dog days not勇者   作:鮪瓜

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空白期
第7話


シンクが帰ってから二日が経って、俺はようやくモヤモヤの原因が分かった。

そもそもそれが分かったのはリコッタが俺の部屋に設置してくれた周波増幅器と言われるフロニャルドから地球へと電話を繋げることが出来る品物でシンクに電話した時だった。

『で、駿は行方不明状態なんだけど』

「成る程、お前だけ帰ってきて俺が帰ってこないのはおかしいからな」

こういうことだ。俺がモヤモヤしていた原因はシンクやその身の周りに迷惑がかかることだった。

「シンク、それじゃ俺は途中から1人行動したことにしておいてくれ」

「うん」

というか、俺やシンクが外国に行ってないことばれたらどうなるんだろ?

なんか色々面倒臭いことのなる気がする。

まぁ、そこらへんはあっちでどうにかしてもらおう。

俺は電話を切った。

そういえば一つ俺について補足をしたい。

俺はレベッカ・アンダーソンと高槻七海とは一応顔なじみだ。シンクとさして変わらない。

レベッカには少し嫌われているが七海とはシンク同様、それなにに仲がいい、たぶん。

何故今こんな話をしたのかは、まぁ、後々分かるだろう。

補足も終了したところで俺は自室を出て、訓練所へと足を運んだ。

昨日からガウルやジェノワーズやゴドウィン将軍と訓練をしている。

ガウル曰く、次にシンクが来る時には互角にあっているべきだ、らしい。

訓練所に辿り着くとそこにはガウルとゴドウィンがいなく、ベール、ジョーヌ、ノワールがいた。

「あれ、三人だけか?」

「うん、ガウ様と将軍様は用事があるって」

用事?なんだろうか?まぁ、俺には関係ないか。

俺は気を取り直して三人の近くまで行き、座禅を組んだ。

「どうしたんですか?」

「ん?少し輝力について研究しようと思ってな」

今からやるのは座禅を組んで輝力に意識を集中、どれくらいの量でどんなことが出来るかとか、属性の変化とか、輝力武装についてとか、色々実際に調べたりしている。

それを三人に説明すると感心された。

「へぇ、そんで駿はできたんか?」

「う・・・・・・まぁ、輝力武装についてはこんなもんかな」

俺はそう言って片手を前に出してから、輝力解放!すると俺の手には全体的に金色と紫色で構成されて、鍔の部分には紫の丸い宝石が組み込まれている刀身が紫色のオーラで出来ている剣が出現した。

まぁ、ぶっちゃけるとタイタンソードです。分かる人に分かればいいです。

「へぇ、駿そんなこと出来るんだ」

ノワールは興味深々とタイタンソードを眺めながら言った。

「まぁ、イメージしやすい物があったからな」

これなら頑張ったらペガサスやドラゴンもいけるかも、とも思っている。

「それじゃこれの性能テストがてらに少しやろうか」

「了解や!」

今回の相手をジョーヌだった。

昨日は確かゴドウィン将軍だったんだよな~、鉄球怖かった。まぁ、目の前ででかい斧かまえてるジョーヌも引きをとらないが。

俺は戦いに意識を集中させて剣を両手に持ち、かまえる。

お互いに間合いを確かめてタイミングを伺う。さすがジョーヌだな、隙がない。

「駿、昨日みたいに凄いスピードで動かない」

「そうですね」

外野のベールとノワールがそんなことを話している。

いや、しょうがないんだ。このタイタンソード、原作ではかなり動きが遅くなるんだから。それを再現したいんだよ。

「そんじゃ、いくで!」

ジョーヌが大きい斧を持ってこっちに跳んで来た。そして斧を思いっきり俺に振りかぶる。

俺は上から振ってくる斧にタイタンソードを軽く当てて、そのまま刃の部分(オーラだが)に手を添えて、いなす様に横に避けた。

そして斧の側面に手を触れて、武器破壊をした。

「勝者、駿」

武器を割った時点でノワールが勝敗を下した。それを聞いて俺もタイタンソードを消した。

「くそ~、負けたか」

「あははは・・・・・・・・・・・・はぁ、正直成功するかは五分五分だったんだよな」

だってタイタンソード使ったの初めてだったんだもの。

結局、この後俺は昼までベールとノワールと訓練を続けた。

ノワールとは輝力使い切るくらいまで戦わされた。あいつって結構負けず嫌いなんだな。

訓練後、お昼も終わらせて俺はノワールとセルクルに乗って風月庵に来ていた。

ここに来たのはガウルとレオ様からの命令。前回の魔物騒動、あれによりガレットにも魔物対策が必要と思ったらしく、それに俺とノワールが選ばれた。

ノワールはユキカゼに直接封印術を見せてもらうらしく、外で二人で戯れていた。一方、俺はダルキアンさんと色々と話していた。

「結構色々なこと聞けたな」

「そうでござるな」

封印術について、魔物について、書物では分からないこが聞けた。いや~、実体験から聞ける情報はやっぱりためになる。

聞きたいことは聞き終ったので俺はカナタさんに淹れてもらったお茶を飲みながら縁側でダルキアンさんとのんびりしていた。

「はぁ、平和だ。お茶が美味い」

「・・・・・・そういえば、拙者も駿殿に訊きたいことがあったでござる」

「?、なんですか?」

色々教えてもらったんだ、お返しには丁度いい。

「駿殿は本当に帰らなくてよかったでござるか?」

「・・・・・・・・・・・・いいんですよ。別にもうあっちに未練ないし」

「?」

ダルキアンさんは未練とはなんだと言わんばかりに首を傾げた。しょうがないか、そう思い俺はダルキアンさんに全てを話した。

もちろん、あの少女についてもだ。それを話し終えるころにはお茶は無くなっていた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

