「すすすすみませんでしたっ!!」
《聖裁人》は前置を含むノスタルジアメンバーの前で頭を下げた。
「まさか、かの四天王の一人たる《極幻》とそのお仲間だったとは……本当に、申し訳ない」
「そんなに謝らなくてもいいさ、君がさっき言った『噂されているのは悪党の間』というのはあながち間違っちゃいないからね。彼らが君たちのことを知っているのにはきちんとした訳がある」
「……防衛ギルド『ノスタルジア』、そのメンバーが俺らのことを知らないはずがない、ということだな」
これまでずっと黙っていた《豪火》が口を開いた。
「そういうことだ。そして僕は警視庁防衛ギルド監察課名古屋担当、後付前置だ。よろしく頼む」
「
「
雷斬は、気が沈んでいる様子。
「まったく…いつも早とちりなんだよ、おまえは」
「本当……申し訳ねぇ…」
「気にすることはないですよ。防衛ギルドは基本非公開の団体ですし、何より……後付さんが《極幻》だったなんて、私たちも知りませんでしたからねぇ」
無響が穏やかに言う。
四天王。
日本トップ4の実力者にして、世界でも指折りの名高い戦士。
《極幻》《深淵》《軍神》《修羅》。
日本が誇る四大戦士、その二つ名はわかっていたが、用紙や名前は公表されていないため、その正体を知るものはごくわずかである。
それがまさか、自分の知る者だったとは。ノスタルジアメンバーは驚愕したのだ。
「いやぁ、すまないね。あまり頼られたくないから言わなかったんだ」
「世界トップクラス、とは言っていたがな」
嫌味な口調で唖門が呟く。
「ああ、そうか。頼られてもおかしくなかったな、ハハハ」
前置はのんきに返した。
「…で、だ。風切君に天上君。君たちは強い。僕としては、君たちにノスタルジアに入ってほしいと思っている。どうかな?」
「どうもこうもないですよ。喜んで入らせていただきます」
「同じく。喜んで加入させていただきます。今まで入らなかった理由なんて、どこにあるか分からなかったってだけですから」
雷斬と天下は揃って丁寧に頭を下げる。
「じゃ、まずは試してみようか」
「「………試す?」」
二人は何の話だと言う様子。
「ああ。ついさっき情報が入ってね、市役所周辺で魔人が3人、暴れているらしい。二人には、それの鎮圧をしてもらいたい。もちろん、魔人だから、手加減をする必要はないよ。ただし、まわりの一般市民や建造物には傷をつけないように頼む」
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市役所。
その周辺に、体の黒い人が3人。
否、人ではないか。魔人が3体。
近くの一般市民を襲ってはいないが、停められている自動車やガードレールなど、人工物を片っ端から破壊している。
逃げ惑う人々。その中に、一人流れに逆らうものがいた。
《豪火》――天上天下である。
迷うことなく1体の魔人――ガードレールを壊している――に向かって歩いていく。
自らに近づく気配を感じたのか、魔人はガードレールを壊すのをやめ、その手に持っていたガードレールの残骸を振りかざす。
降り下ろされるガードレール。
天下はそれを、鞘から抜いた刀で受け止めた。
「発火」
天下が呟くと同時に、彼の刀の根元から分岐している小さな突起から炎が上がり、刀身を包む。
その炎はガードレールに移り、さらに魔人にも燃え広がる。
「グギャガギャギギギャ!」
魔人は焼け焦げて力尽きた。
炎を操る刀――それが天下の武器、宝具《
同族の断末魔を聞いた他の魔人が天下に向かって駆け出す。
しかし、突如吹いた強風によって2体の魔人は空中に飛ばされる。
そして、走る電光。
断末魔を上げる間もなく2体の魔人は倒れた。
「ふう…仕事は遂行したな、あのカフェに戻ろうか」
「おう」
《聖裁人》と《豪火》は颯爽と帰っていった。
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雷斬と天下のふたりの戦いを、少し離れたビルの屋上から眺める二つの影があった。
「ふん、あれが新入りか……なかなか強そうじゃねぇか……おい《鉄仮面》、次の準備はできてるか?」
「ええ。もちろん、できてますとも。しかし、新たなメンバーの情報が先に得られるとは、意外でしたね……これは偶然なのか、それとも、こちらの存在に気づいているものがいるのか…」
「どう考えても後者だろうな。ったく、主要メンバー4人の情報が手に入らねーたぁ、鬱陶しいぜ……まあいい、楽しみは長い方が良いからな。ククク……」
不穏な空気が、流れ始めていた。
前置が実はかなりの強者だったことが分かった1話でした(戦ってはいませんが)。
そしてついに敵サイド登場。これからどう展開していくのか、お楽しみに!