やはり俺の魔王退治の旅は間違っている。   作:璃隠

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お、遅くなりました…!
頑張って書いてたんですが、中々区切りが付けられず…。
申し訳ないです。


第4話 やはり勇者はどこでも頼られる。

「ハックシュン!」

 

アルスタームを出て3日目、俺は大きなくしゃみと共に溜息を零していた。

いや、別に風邪とか引いてないからいいんだけどよ。

 

「ハチマンくん、やはり少し休んだほうがいいかしら?」

「うんうん、疲れてると風邪ひきやすくなっちゃうって言うし。」

「別に平気だ。多分誰かが俺の噂でもしているんだろ。」

「あなたに噂をしてくれるような友人がいるのかしら?」

「バカ言うな。俺にだって噂してくれる友人くらいいる。

コマチだろ、サイカだろ、あとサイカもいるし、あとはサイカだな。」

「サイちゃんばっかりだ!」

「妹さんを除いたら1人しかいないあたりあなたの友人関係は薄っぺらいわね。」

 

失礼な、お前の胸よりはマシだ。

と、言いたいところだがそんなこと言ったら犯罪者扱いされて破邪の剣で刺されかねないな。

まあ破邪の剣は俺が持ってるわけだが。

 

「やっぱ昨夜、寒かったよね…?」

「お前らが余計な心配する必要はねぇよ。」

 

別に、昨夜はお楽しみにでしたね。何て言われるようなことがあったわけではない。

俺が想像していた以上にこの2人は旅というのを甘く見ていたらしい。

 

それは昨日、日も暮れ始め、辺りは少しずつ闇に飲まれていたころの話だ。

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

「ハッチ、まだ次の村に着かないの?」

「まだ結構距離がある。」

「流石に夜通し歩くとなると、危険じゃないかしら?」

「そうだな、夜になると魔物も増える。今日はこの辺りでいいだろう。」

 

そう言って俺は荷物を降ろして辺りを見渡す。

視界は良くないが、火をつけて辺りに聖水を撒いておけば、魔物は近寄り難くなるだろう。

森の中であれば薪も集めやすい。

倒木に座り、辺りの枯れ木を集めて火をつけようとすると、2人が不思議そうにこちらに視線を送る。

 

「とりあえず飯でいいか?」

「あ、ご飯かぁ!そうだね。お腹すいちゃったし…ハッチったら先に言ってよ。

てっきりここで野宿するのかと思っちゃったよ。」

「ん?どこか別の場所がいいのか?」

「「え?」」

 

まあなんとなく予感はしていたが、案の定この2人には野宿をするという選択肢はなかったらしい。

その問いかけを返すのは面倒な事を言い出す予感しかしないので、疑問は別の所にあることにしよう。

これで野宿が当たり前のものだと認識して余計な詮索をすることはないだろう。

 

「ハチマンくん、ここは宿屋ではないわ。布団もないのよ?」

「そ、そうだよハッチ!ご飯食べてから街に向かうんじゃないの?」

「大体、野宿なんてしたら貴方が何をしでかすかわからないじゃないの。」

 

俺の作戦は失敗した。

いや、ここは空気読めよ、なんでそんな説明をしないといけないんだよ。

しかし、ここで言っておかなければ彼女達はいつまでたっても、ここで休むという選択肢はおろか、もっと長時間になった時の事を考えることはしないだろう。

 

「はぁぁぁぁぁ…、お前ら魔王退治の旅をするんだよな?」

「ええ、そうよ。」

「今はそんな事を関係ないじゃん。」

「大ありだ。魔王退治の旅となると世界中を旅する事になる。

もちろん、次の街に行くまでに1日で行けるところもあれば、1週間かかるところだってある。

お前ら、その時は1週間丸々歩き続けるつもりか?」

「「あ…」」

 

ようやく理解したらしい。

この旅には野宿は必須だと…まさかユキノまで同じ事を聞くとは思わなかったがな。

意外と天然なのかもしれない。

 

「必要なことなんだから、さっさと慣れることだな。」

「うかつだったわ…馬車を用意していれば、夜はその中でも眠れたのに…。」

 

俺は荷物の中から非常食とマントを取り出してそのマントを羽織った。

非常食を2人に渡して、薪に火をつける。

 

「馬車なんて買えるだけの資金なんかないぞ。」

 

先生とハルノさんが用意立ててくれた資金を馬車に当てたりしたらそれこそ旅なんか出来ない。

ちなみに俺が買ったテントはコマチの商売道具に混ざって馬車と共に消えた。

まさか、俺の荷物まで俺のステルス性能が引き継がれるのだろうか?

