とある侍の一方通行・改   作:ドレアム

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木原は一体、何をしようとしてるんでしょうかね?笑


親の心知らずとも、兄妹は離れていても通じるもんがある

高杉達の前には女性の研究員が現れている。

 

「騒ぎを駆けつけて見れば、まさかこんな事になってるのね」

 

同胞の死体が転がっているのにも関わらずにため息が漏れた。

 

女性はクローンがいる事に気付く。

 

「貴女がこの人達を連れてきたの?」

 

「はい。とミサカは芳川桔梗の問いに頷きます」

 

そう、一言添えて高杉達を見ている。

 

異世界からの訪問と紅桜という物騒な兵器で学園都市が混乱しているのは理解している。

 

実際、この研究に携わっていたのだから。

 

「テメェも関連者か?」

 

高杉の問いに芳川は頷く。

 

「むしろ、この子達の生みの親でもあるかしらね」

 

ポケットに手を突っ込み、やる気がなさそうに答える。

 

そんな態度に高杉と桂は怪訝そうにしている。芳川はこの二人は把握してここにいるのだろうと思い、話し始める。

 

「あの子が……銀時がこんな実験に参加しないのは最初から分かっているのよ。昔からあの子を見てきた一人でもあるから」

 

「だから学習装置(テスタメント)で妹達に感情を植え付けようとした」

 

全部が成功した訳ではないけど。

 

そう言ってミサカを見つめて

 

「大半はウイルスでやられたみたいだけど。それにつけ込んだ彼らはそれを利用した」

 

苦虫を潰したような表情を浮かべた。

 

「芳川殿。一ついいか?……ここにいる二人も芳川殿が?」

 

桂は培養器の入った二人を指し、芳川に聞く。

 

「小さい方はね。実験には使用しない検体番号(シリアルナンバー)20001号。妹達を束ねる司令塔と言うべきかしら。名は打ち止め(ラストオーダー)」

 

「大きい方は彼らが造りだしたの。銀時を殺す為に産まれた存在。妹達とは全く別の個体……番外個体(ミサカワースト)」

 

ミサカはかなり驚いていたが、高杉と桂は違う。正直、腹の底から煮え返る思いだろう。

 

妹達の司令塔と、対銀時用の妹達。

 

「……そいつを生み出したのは誰だ?」

 

高杉は芳川に誰の仕業かを聞く。

 

「……嘗て。あの子を第1位にまで登りつめらせ、心理をも受け入れたもう一人の保護者であり、その2人を裏切ってまで闇に潜ってきた……研究員の中で最も優秀だった男」

 

その名は

 

「木原数多」

 

 

 

 

 

 

 

 

高層ビルの屋上で木原は学園都市の現状を眺めていた。

 

『いやぁああああ!!銀兄さん、助けてっ!!!』

 

『な、んで……テメェがこんな事してんだぁっ!?心理から離れろぉおおおおっ!!』

 

あの二年前を思いだす。あの時から木原数多は悪党になった。それを知ってるのは自身ともう一人の保護者だけ。

 

「チッ……。どうしてこうなっちまったかねぇ?殺そうと思えば出来ていたかもしれねぇのに。そうしなかった俺は……」

 

もしかしたら、今でもあの二人の保護者であり続けたいと思っているのかもしれない。

 

「くだらねぇ……何を躊躇してんだか。番外個体(あんなもん)まで造り出しといて俺は何をしたかったのだろうな」

 

手にしているのは、番外個体を起動させる装置を二つ持っている。

 

銀時を本当に殺すつもりで造ったのか

 

あるいは

 

「こんなところにいたのか」

 

後ろからシャラン、と棍を鳴らす男が現れる。

 

深く笠を被っているが、脇から見えた白い髪に誰か分かった。

 

「貴様も虚様の敵になるつもりか?お前ほどの優秀な男が、わざわざ自分から死に行くような事はしてくれるなよ?」

 

そう言って静かに消えていく。

 

「……んなこたぁ言われなくても分かってんだよ」

 

だから闇に足を踏み入れてあの二人の敵になると決めた筈なのに。

 

信じてくれていたあの真紅の眼差しを向けた少年と

 

自分にまで人懐っこい、可愛らしい笑顔を見せてくれた少女が頭から離れなかった。

 

