Log Horizon ―流浪の盗剣士―   作:青龍偃月

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第四話 ―少女育成計画?―

「はっ!とぉぉぉう!!」

額に汗を滲ませながら、自分よりも大きい赤髪の青年に木刀で食ってかかる少女。

青年の方はそれを真剣な眼差しで見て、相手の一撃を受け流す。

 

少女が叫び、斬りかかり、青年はこれを受け流すの繰り返しの6月後半。じめじめとした暑さが、夏の訪れを痛感させるそんな季節。

 

朱雀とヒナの間に、奇妙な師弟関係が形成されてから早くも二週間と少しが経過していた。朱雀の訓練によって、最初は一般人レベルだった大地人の少女「ヒナ」のレベルは14にまで成長を遂げていた。

 

朱雀の方も、ヒナとの師弟関係によって少しずつ人と接することに慣れつつあった。そのおかげかヒナへの教え方も上手くなっているのであろう。

二人の師弟関係は、予想以上の効果を生んでいたのであった。

 

「うん、今日はこれくらいにしようか。」

 

「はぁ……はぁあああ……。」

 

少女の最後の一撃を受け流し終えた後、朱雀はタオルを差し出しながら稽古の終わりを告げる。

 

「やっぱり全然スザクに一撃お見舞いできないねー……。」

「そりゃあお前の師匠だからな!簡単に一撃もらってたら威厳がねぇってーの。」

 

タオルで汗を拭き取りながら、少しばかり悔しそうに少女はつぶやく。

朱雀の方は得意気に鼻を鳴らしながら、練習用の木刀をインベントリの中へ仕舞う。

 

(そろそろ木刀じゃなくて本物で戦ってみないとって感じかなあ、木刀と実際の剣じゃ重みも威圧感も変わるからな……。)

(ふむ、鍛冶師のスキルがどう活かせるのか試したいのもあるし、そのついでにヒナ用の剣を作ってやるとしますかねぇ。)

 

ついこの間、アキバの様子を行商の親父さんに訪ねてみた時に聞いた話の真偽のほどを確認したいという気持ちが朱雀の中にはあった。

 

朱雀が治安の悪化を懸念し、アキバを離れて少し後に「円卓会議」なる統治機構がアキバに生まれたらしい。

そして、「料理人が現実と同じプロセスを辿ることで味のある料理が作れる」というこの世界を変える発表が円卓会議がされたということ。

その技術を応用し、生産系ギルドが蒸気機関を発明したという話を最初にチョウシまで送ってくれた行商の男から聞いたのだ。

 

つまり、鍛冶師のスキルの応用をすれば、この世界や<エルダー・テイル>の頃にはなかった新たな武器を生成することも可能だということだ。

 

 

夕暮れ時、稽古を終えて数時間経ったが、朱雀は自分のテントの中で頭を抱え試行錯誤をしていた。

 

「ヒナが持ちやすい剣っつーとやっぱりレイピアみたいな軽い奴がいいよなあ。とすると素材は……」

 

少女に贈るための剣、長い間使い込んでも劣化しないような業物を彼女にプレゼントしたい一心で、インベントリ内の素材とにらめっこを続けていた。

 

「レイドに参加しない、できない」という縛りの中で、少しでも自分を強くするために生産素材やスキルの巻物にはかなりお金をかけていたため、今でもインベントリの中にはサブ職業のレベル上げに使った時の鉱石などなど、いろんな素材がひしめきあっている。

 

「うん、素材と顔付き合わせ続けてもなんも始まらないしな。いっそフィーリングでこうパパッとやっちまうか!」

 

悩み続けて数十分、ようやく覚悟を決めた朱雀は鍛冶台を用意し、作業を開始した。

 

 

 

 

一方その頃、アキバの円卓会議ではある問題が起きていた……。

 

自由都市同盟イースタルの遣いから、円卓会議に向けて一枚の手紙が渡された。

その手紙の内容は「北方からゴブリンの大軍勢が進行しつつあるため、襲撃される可能性があるチョウシの街及びその周囲の防衛、ゴブリンの殲滅」を円卓会議で請け負って欲しいという、大災害後初めての大々的なクエストの発布だった。

 

もし請け負い、これを成し遂げてくれた暁には円卓会議を自由都市同盟イースタルへ貴族として招待したいとのことだった。

 

円卓会議内で、このクエストを請け負うか否かで2つに割れていた。

 

「これは間違いなく〈ゴブリン王の帰還〉によるゴブリンの大軍勢の進行でしょうね……。」

「これを請け負わないとなると、ほぼ間違いなく自由都市同盟イースタルは壊滅的な被害を被るでしょう。」

「その後アキバに進行してきたゴブリンたちを片付けるのは、アキバにいる冒険者であれば不可能ではありません。」

 

と、落ち着いた様子でシロエは円卓会議のメンバーに問いかける。

 

「いきなり遣いを送り込んで来たと思ったら、貴族にしてやるからゴブリンを片付けて来いだ?ふざけてるなオイ!」

 

「まぁまぁ、元々は僕達冒険者が環境を整えようとしててゴブリンの事を忘れてたのが原因ですし……。」

 

「先程言った通り、大地人をあらかた狩り終えた後のゴブリン達がアキバに進行しても我々であれば問題はありません。」

「ですが、我々にはこの世界の情報が足りない。」

 

「助力をするとなれば、情報を得ると同時に大地人とコネクションを形成することができる。そういうことだね。」

 

「はい。そういうことになります。」

 

イライラした様子のアイザック、それを諌めようとするソウジロウに冷静な面持ちのクラスティ。

 

「ま、断るにしろ請け負うにしろ、どちらにしろ返事を出すためにもあちらさんのところに行かないといけないな。」

 

 

そして、夜が更けていく。

 

 

ゴブリン王の帰還とは別の脅威が朱雀とヒナに迫りつつあることを、未だ誰も知らないでいる。

 

 

 

 

 

 




ゴブリン族と新人研修(?)には都合上すこし時期をはやめてもらうことにしました^q^

アニメは複数回見直してるけども、円卓会議の人たちの口調が安定しないというかうまく架けない^w^w^w^w^w^w^
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