俺はその時、顔を真っ赤にしていただろう。実際すっごい顔が熱かったし。

「影武者作戦、まことに申し訳ないであります」

リコッタが大きく頭を下げながらビオレさんに言った。そしてビオレさんもそれを聞いて諦めるように手をあげた。どうやら俺が無視したのと同じようにこの人たちも俺を無視するらしい。

「まぁ、お茶でもお出しますからゆっくりとお話、お聞かせくださいな♪」

メイドさん、その笑顔怖いです。

その言葉の後、リコッタは大砲でピンクの花火を打ち上げた。どうやら作戦終了の合図らしい。よし、そろそろ状況を説明して頂こうじゃないか。

「えっと・・・・・・・・・・・・」

俺はわざとらしくそう言った。

「駿様も本当に申し訳ないであります」

リコッタは俺にも頭を下げてくれた。

「駿様は昨日、忙しそうだったでありましたから・・・・・・・・・・・・」

昨日は・・・・・・・・・・・・そうだ、確かに俺は初めての戦に浮かれていたんだったな。だから過去の戦を調べたり、訓練したりしてから倒れる様に寝たんだ。

「いや、俺が悪かったよ。すまん」

「あ、いや・・・・・・・・・・・・」

なんだろうか?俺とリコッタの間に距離めいた物がある。いや、本当は分かっています。先ほどの話ですよね。俺はリコッタを褒めちぎった。本人の前でこれは恥ずかしい。もっと言うと本人も恥ずかしい。

「そこの2人もいちゃいちゃしてないで、お茶にいたしますよ」

「「してませんよ(ないであります)!」」

戦中だというのに緊張感なさすぎだろう。後々、俺はそう思った。

影武者作戦はあくまでも裏の事情の為にやったこと、なので成功失敗は戦にはあまり関係ない。

なぜこんなことを言うか?それはガウルとジェノワーズがかなり近くまで来ているからだ。

「うおっ、凄いな」

空ではベールが率いる弓兵隊とビスコッティの弓兵隊の弓が飛び交い、地上は黒い鎧に鉄球付きの斧を持ったゴドウィン・ドリュールや自分の身長位の斧を振り回すジョーヌが兵士達をなぎ倒し、ノワールが密かに兵士を倒していく。実況が言うように数の差をもろともしない。

「俺も参加するか。輝力武装!」

まずは輝力を集中、すると足元に紋章が現れる。と同時に俺の周りに雷が発生。

これは俺の輝力武装"ライジングモード"、輝力を雷に変換して体に纏わせることにより、スピード、パワー共にパワーアップする技である。

「はっ!」

ライジングモードになった俺は地面を蹴り、一気に駆け出した。このモードになって本気になると人智を超えることが出来る。まぁ、とある事情があるから俺は力を抑えて戦場を走る。

「な、駿!?」

前方にジョーヌを発見、あっちも俺に気付いたらしく、斧を横向きに構えた。そしてどんぴしゃで振り切ってきた。だが遅い!

俺は斧の側面に手をつき、腕の力でそのまま空に跳ぶ。ジョーヌの後ろにまわり、背中をタッチした。

「タッチ~」

すると、ジョーヌの防具は破壊された。あれ?タッチしただけで防具破壊出来るんだ。

「おぉ、駿、速いな~」

「まぁ、その代わりに明日は筋肉痛だが」

そう、この技は体を無理やり動かしている様な物なのでその分、リバウンドが激しい。使いすぎると細胞焼かれたり、筋を切られたりしかねない。

「それじゃ、ジョーヌ。俺は先に進むよ」

「うん、それじゃな!」

俺はジョーヌにお別れを言って走り出す。ベールはエミリオさんの槍で防具破壊されたし、ノワールと所行くか。

そう思って走り出した頃、空には鈍い色の雲がかかっていた。

ノワールとの死闘(でいいんだろうか?)も俺の勝利で終わり、俺はガレットの城に向かっていた。

空は完全に雲に覆われ、雷も降っている。そんな中、ライジングモードで走り続けた結果、ユキカゼとダルキアンさんに追いついた。

「ダルキアンさん、ユキカゼ。どうしたんですか?」

2人の顔は険しかった。

「駿殿。魔物の気配があるでござるよ」

「え、魔物!?」

そう言えばこの2人は魔物退治のプロフェッショナルだったな。そして今のユキカゼの言葉、これは俺が想像した最悪の予想だった。

「・・・・・・・・・・・・それじゃ、俺は他の人の避難をします」

俺は2人にそう言って方向転換をしようとした。その瞬間

「コン!」

ユキカゼの元にいたコノハが鳴き、首輪の宝石が膨大な光を放ちだした。

「魔物の反応!?」

「しかもかなり強力でござる!」

確かコノハの首輪は魔物に反応する。それにしてもさっきまで光っていた量がレオ様を危険視していたなら、今光っているのは・・・・・・

「駿殿!今すぐ避難を・・・・・・」

バサッ!

