心理はひたすら自宅へと走る。あの男は今、危害を加えないと言っていたが、イマイチ信用が出来ない。
それに白夜叉、と言っていたという事。この世界で知っているのは本人と自分とインデックスだけの筈。
もしかしたら、銀時のいた世界の人間かと思われる。
そんな事があるのならとても信じられないが、此処で間違いなく異常な現象が起き始めているかもしれない。
(どうか。銀兄さん、無事であって)
不安ばかりが募り、足を更に速める。
と、ここからでも見える白いのが見えた。それを見た瞬間に咄嗟に隠れる。
ブラブラっと何でもないかのように、今までと変わらない雰囲気にホッと胸を撫でおろす。
(……良かった……)
安心したのも束の間、ズルズルと体が崩れ落ちた。
疲れが今、どっときてしまったようだ。彼女は後ろにある壁に背中を預けて座り込む。
「ちょっと休んでから……帰ろうかしら」
そして少しだけ、と呟いて目を閉じた。
金髪のチンピラっぽい容姿の少年は、不気味に笑っていた。
「ひぃっ!!!た、頼むよっ!助けてくれっ!!」
目の前の助けを請う無能者にだ。
「お、お前だって俺たちと同じだろうがっ!!何でっ……こんな事しやがるんだ!!!」
男は叫ぶ。後ろには無数の死体が散らばっている。
少年はケタケタと笑って答える。
「何でってか。……何でだろうな?只、コイツが血を求めてるもんだからさ。無能者も超能力者も関係ねぇんだよなぁ」
右手に持っている物は
紅く不気味に光り輝く刀身に
ドクンドクン、と命を宿しているような
生き物のような刀。
「だから、俺は従うだけなんだよ。コイツに身を任せてると気が楽でよ。もう、どうでもいいくらい、最高の気分になる」
狂っている。目の前の少年は完全にイかれていた。
「もういいだろ?斬りたくて斬りたくて、仕方ねぇのよ」
ギラッと更に光る刀を振りかざす。
「ま、待てっ!!は……」
スバッ、と言葉の途中で真っ二つに斬り裂かれた男から大量の血が噴き出した。そして後ろにある死体達と同じように地に転がる。
「ははっ。この科学の街で刀持ってるなんて、摩訶不思議な話だが……コイツは別格だな」
コレがある限り、能力者だろうと問題なくブチ殺せる。
少年はそう確信する。
「さて。次はどうしようか?」
楽しそうに表情を歪める少年は、刀を鞘に収めるとゆっくりと歩き出した。
銀時は人で溢れている道をだるそうに歩く。
(インデックスに一方通行の件、どうすっかねぇ。そろそろ、あちらさんも動きを見せてくれっと、やりやすいんだがなぁ)
だるそうにしながらも、考えなければいけない事はしっかりとしていた。
インデックスの言う、魔術があるのだとしたら、この街は対処できるのか。それとも、
(まさか……俺がいた場所のように……戦争なんてもんになるんじゃねーだろうな…………)
戦争が起きる最悪の事態も視野に入れなければならなくなる。それだけは避けたい。科学も魔術も、どれだけ力が有ろうとも。
どちらも多大な死者が出る。大切なものが何もかも失う。
銀時は何としてでも阻止したい。そんな事を頭で巡らせていると、スーツを着た男がこちらに近付いて来た。
「やぁ。君が一方通行だね?」
その名で呼ぶと言う事は、碌でもない物件しか持ってこない連中だけだと認識している。
「……で?一体、何の用だ?」
低い声で不機嫌丸出しの表情に、男は苦笑いをする。
「君にとっては悪くはない話ではないと思うんだが。最強の先ってものに興味はないかい?」
遂に来たか、と銀時は思った。これは本来の一方通行がやっていた
「あぁ。絶対能力者進化実験(レベル6シフトプラン)だろ?」
「!!何故、君がその事を!?」
第3位のクローンである妹達(シスターズ)を2万通りの方法で、2万人を殺す事。
何故、彼が知っているのか。その内容はまだ、公表されてないのに不思議で堪らなかった。
(どうやら、こっちが先のようだな)
「悪りいが。クローンだろうがなんだろうがよぉ、殺しなんざするわけねーだろ」
動きだしたからにはこちらも本格的に動くしかない。
「俺が断ったら、実験はどうなんだ?」
「妹達は廃棄だろう。君のせいでな」
男は驚きながらも答えるとククッと笑う。
「テメーらやっぱ外道だなぁ。だったら俺も同じだな」
ギラギラと紅い瞳が男を捉える。男は悲鳴を上げたい衝動になった。
「そっちがその気なら……俺もテメーらを処分したって何も問題ねーよなぁ?」
銀時の異常な殺気に男は後退り始める。
「まぁ、安心しろや。オマエらがソイツらに手ェださねー限りは……俺は何にもしねーよ」
その異常すぎる殺気と無表情な銀時の姿に耐えられずに、男は慌てて逃げていく。
はぁ、と溜息を吐く。これからやらないといけない事が有りすぎるのは困りものだと実感した。
「なんで俺の周りにはメンドクセーのしか転がってねーんだよ」
やれやれ、とした表情でまた一つ、溜息を吐いた。
その時だった。
それは人の形はしている、何処かの制服を着た少女が歩いていた。
だがそれは、明らかに実体化しているように見えない。
銀時は冷や汗をかいた。
(あ、あれ何だ!?ス、ススススタンドかぁ!!?)
他の奴らはその存在に気付いていない。少女も気にしていないかの様にも見える。
(これって、俺だけ見えんの?嘘だよね?誰かぁああああ!!俺に嘘って言ってくれェエエエエエエ!!!!)
更にどっと汗が流れ出してその場から動けない。それも束の間、その少女と目が合ってしまった。
銀時のとった行動は、近くのゴミ箱に頭から突っ込んだ。
周りの住民は
ママー、あの人何しているの?
しっ!見てはいけません!とか
クスクスと笑う声が聞こえてきた。
それでも彼にとってはそれどころではなかった。
何故なら、スタンド(霊)とかホラーは大の苦手なのだから。
「あ、あのー……大丈夫ですか?」
頭から突っ込んだ為に、声の主が誰かはわからないが
「いや、何かムー大陸の入り口かと思って思わずはしゃいちゃったよ」
ボケをかましながらゴミ箱から自力で抜け出す。
そこには
心配そうに見つめている眼鏡を掛けた先程の少女がいた。
「おわぁぁああああああああああああ!!!!!!!!!」
銀時は思わず、大声をだして叫んだ。
個人的に風斬さん好きですね。