 

「俺たちが使っていた馬車は、コマチの商売道具が入ってるから俺たちの手に渡ることもない。

どうでもいいが、夜は冷えるから上着なり寝袋なり出せよ。

夜は俺が見張りしているからそれ食べたらとっと寝ておけ。」

 

ここに来るまで俺はほとんど手を出していない。

モンスター達との戦いが楽じゃないのは俺が一番知っている。

だから夜くらいは存分に休ませてやらないと、明日は俺が働くはめになる。

あぁ、働かないで食う飯はうまい…が、いつまで経っても食事をする様子のない彼女達と再び視線があった。

 

「なんだよ?」

「ハッチ…私、上着とか寝袋とか用意してない…。」

「………は?まさかユキノ、お前もか…?」

「え、えぇ。この辺りは暖かいし、マントは寒くなる頃に揃えればいいかと思って…。

無駄な荷物は減らしてきてしまったの。」

 

全然無駄じゃないんだがな。むしろ必須ですらある。

とは言え、野宿が予想外だったというのであれば、それも当たり前なのかもしれない。

大きく溜息を吐くと、俺は自分のマントを外し、荷物から寝袋を1つ取り出して2人に渡す。

 

「悪いが、俺も予備なんか持ってきてないからな。

2人で相談してどっちが何を使うか決めてくれ。」

「それではハチマンくんが寒いでしょう?」

「そうだよハッチ!」

「一緒に寝たり、同じマントに包まるわけにはいかないだろうが。

それに一晩火の番してるからむしろ暑くなり兼ねないし気にしないでいい。

次の街に着いたら買うからな…。」

 

でも、と言いかける2人を尻目に立ち上がる。

 

「俺はその辺に聖水撒いてくるわ。あと薪の追加。

俺が戻ってくるまでに寝ろよ。」

 

そういって有無を言わさずその場を離れる。

まあこの辺りの気候ならそこまで寒くならないだろうし別に問題ない。

ユイに言ったように火の番していたら暑くなるまである。

そうしたら、どちらにせよマントを脱ぐという結果は変わらない。

むしろそんな事を言う余力があるなら、さっさと明日に備えて寝てもらって、早く強くなってもらうほうがいいからな。

別に、いいわけというわけではない。

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

そして話は今に至るわけだ。

昨夜は思った以上に冷えたが、別に不調はないので問題はないと思う。

あの後戻ったら2人仲良く横になってたけど。

話し合いかじゃんけんかは知らないが、結局マントはユイが、寝袋はユキノが使っていた。

 

……俺、今後あのマントや寝袋を使うのか?

いや、結構勇気が必要な選択だ。

 

「見えてきたわね。あの村が目的地かしら?」

 

疑問を投げかけるユキノの言葉に顔を上げる。

 

「だな。

あの村は小さいが、港からアルスタームに向かう時に立ち寄る人も多いらしいから、わりかし活気がある。

それなりに物も揃えられると思うぞ。」

 

だいぶ前に立ち寄ったときは、結構居心地はよかったな。素朴な田舎って感じだ。

というか、お願いですから、今度は服とかよりもマントや寝袋を揃えてくださいね。

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

「ハッチ…?」

「ハチマンくん…?」

「俺に言うな、そして聞くな。

少なくとも俺が前に来た時は活気があった。」

 

その村の閑散とした様子に俺も疑問を隠せない。

それにこの雰囲気を察するに何かしらがあったのだろう。

ただ、こんな世の中だ。魔物に襲われれば村の作物も取れなくなるだろうし、多少なりとも活気が落ちるのも仕方のないことだ。

というか、この村、仕入れとかちゃんと出来てるのか?

ここでまともに買い物が出来なかったらまた俺のマントと寝袋が犠牲になるんだが…。

 

「とりあえず、宿屋で部屋を取るか。

お前らも風呂入ったり、まともな布団で寝たいだろ?

最悪、寝床くらいはなんとかなるだろ。」

 

食事は保存食になりかねないが…。

一応予定ではここで食糧を追加するつもりだったから余分にはないんだがな…。

 

 

 

「部屋を2つ用意して欲しいのですが。」

 

さすがに今回はユキノが話し掛けてくれたので、俺は後ろに立ちながら宿屋の女将さんの様子を見ていた。

 

「え…お泊まり…ですか?

うちの村で泊まるのは……。」

 

その女将の言葉に俺はこの村で起きていることを確信する。

 

「いえ、なんでもありません。

お二階にお部屋をご用意しますね。」

「あの、この村に何かあったのですか?」

 

流石は勇者様だ。

ここでそんな問いかけをしたら面倒ごとになることが分かりきっているだろうに。

分かっていても助けずにいられないとか、本当に勇者様らしいことで。

 

「いえ、あの…特別なにも…。」

「しかし…!」

「二階だったよな、ありがとさん。食事は出るんですか?」

「え、あ、あまり大したものはお出しできませんが…。」

「旅人にとってみれば、屋根のある所であったかいもの食えるだけで充分っすよ。

行くぞ、ユキノ、ユイ。」

 

俺はわざとらしく女将さんとユキノの話を遮るように横から口を出して鍵を受け取る。

そんな露骨に苛立つような顔見せるな。

わざとだから仕方ないけどよ。

鍵を受け取るとそのまま荷物を持って階段を登る。

 

