黄、青、赤、紫、橙、緑・・・と来て今回は茶色です。
それではどうぞ!
黒崎 真白side 2日目 6時30分
今日は朝から曇り空で、少し憂鬱な天気のまま、朝食を終えた私と恵飛須沢先輩の2人は、生存圏を広げる為、まだ制圧していない3階の南側に向かって歩いている。
昨日の内に化学実験室と音楽室の間までは制圧しており、そこの廊下の前の扉と後ろの扉の丁度中間の辺りに、みんなで協力して机とロープでバリケードを作っていた。
バリケードの向こう側には朝早いという事もあり、“かれら”は一体もいない。
「私が先行くよ。」
「わかりました。」
私はテニス用のバックから棒を取り出しバリケードの近くまで行き、隙間から“かれら”が来ないかを監視する。
それを確認した先輩は化学実験室の後ろの扉を開け、教室の中に入る。
先輩が入ってすぐに、机を動かす音の後、ガチャリと、前の扉の鍵を開ける音が聞こえ、バリケードの向こうの廊下に恵飛須沢先輩に出て来た。
先輩が廊下に出たのを確認し、私も化学実験室の教室を経由して、バリケードの向こうに出る。
「じゃあ、行きましょうか。」
「あぁ。」
化学実験室の前の扉を閉めると私達は廊下を歩きだした。
ア゛ア゛ア゛ア゛ー、ガッ!
私が投げた棒が職員室を闊歩している“かれら”の内の1体の頭を貫く。
そしてその横にいる1体を恵飛須沢先輩がシャベルで殺した。
化学実験室を出て1時間半後、私と恵飛須沢先輩は職員室で“かれら”と戦っていた。
3階の南側もここ以外は既に制圧を完了しており、残すはこの職員室だけなのだが、広いせいか、[職員室]という人が集まる所だからか、今殺した2体を引いてもまだ7体と数が多い。
そろそろ“かれら”が登校してくる頃なので、それまでに3階を制圧しておかなければこの苦労が水の泡となってしまう。
「はぁぁー!」
力強い雄叫びをあげ、恵飛須沢先輩が2体目を殺した。
昨日はどこかおっかなびっくりで“かれら”と戦っていた先輩も、今日教室を2,3個回った頃にはそれも無くなっていた。
「やりますね、先輩。」
棒を2本持ち、近くにいた2体の心臓を棒で突き刺して殺した私は先輩に声をかける。
「お前、あたしの倍以上倒しておいて、よく言うよ、な!」
ツッコミを入れながらも先輩が3体目を倒した。
「それは、離れた所から攻撃出来れば、必然的に殺した数は上がります、よ!」
手に持っている内の一本を逆手に持ち替え、少し離れた1体を投擲で殺す。
確かに先輩の言う通り、数では私の方が多く倒している。
しかしそれは、私には先輩と違い、投擲という離れた所からでも攻撃出来る方法があるからだ。
つまり、私は“かれら”を殺すために危険を冒して近付く必要はない。
一方先輩は、“かれら”を倒すためには危険を冒して“かれら”に近付き、重いシャベルを振り回さなければならない。
それは体力的にも精神的にもかなりきつい筈だ。
特に今のような何体も“かれら”がいる状況では・・・。
疲れればシャベルを振る力も弱くなるし、判断力も鈍ってしまう。それなのに先輩は一撃で“かれら”を殺していて、私が危ないと思った事も今のところなかった。
私が言うのもなんだが、1高校生の女の子にしてはタフ過ぎる。
(・・・先輩、あなたはあの日の屋上でいったい何があったんですか・・・?)