視線の先には化け物と化した紅桜と第1位となった超能力者が対峙しようとしていた。

 

「……芳川ぁ。アイツらと……妹達と番外個体の事も頼んだぜ」

 

二つある内の一つの装置を押した。そして瞬間移動装置であるリモコンを押してどこかに消えた。

 

 

 

 

 

美琴はイライラしていて、そのストレスを目の前に立ちはだかる天人達にぶつけている。

 

バチバチ、と体内から流れている電撃を存分なく当て続けて気絶させている。

 

風斬も隠すことなく、頭にワッカを付けて背中に紫電のような翼を広げて戦っている。

 

「アンタもボサッとしてないで、どうにかしなさいよ!!」

 

「上条さんに右手が通用しない相手にどうしろと!?」

 

美琴の怒声に上条が反抗する。

 

美琴は即席で砂鉄を造り出し、上条の前へ放る。

 

「それ、右手で触んじゃないわよっ!!今だにアンタの右手どうなってんのか知らないけど、絶対に左手で掴んでなさい!!」

 

上条は無能力者として断定されているが、右手には幻想殺し《イマジンブレイカー》とあらゆる能力を無力化する力を持っている。

 

天人が襲い掛かってきているのに躊躇している暇がなかった。

 

砂鉄を左手で持つ。ビリビリと痛いが我武者羅に振るうと電撃が相手に伝って倒れていく。

 

「イテェけど……助かったよ御坂!!」

 

砂鉄を振るって間に合わない時には右手で殴る。そんな戦い方をしながら礼を言う。

 

 

心理はゆっくりと歩きながらそれを観ている。

 

前方の三人がこっちに来ないように必死に抑えているからだ。

 

(美琴が言う、上条君の右手が何なのか気になるけど………)

 

ちらっと風斬氷華を見た。

 

(風斬氷華……一体、何者?まさか、天使とかじゃあないわよね?)

 

どうも能力者で収まるとは思えない彼女の姿に首を傾げる。

 

「ここりも……ひょうかから何かを感じているの?」

 

その隣でインデックスも何かを感じている事が分かる。

 

「天使の力《テレズマ》に近いものが、ひょうかに流れているんだよ」

 

彼女は疑問ではなく確信していた。心理は学園都市はそんなものまで創り上げていたとは知りもしなかった。

 

暗部に入っていても、学園都市の闇というものは測り知れないものだと、つくづく思わされてしまった。

 

だが今は、風斬氷華は銀時に懐いている味方である。

 

気に食わないが、心強い事には変わりはない。

 

「インデックス……危ないから私から離れてなさい」

 

まだ少し痛むが自分だけ大人しくしているのも癪に触る。

 

 

獲物を抜いて構える。

 

「ここり!ダメだよっ!!安静にしてなきゃっ!!」

 

インデックスはそれに気付き、慌てて止めようとする。

 

「銀兄さんが前に進んでるんだから、私も立ち止まっている訳にはいかないのよ」

 

「銀兄さんが侍であり続けるなら、私も能力者なんかじゃなく」

 

インデックスは彼女の背中から何かを秘めたものを感じた。

 

「貴方達を何者からも護れるような、そんな侍になってやるわよ」

 

この時代には似合わないだろうけど。

 

「それに気に食わないのよ。どこまでも邪魔するもんが」

 

インデックスの方に首を動かす。

 

ニヤリと嗤う彼女にやっぱり怖いと思ったインデックスだった。

 

 

 

 

 

 

 

「ご、がぁああああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

理性を失い、化け物になった浜面は見境なく天人を斬っていく。

 

麦野、滝壺、絹旗、フレンダとまた子は唯、呆然と見ているだけだった。

 

一頻り斬った後は銀時を見た。

 

「随分と変わってくれたじゃねェの。本当の浜面に戻んのか?こりゃあ……」

 

銀時は苦笑した。麦野はその言葉に反応した。

 

「……まさか、アレを殺さずに本来の姿に戻そうとしてんの?」

 

それに驚いた全員が驚いて一斉に彼を見る。

 

 

「……約束しちまったからな。ゴリ……アイツを待っているリーダーとな」

 

 

剣を握り、浜面の前へ立つ。

 

 

「銀時っ!あれはもう戻らないっスよ!!紅桜に蝕まれたら最期。魂ごと喰いつくされる!!」

 

