後で修正するかもです。
主人公SIDE
「えーと、ヨルムンガンドさん?」
「なんじゃ?」
俺は今、ヨルムンガンドに連れられて牢獄の様な場所に来ている。
うーん、俺変な事したかな?
ただ、寝て起きて起きたら首根っこを掴まれて連行されただけだしなぁ〜。
「何故、こんな所に来てるんですか?」
「お主に力を着けさせようと思っての 」
「ということは、こんな場所に誰かいるのか?」
もし、そうなら可哀想だ。
「そうじゃ。此処は我々魔族が人間から奪った数少ない領地の一つじゃ。
……説明は後じゃ。着いた 」
ヨルムンガンドが止まり、俺も止まる。
俺の正面には鉄格子の奥に鎖でつながれた銀髪の女性が見えた。
「……客ですか?ヨルムンガンド 」
口調は丁寧だが、明らかに敵意を感じる声。
「前に話したじゃろ?妾達の希望の人間じゃ 」
「その希望の方を私の前に連れ出して、喰い殺させたいのですか?」
殺意が強く感じられる。
でも、なんだろう?悲しい、この人から感じるのは全てが悲しい。
「なぁ、なんでそんなに悲しそうなんだ?」
思わず口が動いた。
「……私が悲しそう?この姿を見ての同情か?」
「違う。その目だよ。
まるで、大切な物を一瞬で全てを失った様な目をしてる 」
この人を悲しいと思うのは、この人の目が原因だろう。
ヨルムンガンドと会話をしていても、俺と会話をしていてもこの人の目は何も写していない。
「ふふっ。フェンリルに可哀想という奴は初めて見た 」
「静かにしてください。ヨルムンガンド 」
フェンリルと云うと、北欧神話の狼だったよな?
という事はあの鎖はグレイプニルかな。
そんな事を考えているとフェンリルさんと目が合う。
「私の力が欲しいのですか?」
「まぁな。力が無いのは嫌だからな 」
「そうですか。では、貴方が力を得るのに相応しいか試験です 」
「試験?」
何をやらされるんだろうか?
戦闘?知識比べ?盤上のゲーム?
「これから一週間、私と一緒に過ごして下さい。
私の力を知った上でもう一度判断して欲しい 」
「へ?」
フェンリルさんと生活しろ?
生活をしてみて、契約するかどうか決めろって事か。
「私の力は、貴方を苦しめる事があるかもしれません。
ですから、私と過ごして契約するかどうかを決めて欲しいのです」
「……分かった。それで、フェンリルさんが安心するなら構わない 」
この人は怖いんだ。
自分と関わったことで、誰かが不幸になるのが。
「主の負けじゃな。フェンリル?」
「はぁ、では一週間宜しくお願いします 」
なんで、自分が言い出した事に同意した返事を返しただけなのに溜息をつかれるんだ?
まぁいっか。フェンリルさんがどういう人か知りたかったし。
こうして俺の同居生活が決まった。
ただ………
「フェンリルさん!焦げ臭いけど大丈夫なんですか!」
「あ… 」
料理を作れば、全てを焦がす。
「フェンリルさん⁉︎ 」
「あ…… 」
片付けをすれば、片付ける前より悪化する。
「フェンリルさん……もしかして、家事出来ません?」
「……… 」
気まずそうに目を逸らすフェンリルさん。
この人やっぱり駄目な人だ。
「…… 」
どうしよう?
沈黙が気まずい。
あれ、未だ始まったばっかりだよね?なんで、こんな空気になってるの?
「フェンリルさん。良かったら教えますか?」
「良いんですか‼︎ 」
嬉しそうに、尻尾が付いてたら激しく揺れていそうな感じに笑っている。
狼より犬っぽい。
「良いですよ。俺も教えるの好きですし 」
「じゃあ、お願いします 」
行儀良く頭を下げるフェンリルさん。
うーん固っ苦しい。
「敬語はやめません?」
「それは貴方にも言えますよ?」
あ、なんかフェンリルさんの容姿から知らない内に敬語になっていた。
ヨルムンガンドといれば、気にしなかったけど二人でいると敬語になってたな。
「分かり……わかった。これで良いか?フェンリル 」
「はい。では、改めてよろしくお願いします 」
「あれ?変わってなくない?」
「実は、コレが素の口調なんです 」
一発殴ってやろうか?
敬語を止めようといった相手が実は、敬語が素の口調ですって。
狙ってやっていたならある意味天才だよ。
まぁ……
「?」
こうして、首を傾げている限り天然だな。
「まぁ練習は明日からで。今日は早く食べよう 」
「そうですね 」
そういった時、キュルルと軽い音が響いた。
「……… 」
顔を真っ赤にしているフェンリル。
「ハハッ、食べようか 」
無言で頷くフェンリル。
二人で向かい合うように席に着く。
あ、言い忘れたけど此処は牢獄みたいな場所から離れた所にある小さい家です。
って、誰に説明してるんだ俺?