「ハチマンくん、待ちなさい。まだ話の途中だったのよ?」

「そ、そうだよハッチ、絶対村の人が困っているみたいだったよ。

魔物とかが夜な夜な襲いに来てるのかもしれないじゃん。

助けてあげようよ!」

 

俺は階段をさっさと上がりながら、ユキノとユイの言葉を受け流す。

部屋の鍵を開けて、視線だけで部屋へ入れと誘導する。

 

「ハッチ、なんのつもりなの!?」

「先に言っておくが、俺たちの旅の目的は魔王討伐であって、困っている人を助ける旅じゃなかった気がするが、違うか?」

「えぇ、厳密に言えばそれは最終目的ではあるけれど、それ以外にも、魔王の影響で凶暴化している魔物達の脅威に困っている人達を助けることも含まれているわ。」

 

つまり、ユキノ的にはこの村の厄介事に首をつっこむのも当然という事らしい。

なんて面倒な性格なんだろうか…。

俺はさっさと旅を終わらせたいのに、この旅を終わらせるには相当時間がかかりそうだ。

面倒な依頼通り越してんぞ、先生、ハルノさん…。

 

「なるほど、つまり魔王討伐と魔物退治がこの旅の目的という認識でいいか?」

「そうよ。」

 

力強く肯定するユキノと、隣で頷いているユイ。

うわぁ、面倒くせぇ…が、今回はこれで言質をとった。

今回の厄介事には適当を言って回避できそうだな。

 

「だが、お前達が勘繰ってる村の悩みは魔物じゃない。」

 

俺ははっきりと物を言い切って2人に視線を返す。

2人はどういう事だと言わんばかりにこちらを見つめ返す。

そんな見つめられるとなにも言えなくなるんで止めてください。

 

とにかく、俺はそんな2人から視線を外すと、ちょうど外の様子が見える窓へ視線を向けた。

 

「この村の建物が傷つけられたり壊されたりしている様子はない。

魔物がこのあたりに出没するのなら、こんなに綺麗に残されているのは不自然だ。

その次に、ここに残っているのは年寄りや子どもばっかりだ。

若い男や女があまりにも少ない。男が少ない事が魔物との戦いの名誉の負傷だとしたら、もう少し表に出ていてもいいだろうし、女の数だってそこまで減っている事はない。」

 

そう、この雰囲気は魔物の影響だというのには余りにも無理がある状況だ。

そして、さっきの女将の様子を考えれば、もう自ずと正解が出てくる。

 

「極めつけはあの女将の話だな。」

「……魔物が襲ってきているのだとしたら、あんな風に言い淀んだりしない…という事かしら?」

「そうだ。この村の情報を外部に流しても自分達になんの影響もないのなら、素直に頼めばいいだけだ。

だが、返答に間があり、その返答もまたはっきりとしたものではなかった。

魔物相手にそんな心配は不要だ。むしろ数を増やして戦うほうがいいまである。」

 

そこまで答えればユキノは理解したのかおとなしく黙った。

ユイはと言うとうーん、とか唸りながら考える素振りを見せている。

平常運転だな。

 

「あっ!助けを頼んで救援が来たとしても報復されるのが怖いんだっ!」

「「………驚いた。」わ。」

 

俺とユキノがハモった。

 

「なにがだしっ!?」

「え、いえ、何でもないわ。」

 

そんなことを理解したことにも驚いたが、報復なんて言葉が出てくるとは思わなかった。

アホの子おそるべし…。

 

「まあユイにも分かるんだからわざわざいう理由も無いかもしれないが、そういう事だ。

相手は知性の無い魔物ではなく、徒党を組む人間って事だ。

つまり魔物のせいではないので俺達の目的には当てはまらないということだ。」

 

QED、よし!これで今回は面倒ごとに触れずに済むな。

 

「そんなの詭弁だわ。」

「ユキノが言ったんだろ?」

 

俺はなにも間違ったことは言ってない。

 

「俺達だって戦力やら時間やらに余裕があるわけじゃない。

相手が人間なら話し合いだって出来るだろうし、余計な首をつっこむ必要はない。

そんなボランティアの旅をするっていうならそうじゃなくても見えない終わりがさらに霞んで見えなくなる。」

「でも人間が人間を襲うなんてそれこそ魔族が謳歌しているのが原因よ。

人の心に余裕がなくなったのは魔物のせいなのだから。」

「それこそ詭弁だな。

それなら魔物がいなかった時は奴隷商なんざ存在しないし、人間同士の戦争も起こるわけがない。

だが、今人間同士で手を取り合っているのは、魔王という共通の敵が存在しているからにほかならない。

それに、仮にユキノの言う通り魔物のせいだというのなら、尚のことさっさと魔王討伐を果たして根本的な解決をする方がよっぽと理に適っている。

つまり、こんな事に首を突っ込んでいる時間はない。」

「………貴方の考え方…嫌いだわ。」

「それなら俺をクビにするか?俺はそれでも構わない。」

「ちょっ…ハッチ!ゆきのん落ち着いて!」

 

この流れで俺の仕事も終わりになるかと内心期待していたが、慌てて俺達を止めるユイに、ユキノも次の言葉を紡ぐのを留まった。

俺は真っ直ぐと怒りと憎悪の視線を向けるユキノから視線を外しベッドに座った。

 

「とにかく、村長さんに話は聞きに行くわ。あくまでもそれは貴方の推論であって、真実ではないもの。」

 

ユキノはそう告げると、部屋の外に出ようとして扉に手をかける。

 

「話を聞いて、人間の仕業なら大人しく諦めるのか?