また子は銀時がしようとする事に反対した。

 

「もう……奴ごと消さなきゃ事態は収まらないッス!!」

 

「……それでも、ソイツが戻ってくると信じてる奴らがいる。ソイツに仲間が殺されたとしても待ってくれてる奴らがいる。それに応えられねぇなら、もう侍なんかやってねぇよ」

 

いつの間にか口調が戻っていた。銀時は駒場との約束を何が何でも果たそうとしている。

 

 

ここでも侍であろうとする銀時の姿にまた子は口を挟む事は出来なかった。

 

 

「オイ、聞いてっか浜面仕上。テメェがやった事は許されねぇ事だろうが……それでも駒場は待っている」

 

「グオオオオオオオオオオッッッ!!!!!!」

 

ギチギチと音を立てて雄叫びを上げている浜面。

 

「うるせぇよ。サッサとソイツから離れろ紅桜。浜面仕上には帰るべき場所があんだよ。だからテメェは大人しく、元の姿に戻りやがれェエエエエエエ!!!!!」

 

 

銀時は走りだし、紅桜へと飛び掛っていく。

 

刀と刀が町中に響く音が暫く続いていく。

 

 

「……本当にあの人は超何者なんですか!?」

 

話を聞いていた通りな人物に思わず、麦野に向かって絹旗は叫んだ。

 

フレンダと滝壺は銀時の姿を見た後、麦野の反応をみる。

 

「信じるかとどうかもアンタら次第だけどさぁ。アイツもコイツらと同じ別世界にいたらしいんだよ。死んでるけどな」

 

「つまりはアイツは一方通行に転生した侍よ」

 

 

また子以外は信じられないと言った表情をしていた。

 

「……アンタ、何でそんな事知ってんスか?」

 

「学園都市のトップ様が、ワザワザ映像付きで教えてくれたんだよ」

 

怪しむ目に麦野は苦笑しながら答えた。

 

そして再び、銀時を見た。

 

本当に病院送りにされたのか、と不思議なくらい鬼のように強かった。あの浜面を、紅桜を翻弄しているのだから目を疑ってしまう。

 

「……敵には回したくないわ」

 

いくら自分が好戦的でも、あんな心と言うか、魂が強く生きてる彼に挑もうとなんて微塵も思わなかった。

 

 

挑んだ所で結果は見えてる。

 

 

麦野の苦い表情にまた子も頷き、薄く笑った。

 

 

だが、状況は一変する。

 

「うおらぁああああああ!!!!」

 

紅桜を躱して踏み台にしてコード状へと突き刺す。

 

するとグルグルと大きくなって銀時の体ごと飲み込もうとしていた。

 

「うおっ!?」

 

急いで刀を抜きその場から退こうとしたが、銀時を巻き付けるのが早かった。

 

 

そしてその中に銀時をそのまま押し込んでいった。

 

「は……?銀時?」

 

ゾゾゾっと中から見えるのはすでに気を失っている銀時の顔が見えた。

 

「銀時を離せェェエエエエエエッッッ!!!」

 

また子は怒りで前に突っ込み、2丁拳銃で紅桜へと放つ。

 

しかし、全て弾かれて太いコードが勢い良くまた子の腹に直撃した。

 

「がっ!!!」

 

その勢いで壁へと吹き飛ばされてしまった。

 

「チッ!!フレンダと絹旗は滝壺を護りなさい!!!」

 

二人に指示をして麦野は紅桜へ迎撃しようとすると、

 

横から二つの影がすり抜けていく。

 

 

「そのモヤシをっ!!!」

 

「離せェェエエエエエエ!!!!」

 

それらは紅桜に飛び掛ってそれぞれの武器を突き刺す。

 

麦野はその二人に見覚えがある。

 

「やっと追いついたと思ったら何、寝てんの?銀兄さん?」

 

「さっさと起きて、これ片付けなさいよっ!!」

 

麦野は《スクール》にいた少女の名前は知らない。ただ、心理定規とだけ覚えている。

 

そしてもう一人は自分の一つ上の第三位の超電磁砲。

 

御坂美琴だった。

 

 

 

 




やっぱり心理ちゃんにとって銀時は生きる目標であり、目印なのです。
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