トリガー使いは幻想に生きる   作:実力派エリート

11 / 17
紅霧異変その6

ドギン ガキン ガキキキキン

 

ギャリィイン!!

 

「くそっ!」

 

体に受けた傷を見ながら、俺は感じていた。種族の間にある、決して埋まることのない溝というものを。

 

「スラスターオン!」

 

スラスターを使い、相手との間合いを大きく取る。

 

「勝てる気がしない・・・」

 

吸血鬼というのは回復力が非常に高い。それはレミリアと戦っている時に気づいていた。傷を受けた部分が見る見る内に回復したから。だが、脚を切り落とされてもすぐ復活するのは想定外だった。おかげで、あっちは無傷。こっちボロボロという有様だ。まさに無理ゲーだ。割に合わない。

 

「しんどいな・・・」

 

もはや、フランの心のことなど考えてもいなかった。適度な戦力差だと、倒しがいがあるのだが、圧倒的な戦力差の前では絶望するしかない。

緊急脱出も考えていた時、一つの声が届いた。

 

「どうか・・・諦めないで!」

 

「レミリア!?」

 

「こんなとこで負けちゃだめよ!」

 

「パチュリーさん!」

 

「いい?負けたらお嬢様の餌になると思いなさい!」

 

「咲夜さん!?なんでここに!?」

 

一つ。また一つと声が聞こえてくる。

 

「蒼也ァ!負けたら晩飯は抜きよ!」

 

「霊夢まで・・・」

 

そうだ。何俺は勘違いしてる?勝手に諦めちゃいけないんだ!あいつらのためにもここで勝たなくちゃいけない。あいつらにとっての勝利は、フランの狂気から救うこと。あいつらにとっての喜びは、フランの笑顔がみれること・・・!

 

「フラン。」

 

「何?」

 

「俺は必ずお前を救ってみせる!」

 

「へぇ。本当にそんなことできるのか試してあげる。」

 

フランの苛烈な攻撃が始まった。目で追えないほどの素早い動きで翻弄し、確実に急所を狙ってくる。手を切られ、足を切られ、立っていることさえもできない。しかし、決して俺は諦めない。あいつらのためにも・・・

 

「ねぇ。」

 

「何だ?」

 

すでに満身創痍な俺に向かってフランが聞いてくる。

 

「どうしてあなたは諦めないの?どうしてそんな目で私を見れるの?ねぇどうして?どうして?」

 

「そんなの・・・決まってるだろ。」

 

「俺を頼ってる奴がいるかぎり・・・諦めちゃだめなんだ。当然のことさ。」

 

「・・・」

 

「お前の過去になにがあったかは詳しく知らない。でも、たくさん傷ついたのならその分たくさん傷を癒せばいい。」

 

「・・・」

 

「まだ、遅くない。今からでも遅くないんだ。だから狂気に染まった顔なんかじゃなくて・・・

 

 

 

 

 

笑顔を見せてくれ。」

 

 

 

 

 

 

「もう、こんな自分はうんざりね。」

 

「!!」

 

「私らしくないもの。これからは笑顔を見せなくちゃ。」

 

フランの心が明るい色に染まっていく。

 

「・・・わかってくれたんだな。」

 

「うん。私お兄さんのおかげで、本当の自分を見つけることができたみたい。ありがとう。お兄さん。」

 

そう言って笑ったフランの顔は、まるで天使のようだった。

 

 

 




フランの狂気を救うという内容が、ここまで難しいとは思いませんでした。一か月近くも悩みましたからね・・・。難所を乗り切ったのでぼちぼち投稿していきます。長い間更新できなくて申し訳ありませんでした。

感想・評価よろしくおねがいします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。