神桜のノスタルジア   作:ヘリーR

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 ものすごい勢いでキャラが増えていきます。


第3話「戦闘開始」

 愛知県瀬戸市のはずれにあるとある廃墟。まわりは森で、この廃墟のまわりには家などひとつもない。

 こんな廃墟に人が住んでいるとは、普通誰も思わない。

 しかし、住んでいるのだ、人が。

 この廃墟には地下フロアがあり、そこは地上フロアとは打って変わって普通の家のようである。広さは中々なもので、それだけに限定して言えば豪邸のような広さだ。

 そこでどんちゃん騒ぎをしている男が24名。

 いうまでもなく、静岡、長野南部で誘拐を繰り返している実動舞台だ。

 彼らは子供を誘拐したことで静岡・浜名湖近辺に身を潜める依頼主から金を受け取り、楽しい夜会を楽しんでいた。

 

 「そういやあの依頼人さんよぉ、毎回スゲー額くれるけど、そんだけ金あってなんで誘拐なんかしてんだろうな?」

 「さあ?まあ、俺たちは今こうやって幸せにしてるからどうでもいいんじゃね?」

 「そうだそうだ、今はエンジョイだエンジョイ!」

 「…そうだな。よっしゃ楽しむか!」

 

 「……おい、少し静かにしろ」

 

 24人の男たちの中で、最も屈強な男が低い声で言う。

 

 「んだよ。せっかくエンジョイしようと思って」

 「上だ。何か聞こえないか」

 

 「…ホントだ。何かが崩れる音だな……まさか、上の廃墟が」

 

 刹那。

 天井の一部が崩落した。

 

 「ッ!強化した天井の自然崩落などあり得ない!これは人為的な――」

 

 「―――そや、人為的やで」

 「!!」

 

 声と共に天井の穴から瓦礫の上に降り立ったのは、カジュアルな服装をしたおかっぱ頭の女性だった。

 

 「んあー、なんで誘拐された子供たちが静岡におるっちゅーのに、誘拐した本人は瀬戸なんかにおんねん。めんどくさいわぁー」

 

 それに続いて三人、降りてくる。

 

 「しかも廃墟の下なんて、隠れるにしても趣味悪いよね」

 「その上きっちり整頓してある豪華な部屋が地下があるとはな」

 「あー、私、本日二度目の『外見に反して中身豪華な部屋』なんですが…うう、参りますねぇ」

 

 順に、ポニーテールの女性、和服に眼鏡の男性、水色の中折れハットに紺スーツの男性というふうに天井の穴から降りてきた。

 瞬時に彼らは悟った。

 

 「おまえら…防衛ギルド『ノスタルジア』の《鉄槌》、《明星》、《剣聖》、《狂戦士》だな?」

 

 「よぉーわかっとるやないか。じゃあ、あたいらが何をしに来たかも分かっとるやろ?」

 

 関西弁の女性――《鉄槌》絹笠九綺が凄みを乗せた声で問う。

 

 「………ああ、わかるとも。俺らを処罰しに来たんだろ?」

 

 「ご名答だ。では、質問だ。ここで降参して大人しく捕まるか?」

 「それとも、抵抗してボコられる?」

 

 九綺に続いて、《剣聖》時狭間唖門、《明星》朝長暁が問いかける。

 

 「いやいや、捕まるわきゃーいかねーな。俺らはここでてめぇらを倒して、もっと子供を誘拐して見返りに金をガッポガッポいただくんだ。さあ、覚悟しろ!おめぇら、6人ずつに分かれろ!」

 

 丸いサングラスをかけたノッポな男がメンバーに命令する。

 

 「おや、4対24の混戦を避け、1対6にわけましたか。その判断、吉か凶か」

 

 飄々とした様子で《狂戦士》花舞無響が相手の判断を批評する。結果はやってからのお楽しみと言わんばかりの評価のしかただ。

 

 「フン。吉か凶かだと?そんなもの、自力で吉に転じるんだよ!」

 

 屈強な男が意気がって言う。

 

 「そう。ならこっちは自力でその判断を凶に転じないと、だね♪」

 

 楽しげな様子で暁が言う。

 

 「言ってろ。今から蹴散らしてやる!」

 

 サングラスノッポ男が怒鳴ると同時に6人ずつに別れた集団が四人に向かって突っ込んで行く。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 一方その頃、浜名湖近辺に、静岡県知事とたくさんの人が集まっていた。

 言うまでもなく、誘拐された子供たちの親である。

 

 その前に立つ、3人の男性。

 無響が言っていた「彼ら」である。もちろん、『ノスタルジア』のメンバーだ。

 

 「…んじゃ今から俺は子供たちを助けに行ってくる。一人ずつこっちに連れてくるから、護衛は頼んだぜ」

 

 額から右頬まで入った三日月形の刺青が禍々しさを放つ、茶髪の少年が言う。

 名前は零度(ぜろど)無限(むげん)。二つ名は《漆黒》。

 

 「任せておけ。護衛など朝飯前だ」

 「しっかり守ってみせるよ」

 

 サングラスにスキンヘッドの長身の男性と、白いハンチング帽を被り青い長髪を襟足で結んだ男性が明るい調子で返事をする。

 

 サングラススキンヘッドの男性の名前は八葉(はっぱ)六四朗(ろくしろう)。二つ名は《紅蓮》。

 ハンチング帽に青髪の男性の名は王目我(おめが)絶斗(ぜっと)。二つ名は《水青(すいせい)》。

 

 ちなみに、六四朗や無限の容姿についてを突っ込むのは野暮なことである。絶対に聞いてはいけない。はず。

 

 …のだが、なぜか一番注目を浴びているのは絶斗だった。

 後ろからこそこそと話し声が聞こえる。もちろん、子供たちの親の声だ。

 

 「……ほんとに男の人なのかしら?」

 「女の子みたいな顔してるものねー」

 

 「うう…だから、男だって言ってるだろ………ていうか子供の心配しろよ……」

 

 絶斗が一人ごちる。

 そう。絶斗はれっきとした男性なのだが、その線の細い顔立ちに長髪であることも手伝ってか、黙って立っていればものすごい「美少女」もしくは「美女」に見えてしまうのだ。

 今まで何度男に「一目惚れした!」と告白されただろうか。

 ならば髪を切ればいいと思うだろうが、切ったら切ったで「ボーイッシュな美人がいるぞ!」と騒がれる始末。結果が変わらなかったので伸ばしている。短くするとハネるのが嫌だとか。

 

 「はは、おまえも苦労人だな。まあ、とりあえずは目の前の仕事に集中しよう」

 「…ああ、そうだな。今はみんなを守ることが先決だな」

 

 

 こうして、瀬戸の外れと浜名湖のほとりで、それぞれの戦いが始まった。

 




 名前が変わっているのはご愛嬌です。
 許してください。

 それから、無限と無響が共に頭文字「む」でややこしいかも知れませんが、どちらも気に入っている名前なので、そこのところご了承ください。
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