神桜のノスタルジア   作:ヘリーR

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 いろいろブッ飛びまくりのオリジナル作品です。
 はじめは分かりにくいかもしれませんが、楽しんでいただけるとありがたいです。


プロローグ

 2457年8月26日、太陽系第三惑星――地球の、とある場所。

 二人の青年が、全身を赤黒く染めた「人間らしき何か」と戦っていた。

 

 といっても、その戦いはすでに始まってから5日が経過しており、青年たちも戦闘で空腹をまぎらわすことができなくなっていた。

 

 「おい…今頃言っちゃあなんだけどよ、一時休戦協定とか結べねーのか?」

 

 大きくハネた銀髪に水色の中折れハット、紺のスーツといった出で立ちの青年が、その容姿には到底そぐわない口調でもう一人の青年に問いかける。

 

 「…無理だろうな、そもそも奴には空腹などという概念がない。その上今奴は俺らとの戦闘しか頭にないだろうからな。まあ仮にできたとしてもその間に体力回復されて今までの戦いが水の泡だ。そんなことは断じて許されない」

 

 もう一人――袴に武士風ポニーテールという侍のような姿に眼鏡をかけている――の青年は、冷静な口調で冷静に応じた。

 

 「だー、わかってるよんな事ぁ、ただの空腹アピールだっつーの」

 得体の知れない謎の生物と5日かけて戦っているのにそんな事が言えるスーツ青年はすごい精神力だ。

 

 「なら、さっさと奴を倒そう。こっちも限界が近いが、向こうも限界が近いはずだ。ここ一番の大技で決めてしまおうじゃないか」

 そして5日間飲まず食わずなのに冷静沈着極まりない侍風青年も相当な精神力を持ち合わせているだろう。

 

 「…ヘッ、言ってくれるよな。ここ一番の大技なんてないくせによ」

 「なら、創ればいい。火事場の馬鹿力でな」

 「その例え、正しいのか?」

 「さあな」

 

 「我ヲォ…我ヲ汚スカ…世界ヲ司ル者ノ一柱タル我ヲォォォォォオ!!!」

 

 ここに来て軽口を言い合っていた二人に、「人間らしき何か」が声をあげる。

 「何か」はその手に持っていた禍々しい剣を一閃。すると瘴気をまとった光線が斬撃の軌道から放たれる。

 

 「ケッ!てめぇは既に汚れてんだろ!」

 

 二人の青年は難なくその光線を避ける。最初は苦戦したこの光線も、さすがに慣れてきた。

 

 「んじゃ、とっとと決めちまうぞ!」

 「お安いご用だ」

 

 二人の青年はそれぞれの得物――スーツ青年は刺々しい刀、侍風青年は刀身が緋色に輝く日本刀――を構えて「何か」に向かって駆け出す。

 そして十分に近づいたところで一斉に飛び上がる。

 

 「我ガ刑ニテソノ身ヲ滅ボセ!汚レシ者者ヨォォ!」

 「何か」は叫びをあげながらその剣を構えて力を込める。

 

 「滅びんのはてめぇだクソ野郎…、《散春(さんしゅん)桜花檄(おうかげき)》ッ!」

 「その赤黒い瘴気、消し飛ばしてやる…、《結化(けっか)緋水晶(ひすいしょう)》!」

 

 「オオオオオオオオォ!!《魔叫(マキョウ)》ォォォォォォォオ!」

 

 それぞれの得物が交錯する。

 衝撃が周りに広がり、地面がひび割れ、浮かび上がる。

 

 ………………衝撃が止み、浮かび上がっていた地面は岩雪崩となって落ちてくる。

 はたして、結果は。

 

 

 二人の青年は、その衝撃の爆心地であった場所に仰向けに倒れていた。

 しかし、その顔は達成感に溢れていた。

 そして、「何か」は消し飛んでいた。本当に消し飛んだのか、危機を感じてテレポートして逃げたのかは分からない。だが、これだけはわかる。

 二人の青年は、世界を壊そうとしていた「何か」に勝ったのだ。

 

 「…フッ」

 「…ヘヘッ」

 

 つい先ほどまで行われていたこの世界の命運を左右する戦いの跡地に、二人の青年の笑い声だけが響いていた。

 

 

――この物語は、この戦いの二年後、とあるカフェから始まる――――――

 




 というわけで、プロローグでした。
 本編は次回からということになります。
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