ドギン ガキン ガキキキキン
ギャリィイン!!
「くそっ!」
体に受けた傷を見ながら、俺は感じていた。種族の間にある、決して埋まることのない溝というものを。
「スラスターオン!」
スラスターを使い、相手との間合いを大きく取る。
「勝てる気がしない・・・」
吸血鬼というのは回復力が非常に高い。それはレミリアと戦っている時に気づいていた。傷を受けた部分が見る見る内に回復したから。だが、脚を切り落とされてもすぐ復活するのは想定外だった。おかげで、あっちは無傷。こっちボロボロという有様だ。まさに無理ゲーだ。割に合わない。
「しんどいな・・・」
もはや、フランの心のことなど考えてもいなかった。適度な戦力差だと、倒しがいがあるのだが、圧倒的な戦力差の前では絶望するしかない。
緊急脱出も考えていた時、一つの声が届いた。
「どうか・・・諦めないで!」
「レミリア!?」
「こんなとこで負けちゃだめよ!」
「パチュリーさん!」
「いい?負けたらお嬢様の餌になると思いなさい!」
「咲夜さん!?なんでここに!?」
一つ。また一つと声が聞こえてくる。
「蒼也ァ!負けたら晩飯は抜きよ!」
「霊夢まで・・・」
そうだ。何俺は勘違いしてる?勝手に諦めちゃいけないんだ!あいつらのためにもここで勝たなくちゃいけない。あいつらにとっての勝利は、フランの狂気から救うこと。あいつらにとっての喜びは、フランの笑顔がみれること・・・!
「フラン。」
「何?」
「俺は必ずお前を救ってみせる!」
「へぇ。本当にそんなことできるのか試してあげる。」
フランの苛烈な攻撃が始まった。目で追えないほどの素早い動きで翻弄し、確実に急所を狙ってくる。手を切られ、足を切られ、立っていることさえもできない。しかし、決して俺は諦めない。あいつらのためにも・・・
「ねぇ。」
「何だ?」
すでに満身創痍な俺に向かってフランが聞いてくる。
「どうしてあなたは諦めないの?どうしてそんな目で私を見れるの?ねぇどうして?どうして?」
「そんなの・・・決まってるだろ。」
「俺を頼ってる奴がいるかぎり・・・諦めちゃだめなんだ。当然のことさ。」
「・・・」
「お前の過去になにがあったかは詳しく知らない。でも、たくさん傷ついたのならその分たくさん傷を癒せばいい。」
「・・・」
「まだ、遅くない。今からでも遅くないんだ。だから狂気に染まった顔なんかじゃなくて・・・
笑顔を見せてくれ。」
「もう、こんな自分はうんざりね。」
「!!」
「私らしくないもの。これからは笑顔を見せなくちゃ。」
フランの心が明るい色に染まっていく。
「・・・わかってくれたんだな。」
「うん。私お兄さんのおかげで、本当の自分を見つけることができたみたい。ありがとう。お兄さん。」
そう言って笑ったフランの顔は、まるで天使のようだった。
フランの狂気を救うという内容が、ここまで難しいとは思いませんでした。一か月近くも悩みましたからね・・・。難所を乗り切ったのでぼちぼち投稿していきます。長い間更新できなくて申し訳ありませんでした。
感想・評価よろしくおねがいします。