「霊夢起きろ!もう昼だぞ!」
「う~んあと一時間・・・」
「朝方に帰ってきたから眠いのはわかるけど、いい加減起きろよ。魔理沙が来てくれてるぞ。」
「お~い霊夢。宴会の準備をするんじゃないのかよ。」
「あ。」
霊夢はとたんに起きて、あたりを見回した。
「忘れてた!!」
それからの霊夢の働きぶりはすごかった。あっという間に着替え、(もちろん覗いてはいない)すぐにごちゃごちゃした机の上を整理し、酒とつまみの準備を始めた。宴会の準備のほうは、霊夢達に任せておいていいだろう。俺は、博麗神社の縁側に座った。
「そろそろ姿見せたらどうです?妖怪さん。」
そう俺が言うと、俺の隣に割れ目のような空間ができ、中から人らしきものが出てきた。
「結構勘が鋭いのね。霊夢と似ているわ。」
「そうですか、そりゃどうも。ところで、あなたの名前教えてくれませんか?」
「私は八雲紫。妖怪の賢者よ。」
「妖怪の賢者ですか。となると、妖怪の中では位は結構高いほうで?」
「ええ。大妖怪の中で最も位が高い地位。それが、賢者よ。」
「それはすごい。でもそしたら何故、俺のような人間のことを観察しているのでしょう?」
「・・・単刀直入に言うわね。」
「あなた、幻想郷から出て行ってくれない?」
「・・・理由を教えてください。」
「あなたのその能力、確かトリガーを操る程度の能力だったわよね。」
「ええ、そうですがなにか?」
「その能力、私はとても危険視してるのよ。」
「何故です?」
「まったく訳が分からないのよ。どうやって弾幕を出すのかも、戦う時に血が出ない理由も、どういう原理で武器を作り出すのかも。」
「・・・」
「正体も分からない能力を持った外来人を、この世界に居させることはできないわ。」
「・・・ワールドトリガーって知ってますか?」
「知らないわ。」
「外の世界で今人気になっている漫画です。独特の世界観や、心踊らされるような武器の数々、リアルな会議の様子などが話題を呼び、一躍有名になりました。」
「ワールドトリガーの読者層は、主に俺のような若い世代で、当然俺もハマりました。高校で友達と話したり、毎週漫画雑誌を買って読んだり・・・それは楽しかった。」
「何が言いたいのかしら?」
「俺は外の世界で死んだんです。通り魔に刺されて。だから、この世界に転生できることになって嬉しかったんです。でも、この世界で生きていくためには能力が必要と言われました。そこで頭に浮かんだのが、その漫画に登場する武器、トリガーです。」
「つまり、あなたは外の世界で殺されて、転生の時に得た能力が、そのトリガーという物なのね。」
「俺には出ていけと言われても、帰る場所がありません。でも、だからと言って殺さないでください。俺は、せっかく手に入れたこの能力を手放したくないんです。もしだめと言うなら、能力を使ってでも全力で抵抗します。」
俺は相手を全力で睨んだ。
「そこまで言うのなら別に良いわ。あなたも異変の解決を手伝ってるみたいですからね。」
「良かった・・・」
「でも、これだけは約束していただけます?」
「なんですか?」
「絶対にその能力で悪事を働かないこと。もしこの約束を破ったら・・・
「私があなたをこの手で殺すわ。」
とてつもない威圧感は、俺を圧倒するのに十分すぎる程のものだった。
「わ、分かった。約束しよう。」
そう俺が言うと、紫さんは満足そうな顔をして別れの言葉を告げた。
「それじゃあごきげんよう。また宴会で会いましょう。」
「ああ、さようなら。」
紫さんが消えた後、俺は大きく息を吐いた。
「なんとかなったな。」
頬を伝う冷や汗を拭う。
「蒼也ー、あんたも宴会の準備を手伝いなさいよー」
「すまないが、ちょっと休ませてくれ・・・」
霊夢には悪いが、今はとても手伝う気分にはなれなかった。
蒼也は、自分より立場や力が上の者や、年上の者には敬語を使います。
追記:蒼也と紫の会話で、高校と中学校を間違えていたので修正しました。
修正前:中学校で友達と話したり…
修正後:高校で友達と話したり…