「さて、そろそろ宴会の準備を手伝ってやるか。」
紫さんの強烈な威圧感に圧倒された俺は、動揺と恐怖で気が滅入っていた。自分が紫さんに迷惑を掛けていた事の申し訳なさと、本能が察知した情報。つまり死への恐怖が、頭の中を渦巻いていた。だが、いつまでも悩んでちゃ仕方がない。そう思い、俺は霊夢の所へと向かった。
「さっき紫と何を話してたの?」
いきなりその話か・・・。できれば思い出したくないんだが・・・
「実はこういう事があってだな・・・」
ーー青年説明中ーー
「ふ~ん。そんな事があったのね。」
「結構紫さんに迷惑掛けてるみたいだったから、申し訳なかったよ。霊夢はどうだ?俺が居るとやっぱり迷惑か?」
「そんな訳無いじゃない。むしろ異変解決を手伝ってくれるから助かってるわ。」
「そうか。ならいいんだ。」
「まぁアイツは昔から慎重に物事を進めてきたからね。神経質になるのもしょうがないわよ。」
「そうだったんだな・・・」
紫さんも結構苦労してるんだな。
「だから、あんたは安心して宴会の準備を手伝っていいのよ。はい、じゃあおかずを最低5品つくってね。」
「ったく、ふてぶてしいやつだ。」
そう愚痴りながらも、俺は料理に取りかかった。
「お~い霊夢、とりあえず5品作った。味見してくれ。」
俺が作ったのは、野菜炒め、揚げ出汁豆腐の醤油炒め、牛乳と調味料と野菜を混ぜ合わせて作った手作りシチュー、そうめん、川魚の天ぷらだ。
「どれどれ、ちょっと一口。」
さて、おいしく作ることが出来ただろうか?
「蒼也これ・・・」
「ん?なんだ?もしかして不味かったか?」
「めちゃくちゃおいしいじゃない!」
「そうか?そりゃ良かった。」
「蒼也、良くやったわ。これで今までよりももっと宴会に妖怪たちが集まるわ。」
「まぁ、役に立てたのなら良かったよ。」
こうして、宴会の準備は着々と進んでいった。
「さぁ、いよいよ宴会が始まるわ。あんたの事紹介するから私が呼んだら前に出て来て。」
「了解。」
そう言うと霊夢は、集まった人(?)達の前に立った。
「今日は宴会に集まってくれてありがとう。そこで今日はみんなにお知らせが、あるわ。」
「新しくこの世界の住人となった人が居るの。今からそいつに出て来てもらうわ。」
「外の世界からやって来た、不思議な力を持つ男。その名も神田蒼也よ!」
霊夢がこっちに手招きした。俺は皆の前に出る。
「え~この度幻想郷に住む事になりました、神田蒼也です。年齢は17歳、性別は男です。今は、博麗神社に居候しています。用があったら遠慮なく声を掛けてください。以上です。」
周りから拍手が送られた。どうやら悪くは思われていないようだ。
「ちなみに、こいつの能力は不思議なものだからね。興味がある奴は戦ってもいいわよ。」
「勝手にそんな許可だすな。」
「まぁ、これで紹介は終わりよ。後はそれぞれで楽しんでちょうだい。」
そう霊夢が言うと、皆はいっせいに騒ぎ出した。楽しそうだ。
「何ボーっとしてるのよ。さっさと話して来なさい。」
霊夢に後押しされ、俺は紅魔館組の所へ向かった。
「よっレミリア。昨日ぶりだな。」
「えぇ、そうね。」
「どうだ?フランの様子は。」
「あれからフランはとても良い状態になったわ。積極的に館の中をうろついてるしね。でも、あまり外には出たがらないみたいね。今はパチュリーが相手をしているわ。」
「そうか、良かったな。」
「良かったら明日にでも紅魔館に来ない?フランも会いたがってるし。遊びに来てくれると嬉しいわ。」
「そうだな。明日にでも行ってみようか。」
「ありがとう。館の全員でお出迎えするわ。」
「おう、期待してるぞ。じゃあまた明日。」
「えぇ、また明日。」
話し終えた俺は、まだ会ってない奴の所へ行くことにした。
「こんばんは。神田蒼也です。隣に座ってもいいですか?」
「別に良いわよ。」
「お名前を教えてもらえませんか?」
「アリス・マーガトロイドよ。アリスでいいわ。後、そんなに丁寧にならなくても良いわよ。」
「そうか。ありがとう。」
「魔理沙からあなたのことは聞いてるわ。不思議な力で弾幕を出したりしてるんでしょ?」
「んー、まぁ原理自体俺自身も詳しく知らないから普通に君達が出してる弾幕と変わらない物として考えていいよ。」
「そう・・・」
「・・・」
「・・・」
あ、やばい会話が続かないな。
「そ、そういえば、さっき魔理沙の事口にしてたけど友達かなにか?」
「そうよ。魔理沙は私の大事な友人よ。」
「そうか。じゃあ遊びに来たりとかするのか?」
「えぇ、よく来るわ。」
「そうなのか。」
「・・・」
「・・・」
だめだ。会話が全然続かない。これは気まずいな・・・
「じ、じゃあ俺は他の所に行くから。また話したくなったら是非博麗神社に来てくれよ。」
そう言って俺は抜け出した。魔理沙でも呼べばよかったかな?まぁいいや。
「次は紫さんの所か。行きたくないけど挨拶ぐらいはしとこうか。」
「こんばんは、紫さん。」
「あらこんばんは、蒼也。さっきはごめんなさいね。あんなこと言っちゃって。」
「い、いえ気にしてないので・・・。あ、お酒注ぎましょうか?」
「あら、ありがとう。蒼也もどう?」
「いえ、私は結構です。ところで、紫さん。お隣の方はお知り合いですか?」
「ああ、藍と橙のことね。藍は、私の式神。橙は、藍の式神よ。」
「一つ聞きますけど、藍さんって狐ですか?」
「えぇそうよ。あれは九尾の狐の式神よ。」
「えっ九尾の狐!?」
まじか。まさかこんな所で九尾の狐に会えるとは。妖狐の中でも最も位が高い狐で絶世の美女に化けて国を傾けるとかなんとか言われてたような、そんな妖怪に会ってしまった。
「あれ?でもたしか九尾の狐は数万の軍勢に殺害されて石になったっていう伝説があったような・・・」
「あれは私が作り上げた嘘よ。」
「え?」
「確かに藍は殺されかけたわ。でも私が助けてあげたの。そして、九尾の狐は石になったと嘘を言って藍の存在を誤魔化したの。」
「へぇ~そんな事があったんですね。」
ん?待てよ。石になった伝説の時の時代は鳥羽上皇が生きてた時代。つまり平安時代だ。じゃあ紫さんはその時から今の時代までずっと生きてるってことだ。じゃあ紫さんの歳は何歳だ?え~と鳥羽上皇が在位したのは1107年だから・・・
その時強烈な悪寒が体に走った。
「あまり余計な事を考えちゃだめよ?」
「ひぃっ!」
正直あの後何があったかは覚えていない。でもこれだけは確信した。
女性の歳の事に深く踏み込んではいけないと