ラブライブ!×遊戯王 ~School idol duelist~ 作:みんふみ
城之内克也と絢瀬絵里という、異色の組み合わせによるデュエル。
遊戯達がラブライブの世界にやってきて初めてのデュエルが行われようとしていた。
……とその前に、絵里の左腕にはデュエルディスクが装着された。
遊戯達はデュエルをするために何度も使っているため使い慣れているが、もちろん絵里たちラブライブ組は初めて使うこの装置。
「……でな、えりち。ここにカードを置くと……」
「置くと……? な、なにこれ!?」
希に言われたとおりに絵里がモンスターカードをディスクに置くと、置いたモンスターが立体映像となって出現した。
その光景を見ていた穂乃果たちも驚きの表情を浮かべる。
「……す、すごーい!!」
「近年のテクノロジーの進歩はすごいという話はよく聞きますが、こんなことまで可能になっていたのですね……」
「……」
驚く穂乃果と海未。
一方、ことりは眉間にしわを寄せて思案顔になる。
「ま、これでこの機械の一通りの使い方は教えられたかな? えりち、頑張ってな」
「……ところでよ、希はどうやってデュエルディスクの使い方を知ったんだ?」
「簡単なことだ凡骨。それはな、スピリチュアルパワーだ」
真顔でそう答えた海馬に対し、城之内はやや間をおいて海馬の顔を見た。
「……ワリィ海馬、何言ってんのか全然わかんねぇ」
「なに城之内君、いつか分かる時が来る」
「遊戯……頼むから、答えが気になるのに流そうとするのはやめてくれ。余計気になっちまう」
「……さ、そろそろ始めましょうか。準備はいい?」
「あ、ああ……! いつでも良いぜ」
スピリチュアルの謎を知りたい城之内であったが、絵里の準備が整ったのでやむなく追及を諦めることに。
「先攻は私みたいね。確か、今のルールだと先攻はカードを引けないのよね。私は魔法カード『独奏の第1楽章』を使うわ。自分の場にモンスターがいない時に発動でき、手札・デッキからレベル4以下の「幻奏」モンスター1体を特殊召喚する」
「幻奏モンスターのデッキか……」
「私はデッキから『幻奏の音女アリア』を攻撃表示で特殊召喚。この瞬間、特殊召喚したアリアの効果が発動するわ。特殊召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの「幻奏」モンスターは効果の対象にならず、戦闘では破壊されなくなる」
「1ターン目から、効果の対象にならない効果と戦闘では破壊されない効果を持つモンスター……面白れぇ、テンション上がってくるぜ」
「おい凡骨。勝手に盛り上がるのは結構だが、負けは承知せんぞ。貴様の惨めな敗北によってここを追い出されることは、断じて認められん」
「……お前さぁ、勝ってほしかったらその物の言い方なんとかしろよな?」
いつも通りの光景だが、海馬の言葉に城之内が噛みついている。
「……まだ私のターンの途中よ。さらに手札から魔法カード『トランスターン』を使うわ。特殊召喚したアリアを墓地へ送って発動。墓地へ送ったモンスターと種族・属性が同じで、レベルが1つ高いモンスター1体をデッキから特殊召喚する。墓地へ送ったアリアのレベルは4……よって私は、レベル5の『幻奏の音女エレジー』を攻撃表示で特殊召喚」
「おぉー、流石はえりち。最初のターンから飛ばすなぁ」
幻奏モンスターを扱う絵里にとって、この最初のターンはかなり理想的な出だしである。
エレジーはフィールドに存在する限り、自分フィールドの特殊召喚された「幻奏」モンスターは効果では破壊されないという強力な耐性効果を発揮する。
この効果は特殊召喚されたエレジーそのものにも発揮されるため、相手はエレジーを戦闘破壊しないと満足に身動きが取れなくなる。
さらに、特殊召喚された場合天使族モンスターの攻撃力を300アップさせる永続効果もある。
上昇値は微々たるものだが、全体強化はなかなかに侮れないのが遊戯王である。
「まだよ。さらに手札から魔法カード『死者蘇生』を使うわ。トランスターンで墓地へ送ったアリアを攻撃表示で特殊召喚」
