ただ、違うもんで妹達が活躍するかも?
垣根と麦野はすぐ様、意識を取り戻して現れた学園都市トップを見て警戒した。
「テメェ、俺達に何のようだ!?」
「薬漬けにしてタダの人形にしようってかぁっ!?!?」
2人は統括理事長である、アレイスター=クロウリーに激昂する。
だが、美琴は唖然と見つめ、銀時は信じられないと言った顔して首を激しく、横に振った。
(嘘だろ……こんな)
「どうした第一候補(メインプラン)。君がそんなのでは下の者に示しがつかないぞ?」
コポコポと音を鳴らしながら声を発したアレイスターに銀時は思わず
「こんな……逆さまでビーカーに入った変態みてーな野郎が統括理事長だぁあああああああ!?!?!?!?」
心の声を表に出してしまった。
「「「「…………」」」」
「……あ」
一瞬にしてシーン、としてしまった空気に銀時はやってしまった事に気付いて冷や汗を流していた。
「……すんませーん。あのぅ。家に帰って寝ている所からやり直していいっすか?TAKE2は真面目にするんで」
クルリと四人に背を向けてどこかへ歩こうとしていたが垣根にガシッと肩を掴まれた。
「何、やり直ししようとしてどこに向かってんだコラァっ!!どうすんだよこの雰囲気!?」
「だから今、こうやってTAKE2を……」
「出来るわけねぇええええよぉおおおおっ!!!!!!」
まるで漫才をするかのようなやりとりにもう1人、参加する者がいた。
「……よし。許可しよう。では私が準備を……」
「いや、何の準備っ!?まさか本当にすんの!!?面倒くせぇよテメェらっ!!馬鹿なの?馬鹿なんですかぁあああっ!?」
まさかアレイスターまで参加するとは思わずに大きな声でツッコミだした垣根はハァハァ、と息を切らした。
銀時はやれやれ、と言った表情で呆れていた。
「だから、いつまでたっても第2位なんだよ。ツッコミを極めねぇ限り、俺を一生越えられねーぞ」
「流石は私のメインプランだ。いい事を言う。君はもっと頑張りたまえ。垣根帝督(ツッコミ)」
「そんなんで越えたって嬉しくもなんともねぇんだよっ!!んでもってテメェは人の名前で何て事言ってんだぁ!?」
ボケ2人の存在に垣根は頭を悩ませた。
「ダメだ。召集つかねーわ。コレ」
「あ、あはは……」
傍観していた美琴と麦野は学園都市大丈夫か?と本気で心配になってきた。
「あー、分かった分かった。んで、そんな統括理事長様が俺ら集めて何の用なん?」
一気に冷めたのか、キリッと顔を引き締めて理事長である人物に問う。垣根はいきなりかよっと思いながらも合わせようとしているし、残り2人も空気を読み取る。
「うむ。先程の事件の事もあるが、何故、君の他に御坂美琴を呼んだと思う?」
「オイ。まさか……」
アレイスターが言わんとしている事を分かったのか、銀時は顔を引き攣らせる。
「昔、君はDNAを提供した。だが、それは君が思っていた事と違う物に利用された」
これには美琴も眉を顰めた。提供した理由は自分の能力で人の病気を治せる可能性があると、研究者達に言われて役に立てるんだ、と幼いながらも喜んで提供したのだ。それが違うものに利用されたと聞いて、動揺を隠せない。
そしてアレイスターの次の言葉を待つ。
「それは、そこにいる一方通行……坂田銀時を絶対能力者に進化させる為に使われたのだよ」
「なっ!?」
美琴はすぐ様、銀時を見た。表情は無表情のままで何を考えているかも分からない態度に少し戸惑う。
「内容は最初、こういうものだ。超電磁砲を128通りの方法で128回殺害する事で、一方通行は絶対能力者になれる事が判明された、とね」
サーッと血の気が引いたように全身が青くなったかのような感覚に陥った。銀時の表情は相変わらず無表情で恐ろしくなってきた。
嘘だと信じたい。けども、肝心の彼はウンともスンとも言わない。
もしかしたら、その為に近づいた?私の能力を把握してから、どう殺すかを考えていた?でも会った時は、そんな風には見えなかった。
もう、何も考えられなくなり、頭の中が真っ白になった。
だが、更に美琴にとっての地獄が待っていた。
「だが、そんな事は不可能だ。そこでツリーダイアグラムを使ってある違法行為を行った。御坂美琴のDNAを使い、妹達量産計画(レディオノイズ)と言った、御坂美琴のクローンを完成させた」
吐き気が急に襲ってきた。
「ちょっと……大丈夫?確かに、中学生のガキにはキツすぎな内容だわ」
麦野は美琴の背中を優しく摩って落ち着かせる。それでも聞かなければいけないと踏ん張り続ける。