一度余計な首を突っ込めば、後には引けなくなると思うが?」

「……困っている人がいるのなら、当然それを助けるわ。」

「それも勇者の役割か?」

 

こちらを振り向かないユキノの背中に声を掛ける。

まあ、その行為もある意味では勇者らしいかもしれないが、俺の目には……。

 

「勇者だからじゃないわ。

困っている人がいたら助けたいと思うのは……。」

 

そう言って扉を開き、一度だけこちらに視線を向けた。

 

「人としての道理よ。」

 

ユキノはそう言い放つと力強く扉を閉める。

その音にユイは一瞬だけビクッと肩を震わせた。

 

「あ、あははは、ゆきのんも少し意地になってるね。

それにゆきのんの言う通り、ハッチの推論が間違ってて頭のいい魔物なのかも。」

「だとすれば、それは魔物ではなく、魔族だな。」

 

魔物と魔族の差はその知性にある。

だから魔族は人語を理解するし、厄介だ。

 

「うー、でもあんまし変わんないじゃん。

その時はちゃんと目的通りだと思うよ!」

 

ユイの言葉に視線を上げて目を合わせる。

 

「その時は目的としては間違ってはいない。

だが、今のお前達に魔族の相手は無理だ。

もちろん…俺にもだ。」

「…でも、その時は手伝ってくれるよね…?仲間…なんだし……。」

「……仲間…だからな。別にその時だけじゃなくて、戦う必要があるなら手伝ってやるさ。」

 

そう言ってベッドに倒れこんで視線を逸らした。

仲間とか恥ずかしいセリフ、よく言えるな。

 

「ハッチ……、だよね!じゃあ後で一緒に村長さんの所に行こうね!」

 

弾んだような声を出すユイの言葉にそっぽを向いたまま、俺は返事をすることはなかった。

 

・・・・・・・・・・

 

結局、村長の家へと向かったのはすっかり日が暮れてからである。

こんな時間にお邪魔するのも人の道理としてどうなのか?と問いただしたいところではあるが…。

ユイが部屋に迎えに来て外に出たときのユキノの『なんで貴方がここにいるのかしら?』と、問いかけるような冷たい視線を受けつつ、ユイがユキノを引っ張らなかったら、またあの言い合いがはじまっていたかもしれん。

別に来たくて来たんじゃないんだからね!

と、そんな冗談を言うこともないまま、ユキノ達と一緒に村長の家に向かい、ユキノが村長の家の扉をノックする。

中から出てきた爺さんがユキノを見て、それからこちらにも視線を向ける。

 

「どちらさんですかの?」

「夜分に失礼いたします。

私達は先日アルスタームから旅立った…。」

「勇者ゆきのんと、私はその仲間のユイです。」

 

と、ユイが全く空気を読まぬまま村長に自己紹介する。

いきなり身分を明かすなよ…。

マジで空気読まないな。

 

「…村長、単刀直入に言うが、魔物に襲われて困っている…とかじゃないよな?

この村の空気。」

 

横槍を入れたユイの言葉は無視して、今度は俺が横槍を入れる。

ユキノのキッとした冷たい視線は感じたが、俺はそれを無視する。

 

「何かはあるが、魔物に襲われたような気配はない、つまり盗賊かなんかの類がこの村を喰い物にしている…ちがうか?」

「さすがは勇者様とそのお仲間です。

仰る通り、この村は今盗賊共に脅されております。」

 

ほら見ろ、俺の予想通りだ。

勝ち誇ったような目をしたつもりはないが、ユキノは腹立たしげにこちらへと視線を向けたが、1度溜息を吐くと、再び村長へと視線を向ける。

 

「もしよろしければ、詳しい事をお話していただけませんか?

私達でお力になれることがあれば、少しでもお役に立たせていただきます。」

 

人としての道理、その言葉そのままにユキノは村長へと進言する。

まあこうなるだろうとは思っていましたがね。

小さく溜息を零した事にユイは苦笑し、ユキノは無視を決め込んだ。

 

村長の家に招かれて、俺達は席に座る。

村長の奥さんが俺達の手元にお茶を出してくれるのを見て俺は軽く頭を下げた。

 

「半年程前でしょうか…。

カンダタ一味を名乗る盗賊が初めてこの村にやってきたのは…。

金目の物とアジトで働かせるための人手として、若い男女を要求してきました。

初めは当然断りました。

この村に滞在する傭兵も数人いたので、ワシらもあまり心配はしていなかったのですが…。」

「その盗賊達は滞在していた傭兵達よりも…?」

 

