神桜のノスタルジア   作:ヘリーR

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 なんだか正義系戦闘ものって、文章書きにくい気がします。


第1話「桜舞い、悪を断つ」

 2459年。地球。

 この時この星では、古代の考え方が復活し、20世紀に考えられていたような科学的な考え方が覆されていた。

 すなわち。

 「神」の存在の確認である。

 確認というには、その姿が見つかったわけではないのだが、それと対をなす存在が見つかった――否、暴走したのだ。

 二年前、「魔王」の暴走。

 それにより、魔王と対をなすと言われる神の存在が疑われ始めたのだ。

 そしてその後、突如空が黄色に輝く、その中から大きな白い人影が見えるなど、謎の現象がたびたび起き始めたのだ。もちろん、最新の科学による分析は行われた。しかし、それでは説明をつけることができなかった。

 まだ解明できるほど科学が進んでないのではないかなどという意見もあったが、魔王が自ら姿を現すという事もあったため、これは神の存在を示すメッセージであるという意見が世論のほとんどを占めた。

 そしてもうひとつ、神の存在を疑わせるような能力が出てきたのだ。

 魔法、である。

 魔王の暴走が始まった二年前より少し前から魔法を使う人が現れ始め、それ以来神の存在は確認するまでもなく信じられている。

 

 魔法の誕生によって、それまでとは明らかに変わったことがある。

 それは、ギルドの誕生だ。

 魔法と言っても多種多様であり、戦闘系、生産系、飼育系など、様々な魔法がある。

 ゆえに、工場系ギルド、動物育成系ギルド、戦闘系ギルドなど、ギルドの種類も様々である。

 そんな様々なギルドのなかで、現在もっとも重要視されているギルドが、防衛ギルドである。

 防衛ギルド。

 読んで字のごとく、国や地域を守るギルドである。

 国防や警察のための政府の政策で、現在、防衛ギルドは札幌、仙台、秋田、東京、名古屋、金沢、京都、大阪、松江、高知、福岡、鹿児島、那覇の13ヶ所に設置されている。

 無論、これら13の防衛ギルドは国が作ったわけではなく、能力者が作った防衛ギルドの所在位置(仙台、東京、名古屋、京都、松江、福岡)に加え、国が重要とする都市で防衛ギルドがなかったところ(札幌、秋田、金沢、大阪、鹿児島、那覇)に防衛ギルド推奨令を発布し、そこに住む能力者たちが立ち上げた結果の13防衛ギルドである。

 中でも、東京、名古屋、京都、松江の防衛ギルドはトップクラスの強さを誇る。

 そしてこれは、名古屋の防衛ギルドのメンバーたちの物語である。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 とある山の奥地。大きく、無機質な外見の建物が、その外見に反してひっそりと建っていた。

 しかし、そのインテリアはとてつもなく豪華で、金銀財宝で煌めいていた。

 その財宝の中央、美麗な修飾を施された椅子の上に、太った男がにたにた笑って座っていた。

 「いやー、おまえの選択はとても良い。まんまと騙されるバカばっかりだ。感謝しておるぞ」

 その男の視線の先には、部下とおぼしき一人の痩せた男が跪いている。

 「いえいえ、すべてはボスの手腕のお陰でございます。私の選択が良いなど、滅相もございません」

 「おまえは媚びを売るのが得意だな。もっと正直に喜んで良いのだぞ」

 「とんでもない。これこそ私の正直な気持ちでございます」

 「…まあよい。今日の宴会はおまえの仕事ぶりを祝っての事だ。遠慮せず楽しめ」

 

 宴会――というように、彼らのまわりには他の部下とおぼしき連中がおり、大小さまざまな料理などが並べられていた。

 

 「…では、お言葉に甘えまして、楽しませていただき―――――」

 

 突如、入口のドアが破壊される。

 

 「――ッ!何者だッ!」

 

 すぐさま部下たちが反応する。

 

 「はーい、お邪魔しますよーっと」

 

 壊されたドアから中に入ってきたのは、銀髪に水色の中折れハット、紺のスーツといった出で立ちの男だ。

 ドアの破壊という行為をするとは思えないほど優雅な足取りである。

 

 「えーと、あなた方ですか?詐欺、強盗殺人を繰り返してるっていうのは?」

 「ッ!」

 

 詐欺はいずれバレると思っていた。しかし、お抱えの忍隊による強盗殺人が見抜かれていようとは、男は思いもしていなかった。

 ここまでバレているのなら仕方がない。

 「おまえら、やっちまえ!」

 