「・・・・・・・・・・・・まぁ、こんなところです」

「そうでござったか。しかし駿殿、駿殿は本当に人間不信でござろうか?」

へ?ダルキアンさんは何を言っているんだ?俺はずっと人を信じなかったはずだ。というより今の話だけで何かわかったのか?

「駿殿はフロニャルドに来て初めてガレットに来た時、こう言ったでござるよ。勇者殿は少し無茶しても約束を守ると。この言葉は勇者殿を信頼してないと言えないはずでござる」

確かに言ったような・・・・・・てかこの人よくそんなこと覚えているな。ん?待てよ?ということは・・・・・・・・・・・・

「俺はずっと昔から人を信用していた・・・・・・?」

はぁ?意味がわからない。なら俺がずっと悩んでいたことはなんなんだ?

「駿殿」

パニックに陥っていたがダルキアンさんのその声ははっきりと聞こえた。

「人を信用出来ないということはその人の悪意ばかりを見ているからでござる」

「・・・・・・・・・・・・」

「しかし人には悪意と同じくらい善意もあるでござる。拙者も魔物に国を滅ぼされた時は悪意が多々あったと思うでござる」

そうだ、ユキカゼもダルキアンさんも俺と似た様な経験をしているはずなのにこんなにも人を信じて何時も笑顔でいる。

「・・・・・・俺とあなたは何が違うんでしょう?」

「駿殿と拙者達は変わらないでござる。だた駿殿は少し、悪意を多く見てしまっているだけでござる」

悪意を多く・・・・・・、よく分からない。

ダルキアンさんは俺の顔から何を思っている察したらしく、話を続ける。

「今は分からなくていいでござるよ。しかし、人と接していけば、いつか分かるでござる、駿殿なら。送還方法を見つけた時も、さっき言った言葉も善意が悪意を上回った証拠でござる」

