Xenoroid-ゼノロイド-   作:緑帽

2 / 10
墜落現場より

-コロニー9 見晴らしの丘公園

 

「二人でここに来るのも久しぶりね、シュルク」

 

「そうだね、フィオルン」

 

そうだ、今まで色々な事が有りすぎて、こうしてゆっくり過ごすのは久しぶりだ

 

「ほーんと、今こうして元の通りにいられる事が夢みたい」

 

「うん、でも僕たちは実際にここにいる、僕たちで掴んだ未來、それと一緒に」

「だから僕は、いなくなった人たちに恥ずかしくない世界をつくれたらなって思うんだ」

 

「ふふ、シュルクにしては良いこと言うじゃなーい」

 

「にしては、ってなにさぁー」

 

穏やかな会話の最中に、頭上から大きな音が聞こえてきた

 

「何だろうこの音?」

 

「近づいてくる......?フィオルン!伏せて!」

 

誰かの飛行船?だろうか、僕たちのいる公園の木々を掠めふらふらと飛んでいってしまった

 

「飛行船ってことはハイエンターかしら?でも形が全然違うわね」

 

「それに、ここまで地面に近いところを飛ぶのも彼らじゃあり得ないし、何かおかしいよね」

 

どういうことだ?と考えを巡らせている内に、街の方から声が聞こえてきた

 

「急げ貴様ら!遅れた奴は腕立て一万回だ!」

 

「か、勘弁してくださいよ隊長」

 

「あれはヴァンダム隊長か。軍が動くってことはやっぱり何かあったんだ!行こう、フィオルン!」

 

「うん!行きましょ!」

 

 

-未確認飛行船墜落場所-

 

(ここは......機神兵の残骸があった所か)

 

見ると、ヴァンダム隊長に統率された部隊が「船」を取り囲んでいた

 

「油断するな!いいか!何が出て来ても驚くんじゃあない!」

 

いつみても凄い迫力だ、と感心していると不意に声をかけられる

 

「君たち!こんなところにいては――ってシュルクとフィオルンか」

 

「あ、エミ副隊長、ご苦労様です」

 

この人はエミ副隊長、彼女が副隊長に登り詰めるまでには色々なことがあって、僕たちも彼女に協力したりしていた

 

「あー、君たちなら大丈夫だろうが、もしもの事がある。ここは後ろに下がっていてくれ」

 

「はい、分かりました」

 

下がって様子を見守る事にした。

暫く待つ、すると打ち付けにそれは起こった。船体の下部から光が放出され、その中から

 

「何だろう、マシーナにしては機械的過ぎるし......」

 

そう、それは無骨でありながら美しさを感じる「鎧」。その風貌は今まで僕たちが出会った事の無い、異様な雰囲気を醸し出す。取り分け目に付くのは右手の、キャノン、だろうか(何かの兵器であることは分かった)

武装している事が理解できた以上周囲にも緊張が走ったようだ

 

隊員達は一斉に銃口を向ける、ゆっくり両手を上げ、降伏の意思を示したその「鎧」に隊長が問いかける

 

「貴様!何者だ!」

 

「...私の名前はサムスという者だ、賞金稼ぎ(バウンティハント)を生業としている。不慮の事故でスターシップに損傷を負ったためこの惑星に不時着した。あなた方に危害を加えるつもりはない」

 

「他の惑星?どういうことか分からんが、我々を襲いに来たのではないのか」

 

「...そうだ、船のドライブユニット――推進機関がやられてここに不時着するしかなかった。非礼を詫びる」

 

「......うむ分かった、おい!銃を下ろせ!」

「ドライブユニット?とやらが壊れたと言ったな、それはすぐに直せる物なのか?」

 

「...いや、それ自体が失われてしまった。新たに作るしか無いが専用の工場でなければ作成は難しいだろう」

「...すまないが通信施設などを使わせてもらってもいいだろうか」

 

「いいが、念のため見張りをつけさせてもらう。住民を危険に曝すことになってはいかん」

 

「...了解した」

 

「よし、見張りには五番隊が付け!準備ができ次第彼を基地に連れてこい!」

 