小さな村とはいえ、この国の首都と港の間にある村だ。

多少なりとも潤っていたであろうし、ここを拠点にする傭兵だって、それなりにいたはずだ。

だが、盗賊に勝てなかった…もしくは…

 

「あるいは傭兵の中にその盗賊の仲間でもいて手引きをしたか、だな。」

 

ユキノの言葉に付け足すが、村長はゆっくりと首を横に振った。

 

「いえ、初めて来た時は傭兵達に追い返されました。

あちらも然程数は多くなかったですし、手練れの傭兵達には敵わなかったのです。

しかし、その半月後、再び奴らがやってきました。

傭兵達はまた来たのかと、今度は村へ入れる事なく追い払ってくれようとしたのですが……。

 

傭兵達は、数刻もしないうちに村に戻ってまいりました。

無傷の盗賊達とともに…無残な死体となって…。」

「たった半月で戦力差をひっくり返したというのですか…?」

 

ユキノは驚きを隠せぬまま問い掛ける。

驚愕したのは当然ユキノだけではない。

半月前にあっさりと追い払われたような盗賊が、そんな短い期間にその戦力をひっくり返せるわけがない。

息を飲みつつ村長へと視線を向ける。

村長は…再びゆっくりと首を横に振った。

 

「やつらはモンスターの大群を連れていたのです。

逆らうなら、こいつらにこの村を襲わせる…そう告げて…。」

「…奴らの中に魔物使いがいたのか…?

しかし、腕の立つ魔物使いだってそんな大群なんて…。」

「ことの真偽はわかりかねます。

しかし、そのモンスター達は盗賊達に従っているように見えました。」

「ありえない。」

 

俺は思わず言葉を漏らしたが、ユキノは1度こちらに視線を向ける。

ほら見なさい。といわんばかりに…。

 

「手強いのはそのモンスター達でしょう。

やはり、"魔王の影響は"大きいようですね。

しかし、相手がモンスターと聞けば私も勇者として捨て置くわけには参りません。

いいわね?ハチマンくん?」

 

勝ち誇ったような声と表情でこちらに視線を向けるユキノ、村長には見せていないがどこかにこやかにこちらを見つめるユイ。

俺は大きな溜息をついて頷いた。

 

「分かってる。

が、俺はギルド所属の冒険者だ。

譲れないこともある。」

 

俺の言葉に首を傾げるユイ、そして冷たい視線、というより腐った死体を見るような視線で俺を見るユキノ。

 

「ハチマンくん、貴方まさか…。」

「報酬の話をさせてもらおうか。」

 

ユキノの言葉を遮って俺は村長へと言葉を投げる。

 

「し、しかし、私達も盗賊達に金目の物やら食糧やらを奪われて、私達の分も…。」

「そうだよハッチ!そんな事言わないで助けてあげようよ!」

「盗賊達から搾取された人達からさらに搾取しようなんて、貴方本当に人としてどうなの?」

「いいや、この妥協ラインは譲らない。

俺達だって何も飲み食いせずに旅なんかまともにできないだろうが。

ここで妥協したらいつか破綻する。

なにも残ってる有金や食糧を全部出せ何て言ってない。

報酬を払ったからって今日、明日なにも食えなくなるなんて事はないだろ。

ある程度、そうだな、ここから港に行くまでの間の保存食程度なら村中でかき集めれば余裕だろうが。

それで手を打ってやる。

俺達が戻って来るまでに用意しておけ。」

「貴方…!」

「い、いえ、勇者様、お仲間の方の仰る通りです。

分かりました。報酬はなるべくご用意させて頂きます。

ですから、村の若い者達を…。」

 

そう言って頭を深々と下げる村長に俺は頷く。

 

「話は纏ったな。宿に戻って作戦練るぞ。」

 

俺は立ち上がると早足で村長の家を後にした。

 

 

「あなたという人はどこまで見下げた人間なのかしら?」

「宿に戻るなり人を貶すのは止めてくれませんかね。

心の弱い人間ならまともに立ち上がれなくなるぞ。」

「そうだよハッチ!助けてあげたっていいじゃん!」

「だから、助ける事自体には反対していないだろうが。」

 

宿に戻るなり俺を貶すユキノに怒鳴り散らすユイ。

まあ、理由がわからない、というほど俺もバカではないが…。

 

「お前らは霞でも食って生きているんですかね。

あいにく俺は、目は腐ってるかもしれないが、一応人間だし、食べ物無しじゃ死ぬんだよ。」

「貴方が腐っているのは目だけじゃなくその性根のようだけれど?

