シロオト暮らし   作:ミツフミ

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それではどうぞ!


ライネン

佐倉 慈 side

 意識が少しずつはっきりしてくる。

 それに伴い、体のあちこちに痛みが走る。

(何でこんなに痛いんだろう・・・。)

 

 そんな事を不思議に思いながら、まだ寝ぼけたままの頭で瞳を開けた。

「・・・?」

 

 目を開けると、そこは左右に私の背より高いコンテナがずらりと並んだ知らない場所だった。

(ここは何処なんだろうか。・・・そう言えば今何時だろうか。)

 

「痛っ!」

 ふと、時間が気になり、腕時計を付けている左腕を動かすと、二の腕の辺りに激痛が走る。

 腕を見るとそこには包帯が巻かれていた。

 二の腕だけじゃない、服の下で見えないが、右の横腹と背中にも包帯が巻かれている感覚がある。

 

 

「おはよう、佐倉先生。」

「!」

 突然、何処かで聞いた事のある声に呼ばれそちらを向くと1人の青年がそこに立っていた。

 

 

 

黒崎 真白side 11時30分

「肝試し、ですか?」

 突然の事だったので由紀先輩に聞き返す。

 

「そう、肝試し! 夜の学校でハラハラドキドキだよ!」

「「うーん・・・。」」

 いつも“やつら”との戦いでハラハラドキドキしている私と胡桃先輩は唸る。

 

「あら、良いじゃない。」

 

「「!!」」

 悠里先輩がその案に賛成する。

 

「私達もすぐに部室に行くから、由紀ちゃんは先にめぐねえに伝えて来てくれない?」

「分かった。行って来るね。」

 

 由紀先輩は屋上を出て行った。

 

「悠里先輩、大丈夫なんですか?」

 扉が閉まった途端、私は悠里先輩に聞く。

「由紀ちゃん? 大丈夫よ、気をつけていれば。」

「なら良いんですけど・・・。」

 不安の残る中、肝試しをする事が決定になった。

 

 

 その後、部室に戻った私達3人が昼食としてお好み焼きを作っていると、廊下の方からパタパタと足音が聞こえて来た。多分由紀先輩だろう。

 

「オッケーだって。」

 元気良く扉を開けた由紀先輩は嬉しそうにそう言う。

「良かったわね、由紀ちゃん。でも勉強をしっかりしなきゃね。」

「えー、数学とかなんの役に立つか分かんないよ。」

「ダメ人間だ・・・。」

 胡桃先輩がおもわずつっこむ。

 

「じゃあ、一緒に勉強しましょうか。」

「えー」「うんうん」

 唸った由紀先輩の横で胡桃先輩は「そうだそうだ」と言う感じで頷く。しかし、

「胡桃もね。」

 と、悠里先輩が付け加えたその言葉に胡桃先輩も「えー。」唸った。

 

 

 私達4人は昼食としてお好み焼きを食べ、勉強をする由紀先輩と胡桃先輩と別れ、私と悠里先輩は屋上で園芸部の活動をおこなった。

 暫くすると勉強を終えたのか、投げたしたのか分からないが、由紀先輩と胡桃先輩も手伝いにやって来たが、2人は数分もしない内に水の掛け合いを始めてしまった。

 

 

 そしてずぶ濡れになり、シャワー室に向かった由紀先輩の後を追い、私は屋上を出た。

 

 

 

若狭 悠里side 18時30分

「由紀の奴、今日も誰もいない所で喋ってたぜ。」

 屋上の扉が閉まった途端、胡桃が呟く。

 私はそれに「・・・そう。」と応えると、園芸部の作業に戻った。

 

「なぁりーさん、本当に由紀をこのままにしておくつもりなのか?」

 胡桃の言いたい事は分かっている。

 現実逃避をしている由紀ちゃんの事だ。

 私も出来るなら由紀ちゃんの目を覚ましてあげたい。

 

(・・・あげたいけど、もし由紀ちゃんが目を覚ましてしまったら、私は・・・)