「……ほう。絢瀬絵里、なかなかの腕だな」
「ああ。城之内君は序盤から苦戦しそうな展開だ」
μ'sのメンバーに視線を奪われがちだった遊戯と海馬も、ここにいたりデュエルに集中し始めた。
いや、それが本業なのだからそっちを頑張ってほしいものである。
「……なるほどな。1ターン目から強力な布陣を整えてきた、そういうことか。アリアの効果で戦闘破壊を防ぎ、エレジーの効果で効果破壊を防ぐ……」
「毎日希に鍛えられてるもの。これくらい当然よ。でもね、今日の私はこれで終わらないわ」
「まだ何かあるのかよ……」
「自分フィールドに幻奏モンスターが存在する時、手札の『幻奏の音女ソナタ』を特殊召喚できる。私はソナタを守備表示で特殊召喚」
絵里のフィールドに、3体目の幻奏モンスターが出現した。
特殊召喚したソナタには永続効果として、自分フィールドの天使族モンスターの攻撃力・守備力を500アップさせるというものがある。
よって、絵里のフィールドの幻奏モンスターはエレジーとソナタの効果で、攻撃力が800上昇することになる。
300ならともかく、800の上昇は流石に無視できない大きさである。
「私はこれでターン終了」
「なら俺のターン、ドロー! 俺は手札から『伝説の黒石』を召喚! 効果を発動するぜ。このカードをリリースして発動でき、デッキからレベル7以下の「レッドアイズ」モンスター1体を特殊召喚する。まさに、レッドアイズデッキの救世主的存在だぜ」
「レッドアイズデッキ……」
「俺は伝説の黒石をリリースして、デッキから『レッドアイズ・ブラックドラゴン』を特殊召喚!」
城之内のフィールドに現れる、黒の身体に真紅の瞳を持ったドラゴン。
海馬の持つブルーアイズよりは攻撃力も低くレア度も高くはないが、そのフォルムから愛好家も多いモンスターである。
「攻撃力2400……確かに強力なモンスターであることは認めるわ。でも、今の状況では私の有利は変わらない」
絵里の言葉は虚勢でも脅しでもない、純然たる事実である。
アリアとエレジーの効果で強固な布陣を敷いている幻奏モンスターは、まず破壊できない。
戦闘ダメージを与えようにも、アリアの攻撃力は2400、エレジーに至っては2800になっている。
これではダメージを与えることは出来ずに、次のターンに破壊されるのがオチである。
「……確かにそうだな。だから俺は、普段とは違った戦法を使うことにするぜ。手札から魔法カード『黒炎弾』を発動! このターン、レッドアイズ・ブラックドラゴンの攻撃を封じる代わりに、相手にレッドアイズの元々の攻撃力分のダメージを与える!」
「くっ……」
「これならどんな強力な陣形でも関係ねぇ。レッドアイズデッキには、こうした戦い方もあるんだぜ?」
「やるな、城之内君!」
「ふぅん、凡骨にしては上出来だ」
ライフ4000ポイント制を採用しているこのデュエルでは、もちろん絵里の強力耐性&攻撃力強化コンボも強いが、城之内の『黒炎弾』によるバーン戦法も十分えげつないものとなる。
なぜなら、1枚のカードで初期ライフの半分以上を削り取れるのだから。
仮に手札にもう1枚あれば、相手にカウンター罠でもない限りほぼ勝利できる。
手札に恵まれればだが、先攻1ターン目に勝利することもできなくはないのだ。
「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」
「私のライフポイントは残り1600……でも、次の『黒炎弾』を引かれる前に押し切るわ。私のターン、ドロー。幻奏の音女ソナタを攻撃表示にして、バトルフェイズに入るわ。幻奏の音女エレジーでレッドアイズ・ブラックドラゴンへ攻撃。攻撃力の差分、400ポイントのダメージよ」
「レッドアイズ! ……なーんてな。今の攻撃が命取りだって言ったらどうする?」
「命取り……?」
「ああ。リバースカード、オープン! 罠カード『レッドアイズ・バーン』発動!!」
「しまった……!!」
絵里はそのカードの発動が意味するところを理解したが、もう遅い。
