神桜のノスタルジア   作:ヘリーR

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第11話「鉄仮面」

 「う……ん」

 

 目が覚めた暁はしばらく状況が理解できなかった。

 なぜ眠っていたのか、思い出せない。

 

 「おや、やっと起きましたか」

 

 聞こえてきた無響の声にその声の主を探すと、目の前にいた。

 

 「……ここは?」

 「プールサイドのベンチです」

 

 言われて暁は思い出した。

 自分は無響にクロールの泳ぎ方を教えてもらっていて、ちょっとした(?)ハプニングがあり、それで気絶したのだ。

 思い出して恥ずかしいような、嬉しいような、複雑な気分に浸っていて、暁はまた重要なことに気づく。

 今、暁は寝ている状態だ。それでいて、目の前に無響の顔がある。ここはベンチ。ということは……、

 

 (も、もしかして私、今無響さんに膝枕されてる!!?)

 

 ベンチに座っているので、正確には膝枕とは言えないのだが、まあ、似たような状況にあるのは確かである。

 

 あまりの刺激に暁が再びのぼせそう(?)になっていると、無響が口を開いた。

 

 「その……暁さん、先程はすみませんでした」

 「…へ?何が?」

 

 問い返すと無響は、

 

 「いや、その……胸に、手が当たってしまったことが…です」

 

 と、頬を赤らめて言うではないか。

 暁がドキッとしないわけがない。

 

 「い、い、いやいやいやいや、気にしなくていいよ、当たったのは偶然だし、私だって泳ぎ方を教えてもらってる身なんだし!」

 

 慌てて首を振る暁。

 今日は刺激が強すぎる。

 誰のせいでこんな日になったんだっけ。

 そうだ、九綺だ。帰ったら懲らしめてやろう、夕飯にチリペッパーをこれでもかと言うくらい入れてやる。

 

 そんなことを考える暁であった。

 

 「さて……、じゃあそろそろ、練習に戻りましょうか」

 「う、うん」

 

 二人のクロール練習再開。

 その後、なんなく暁はクロールが泳げるようになった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 練習を終え、元の服に着替え、プール場から出てきた暁と無響。

 このまま平和に帰れたらどんなに良かったか。

 

 「う、うわぁぁぁぁぁぁぁあぁあ!!」

 「「ッ!!」」

 

 突如聞こえた悲鳴。距離はそう遠くない。

 

 「何かが起こっているようです、行きましょう、暁さん!」

 「了解!」

 

 悲鳴の聞こえた先はすぐそこの角を曲がったあたり。

 行ってみれば、予想通り。

 

 「魔人!それも5体も!急ぎ殲滅しましょう!」

 「OK!」

 

 といっても、魔人5体程度など、二人からすれば大した敵ではない。

 無響が《桜刃花》を飛ばしてすぐさま4体を撃破し、その間に暁が残り1体を切り伏せる。

 

 混乱はすぐに収まった。

 

 しかし、この事件は、これから先の長い戦いのプロローグでもあった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 相も変わらず、前置はモニターを見ていた。

 《鉄仮面》の出現パターンを探るためである。

 

 すると突如、画面にノイズが走る。

 

 「ッ!今見ているのは記録映像であって、今までノイズが出たことはなかった………となれば、相当強引なジャックか……」

 

 ノイズが収まり、画面に映し出されたのは、果たして。

 今、前置が調べていた張本人であった。

 

 『やあ、初めまして……いや、お久しぶりです、と言った方が正しいのですか?《極幻》』

 「―――っ、《鉄仮面》……」

 

 なぜ、この時に、こんなことを。

 

 「………こんなことをするからには、何か伝えたいことがあるのだろう?速く伝えると良い」

 『いやぁ、察しが良いと助かります……では、手短に』

 

 続けられた言葉に前置は驚愕した。

 

 『《狂戦士》と《明星》の戦闘の様子、見させていただきました』

 「……ッ!バカな、そんな気配は…」

 『やはり、あなたがあの四人を私たちから遠ざけてましたか……いや、街中をを徘徊してたら偶然見かけましてね、魔人を送って……というわけです』

 「何だと……お前の出没の気配すら感知していないぞ……」

 『そんな簡単に見つかりませんよ……では、さようなら。ククク……』

 

 前置は、元に戻ったモニターを呆然と見つめていた。




 これからは1話ごとの文字数を増やしていく所存です。
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