GMという職業が負けるはずがない   作:高橋くるる

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二度目の魔王軍の襲撃は先程終わった。

広場には負傷者達がまだいくらか残されていたが、負傷者達には既に回復魔法を施せるであろう職業やアイテムを渡している人達が見えたので、リリアを探す事を優先する。

広場の中心へと向かって歩くと、別れた場所から少し離れた場所でリリアは仰向けになって倒れていた。いや、見た感じ安心したように杖を隣に置いて大の字に横になっていた。リリアに向かって近づく。

 

「はしたないな。公衆の面前で女の子が股を開いて横になるなんて。」

 

声をかけられたリリアはビクっと身体を驚かせたような反応を示した。

 

「ははは。おつかれさん。バテたか?」

「う……うるさいわね!あんたには関係ないでしょ。」

 

顔を赤くしたリリアがつっけんどんな言い方をする。

 

「関係ないことないぞ。どんな出会い方をしたにしろ、出会った以上子供の心配をするのは当たり前だ。」

 

そう言いながらリリアの隣に腰を下ろす。

 

「なっ!子供扱いはやめてくれる?こう見えてもこのリリア・クリスマン。もう17歳よ!」

 

しかし、その言葉を聞いたリリアは入れ違いにバッと勢いよく立ち上がって目の前に移動する。

右手を外に向け左手を胸元に添えて胸を張って堂々と答える。

ドヤ!といわんばかりのリリアの姿。

小柄で小さな身長の彼女には少しおかしくてプッと小さな笑いが出てしまう。

 

「ほら。まだ17歳じゃないか。それに大人と言っても……小さいだろ。色々。」

 

リリアはドヤ状態で固まったままぷるぷると震え出す。

そしてこめかみに青筋を立てながら目元をぴくぴくさせ顔を近付けてきた。

 

「まだ?小さい?色々?何が?」

 

リリアは可愛い引き攣った笑顔とは裏腹に、威圧を効かせているような低い声を腹の底から絞り出した。

それが更に可愛らしく、少しからかってみたい衝動に駆られる。

 

「ほら、まだ体の線も細いし身長も小さい。それに胸が小――」

 

悪びれもせずからかうように答えたが、全部を発言する前に景色が暗転する。

 

「死ねっ!」

 

それは一瞬の出来事だった。

リリアは全てを言い終える前に握り込んでいただろう右手を顔面に叩き込んできた。

いや、叩き込んだとは言えない、腰を入れたナイスなパンチは小さな身体から打ち出されたというにはあまりにも鈍く重い音を伴いながら顔面にめり込んでいたとさえ思う。

 

「おおう。てめぇ可愛い顔していい右持ってんじゃねぇか。おじさんちょっとびっくりしただろうが。」

「うるさい!てかなんでさっきから自分は子供じゃありませんみたいな言い方なのよ。見た目殆ど私と変わらないじゃない。

それにその口調!家に居た時と全然違うじゃない。」

「ん?そうか。リリアには俺が何歳に見えるんだ?」

 

軽口を返しながら、痛くないのに痛いような錯覚がする鼻をさすりながらリリアに聞く。

別に自分の年齢なんて何歳でもいいからだ。

 

「何歳って。勿論私と同じくらいに見えるわ。」

「んじゃその年齢でいいや。リリアが何歳か決めてくれたら――いや!言います言います!きちんと説明します!」

 

リリアは適当な返しをされ、もう一度殴ってやろうか。という感じで拳を握り込み、目を光らせながら背中から黒いオーラを放っていた。

効果音があるとすればゴゴゴゴゴという感じであろう。

それはまるで力の覚醒を抑え込んでいるような、獣が狩りを行う時に出す鋭い殺意だった。

流石に二発目は痛くないといっても勘弁してほしかったのでざっくり説明でもしようと考える。

 

