シロオト暮らし   作:ミツフミ

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今回は音緒の戦闘シーンがあります。その代わりにあまり話が進みません。期待していてね♪
それでは、橙色な第9話をどうぞ!


モールにトウチャク

19時00分

 夕方、日の入りと同時にリバーシティ・トロン・ショッピングモールの駐車場に俺達は到着した。

 ここも普段なら1時間もあれば行けるのだが、やはり道路のあちらこちらが塞がれていた為、思うように進むことが出来ず、時間がかかってしまった。

 

 俺はバイクを停車させそこから降りると、バイクの左側に停車した姉さんの車に近寄り、窓を開けて貰う。助っ席にいる瑠璃ちゃんは車での長い移動の為か、眠っていた。

 

「じゃあ行ってくるから姉さん達は待っていてくれ。」

「待って、音緒。」

 早速モールに突入しようとする俺を姉さんが呼び止める。

「どうした、姉さん。」

 

「今日はもう止めにして、詮索は明日にしない?」

 

「え!? でも・・・。」

「あんた、今日何時間バイク運転していると思っているの?」

 姉さんに言われ、数えてみえると、悠に6時間は超えていた。

「・・・・分かった。じゃあ、明日にしよう。」

 

 モールの詮索を明日に決めた俺達は姉さんの車で眠りについた・・・。

 

 

 

2日目 6時00分

 朝日の光で目が覚め、先に朝食を済ませモール内の構造を確認し終え、モールに突入する準備を完了した俺と姉さんは車の外に出ていた。

「・・・さて、そろそろ行こうか。」

 未だに眠っている瑠璃ちゃんを抱っこした姉さんがそう言う。

「あぁ!」

 俺はいつもより力強く返事する。

 そして俺達は、駐車場からショッピングモールの入口まで走り、ガラスの板となった自動扉からモールの中に入った。

 

 

 モール内は、1階から5階まで吹き抜け構造で、壁や屋根にガラスを使用している為、そこから外の光が入り、停電したモール内を薄暗く照らしていた。

 その光のおかげで、目視でも十分“やつら”の姿を見る事が出来る。

 

「思ったより少ないね・・・。」

 姉さんが呟く。

 ここは入っている店は老若男女、様々な客層を意識したものとなっており、連日賑わっている。それは、あの日も同様だった筈だが、平日であるためか、1階のホールにいる “やつら”の数は7体と思ったより少ない。

「まぁ、多いよりは良いだろ? ・・・これ位なら殲滅出来そうだ。姉さん、瑠璃ちゃんの耳塞いどいてくれ。ブザー使うから。」

「了解。」

 

 俺は背負っているリュックを下し、姉さんが瑠璃ちゃんを後ろに向かせ耳を両手で塞ぐのを見てから、ベルトから防犯ブザーを取り出し、栓を引き、遠くに向かって思いっきり投げた。

 

 防犯ブザーは甲高い音を出しながら、俺達から離れた床に落ちる。その音に釣られ、“やつら”がブザーに向かって歩き出す。その隙をつき俺は鞘に収まっている刀を抜き、後ろから切っていく。

 

 数分後、ブザーの音を止めた時にはホールで動いているのは俺達だけとなった。

「・・・よし。」

 周りを確認して“やつら”がいない事を確認した俺は、刀に付いた血を払い、刀を鞘に納める。

「さて、行こうか。」

「うん。」

 俺達は止まったエスカレーターを上がるが、上がっている途中で2階の通路に“やつら”がいる事に気が付く。

(くそっ! 数は・・・3体か。なら道具は必要ないな。)

 “やつら”の数を確認しながら刀を抜刀して“やつら”に向かって走る。

 足音で“やつら”が俺に気が付き腕を伸ばすが、その腕が俺の身体に触れる前に“やつら”の胴体に一閃入れ“やつら”に2度目の死を与える。

 

 “やつら”を倒した後、周りを見渡す。2階も1階とあまり変わらず、酷い有様だった。

 荒れ具合から、ここには生存者はいないだろう。と判断した俺達は、道中現れる“やつら”を殺しながら、女性服や子供服のある3階に上がった。

 

 3階は2階よりは多少マシだった。

 俺達は近くにあった女性服の店に入り、シャッターを閉める。その音で瑠璃ちゃんが目を覚ました。

 

「おはよう、若狭さん。」

 姉さんが瑠璃ちゃんに今の状況を説明する。その間に俺は店内に。“やつら”がいないかを調べると、ラッキーな事に店内には1体もいなかった。

 

 

「じゃあ俺、地下で食料取ってくる。」

 服を選び始めた姉さん達に声をかけ、シャッターを開け、地下にある食品コーナーで物資の補給をする為に下へと向かった。

 

 

 地下へと続く階段に辿り着いた俺は、地下まで伸びている階段を見つめる。周りを照らしている太陽の光も、流石に地下までは届かない為、地下の様子は見る事は出来ない。

 ・・・耳を澄ませば下から微かに“やつら”の呻き声が聞こえてくる。どうやら下にも“やつら”はいるようだ。

「寄って来るからあんまり使いたくないんだがな。」

 俺はそうボヤキながらもリュックから布を取り出し右目に巻く。そして、ベルトからライトを取り出し、明かりを点けて階段を下りて行く。

 

 

「ヴッ、何だこの臭い!」

 地下1階に降りる途中で臭って来る保存の効かない肉や魚等の腐った臭い。俺はその異臭を直接嗅がない様に再びリュックから布を出し今度は口元に巻き、歩き出した。

 

 薄暗い地下をライトの明かりを頼りに歩いていると、前方に蠢くモノを見つける。

 

  (くそっ“やつら”か・・・。)

 俺はすぐさま明かりを消し物陰に隠れて、右目に巻いていた布を左目に巻き替え、暗さに慣れた右目で通路を覗く。

 通路には“やつら”が5体おり、そのどれもがライトの光に釣られたのか、こちらに向かって歩いて来ていた。

 

(ここは視界が悪いな・・・。なら、ブザーよりこっちだ。)

 俺はベルトから、鉛筆位の大きさの円筒の金属棒を取り出し、“やつら”の向こう側に投げ、走る準備をする。

 

「コーン」と、地面に落ちた金属棒は高い音を奏で、その音を合図に俺は物陰から飛び出し“やつら”に向かって走る。

 

ア゛ア゛ア゛ア゛ーー!

 5体は全員、俺が投げた金属の棒が鳴った辺りに向かってのろのろとした動きで歩いていた。

 この金属棒は、止めるまで不必要に“やつら”を呼び寄せるブザーやケミカルライトと違い、“やつら”を呼び寄せるのは地面に当たった時だけ。今のような視界が悪く、いつ“やつら”が現れるか分からない所で重宝するものだ。

 

 俺は腰に差してある日本刀を抜刀し、後ろから、“やつら”の腰の辺りを切りつけていく。

 “やつら”の腐った体は簡単に切れ、上半身と下半身は分離する。分離した“やつら”の体は重力に従って地面に落ち、「ベチャ」という音と共にその場に赤黒い血痕を作った。

 上半身だけとなり、切断面から赤黒い血を流しながら尚も動いているモノに止めを刺し、刀に付いた血を払い鞘に納め、投げて転がった金属棒を回収し、目を覆っている布を外して暗さに慣れた両目で他に“やつら”がいない事を確認すると、その場を去った。




今回はプロフィール紹介はありません。

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