そう心で思いながらも、先輩が殺した1体の後ろから出てきた最後の1体を、私は投擲で殺した。
「ふぅ、終わった~。最後サンキューな、黒崎。」
「いえ、先輩が無事で良かったです。さぁ、先生達を呼んできましょう。」
「そうだな。」
私達は職員室から出て、廊下に出る。
バリケードの向こう側には、私達が職員室で戦っている間、“かれら”が来ないか見張っていた佐倉先生が、心配そうにこっちを見ていた。
「佐倉先生、終わりました。すみませんが、若狭先輩達を呼んで来て下さい。」
私が先生にそう言うと、やはり心配だったのだろう。先生はほっとした表情になった。
「分かったわ。2人ともお疲れ様。」
先生はそう言って若狭先輩達のいる2-Bの教室に駆けて行った。
その後、“かれら”が登校して来るまでになんとか3階を制圧出来た私達は、朝早かった事もあり、生徒会室で見つけた簡易布団を“かれら”のいなかった放送室に敷いて眠りについた。
???side 11時30分
扉が閉まる物音を感じ、わたしは目を覚ました。周りを見渡すとそこは放送室だった。
暫く周りを見渡し、朝の内に3階全てを制圧出来た事と、その後わたし達は荒らされていないこの教室に簡易布団を敷いて眠りについた事を思い出す。
視線を下げると、他のみんなはまだ眠っていたが、めぐねえの姿はどこにもなかった。
どうやらさっきの物音はめぐねえが立てた音みたいだ。
「・・・・。」
わたしは静かに布団から出て、音を立てないように扉を開け、廊下に出る。そして静かに扉を閉めた。
“あれ”のいない廊下は静かで、そのおかげでどこかからか聞こえて来る小さな音も聞く事が出来、聞き耳を立てると、音源は職員室からだというのが分かった。
多分めぐねえだろう。と予想を立て、職員室のドアから覗くと案の定、中にはめぐねえがいた。
めぐねえは自分の席で何やら冊子のような物を読んでいた。
だけど、様子がおかしい。冊子を持つその手は震えており、よく見ると肩も震えていた。
「めぐねえ、何読んでるの?」「ひゃう!」
いつもより少し大きな声でめぐねえを呼ぶと、めぐねえは飛び跳ね、その拍子に手に持っていた冊子が床に落ちる。
その冊子には『職員用緊急避難マニュアル』と書かれていた。
わたしはその冊子をめぐねえが拾う前に拾って、中に書かれている内容に目を通す。
そこに書かれていた事は、この事件がこの街全体を使って行う生物実験であるという事を示唆した内容だった。
「・・・やっぱりあったんだ。」
「! それはどういうこt」「ねえ、めぐねえ。」
ぽつりと呟いたその言葉に大きく反応しためぐねえを言葉で黙らせたわたしは、めぐねえの顔をまっすぐ見て、
「わたしと、秘密の共有をしない?」
と笑顔で提案した。
佐倉 慈side 16時40分
【これはたぶん遺書だ。私は罪を犯した。いつかこれを読む人にその事を知ってほしい、あの子の事だ。
時間の流れは止まらない。いつか、もしあの4人がこの学校から笑顔で出られるのなら、その為なら私はどうなってもいい。あの子達を元気に送り出す事。私はその為に生きている。】
そこまで書いて私は日誌を書くのをやめて、日誌を閉じ、職員室の自分の席の背もたれに寄りかかった。
暫くそういていると、職員室のドアをノックする音が聞こえる。
私は目を開け、日誌を机の引き出しの中に隠し、「どうぞ。」と、声をかけるとドアが開く。そこに立っていたのは、若狭さんだった。
若狭 悠里side 17時00分
「部活! それはいいアイディアね。部活にしましょう。」
職員室にめぐねえの明るい声が響く。
私は今、めぐねえに部活の発足について提案したのだ。
この事を思いついたのは今日の午後、みんなで園芸部の活動をしている時に由紀ちゃんが言った「園芸部の活動してる時のりーさんと、シロちゃんって楽しそうだね。」という一言だった。
その時は対して何も感じなかったが、後になって考えてみると確かに部活をしている時は楽しかったし、胡桃にその話をすると、「分かるぜ、りーさん。私も3階制圧後に、廊下の端から端までを思いっきり走った時は気持ち良かったなぁ。」と、元陸上部らしい事を語っていた。
そんな事があって私は部活を作ろうと決心したのだ。
ちなみに[りーさん]と、[シロちゃん]とは、3階を制圧出来た記念でお互いを名前で呼び合う事になった時に由紀ちゃんが私と真白さんに付けたあだ名である。
「はい、ただ過ごすより、目的があった方が張りが出ると思うので。」
「えぇ授業にしようかと思ったけど部活の方が楽しそう。・・・何部にする?」
「そうですね・・・。学園で生活する部活ですから・・・。」
「うーん。」
私とめぐねえは数秒考えた後、「「学園生活部。」」と、同時に呟く。
「すり合わせしなくても見事に一致したわね。」
「先生の好みはもう把握してます。私と同じですから。」
「ありがとう。」
そう言ってめぐねえは机から一枚の紙を取り出し「はい。」と私に渡してきた。その紙には[部活申請書]と書かれていた。
「・・・これは?」
肩に手を置かれる。そして、「じゃあよろしくね。学園生活部部長さん。」と、良い笑顔でめぐねえは言った。
「あ、私が部長ですか!?」
数秒後理解が追いついて戸惑う私に、「一番向いていると思うわよっ。」と、可愛らしくウインクする。
「・・・分かりました。頑張ります!」
そういう事で私は学園生活部の部長をすることになった。
その後生徒会室に戻った私とめぐねえは、他のみんなに部活の事を話すと、みんな快く入部してくれた。
そしてみんなで学校の清掃をする事になったのだが、こびり付いた血をふき取るのは大変で3階の北側の教室2つを終えた所で残りは明日する事になり、夕食を食べて眠りについた。
学園生活部発足しました♪
漫画やアニメより大分早い発足ですがツッコミはなしの方向でお願いします。
箒の残数:15本