その性格が目を腐らせたんじゃないかしら?」

 

ユキノの言葉にもう一度溜息をつきつつも、ベッドに座り込む。

 

「もう俺が悪いで構わんが、とにかく向こうも納得したんだし、その話はいいだろ。

結論が出た事を今更とやかく言う必要もないだろ。

一度結論付いたことにケチをつけずに、さっさと作戦会議を始めて面倒事は終わらせようぜ。」

 

俺の言葉に納得しきれない2人を無視して、俺はこの村周辺の地図を広げ話を続ける。

何度も言うが、俺は厄介ごとと面倒事は嫌いなのだから。

 

「村長達の話じゃ、盗賊連中はこの山の麓にある祠に篭っているらしい。

村長達が見たとかいう魔物の群れも、恐らく今もいると考えて問題はないだろうな。

正直数が気になるところだが、やり方は工夫しないと、俺達も傭兵達の二の舞を踏むかもしれない。」

 

俺が話し始めると、言いたいことはまだあると言わんばかりに口元を震わせる。

が、それも無視して話を始めたところでこれ以上は無駄だと理解したようだ。

正直このやりとりがまだ続くのであれば、俺は全部投げ出していたまである。

あ、それでもよかったのか。失敗した。

 

「働き手として若い男達を連れて行ったとするなら、盗賊の頭と人質は別と考えてもいいだろうな。

そして、その時魔物を配置するとしたら、余計な考えや反抗をさせるために、その若い人手に手配している可能性が高いかもしれないな。

二手に分かれて、片方が抑え込む方がいいとは思うが…。」

 

そこで俺は次の言葉に対して慎重に思考を巡らせて、ゆっくりと…。

 

「戦力のバランスを考えたら…まあ考える必要もないかもしれないが、俺とお前ら2人で別れた方がいいだろうな。

そのカンダタって盗賊は俺がなんとかしよう。

だから2人は……。」

 

正直なところを言えば、この2人が人間を斬れるとは思っていない。

手を汚すのは俺だけでいい。

 

「待ちなさい。」

「なんだよ。」

 

そんな人の気遣いを無視するように言葉を遮る。

 

「この依頼を受けたのは私よ。

盗賊の頭は私達が引き受けるわ。」

「あほか、相手は強力なモンスター引き連れているような盗賊だぞ。」

「だからよ。少なくとも、私達よりあなたの方が魔物の特性や種類を知っているんじゃないかしら?

私達は人間相手に修行をしてきているのだから魔物相手に遅れこそとったものの、人間相手ならまず負けないわ。」

「うん、ゆきのんの言う通りだよ。私達、お城の兵士さん達よりも腕は立つんだから信用してよ。」

 

そんな風に言う2人に俺は再び視線を向けて、溜息をこぼす。

 

「人間相手なら負けない…か。

……じゃあ聞くが、お前達、人を斬れるのか?」

 

俺の質問に意味を察するユキノと察せずに混乱するユイ。

まあ当然かもしれない。ユキノと違い、ユイは武道家、つまり拳が武器だ。

自分の攻撃で命を奪うなんて考えは浮かばないのだろう。

 

「何言ってるのハッチ、やっつけて捕まえれば終わりじゃん。」

「いや、違う。これは訓練ではなく実戦だ。

死に物狂いで殺しにくる人間を殺す覚悟があるのかが重要だ。」

 

その言葉でようやく意味を察したユイはついぞ黙り込んでしまう。

 

「分かったら……。」

「いいえ、ちゃんと理解しているわ。

私には私の覚悟があるもの。」

「……それは…勇者として…か?」

「…っ…そう、よ。」

 

その言葉は意地が悪かったかもしれない。

だが、ユキノがその覚悟を決めて頷けば、ユイも同様に頷いていた。

 

「分かった。だけど、無理はするな。

敵の数や魔物を見張りに置いているようなら、俺がそっちに行くまで待ってろ。」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

ようやく作戦がまとまった私達は盗賊がいるという祠に忍び込んでいた。

すでにあの男と別れた私達は、ユイさんとともにだいぶ奥まで進んでいた。

 

「ゆきのん、結構モンスター多いね…。」

「そうね、もしかしたら盗賊に気付かれているかもしれないし、注意しながら進みましょう。」

 

敵が魔物を使っている以上、ここにいる魔物も彼らの味方だと思った方がいい。

彼の言葉を思い出して、破邪の剣を握る手に自然と力が入った。

 

「それにしても、ハッチってばよくゆきのんにその剣返したよね。」

「敵の実力がわからない上に、自分がいないのだから、念には念を入れたのでしょう。

私も最初の頃とはちがうもの、上手く扱ってみせるわ。」

「そっか。でもハッチも心配性だよねぇ。あ、もしかして、この依頼を受けるの渋っていたのって…。」

「ユイさん、それは想像に過ぎないわ。

それに、あんなに渋っていた割に、受けると決めた瞬間にお金の話をしているんだもの。

本当にただ働きがいやだったに違いないわ。」

「あははは、かもねぇ。ハッチってよくわかんないとこあるし。」

 

ユイさんの想像は理解できる。

私も『斬れるのか?』という問い掛けにもしかすると私達に人を殺させないためにという気持ちが過ぎったのだから。

それでも、それを認めてしまえば、彼に甘え続けてしまいそうになるのでその考えは捨てることにした。

私は…姉さんの後を継いだ勇者なのだから。

 