「「いただきます」」
手を合わせて食べる。
俺の世界の文化だったけどこっちでも変わらないらしい。
「フェンリル。箸使うの上手いな 」
和風の料理を作っといてアレだが、フェンリルは器用に焼き魚を食べている。
「ヨルムンガンドに散々付き合いましたから 」
「ヨルムンガンドって、日本のもの好きだよな。って分かんないか 」
日本ってこっちの世界の事だし。
「いえ、分かりますよ。此方では、極東という呼び方でしたが 」
そう言えば、極東の茶葉と言って飲み慣れた緑茶が出てたっけ。
そんなに、かけ離れた世界という訳では無いのか。
「それにしても、美味しいですね。
昔から、調理をしていたのですか?」
「ああ。親父が料理をしなかったから、俺が料理をしていた 」
「母君は?」
「……死んだ。俺が生まれた時にな 」
「そうですか……それは…… 」
視線をウロウロさせるフェンリル。
「気にすんな。って言ってもあれだろうけど 」
こういうのって聞いた方が気まずいよね。
俺はもう割り切ったけど。
そのまま、これと言った会話はなく、食事を終えた。
三日が経ったある日ーーー、
俺は怒号に目を覚ました。
「かかれーーーー!!!!」
「な、なんだ⁉︎ 」
飛び起きて、窓から外の様子を見る。
其処には、フェンリルとたくさんの人が戦っていた。
「何をしておる!早く行かんか‼︎ 」
ヨルムンガンドが部屋に入り、怒声を飛ばしてくる。
「フェンリルはグレイプニルの効果で、全力が出せない。
とっとと契約をして、連中を蹴散らしてこい 」
「でも、フェンリルが許可してくれるのか?」
未だ、テストと言われた一週間は経過していないし。
「それはお主次第じゃ 」
含みを持たせた笑みを浮かべて何処かに消えるヨルムンガンド。
相変わらず、変な奴だな。
「こんなことしてる場合じゃ無かった‼︎ 」
部屋から飛び出して、フェンリルの下に向かう。
道中にあった剣を握って走る。
「うん?魔族の所から人間が出てきたぞ‼︎ 」
「戻って下さい‼︎出てきては危険です!」
外に出た瞬間、兵士に見つかってしまう。
「魔族と親しげだぞ。離反者か!殺せ!!」
ちょ、待って。
周りにいた兵士が武器を構えて此方に向かってくる。
「ああっくそ!」
一番近くに来た兵士が振り下ろした剣を受け流して蹴飛ばす。
後ろにいた槍を持つ兵士が突き出してきた槍をしゃがんで避ける。
弓矢を構えた兵士が視界に入る。
「ヤバッ!」
飛んでくる弓矢を走って避けるが、一本足に刺さり転ぶ。
「痛っ!」
転んだところに兵士が集まってくる。
これはヤバイんじゃないか?
「離反者は見つけ次第殺せと云う指示だからな 」
剣が振り下ろされる。
思わず目を瞑る。
……………アレ?痛みがこない?
「まさか、私を助けに来たんですか?」
ドサッと何かが倒れる音と、フェンリルの声が聞こえる。
恐る恐る目を開けると、兵士が倒れていた。
「フェンリル 」
「無茶しすぎです。私は…大丈夫ですから… 」
そう言って、フェンリルが膝を着く。
背中に弓矢が刺さっている。
「だ、大丈夫か!!」
「心配は不要です…… 」
「でもっ!」
俺に力が無いから!
フェンリルが傷を負ってしまった。
「私は魔族です。人にとっては致命傷でもこの程度は問題ありません 」
「それでも心配だ!それに、俺に力が無いから… 」
覚悟が足りなかった。
人を斬る事が俺には出来なかった。
俺は魔族に味方するとあの時、ヨルムンガンドに言っただろう。
俺は頬を引っ叩く。
「な、何を?」
吃驚した様子のフェンリル。
「いや、俺の覚悟が弱かった。
その代償でフェンリルに傷を負わせてしまった。
だから、もう一度気合を入れた 」
剣をしっかりと構える。
フェンリルの後ろに忍び寄っていた兵士を斬る。
「があっ!」
そのまま、兵士は地に伏せて動かなくなった。
人を殺した……でも、これは俺が決めたことだ。
止まることは許されない。
「フェンリル。取り敢えず此処を 」
続きを言うことは出来なかった。
フェンリルに唇を奪われたからだ。
「ぷはっ……貴方の目にしっかりとした意思が宿りました。
今の貴方なら力を託せます 」
顔を赤くしたフェンリルが映る。
体に力が溢れてくる。
傷口が埋まっていく。
「傷口が!」
「契約した事による細胞の活性化でしょう。
……私と会った時の貴方は何処か酔っていました。
だから、テストと言って私と生活をさせました 」
貴方の人格を知りたかったのもありますけど、と付け加えるフェンリル。
うん?もしかして、フェンリルは此処に人が攻めてくると知っていたのか?
「知ってた?」
「はい 」
やっぱか。
「私と戦ってくれますか?」
「ああ!戦う!」
力を手に入れての初めての戦闘が始まった。
あ、完全に攻略出来た訳ではありませんので。
チョロインでは無いですよ〜
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