朝起きたら異世界にいた   作:マスターBT

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こんちわっす!
覚えてる方いるかな?
オリジナルって難しいっすね…


軍神

主人公SIDE

 

俺の握るティルフィングと奴が握っているこれと言った装飾のない無骨な剣がぶつかる。

見た目は無骨な剣でもやっぱり神が使っている剣だ。ティルフィングと斬りむすんでも切断できない。

くそっ。やっぱりそう簡単に行く訳はないか。

 

「この程度……俺を殺せると思ったのか?身の程知らずが!」

 

耐えるという事を考えるのが馬鹿らしくなる程の力で俺はティルフィングごと強引に吹き飛ばされた。

空中でどうにか体勢を整え転がる事で衝撃を逃し、無事に着地をする。

…あっぶねぇ。空中で体勢を整えるとか案外やれば出来んだな。

 

「…でも、これはキツイな…まさか、僅かな拮抗すら許してくれないとは」

 

俺とテュールの間には圧倒的なポテンシャルの差がある。

きっと、人間と神という種族的な差だろう。

だからフェンリルの力を使いたいんだけど……どうやって自発的に使うんだ?

 

「蓮さん!大丈夫ですか?」

 

吹き飛ばされた俺を心配してフェンリルが近寄ってくる。

テュールはあの門から離れる気はないのか此方をゴミを見る様な目をして見てくる以外に行動は起こさない。

ちょうどいい。フェンリルに聞いてみるか。

 

「大丈夫。うまく受け身を取れたから怪我とかはしてないよ。

でも、一つ聞きたい事があるんだ。フェンリルから貰った力を使うにはどうすれば良い?」

 

そう聞くとフェンリルは驚いた様な顔をする。

 

「ヨルムンガンドから聞いてないのですか?

…今は置いておきましょう。力を使う方法ですね。

私も詳しく知っている訳ではありませんが、自分の内から何かが爆発する様なイメージを浮かべてください。

それで大丈夫なはずです」

 

フェンリルの説明を聞いて気合を入れなおす。

序でに、説明を放棄していやがったヨルムンガンドに恨みを込めておく。

えーと自分の内から何かが爆発するイメージ。

そう考えて俺は、自分の中に火山があるイメージを浮かべてそれを噴火させる。

その直後に俺の身体中をフェンリルにキスされた時と同じ様な感覚が襲う。

 

「…んっ?魔力量が増えた?唯の人間が?」

 

俺の変化にテュールが不思議な顔をしている。

全身に力が漲る。よしっ!これならいける。

 

「んっ…何でしょう…変な感覚…」

 

ちょっ!フェンリルさん!?横で変な声出さないでくれませんか!?

物凄くあの男としての本能が刺激されるですけど…

チラッと、横のフェンリルを確認すると顔を赤らめて目が潤んでいる。

急いで目をそらす。そして、全力でテュールを倒す事に専念する。

 

『クックック、これはまた面白い』

 

「えーい!これ見よがしに楽しそうな声を上げるな!ティルフィング」

 

頭の中にティルフィングの声が響く。

その声はとても楽しげで、姿があれば腹を抱えて笑っていただろう。

全身を流れている魔力を足に集中させる。

 

「よいしょぉ!」

 

掛け声と共に跳躍する。

 

「何!?」

 

跳躍した勢いのまま、落下エネルギーも加えてティルフィングを振り下ろす。

甲高い金属音の直後に、テュールの剣が砕け散りテュールの胸を切り裂く。

しかし、後ろに下がった様で大きな一撃にはならなかった。

 

「どういう事だ?いきなり強くなっただと」

 

切られた傷を手で確認しながらテュールが言う。

その顔は屈辱に歪んでいる様に見える。

 

「お前が裏切った魔族の力だよ。

俺はこの力でお前を斬る。自覚しろ、自分の行いがどれ程愚かだったかと!」

 

ティルフィングをテュールに向ける。

テュールが不快そうに顔を歪める。

 

「貴様に何がわかる!何も背負わない人の子が!

神としての重圧も知らず、知った様な口を聞くなぁ!!!!」

 

テュールが吠えると思わず膝をつきたくなる程の圧がかかる。

気のせいでなければテュールから後光の様なものが出ている気がする。

 

『クハハッ!道化よ?どうやら、貴様の軽口は神の怒りを買った様だぞ?』

 

「その楽しげな声じゃなきゃ、俺も悲愴したかもな!?」

 

ティルフィングの愉しげな声に思わず突っ込む。

しかし、第六感を信じて右に大きく避ける。

直後に俺がいた地点が爆ぜる。

 

「チッ、避けたか」

 

テュールが手刀を振り下ろした様なポーズをしている。

え!?あれを振り下ろした勢いで砕けたのか地面!