確かに送還方法を探す時はいつもの謎を追う時と少し違っていた気がする。

あれは俺がリコッタの涙が見たくなかったからあんなに必死だったのかも。てか送還方法の話、既にここまで広まってるんですか。

「善意をみることが出来れば人を信用出来るんですか?」

「まぁ、そうでござるな。人を助けるのもその人の善意を知っているからでござる」

そうか、俺はやっぱり少しずつ人を信頼出来て来てるのか。

そう思うとかなり嬉しかった。いつか俺も人の善意を見ることが出来るようになって心を開けるかもしれない。

封印術のことを忘れそうになるほど、後の話に感激した。

風月庵から帰宅後、俺は自室に戻りあることを考えていた。

それは今日あったシンクからの電話、俺の行方不明の件だ。さて、どうしたもんか?俺の親戚は俺を利用してるからな、うるさそうだ。

「とりあえず、シンクに電話するか」

俺は電話を手にとり電話帳からシンクの名前を選択して、コールをかけた。

数秒、コール音が聞こえた後、繋がった。

『どうしたの、駿?』

「朝話したことの続きなんだが・・・・・・」

『なに?』

俺は喋りながらもある方法を思いついた。まとめる為に手近にあった紙にいくつか要点を書いていく。

「シンク、レベッカや七海に俺のこと話したか?」

『行方不明だとは言ったけど?』

よし、これでいけるな。俺は全て書き終えてペンを机の上に転がした。

「なら、これ以上は情報を回さないほしい。たぶん迷惑かけると思う、すまんな」

『ううん、いいよ。でもどうして?』

「そっちで俺を死んだことにする為だ」

簡潔に言い過ぎたらしく、電話越しにもシンクのクエスチョンマークが感じれた。

「まぁ、時間が経てばわかると思うよ。後、この電話もリコッタにあげて破棄するから」

そう話すとシンクのクエスチョンマークがエクスクラメーションマークに変わった、気がした。

「たぶん、死んだら契約も無くなるかもしれないし、数日経てば通信機的なやつ作れると思うから大丈夫だよ」

『うん、わかった』

相変わらずシンクは物わかりが良くて話しやすい。

俺はシンクとの電話を切り、次にある人物を選択してコールをかけた。

プルルルル・・・・・・プルルルル・・・・・・

コール音が家屋に鳴り響く。正直結構怖い。手が震えてるのが分かるし、嫌な汗が背中を流れている。

ガチャ

コール音が消えて、電話が繋がった。

『駿か?よかった。どこにいるんだ?』

声を聞くだけで嫌になる。電話を切りたくなる。だがやめるわけにはいかない。一言、一言だけ言わなければいけない。

「あぁ、おじさん。・・・・・・それじゃ、さようなら」

そう言って俺は電話を切り、電源を落とした。

これでOKだな。後はあっちでどうなるかだ。

「ふぅ・・・・・・汗かいたな。風呂入るか」

電話をベッドに放り投げて部屋を後にした。

風呂からあがった後、部屋に戻ると何故かレオ様がベッドに座っていた。

「どうした?」

「いえ、どうしているのかと・・・・・・」

そう言うと、レオ様は笑って「ここはワシの城なのだから当たり前だろう」と言われた。これが職権濫用というやつか。

「まぁ、ワシはいいとして・・・・・・この紙に書いているのはなんだ?」

それを聞いた瞬間、手に持っていた服を落としてしまった。

・・・・・・・・・・・・しまった。直すの忘れた。安堵感と残っていた緊張感でそっちまで気がまわらなかった。

俺は頭の中がぐちゃぐちゃな状態だったが、服を拾ってなんとか平常心保ちながら椅子に座る。

「何って、そのままの意味ですが?」

「むぅ、生憎そっちの文字は読めんのだ」

・・・・・・・・・・・・そうだった。走り書きだったから日本語を書いていたんだ。よかった~、ばれてない。

「で、どんな内容なのだ?」

あぁ、さっきの反応でもう、やばいことってのはばれてるな。

「あっちの世界で俺は行方不明になってるんです。それの補正というか対処のことです」

「おぉ、成る程。それでその対処の方法はどうするのだ?」

どうやら全部話すまで許してくれないらしい。

覚悟しなきゃな。

「対処方法ですか?親が死んだ後、一緒に暮らしていた親戚がいるんですが、その人が結構慌てやすくて思い込みが激しいんです」

そういえば、俺が一度夜まで帰らなかった時、警察が動き出した気がする。まぁ、外で本読んでて集中しすぎたのが原因だったんだが。

「その人に、さようなら、と言っただけですよ」

「・・・・・・そうすれば、その親戚は・・・・・・」

「たぶん、俺が死んだと思うはずです。そして警察、こっちで治安を守る人間に知らせるはずです。そしてシンクにも事情を聞きにいきます」

まぁ、世に言う事情聴取というやつだ。たぶん七海やレベッカにもやるだろう。

「そこでシンクには途中で別れて知らないと答えるように言っています。だからあいつらも分からない。もしかしたら外国、まぁ、別の国に行ってないことがばれるかもしれませんが、大丈夫だと思います。シンクがそれに触れてませんでしたから」

勇者召喚時と送還時に何かしらの補正があるのかも知れない。というのが俺の仮定だ。

「しかし、それだけでは行方不明で終わるのではないか?」

いい質問ですね。ついつい言いたくなるな。

「生憎俺はこの前まで自殺志願者でしたから、そういった証拠は結構残しているんですよ」

「そうであったな、ガウルから聞いた。しかしお主は変なことを考えつくな」

レオ様のその言葉に俺は少し笑ってしまった。

「変なこと?いやいや、俺はあっちの人間を"信頼"しただけですよ」

「ふっ、お主がそれを言うとは皮肉だな」

どうやら、ガウルは俺が話したことをほとんどレオ様に報告しているらしい。

「そういえば、レオ様。明日からシンクとの通信機作る為に少しビスコッティに滞在しようと思ってるんです」

たぶん、作るのに数日かかるだろう。

「別に構わんが」

「ありがとうございます」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「えっと・・・・・・話、終わりましたよね?」

「そうだな」

そう言ってレオ様は座っていたベッドに寝転がった。

「居座る気ですか?」

「むにぁ~」

あ、聞いてない。まぁ、聞いていても職権濫用で結局居座ると思うが。

諦めてベッドに転がるレオ様を眺めていた俺は思った。

レオ様って俺と歳変わらないのに、領主の仕事をやっている時はなんか年上に見えるしミルヒオーレさんに甘えている時は年下に見える。

まぁ、どっちにしろ俺と同じ歳にはあまり見えない。にしても・・・・・・

「レオ様って可愛い部類だよなぁ」

「ほう、私に惚れたか?」

おっと、どうやら声に出ていたらしい。

「そんなわけないじゃないじゃないですか」

俺は椅子から立ち上がり、ベッドに寝転がっているレオ様の近くに座った。

「恋愛とかってのは、本当に信頼出来る異性とやるもんだろう?そんなこと、そうそう・・・・・・・・・・・・」

信頼しきって漫画の様に誰かとキャッハウフフしている俺の姿は到底想像できない。

「・・・・・・さて、それではワシは部屋に戻ることにしょう」

そう言って、レオ様は部屋から出ていった。

あれ?なんか突然あっけなくなったな。

「まぁ、いいか」

今はそんなことに頭を回せる様な状況ではない。結構詰め詰めのスケジュールだったので疲れているのだ。

俺はベッドに倒れる様に寝転がり、そのまま夢の世界に飛び込んでいった。

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