「ん~、どこから説明したものか。

とりあえず俺、GMにとって肉体は入れ物なんだ。

あ~、疑問は持たなくていいぞ。言葉の意味そのままに取ってくれたらいい。

で、俺がこちらに来た時はその入れ物を選ぶ選ばないじゃなくこの外見に決められていた。しかし、中身である実際の俺、ようするに前に居た世界では30歳半ばのいい歳したおじさん。これが正解だな。

口調に関しては今となっては綺麗にする必要が無くなった。かな。」

 

あまり難しく説明してもわからないだろうと思い、簡単にして説明を終える。

説明を終えるとリリアはキョトンとした感じでこちらを見ていた。

さっきまでの殺そうとしていたような殺意は初めからなかったように。

 

流石に外見と年齢のギャップに距離を取るだろうと考える。

普通の常識ならそうだ。しかしリリアの発した言葉は予想外だった。

 

「ん~、要するにグーラムの中にキーロが入ってる感じ?それにそっちの口調の方が話やすくていいわよ。」

「そうか?後、グーラムとかが何かよくわからないが、リリアは何で俺と普通に話しているんだ?年齢と外見の差に驚いたり気持ち悪いとか思わないのか?」

「え?そりゃ驚くわよ。でも流石に気持ち悪いとかは思わないわ。何でよ?」

「いや、だって普通なら親と子として存在してもおかしくない年齢差なんだぞ?」

 

そうだ。30半ばならば17や18で娘を持てば実際にありえる話だった。それなのにリリアはそれがどうかしたのと言わんばかりに平然としている。

逆に自分が気にしすぎなのかさえ思えた。

 

「確かに親子としても存在するわ。でも、普通にそれくらいの年の差ならこの街じゃ結婚してる人も多いわよ。」

 

そう言って一呼吸置いた後、リリアは周りから見てもわかるくらいボンっと一気に顔を紅潮させた。

 

「ってあんたは私に何を言わせるのよ!」

 

リリアは再度握り込んだ右拳を有無も言わさず顔面にめりこませてきた。

 

「いって~……どっちにしても殴るんじゃないか。」

「あ、ごめん……」

 

実際は痛くないのに条件反射的に鼻を手で抑え言葉が漏れた。リリアはやりすぎたという感じでシュンと凹んでいる。

 

「ああ。すまんすまん。痛いとは言ってもリリアにならいくら殴られても大丈夫さ。軽い冗談だ。」

 

その言葉でいくらか空気が和む感じがし、リリアが口を開く。

 

「それならさ、中身はおじさんでも外見が私と同じくらいならいっそ私と同じ年にしたらいいじゃない。」

「え゛……?」

 

あっけらかんと、いかにもそれが当たり前のようにリリアは言い切った。

予想の斜め上な発言に聞き間違いかと思い変な声をあげてしまう。

 

「だってさっき、私が何歳か決めてくれたらって言ったでしょ。」

「確かに言ったけど……」

「それにGMが倒れて立ち上がった時に名前でも考えようって言ってたの覚えてる?

どうせなら名前も今ここで私が決めていいわよね。」

 

瞳をキラキラさせているリリアの顔を見ると諦める事にした。

こうなった女の子は人生の経験上、

例外なく、絶対に、完全に、完璧に、自分のやりたいことをやりたいようにするからだ。

 

ああ……最悪だ……やっぱり声をかける人間を間違えた……

 

そんな後悔をよそに、リリアはGMってゲームマスターって言うのよね?どこで言葉を区切るの?どんなとこに居たの?などその他にも色々と機関銃のように質問を浴びせかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山田こと俺はとても疲れていた。肉体的疲れかと言うとそうではない。

こちらの世界に来てからは肉体に疲労というものは感じていない。

少ししか経過していないが、おそらくこれはGMの設定がゲーム上としてそのまま反映されているからだろう。

ではなぜ疲れているのかと言うと、精神的に疲れた。という表現が適切だろう。

あれから質問責めを受け、流そうとすると機嫌が悪くなる17歳の少女、リリアを相手にしていたからだ。

その上、名前を決めるという事でゲームマスターの単語を区切ってそのままマスターという名前にされそうになったり、断ると昔飼っていたというペットのキータという名前を付けられそうになったりと、そういう意味で精神的に疲れたという事だ。