「自分フィールドの表側表示の「レッドアイズ」モンスターが戦闘・効果で破壊された場合、破壊されたそのモンスター1体を対象として発動できる。お互いのプレイヤーはそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。つまり、互いに2400ポイントのダメージを受けるってことだ。さてここで問題、このカードの発動時、ライフが2400以下のプレイヤーはどうなるでしょうか?」
「……ライフポイントが0になるわ」
「その通り。絢瀬のライフは残り1600、俺のライフは残り3600……つまり、絢瀬だけがライフ0になる。つまり、俺の勝ちってことだ」
デュエルディスクのライフカウントが減り、絵里のディスクからはライフが0になったことを知らせる効果音が響いた。
遊戯達の運命をかけた戦いは、城之内の勝利で幕を閉じた。
―――
「お強いんですね、城之内さんって!」
「いやー、それほどでも……あるかな!」
城之内が絢瀬絵里に勝利したことで、とりあえずは無罪放免となった遊戯達三人。
その後も学院内で時間を過ごし、現在は穂乃果たちと一緒に下校途中である。
「それにしても城之内君、今日のデュエルは普段とは戦い方が結構違ったな」
「ん、そうか?」
「ああ。絵里がロックの陣形を敷いたとみるや、攻撃ではなく魔法・罠を効果的に使って見事勝った……相手にダメージを与えるカードが入っているレッドアイズデッキだからこそできる戦い方かもしれないが、上手かったと思うぜ」
「そ、そうかぁ?」
「ま、凡骨にしては上手く戦ったと誉めてやろう」
「相変わらず上から目線だなお前は……。俺のおかげであの学校にいられたんだから感謝しろよな」
遊戯達が城之内の戦いを評価していると、穂乃果が城之内の前に出てきてギュッと彼の手を握りしめた。
「や、やわらけぇ……」
「なんだって!? 城之内君、俺と場所変わってくれ! 穂乃果ちゃんの手ギュってしたい!」
「城之内さん、私にデュエルを教えて下さい!!」
遊戯の危ない発言を華麗にスルーして、穂乃果がキラキラと輝いた顔で城之内にそう頼んだ。
「へ?」
「さっきの戦い、すごくかっこよかったです! 見てて、私もやってみたいって思いました!」
「そ、そうか? ならまずは、カードを集めないとな!」
褒められて、城之内も悪い気はしない。
それに、比較的男性の割合が多いデュエル界に貴重な女性、それも美少女女子高生が飛び込もうとしているのを、彼に止められるはずはなかった。
「カードかぁ……でも、このあたりで売ってるのかな? 海未ちゃん、知ってる?」
「いえ、私に聞かれても……」
「秋葉原にあるんじゃないかな? あそこならカードショップもたくさんあるし」
「へぇー、ことりちゃん、そういうお店行ったことあるの? それとも、秋葉原に詳しいとか?」
「う、ううん! 詳しいってほどじゃないけど、住んでる場所近いっていうのもあるし、多少は知ってるって感じかな」
「とにかく、秋葉原へレッツゴー!!」
思い立ったら止まらないのが高坂穂乃香。
止めようか迷っている海未と、少し戸惑い気味のことりの手を引っ張って、秋葉原へと続いている坂道をダッシュで下り始めた。
「ナイスだ、城之内君」
「認めがたいが、今日の凡骨の働きは評価に値するぞ。凡骨から凡人へと格上げしてやろう」
「それ、評価されてんのかわかんねぇ!! それと、二人のあの子たちを見る目つきがこええよ! 好きなのは分かったから、もう少し普通に接しろよ! 変質者だと思われるのはごめんだぜ……」
城之内の、後の祭りとも言える呟きが、夕日に照らされた都会に消えていった。
――つづく。
自分も、穂乃果ちゃんの手をギュって握ってみたいです。
でも、一番は真姫ちゃんです。
さて、絵里ちゃんには幻奏デッキを使ってもらいました。
正直なところ、今回のデュエルはかなり早く終わってしまったのであれですが、これからはもう少し頑張ります。
それにしても、ライフ4000制では黒炎弾はかなり強いですね……。
他のキャラに使ってもらいたいデッキやカードも募集中です。