「ユイさん、静かに。」

 

角を曲がって目の前に見えた扉に近付かないよう、ユイさんを抑えて口下に指を置く。

ユイさんも察したように頷いて、扉に視線をやる。

 

『がははは、モンスター万々歳だな。

役に立ちまくってるじゃねぇか。あのむかつく傭兵共をあっという間に消し去ってくれたしな。』

『ちげぇねぇ。さすがはカンダタ親分、容赦ないぜ。』

 

扉の奥に盗賊達はいるようね。

彼のように魔物と人間の匂いを嗅ぎ分けられたりはしないけど、そこにいる事はすぐに分かった。

 

「反省の色は全くなさそうね。」

「うん、やっつけて捕まえちゃおう。」

「えぇ、魔物の気配も感じないし、恐らく大丈夫だと思うわ。」

 

私達は頷きあって扉に近寄り、そのノブに手をかける。

 

「ユイさん、行くわよ。」

 

その一言の直後、私達は扉を開けて盗賊の部屋に飛び込んだ。

 

「大人しくしなさい。素直に村人を解放して、私達に従うなら、怪我をしないで済むわ。」

 

扉を開けて飛び込んだ私達を見て、一瞬顔が引きつった盗賊達。

しかし、すぐに下卑た笑いを浮かべる。

 

「おいおい、あの村の連中、傭兵がやられたら、今度はこんなお嬢ちゃん達に助けを求めたのかよ。

情けないな。ぎゃはははは。」

「仕方ないっすよ親分、あの連中ろくな金がないから、他の傭兵のアテがなかったんでさぁ。」

「いやいや、案外あの連中の俺達への生贄かもしれんぞ?

2人ともなかなかのべっぴんだ。こいつはいい金になるぜ。」

 

連中のいやらしい声が部屋に響く。

これだから盗賊という生き物は好きになれない。

彼にはわるいけれど、盗賊なんて生き物はどれも大して変わりない。

 

「従うつもりはないようね。悪いけれど遠慮はしないわ。」

「おぉ、怖い怖い、そんな口を聞けないようにたっぷりお仕置きしないといけないな。」

 

盗賊達が武器を構える。

彼と同様、ナイフを握る盗賊達とは反対に、親分と呼ばれるカンダタという大男は武器すら握らぬまま、ニタニタと笑い腰掛けている。

 

「ユイさん、あの大男は油断しているわ。攻撃に加わる前に雑魚は片付けるわよ。」

「うん、任せて!」

 

私とユイさんは二手に分かれると、油断しきっている子分達に攻撃を加える。

 

「はっ!!」

「足払い!!」

 

私の袈裟斬りが子分の体を掠める。

予想以上に素早い身のこなしに私は目測を誤ってしまった。

しかし、ユイさんはさすがに動きが素早いだけあったのか、見事に足払いを成功させていた。

 

「この女!」

 

攻撃をかわした子分が今度は怒りに任せて斬りかかってくる。

私はその攻撃の軌道を見切ると、そのナイフを避けて峰で敵の腹部に一撃を加えた。

 

「あの男より遅いわね。そんな動きで当てられるほど私は鈍くないわ。」

「ホントホント、子分達はあっという間にやられちゃったし、親分さんは大人しくしたほうがいいよ。」

 

横を見ると足払いで倒れた子分の鳩尾に拳を突き刺したらしく、ユイさんの相手は苦悶の表情を浮かべて悶えていた。

正直、感謝はしたくないが、彼のおかげで私達は大分レベルが上がっていることを実感した。

 

「子猫だと思ったらとんだ虎が入り込んで来やがったな。

まあいいや、ちょうど俺様も運動不足だったからな。

相手をしてやるぜ。」

 

大男はそう言うと、壁にかかっていた大きな斧を握る。

多分、相応に腕は立つのは分かるが、私達なら勝てる相手だ。

正直、彼と比較すれば大した相手ではないと私達は認識していた。

 

「行くわよ、ユイさん。スカラ。」

「ありがとう、ゆきのん、初めから飛ばすね。」

 

そう言って駆け出す彼女は早かった。

私も自分にスカラをかけて彼女の後を追う。

 

「魔法も使えるのか。まあそんな魔法で強化したところで、実力はそんなに変わらねえ!」

 

大男が振るう斧に視線を向ける。

動きは鈍いが、攻撃力は高そうね。

私はユイさんの前に出ると同時に破邪の剣でその斧を受け止める。

 

「くっ!?」

「ゆきのん!?」

 

速さは彼に及ばない、でも力は彼より遥かに強かった。

受け流すつもりだった攻撃は、その重さに耐え切れず私は膝を折る。

 

「ユイさん、気にしないで攻撃に専念してちょうだい!