最終的に、前の世界では名前はなんだったの?と聞かれたので、山田守という本名を教えていた。

そしてなんやかんやの経過を得て、なんとか普通に本名のマモルという名前に落ち着いた。

 

それから名前(マモル)と年齢(17歳)を決めたリリアは満足気な表情を浮かべ帰ろうとしたため、日もほぼ沈みかけているので家に送ろうと一緒に立ち上がる。

 

しかしその前にやるべき事があった。リリアを待たせると両手の装備をコンソールで外して素手となる。

そのままコンソールで次の操作を行う。右手の指は軽快に動いて生成コードを入力する。

生成用水晶体が形状を変化させ『ただの布切れ』が出来上がった。

何の変哲もない正真正銘のただの布切れである。

それと共にアイテムバッグから『インフィニット・ウォーター』を取り出す。

取り出したインフィニット・ウォーターは魔法の瓶に入っており、注いでも注いでも中身が無くならない不思議な水だ。

それを布切れに注ぎ染み込ませる。

リリアはその布切れを何に使うのか不思議そうに見つめていた。

インフィニット・ウォーターをアイテムバッグの中にしまい、水を染み込ませた布を右手に持つ。

そこで多少意地悪な顔を浮かべてリリアの顔を覗き込んだ。

 

「ふふん。覚悟しろよガキんちょ~。」

「うぇ!えぇ!」

 

この行動に対して嫌な予感を感じ取ったのだろう。

顔を真っ赤にしながら言葉にならない言葉を発して逃げようとしたリリアだったが、その行動を無視して空いた左手を使い彼女の右手を掴む。

そのままこちらに多少強引に引き寄せ、煤で汚れていた顔を右手の布で拭い去る。

すると一気に大人しくなったリリア。

まぁその分手がかからなくて済むのは確かだ。

そのまま確認のためにリリアの右頬に左手を添えようとすると、帽子を深くかぶって恥ずかしそうに拒否感を示した。

 

まぁ見た感じ一通り汚れは取れているだろうしな。

 

「よし。これでいいな。」

 

一通りリリアの顔を綺麗にすると布切れをアイテムバッグにしまう。

気付くとリリアは固まっていた。

 

「ん?どうした?痛かったか?痛かったらすまんな。

こっちにきて加減ができなくなってるのかもしれん。

ただ、可愛い顔が汚れているとかわいそうだろ?」

 

まるで親が娘の心配をするような扱いだったが、リリアの耳には入ってなさそうだった。

しばらく固まったままのリリアを何とか正気に戻し、落ち着いたのを確認した後に一緒に並んで帰路につく。

 

「マモルはこれからどうするの?」

 

道中心配してくれての一言だろう。しかし特に気にしていなかった。

帰れなくても死ぬ事はない。

最初は混乱したが、街中の宿でも使えばいいだろうし、最悪街の外でコンソールに入っているデータで家でも作れば問題ないと思っている。

 

「あ~、どうせ死ぬ事はないし適当にするさ。それにこうなった原因も探してみたいしな。とりあえずは街の復興が先だろうが。」

「そう……」

 

暗くなりつつあった街を、歩きながら街中を眺めていた。

既に負傷者達はどこかに連れていかれたのだろう。外には人が減りつつある。

気になったのは街にある広場を区切る外壁や、家の屋根等、目に入るのは何故こうなったのか不明な程ボロくなっていた事だ。

ただ、意図的なものではなく、戦闘の際に受けた破壊痕でもないものだった。いうなれば風化が進んだという具合だ。

 

「なぁリリア。何でこんなに外壁とかボロいんだ?本来このような設定はしてなかったはずなんだが。」

 

一応マッピングデータとして、あえてボロくしている地域等はあったが、ここは始まりの街で新規プレイヤーを歓迎するエリアでもあった。

そのため、運営が用意していたトライアルの街自体は綺麗なテクスチャを使用していた。

これをプレイヤーがコンソールで街を作ろうとしたならば理解できるが、この街自体にはプレイヤーは手入れをできなくしていたのだ。

それにプレイヤーの作成した街ならば破壊が可能だったので違和感は無いだろう。

 