 即座に部下たちが各々の得物を取り出し、侵入者――乱入者というべきか――に攻撃を仕掛けて行く。

 

 「ふむふむ…剣、銃、ハンマー、バット…色々ありますねえ。ま――」

 

 しかし、その得物たちは乱入者の身に届く前に無惨に砕け散った。

 

 「―――そんなどこにでもあるような武器では私は倒せないんですがね」

 

 男は驚愕の念を抱かずにはいられなかった。だが、その裏では勝利の確信に満ちていた。

 

 (ククク、それだけではないぞ…今にも我が自慢の忍隊が貴様の体を切り裂くだろう…)

 

 「…おや、忍の者もいるようで」

 

 バレていた。

 

 だが、その忍隊の速さについていけなければいずれにせよこちらの勝ちだ。自慢の忍隊の動きが見破られるはずはない、そう思っていた。

 

 しかし、全員――8人の忍は、空中で動きが止まった。飛び掛かったところを止められたのだろう。

 しかし、8人の動きを止めているものがわからない。いったい何があるのか………そう思うのも束の間。

 空中で動きを止めていた8人が突如左胸から血飛沫をあげながら地面に崩れ落ちていった。

 男はさすがに驚きを禁じ得ない。

 だが驚きながらも、ひとつ気づいたことがある。

 乱入者のまわりに、数枚の花びらが舞っていたのだ。

 

 「桜…? そうか、わかったぞ。貴様、名古屋の防衛ギルド『ノスタルジア』の花舞(はなまい)無響(むきょう)だな」

 「おや、ご存知でしたか。いったいどこから広まるのやら」

 「おいおい、あんたら防衛ギルドの情報は、俺ら犯罪グループには重要事項だぜ、知らないはずないだろ。おい、おまえたち、まだやれるだろ、あいつをぶっ飛ばしちまえ」

 

 男の部下は、何も寄せ集めというわけではない。体術もそれなりには身に付けている連中だ。武器を壊されたくらいで怖じ気づきはしない。

 

 「うん?あれあれ?私たち防衛ギルドの情報を手に入らしているのなら、その防衛ギルドのメンバーなどがあなた方犯罪者のもとに現れたときの裏のメッセージくらいは分かってますよね?」

 「…メッセージ、だと?」

 「ええ、そうです。メッセージ――降参すれば、情状酌量などで牢獄に入れられるくらいで済むかもしれないが、抵抗した場合には、生死を問わない――というメッセージを」

 「……ッ!」

 

 そう、防衛ギルドのメンバーが来るということは、警察の手に余る連中だということであり、生死を問わず処罰されるべき連中だということだ。

 それをたくさんの詐欺や強盗、殺人を犯している彼らが知らないはずがなかった。

 

 「ハッ!降参して捕まったところで、これだけやらかした俺らが死刑を免れるわきゃねーんだよ!」

 

 若干開き直り気味に男は抵抗の意思を見せる。それと同時に、部下たちが拳を握って無響に飛びかかってきた。

 

 「なるほど…それも確かですね。まあ、あなた方が降伏しないことは分かりました。残念です」

 

 静かに、遠回しに、死刑宣告を告げた無響。

 

 刹那。

 

 部下たちは体中のあちこちから血飛沫を飛ばしながら崩れ落ちた。

 無論、男も例外ではない。

 

 「おや、なかなかしぶといですねぇ…、とどめは刺さないでおきましょう。では、さようなら」

 

 背中を向けて去っていく無響の背中に、男は、息も絶え絶えに彼の二つ名を言った――皮肉のつもりだろう。

 

 「こ、この………」

 

 彼は。

 花舞無響は、こう呼ばれている。

 

 「《狂戦士》がぁ………」

 

 そう言って男は、息を引き取った。

 

 「バーサーカー、ですか……その呼び方は、今の私には当てはまらないんですがね……まあ良いでしょう。定着してきてますし」

 

 もうその命を散らせ、何も聞こえない男への一応の返答なのだろうか、無響は呟くように言う。

 

 「さて、帰りますか…後片付けは、担当の方々に任せておけば良いでしょう」

 

 颯爽と去っていく無響の姿を、その目に捉えた者は、絢爛豪華な内装の建物の中に、一人もいなかった。




 作風的にはSAOやアカメのような、冒頭主人公サイドTUEEE系です。
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