 

「片腕を失ったは言え、我は軍神だ。

魔族の力を得たからと言え、矮小な人間に負ける程弱っておらんぞ」

 

「その慢心で一撃食らった奴は言う事が違うぜ…」

 

軽口を叩いてみるが、内心は結構焦ってる。

やばいやばい。どうするか。

焦った視界にフェンリルが映る。

彼女はそんな俺を見て、無言で頷く。

それを見て、俺の精神は面白いぐらい落ち着いた。

 

「…そうだ。俺は負けられない。

相手が軍神だろうが倒す。フェンリルの為に!」

 

魔力を足に流し、テュールとの距離を詰めてティルフィングを振るう。

テュールの手刀で受け止められるが、そのまま蹴りを放ち肉弾戦に移行する。

ティルフィングを逆手で持ちつつ、剣とラッシュを混ぜ込む。

 

「はぁ!」

 

「舐めるなぁ!!」

 

ガキィンとティルフィングとテュールの拳がぶつかる。

拳が立てる音じゃねぇ!?

怯まずにインファイトを続ける。

 

「ぐぶっ」

 

「ガハッ」

 

テュールの拳が俺の鳩尾に入り、俺の蹴りがテュールの顎を捉える。

ものすごく痛いが、魔力を流し無理矢理回復させる。

この距離でカタをつける。離れたら俺に勝ち目はない。

 

「この!」

 

「(俺は何を馬鹿正直にインファイトに付き合っている!?

距離を取れば此奴は隙だらけ、そこを突けば終わる。

だが、距離を取れば何かに敗北する!)」

 

何かテュールが考えているな。

その隙をテュール突き、テュールの額に頭突きをする。

ガァン!と音がなり、俺とテュールの額から血が流れる。

 

「ッツ!?」

 

流れた血がテュールの目に入る。

目を瞑るテュール。

 

「そこだぁ!!」

 

勢い良く突き出したティルフィングがテュールを貫く。

テュールの身体から力が抜け、ガクッと項垂れる。

 

「…俺の負けか……」

 

ティルフィングを引き抜く。

そのまま、ティルフィングが人型になり俺の横に立つ。

 

「ふっ…魔剣ティルフィングか。

面倒な剣に好かれた様だな人間」

 

先程までの様子が嘘の様に力が抜けた口調のテュール。

その身体は薄くなっている。

 

「死にはしないが……次の信仰が集まるまで復活はできないか。

この先は主神がいる。まぁ、あの蛇魔族が何かをしているだろうがな」

 

「ヨルムンガンドを知っているのか?」

 

「ああ。何度不可侵条約を結んでも、破って此方に仕掛けてくる。

まるで戦いを愉しんでいる様だ。トールも何度殺されたか」

 

何処と無く、楽しげに話すテュール。

此奴、実は悪くない奴か?

 

「俺はもう時期消える。

人間、少し近づけ」

 

素直に従って、テュールに近づく。

 

「一つ忠告だ。

魔族にはフェンリルの様に良い奴もいるが、根っからの悪もいる。

それを頭に入れておけ。貴様は俺が殺す。だから、俺以外に殺されるなよ」

 

「……ああ。分かったよ」

 

俺の返事にニヤリと笑い、テュールが消える。

此奴は素直じゃないな。

フェンリルを鎖で拘束したのも何か理由がありそうだけど、あいつが言わないなら良いか。

 

「…さらばだ、人間」

 

そう言い残しテュールは消滅した。

その直後にフェンリルの存在感が強くなる。

巨大な影に気づいて後ろを振り向くと、銀色の毛並みをした大狼がいた。

 

『蓮さん。これが私の真の姿です。真面に見せるのは初めですよね』

 

頭の中に直接響く声。

多分、テレパスか何かだろうなぁ。

 

『驚かないのですね?』

 

「いや、フェンリルだって知らなければ驚いたかもしれないけど、フェンリルだって分かってれば驚く事は無いよな?

だって、良いやつだって知ってるんだから」

 

俺はそう言って笑う。

それを見て、フェンリルが元の人型に戻る。

顔は真っ赤だ。

 

「私は何を恐れてたんでしょうね?蓮さんは蓮でしたね」

 

「どゆこと?」

 

フェンリルの言葉に疑問を感じると、力が抜けて尻餅をつく。

手が震えて力が入らない。

 

「道化にしてはよくもったものよ。神の圧力に屈しなかったのだからな」

 

ティルフィングが珍しく、優しい顔をして言う。

 

「しかし、これではゼウスは無理だな。

まぁ、問題なかろう。蛇女が何か考えていたのでな」

 

ティルフィングがそう言った後、テュールが守っていた門の内側から凄まじい爆発音が聞こえた。

 

 

 




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