「なっ!?」

ダルキアンさんの声が全部聞こえる前に俺は謎の黒い影に連れて行かれた。

「「駿殿!!」」

2人の声はもう聞こえなかった。俺は枝に何度もぶつけられながら、森の中を連れ回される。辿り着いた場所は不思議と木々が無い、小さい広場の様な所だった。

「痛ぅ、なんだよ?」

「すまない、乱暴なまねをしたな」

木々にもたれかかり、頭を抑えていると目の前にいた謎の影がそう言いながら、黒い髪に黒い着物に狐の尻尾と耳の少女になった。

「あんたは・・・・・・魔物か?」

「魔物?いや、そうだな・・・・・・・・・・・・魔人とでも言おうか」

魔人、それはどの書物にも書いていなかった。どういうことだ?こいつは何者だ?いや、そんなことよりもだ。

「どうして、俺を連れてきた?」

「ふむ、興味が湧いたから、かな」

「興味?」

「そう、君の様子を見ていたら興味が湧いた」

さらに少女は言葉を紡ぐ。

「君はここの住人はもちろん、友人で勇者のシンク君だっけ?彼にも浅い所でしか接していないな。君は誰にも心の内をさらけ出さないし、誰の心の内にも入り込まない。何故だ?」

少女の言葉は鋭くなり俺を深くえぐっていく。

「・・・・・・・・・・・・俺の両親は殺されたんだよ。最も信頼していた助手に」

「ほう、それが、君の人を信用しない理由か」

「まぁ、それだけじゃないんだが、根本的な理由はそこかな」

少女を見上げながら瞳を真っ直ぐに見つめた。そして少女が次の言葉を出そうとした瞬間

「駿殿~~!!」

ダルキアンさんの声が森に響いた。どうやら追って来てくれたらしい。

「ふむ、どうやらタイムアップらしいね。それなら」

そう言って少女はこちらを指さした。その瞬間、俺の胸元を黒い何かが貫いた。

「なっ!?」

「プレゼントだよ。また会えることを楽しくにしておくよ」

少女はまた黒い影になってその場から去っていった。

「駿殿!」

少女と入れ替わりに森からダルキアンさんが現れた。

「大丈夫でござるか?」

「はい、あいつも何処かへ去っていきましたし」

俺は少女が去っていった方向を見ながら答える。一体何だったんだ?

結局何も分からないまま、俺はダルキアンさんの申し出を断ってここで暫く休むことにした。ライジングモードで肉体的に、さっきの話で精神的にボロボロだったんだ。

最近昔の夢ばかり見る。そして今回は走馬灯に近かった。

先ず見たのは家のリビングで血だらけになって倒れている父さんと母さんの姿にそこで立っている殺し屋の姿。

次に見たのは親戚の家で暮らすことになった時の記憶、俺は自室で本ばかり読んでいた。

今思い返せば、俺がこんなにも謎と言うものを好きになったのは唯単に色んな物から逃げる為だったかもしれない。

それ以外にも色々な記憶を旅した。神童だった俺に歩み寄ってくる学者達、未来のコネを作りたいのか知らないが俺と友達になりたがる奴ら。

俺はそういった人間と接してどんどんと人間不信なった。心を閉ざして、自分を隠した。人と話す時も読んだ本の言葉使ったりして俺を完全に消していた。

なら何故、俺はここで、フロニャルドで人と接している?・・・・・・いや、分かっているんだ。俺は中途半端なんだ。たくさん裏切られてもまだ人を信用しようとしている。

だから俺はシンクと旅行しようと思ったんだ。一番近くて信頼出来るかもと思ったから。でもまだ駄目だ。俺は裏切られることが怖い。

そしてまだ親を殺した助手を恨んでいる。

信用したいが信頼出来ない。許したいが憎しみは消えない。俺は心を開きたいのに鍵を見失ってしまった。

なら俺はどうすればいい?分からない。どれだけ考えても分からない。

答えはまだ出ないでもフロニャルドにいれば答えが見つかるかもしれない。俺の中に無いなら外部から見つければいいだけだ。だからゆっくりでいいからここの人達と接していこう。

そうすればいつか・・・・・・・・・・・・

俺が目を覚ますと空は晴れていた。どうやら魔物が倒された様だ。

俺は立ち上がり一度背伸び、その後にもう一度上を見上げた。すると空には紫色の光の柱が点に向かって伸びていた。

「・・・・・・・・・・・・あそこかな」

俺はゆっくりと歩き出した。そう言えば最初にここの人と会ったのもこういったシチュエーションだったな。歩きながらここでの思い出を巡らせる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?俺全然活躍してなくない?てか戦にも全然参加していなくない?これは・・・・・・色々と大丈夫かな?

謎の不安だけが募る間に光の元に辿り着いた。そこにはダルキアンさんがいた。

「ダルキアンさん、お久しぶりです」

「おぉ、駿殿。起きたでござるか」

ダルキアンさんが言うにはどうやら魔物を封印し終えたらしい。

これで今回の事件は一件落着、みんな元の関係に戻ると思う。

「はぁ、俺全然活躍出来なかったな~」

「いやいや、駿殿があそこで真相を見事に見抜いたからこそ、拙者達は魔物を封印出来たでござるよ」

お世辞どうも。俺はそう言った。

そしてダルキアンさんにさっきの奴のことを訊くことにした。もちろん、深い所は喋らない。人間そんないきなり勇気は出ないのだ。

するとダルキアンさんは一度あごに手をついて考えた。

「・・・・・・成る程、魔人か。拙者も初めてな上、分からないでござるな」

「そうですか。まぁ、それならいいんです。ビスコッティが勝ったんですから今日は宴ですし、楽しみましょう」

こうして俺の初陣は幕を閉じた。結果は撃破数2人、魔物出現よりは一切の行動無し。表でも裏でも目立った活躍無し。俺って主人公なんだよね?これ、なんなの?

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