「そして妹達(シスターズ)は生まれた。レベルは異能力者程度だがね、それで出た結果は2万人の妹達を2万通りの方法で殺害する。に切り替わった」
涙が止めどなく溢れてきた。麦野と垣根は暗部だからそれなりには知っていた。自分達がこの立場だったら、こうなってしまうのかと思考し始める。
アレイスターは美琴から銀時に視線を移す。
「だが、君は公表される前に知っていて、それを断った。何故?君は知っていたのかを聞きたい」
「一位にも関わらずに闇に生きずに、表に生きている君が何故、分かっていたのだ?」
アレイスターの問いに、3人が一斉に銀時を見た。
断った。内容はどうであれ、誰もが登り詰めたいと言う場所を断ったのだ。
銀時は漸く口を開いた。
「俺に殺される為に生まれた?馬鹿言っちゃいけねぇよ。いずれ、誰しもが必ず死ぬ。それは避けれねぇ。だがなぁ、殺される為に生まれきたなんてあり得ねんだよ」
「そりゃあ、生きてて楽しい事ばっかじゃねぇし、辛い事が多いかもしんねぇよ。生きていれば誰だって体験できる。クローン体験させれば考えが変わるかもしれねぇ」
確証はねぇがな、とボヤいた。
「それに、俺は折角、与えられた命を自ら捨てさせる事なんて出来ねぇ。俺の為に生まれたんなら、俺はその命を護っていくだけよ」
それが俺の武士道(ルール)だ。
銀時は信念を宿した瞳でアレイスターを見る。
驚いた。統括理事長を前にしてもこんな眼を出来る人物がいるとは。
彼の中で興味が湧いた。プランが壊れかねない、いやもう、壊れているかもしれないのに。それ以上にこの男は貴重な存在なのかもしれない、と。
「君の心中は分かった。だが、最初から実験内容を知っていた理由にはならないぞ」
核心を突く質問に銀時は舌打ちをして、それからは口を閉ざした。
もう、話す事はない。と言っているかのように。
「まぁいい……もう一つは」
アレイスターは銀時の態度に折れたのか、次の内容に入った。
「その実験内容が、今の事件と関係性を持ち始めて内容が変わると言う事だ」
「それは……犯人である浜面仕上の持つ刀、《紅桜》に白夜叉の血を吸わせれば誰にも敵わない最強の武器になり、量産させるという実験らしい」
「……」
白夜叉。この世界で何故こんなにその名が広がるのか銀時は考えなくても、なんとなく分かってしまっていた。
何らかの方法で自分がいた世界の人間がこっちに潜み始めていると言う事だ。
「この男を知っているか?」
どこから現れたモニターにその男の姿が映った途端に、反応するものがいた。
「こいつだっ!!」
垣根だ。そしてモニターだと言うのに顔色が青くなる。
「……知らね」
銀時は会った覚えがない。少なくとも、この男は自分がいた世界の人間だと確信した。
「ふむ……なら、何故君は白夜叉と呼ばれている?」
「「「!!!」」」
「……さぁな」
アレイスターは爆弾を落とし、3人は目を見開き、銀時は知らないふりをする。
「ならば、なぜ心理定規はこの男に剣を向けた?」
その時だった。ガゴン!!とビーカーに衝撃が走った。ピシっと若干、ヒビが入った。
「おかしいな。その程度では、ヒビ一つ入らない強度になっているはずなんだが」
「おかしいねぇ。ビーカーごとブチ破って、中身を引っ張り出すくれぇの威力に設定した筈なんだけどなぁ」
銀時がビーカー目掛けて木刀を打ち込んだのだ。そして、逆さまになっているアレイスターの目と、銀時の怒りに満ちた目が合う。
「ふふっ。面白い。君はやはり……面白いな」
笑っているかもわからない表情に銀時は木刀を閉まってその場から遠ざかる。
「お前、本当は俺が何なのか知ってんだろ?」
「いや。私は何も知らないよ」
「……ふーん」
興ざめしたのか、銀時は殺気を消した。そのせいで妙な緊張感が消えた3人はホッと胸を撫で下ろした。
これが銀時が見せた殺気。とてもじゃないが、尋常ではなかった。
これが自分に向けられていたら、生きているのかもわからない程にヤバイと感じた。
「もし、俺の癪に障るような事してみろ。ソイツと浜面って奴の前に、お前が夜叉(おに)を見る事になるぜ?」
あと用はすんだろ?と目で合図すると、アレイスターはフッと笑って先に銀時を現実に戻した。
「肝に命じて置こう。坂田銀時。では君達には」
銀時が消えた後に大きなモニターが現れ、銀髪の少年が屍の中心に座っている姿を映した映像が出ていた。
「本来の坂田銀時の姿をお見せしよう」
アレイスターは再び、ニヤリと怪しく笑った。
さてと、アレイスターは3人の反応が見たいんでしょうね笑