五番隊の人たちが配置につき、その他の隊員は引き上げていった

 

「どうするの?シュルク」

 

「一旦公園に戻ろうか。気になることはたくさんあるけど、隊長の邪魔をしちゃいけないよね」

 

そう言って僕たちは丘の上の公園に戻っていく

 

 

暫くして、また下の方が騒がしい。今度は何があったのだろうか

 

「見てシュルク、さっきの人戻ってきたわ」

 

見ると、五番隊の人たちと隊長、副隊長その他数人がサムスさん....だっけ、の周りにつきながら船のある方向に向かっている

 

「どうしたんだろ、通信は上手くいったのかなあ」

 

「気になる?」

 

「そりゃあ気になるさ」

 

「だったらもう一回行ってみない?」

 

「行ってもいいかな、でも流石に二回も行ったら邪魔になるんじゃないかな」

 

「だったら後ろからこっそりついていきましょ、見るだけでいいわよね」

 

「そうしよう。じゃ、行こうか」

 

僕たちは隊長たちに気づかれないよう後をつけていく

 

 

......岩陰から二人で耳を澄ませていると話し声が聞こえる

 

「では全く通信が出来ないということか」

「...ああ、何処にも繋がらなかった」

 

軍の通信機でもダメだったのか、どんなところから来たんだろ、あの人は

 

「これからどうする、そのドライブユニットは簡単に作れるものではないのだろう」

「...作れる可能性にかけるしかないな、何処か工場はないか?」

「基地の横に兵器開発局があるが......さすがに部外者を入れるわけにはいかん、とりあえず局から研究者を一人呼んで来させよう」

 

一から作るのか、でも今動ける研究員の人は皆他の場所で研修を受けているはず、だったら――

 

 

「穏やかじゃないですね」

 

僕が行こう!

 

「ちょっとシュルク!?」

 

「うん?シュルクか!どうしてここに......だがお前は今休暇中だ、それに――」

 

「隊長!シュルクは工学系の分野に長けていますから、彼の助力を出来るかもしれません。それに今我々の主要研究員は別件で出払っているのでシュルクに任せてみてはどうかと思います」

 

「そうか......よし、シュルクは何とかしてこの船を直す方法を見つけるんだ、いいな!」

 

「はい!」

 

「よし、全員引き上げだ!基地に戻るぞ!」

 

サムスさんを取り囲んでいた兵士たちは隊長の指揮の元、五番隊の人たちと僕たちを残して去っていく

 

「......エミ副隊長、ありがとうございます」

 

「なに、君には世話になったからな、これくらいどうってことないさ。それじゃ気をつけてくれよ」

 

エミ副隊長が帰っていく、それを見送る後ろからまた話しかけられる

「......副隊長、やっぱり成長したなあ......おっとシュルク、隊長があれだけ素直なのも珍しい、お前はかなり信頼されてるみたいだな。あの人の期待に添えるように、頑張ってくれ。俺も応援してるからな」

 

その部下であるミラーさんも僕の肩を叩きつつそれに続いて行った

 

「で、どうするのシュルク?堂々と出てきちゃったけど」

 

「うん、ちょっと心当たりがあってさ、ほら、空を飛ぶ機械でしょ?だったらマシーナの技術が使えるかもしれないじゃないか」

 

「なるほど。でもサムスさん?だっけ、得体の知れない人ね。怖い人じゃなさそうだけど」

 

「僕にもよくわからないさ、でも目の前に困ってる人がいたら助けたいじゃない」

 

「ふふ、シュルクのそういうところ、ちっとも変わらないね。じゃあ私は街へ行ってくるわ。確かヴァネアさんがまだお兄ちゃんと一緒にいた筈だから」

 

「うん、頼むよ」

 

フィオルンは街へ向かっていく

 

「...会話は終わったか?」

 

「......!?あ、すいません!もう大丈夫です」

「えーっと、サムスさん、ですよね。そのドライブユニットが在った場所を見せてくれませんか」

 

「...ああ」

 