「言ってる意味がよくわからないんだけど、物には寿命があるじゃない。そんなの当たり前よ。直したくても私達じゃ直せないし……」

 

どこか寂しそうな雰囲気を出したリリアの横顔が気になった。

確かに物に寿命があるというのはわかる。しかしこの世界はデータだった。それに変な現象が存在していた。

 

「そうか。例えばこれ。ファイヤーボール!」

 

おもむろに視界に入った無人の家に向かって攻撃魔法を放った。

戦闘中にも気になっていた事象だ。モンスターを壁に直撃させた際にも外壁が壊れるような事はなかった。

それに家に直撃した魔法は豪快な音を響かせるが、煙が拡散すると無人の家は壊れるどころか、魔法を放つ前と同じ状態だった。

 

「ほら。なんで魔法で壊れないのに、物には寿命があるんだ?」

「そんなの知らないわ。こんな世界を作ったいじわるな神様にでも聞いたら?」

 

その言葉がグサリと心に刺さる。リリアに悪気があったわけではないのだろう。

別にこちらを責めているような雰囲気でもない。

しかし、この世界の根本を作った本人にとっては、リリアの何気ない一言がとても重い一言だった。

 

「そうだな。神様ならきっとこう答えるさ。今まで気付かなくてすまないってさ。」

 

歩く二人の間に沈黙が続く。しばらくして空気を換えるべくリリアに話しかけた。

 

「リリア。もう一つ質問なんだが、知ってたらでいいんだけど、魔王軍ってどこから来ているのか知っているか?

何で攻めてきているとかじゃなくて、どこから来るのかって事。」

「一応お爺ちゃんに聞いた話だから詳しくは知らないけどいいの?」

「ああ。問題ない。」

 

リリアは思い出すような仕草をして、クリスマンから聞いたであろう記憶の糸を遡っているようだった。

やがて考えが纏まったのか口を開く。

 

「隣街にシルクって街があるの。シルクが魔王軍に占領された後、そこに大きな黒い穴を作ったみたい。そこから魔王軍は出入りしてるって聞いたわ。」

 

シルクという街はトライアルの隣にある絹の名産地である。

高レベル帯になってもこの絹を用いて装備を生成したりする物も多かった為、どちらの街も活気があった。

それに初心者エリアな為にモンスターも弱く、トライアルとシルクの間にはシルクロードと呼ばれる道もあり、自動ポップするモンスターに感知されにくいルートもある。

しかし歩いていくとどれだけ時間がかかるかわからない。

一応常に走り続けるモーションで移動するのが、ゲームだった頃のオールクリエイトのデフォルトな移動方法な為、走って移動すると約20分程で到着できる距離という事は覚えている。

しかし現在はリリアと歩いているため、走るという事が今の世界ではデフォルトではない事は確かだった。

 

「そっか。ならその穴を塞いだら魔王軍はここにはすぐ来れなくなるのか?」

「それはわからないわ。」

「なら、穴を塞がずに穴に向かって片っ端から魔法をぶっ放せば繋がった先はどうなるんだろうな?」

「ねぇマモル。もしかしてそれ実行しようとしてない?」

 

察しがいいリリアは心配そうな表情をして核心を突いてきた。

 

「え?なにか変か?とりあえず試してみようと思ってるのは間違いないぞ。うまくいけばこの街を守れるだろ?それに失敗してもモンスターは減るだろ?」

「何考えてんのよ!そんな事したらあんたが死ぬかもしれないじゃない!」

 

やはりという感じだろう。リリアは真剣な顔でそんな事はしないでくれという感じに詰め寄ってきた。

 

「あ~、大丈夫大丈夫。俺死なないから。それに気になる事があるし。」

 