 喉元まで出かけたその言葉を必死で引っ込め、

「昨日も言ったけど、私達は医者じゃないのよ。下手に刺激して何かあったんじゃ遅いの。」

 別の理由を言う。

 

「でも、このままじゃ、どっちにしろダメだろ?」

 

 そんな事分かっている。

 ・・・でも、

 そうしたら、何かが壊れてしまいそうで、何かを思い出してしまいそうで恐くなる。だから、

 

「お願い、このままにして。」

 私は現状維持を務めるのだ。

 

 

 

黒崎 真白side 18時50分

 シャワーを終えた由紀先輩と共に部室で夕食を作りながら待っていると、悠里先輩と胡桃先輩も部室にやって来た。

 しかし、2人の間の雰囲気がさっき私達が屋上を出ていった時よりギスギスしている気がする。

 ・・・あの短い間に屋上では何かあったのだろうか。

 

 

 2人のギスギス感のせいで夕食は少し味気なかった。

 

 

 使った食器を洗い終わった頃には空も暗くなっており、肝試しをするのに良い時間になった。

 

 私達は私、悠里先輩、由紀先輩、胡桃先輩の順で部室を出て目的の場所に足を進める。

 私達が今向かっているのは、2階にある購買部と図書室。

 購買部には不足した物資の補給に、図書室には参考書を探しに行く為だ。

 

 2階には中央階段から向かう。

 夜という事もあり、“やつら”に一体も会う事なく購買部へ辿り着いた。

 

 購買部に入ると悠里先輩が部屋の明かりを点ける。

 ここは窓がないから、明かりを点けても“やつら”が寄って来る心配がない為安心して物資の調達をする事が出来る。

 

「じゃあ、各自必要なものを買っていきましょう。」

「「「はーい。」」」

 

 

 3人と別れて私がまず向かったのは、ボディソープなどが置いてある棚。

 由紀先輩がシャワーを浴びている間に確認したらかなり減っていたからだ。

 他にも部室や屋上などで不足したものを学校指定の鞄に入れて行く。

 

 

「みんな、そろそろ良い? 次行くわよ。」

 暫くした後、悠里先輩が招集の声をかけたので、私は出口付近に集まり、購買部から出た。

 

 

 

 私は今、先輩達と離れた所にいる。

 私がいるのは南端の男子トイレと女子トイレ前のちょうど真ん中辺りでそこは図書室の2つ目の出入り口の前でもある。

 

 何故私が先輩達と離れてこんな所にいるのかと言うと見張りの為だ。

 今、図書室の中には由紀先輩と悠里先輩が本を取りに行っていて、その間、私と胡桃先輩は別れて出入り口をそれぞれ見張っている。

 

 図書室の中は事前に胡桃先輩が安全を確保しているので、中の2人は安心して本を探している筈である。

 

 

 ・・・それにしても、

「暇だ・・・なぁ。」

 只今絶賛手持ち無沙汰である。

 近くにあるトイレや購買部のバックヤードを見たが“やつら”は1体もいなかった。

 

 そんな事を思っていると、階段の方から何かが上がって来る音が聞こえてくる。

 

 多分“やつら”だろう。

 私はバックから棒を2本取り出し、音を立てずに階段の方に向かった。

 そしてエレベーターの前から階段下を覗く。

 そこにいたのは・・・

 

「さ、佐倉先生・・・!?」

 行方不明となっていた先生だった。




ハイ、今回はここで終わります。
めぐねえ生存してました。やったね♪
・・・最初にめぐねえが出会った青年は誰なんでしょう。
気になる答えは次回判明します。お楽しみに♪


原作との相違点
・由紀が肝試しを提案して来た場所
漫画ではどっかの教室でしたがこっちでは屋上。

・りーさんの様子
何故か由紀の症状を戻す事に積極的ではない。

・図書室での戦闘
先に胡桃が安全確認に行っているので、なし。


箒の残数:8本
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