僕が船の下に入り込んでみると、その中央にはぽっかり穴が空いていた。おそらく内部に埋め込まれる形でドライブユニットという物が装着されていたのだろう。だが問題なのはその大きさだ。普段僕が見てきた推進装置というものは、この船の大きさに対応するには人四人分くらいの大きさが必要なはずなのに、今目の前にあるのは人一人程度の空間しかない。一筋縄ではいかないと思っていたけど......大丈夫なのだろうか、若干不安になってきた

 

「これを元通りにするのはやはり難しいかもしれませんね」

 

「...だろうな」

 

「でも、似たような構造のエンジンを見たことがあるんです、それが応用できれば――」

 

「...出来るのか?」

 

「今は何とも言えませんが、やってみる価値はあると思います。協力してもらえませんか?」

 

「...ああ、此方からも頼む」

 

「良かった、もう少しで呼びに行った人が来ると思うので、待っていて下さい」

 

 

 

その頃フィオルンはシュルクが頼ろうとしている人、ヴァネアを探すためすぐ近くの街――コロニー9にいた

 

「ヴァネアさーん!あれ?いない?」

 

確か私がシュルクと公園に行く前までは街のエーテル灯の近くにいたと思ったんだけど、何処に行っちゃったんだろ

 

「どうしたフィオルン、シュルクと一緒じゃなかったのか?」

 

「あ、お兄ちゃん!」

 

ダンバン――お兄ちゃんは確か、さっきまでヴァネアさんと話してたから何か知ってるかも

 

「実はさっきの墜落船の件でヴァネアさんに用事があって......お兄ちゃんは一緒じゃないの?」

 

「いや、彼女は整備の手伝いをするからコロニー6のジャンクスへ戻ると言っていたな――ってフィオルン、お前今墜落船って言ったな、もしかしてまた何か厄介なことになってるのか?」

 

「まあ、うん、そんなところ」

 

「じゃあ俺も一緒に行こう、コロニー6に行くんだろ?なあに、丁度俺もあっちに届ける物があったんだ」

 

「ホント!?ありがとう、お兄ちゃん!」

 

「よし、じゃあとりあえず墜落船の所まで行こうか、シュルクもそこにいるんだろ?」

 

「うん、墜落船に乗ってた人と一緒にいるはずよ」

 

 

 

遠くに人影が見える、フィオルンが帰ってきたのだろうか。手を振って迎えよう

 

「シュルクー!」

 

「あ、フィオルーン!と......」

 

うん?ヴァネアさんにしては随分体型が雄々しい、それに格好も――あっ

 

「ダンバンさん!」

 

「おうシュルク、フィオルンから話は聞いたぞ。今ヴァネアはジャンクスの整備でコロニー6にいるんだ、他のジャンクスの搭乗員はコロニー9にいないから、とりあえずあっちまで行かないといけない」

 

「そうだったんですか。うーん、本当は船ごと見てもらうつもりだったんだけど、さすがにこの船ごとあっちへ持っていく訳には......サムスさん、ドライブユニットの設計図とか有りますか?」

 

「...ああ、データ化して保管してある物がある、それを持っていこう」

 

「よかった、ではそれを持ってついて来て下さい。直せる心当たりがあるんです」

 

「...分かった、少し待っていてくれ」

 

サムスさんは船体の中に入って行った。しばらくして

 

「...これがデータだ」

 

「ありがとうごさいます」

 

そうだ、監視についている人たちはどうしよう

 

「五番隊の皆さん、僕たちは今からコロニー6に向かおうと思うのです

が」

 

「分かった、サムスさんは君たちに任せよう。俺たちは船を見張っているさ。なあに、君達なら隊長も安心するよ。では気をつけて行ってくれ」

 

「わかりました、目処がたったらまた戻ってきますから、それまでよろしくお願いします」

「それじゃあ行こう!フィオルン!ダンバンさん!サムスさん!」




墜落現場より 終了。いよいよ旅の始まりです。

読んでいて何か疑問に思ったことなどありましたらお気軽に指摘よろしくお願いします。回答すると共に随時内容に反映していきます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。