ルカニ!!」

 

大男の攻撃に押されながらも私はルカニで大男の防御力を落とす。

ユイさんはその隙をついて回し蹴りを放つ。

 

「おぉ、こえぇ、こえぇ。

こいつはお転婆なお嬢ちゃん達だ…ぜ!」

 

しかしその攻撃は嘲笑うかのように彼の手に止められてしまい、そのままユイさんを投げ飛ばした。

 

「ユイさん!?」

「お嬢ちゃんも他人の心配より、自分の心配をしたほうがいいぜ!」

 

しまった!こちらの隙をついた斧の一撃が私を捉える。

とっさに剣を構えたが、私もユイさん同様吹き飛ばされてしまい、剣を弾かれた。

 

「俺の攻撃を受け止めるなんざ、かなりの代物だと思ったが、ありゃ破邪の剣か。

この辺りでは中々見かけないいい代物じゃねぇか。

鴨がネギを背負ってくるとはこの事だな。」

 

嬉しそうに破邪の剣を見つめている。

あれは私が姉さんから受け取った剣だ。こんな下卑た人間に渡す気はない。

 

「ギラ!」

 

隙だらけの顔面目掛けて魔法を打ち込む。

 

「ぐぁ、てめぇ!攻撃魔法も使えるのかよっ!?」

「ゆきのん、これ!」

 

その隙を図ったユイさんは破邪の剣へ飛び込んで、そのまま剣を私向けて放り投げる。

 

「ありがとう!破邪の剣よっ!」

 

破邪の剣を受け取った私は、すかさずその剣を翳す。

破邪の剣は凄まじい閃熱を放って、大男の体を包み込む。

 

「まだ…!」

 

私はその様子を目にしながら、隙を作らず敵の懐に潜り込んで首筋に切っ先を当てた。

 

「私達の勝ちね。大人しく従ってくれるかしら…?」

「くっ……参った…お嬢ちゃん達中々やるじゃねぇか。」

 

大男が両手を上げて武器を離す。

その姿に一息をついた瞬間だった。

 

「ゆきのん!後ろ!!」

 

ユイさんの声に後ろを振り返ると、大きな虎が爪を振り上げていた。

反応…出来ない…!?

あまりの速さに私は武器を構える事すら出来ず、その爪を深々と受け、吹き飛ばされる。

 

「よくやったぜ、キラーパンサー。

やっぱり頼りになるモンスターは手元に置いておくもんだな。」

 

大男がたちあがると、キラーパンサーと呼んだ魔物の頭を撫でる。

 

「キラー…パンサー…?何、あの魔物、私見た事ない…。」

 

ユイさんの呟きに膝を立てて起き上がり、自分にホイミをかける。

 

「キラーパンサー、地獄の殺し屋とも呼ばれるモンスターよ。

普通人間に懐くようなモンスターじゃないと聞いたけど…。」

 

私も実物を見るのは初めてだ。

当然、こんなところにいるようなモンスターじゃなければ、今の私達に勝てるようなモンスターでもない。

 

「ユイさん、一旦退いて彼と合流しましょう。私達だけじゃ…」

 

そう言って後ろを振り返ると、先程まで気を失っていたはずの盗賊達が既に起き上がり、彼女の首を絞めていた。

 

「ユイさん!!」

「ゆき…のん…逃げ……」

「立場が逆転したようだな。せっかく大金になりそうな娘だったが、手足はバラさないとまともに売れそうにないからな。」

 

再び剣を握ろうとした私に、今度はキラーパンサーが飛び掛かり、私の首元に牙を立てる。

恐怖が私の体を襲いかかってくる。

 

「ゆき、のん……。」

「パンサー、その娘を殺すなよ。大事な売り物なんだからな。」

 

ぐるるる、そう唸りながらも隙を見せないキラーパンサー。

剣を握る腕は抑え込まれてしまい、反撃の術は見当たらなかった。

 

「さて。おい、こいつら気絶させて牢屋に運ぶぞ。」

「へい!」

「ラリホーマ。」

 

突然唱えられた魔法に私の意識は朦朧とし始める。

 

「・・・―――?」

「―――…。」

 

奴らの会話もろくに耳に入ってこない。

こんな所で私達の旅は終わるのだろうか…?

魔王どころか、この小さな大陸1つ出る事できずに……。

勇者として私は選ばれたはずなのに…。

 

様々な想いが頭の中を流転する。

そうして私は………ゆっくりとその意識を手放した…。

 

 

 

 

 




俺達の旅はこれからだ!完!
じゃないです。ちゃんと続きますよ!
ハチマンが酷くないか?ってすごく考えたんですが、直さずに落としてしまいました。
ハチマンが嫌いとかじゃないですからねっ!ほら、私解釈私解釈!
という事で現在のゆきのん達を軽く紹介。

・ユキノ(Lv:15、職業:勇者)
武器:破邪の剣
盾:装備なし
頭:サークレット
体:旅人の服(特注)
使える魔法・特技
ホイミ、キアリー、ギラ、ルカニ、スカラ

・ユイ(Lv:13、職業:武道家)
武器:皮のグローブ
盾:装備なし
頭:皮の帽子
体:旅人の服(特注)
使える魔法・特技
足払い、回し蹴り

つ、次はもっと早く書き上げます、頑張ります!
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