リリアの心配もわかるが死なないとわかってる上での行動だ。何の不安もない。

逆に何でこのような状況になったのかを知る可能性の一つでもある。

それに元がプログラムならばとりあえず現地での現象を確認してテストしてみる価値はあった。

それにリリアの祖父母であるクリスマンとリリーナを参照した際にデータアクセスはできていた。

コンソールからデータベースにアクセスできていたならば、プログラムの上書きも可能かもしれない。

サーバーを起動中にプログラムの上書き反映など上手くいく保障はないが、一応GM権限を使用すればコンソール経由でプログラムの上書き等も可能だったからだ。

それに気になる事というのは先程の指示を出していたサキュバスだ。

もし魔王軍がそこから来ているなら近くに居る可能性もあった。

勝手に連絡や情報が入ってくるシステムが喪失された今、自分で調べていくしかない状況となったのだ。

そのため穴を塞ぐどうこうより一つ一つ自分の目で確認して要因を探し出し、原因を潰していく方法という地味な作業をとるしかないのだ。

 

そんなやりとりをしているうちに気が付くとリリアの家に到着した。

 

「んじゃ、とりあえず俺はここまでだな。じゃあな。」

 

あとはリリアだけでも大丈夫だろう。そう思い別れようと踵を返し歩き出す。

歩き出すと何かに引っかかる感触がした。

その何かの感触がする方に視線をやると、リリアが赤いマントの端を左手の指でチョンとつまみながら帽子で顔を隠していた。

それは恥じらう純情乙女がするようなとても可愛い行為であって、決して男の顔面にパンチを放つような野獣少女がするような行為ではない。

だからこそそれを見ながら思った。

 

どうした?何か言いたい事でもあるのか?そう思いながら問いかける。

 

「もしかして寂しいとか?ってそんなわけないか。ははは。どうしたんだ?」

 

リリアは大きく息を吸い込むような仕草を見せぎゅっとマントを掴みなおす。

 

「あ……あんたは言ったわよね。私を守るって……」

 

二人の間に肌を優しく撫でる気持ちの良い一陣の風が吹き抜ける。

確かに言った。そして一応魔王軍は撃退して守った。言うなれば街も一緒に守った。

それがどうかしたのかと思い考えなおしていたら、リリアは声を大にして言う。

 

「何で帰るのよ!このバカ!あんたは口だけの男なの?」

 

耳がキーンとなる程の大声で放たれたその言葉に、周りの家の人が窓や家戸を開けて野次馬よろしく覗いていた。

リリアからすると死地に向かうようにとれたのだろうか。

それとも今生の別れになると思ったのだろうか。

それはリリアではない自身にはわからない。

 

するとリリアの家の扉も開かれ、家の中からはリリスも飛び出してきた。

どうやらリリスも無事だったようだ。

 

「リリア!」

「お母さん。」

「リリスも無事だったんだな。良かったなリリア。」

 

ごまかすようにその場を濁す。しかし、左手はしっかりマントを握ったままだった。

リリスが無事だった事で、これでリリアも安心できるだろうと考え左手を放してもらおうかと思案するが、こんな状態でも放さなかったリリアを見ると仕方ないなと割り切る。

 

「リリア。わかったよ。とりあえず逃げないからマントは放そうか。」

「本当に?」

 

不安そうにこちらを見ているリリアに対して、子供に優しく言い聞かせるように伝える。

 

「ああ。約束する。」

 

リリアはそれを聞いてゆっくりとマントを握っていた手を放した。

 

「ありがとう。さて、今からどうしたものか。」

 

リリアに逃げないからとは言ったものの、女の子と女性、二人の家にズカズカ上がり込むのは男としては多少抵抗はある。

これが彼女ならば遠慮はしないだろうが。

それを察したのかどうかわからないがリリアは提案してきた。

 

「とりあえずご飯でも食べながら考えればいいじゃない。お母さんの料理は美味しいのよ。」

 

嬉しそうにくったくのない笑顔を浮かべるリリアを見て何故か悪くはないな笑みがこぼれた。

 

「それじゃあ少し甘えようか。」

 

 

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