僕たちはコロニー9から洞窟を抜けコロニー6に繋がる平野、ガウル平原を進む
洞窟を抜けるまでは険しい道だったからあまり喋られなかったけど、ガウル平原は穏やかな道だ。この辺りで一つ交流を深めるのもいいだろうか
「そうだ、自己紹介がまだでしたね。僕はシュルクっていいます。さっきの街の軍に所属して、研究員をしています」
「私はダンバンといいます。昔は軍人でしたが、今は退役して普通の生活を送っています」
「私はフィオルン、ダンバンの妹です。私は軍に所属はしてないですよ?」
「...私はサムス、サムス・アランだ」
「サムスさんは確か賞金稼ぎをしているんでしたよね」
「...そう、だが航行中に事故に遭ってしまってあそこに落ちてきたというわけだ」
「それは大変でしたね、まさか推進機関が壊れてしまうなんて......少し気になるんですけど、賞金稼ぎって具体的には何をしているんですか?」
「...仕事の詳しい内容については語ることは出来ないが、基本的には賞金のかかった犯罪者を捕まえたり、顧客からの仕事を受けて報酬を貰ったりする」
「正義の味方みたいなもの、ですか」
「...いや、金のためならどんな仕事でもするのが賞金稼ぎだ、例えそれが世間的に正しいことでなくてもな」
「じゃあサムスさんは前にそういう仕事を?」
「...仕事の詳しい内容については言えない」
そこでその場が沈黙に支配されてしまった、少しして、フィオルンが空気を変えようと口を開く
「そうだ、さっき他の『ワクセイ』から来たって言ってましたよね?『ワクセイ』っていうのはどんな所なんですか?」
「...!?いや、『惑星』というのはこの星やその外にある大小色んな形をした星のことを言うんだ。そこには君達みたいに人が住んでいたり、動物が生きていたり、様々だ」
「ん?ちょっと待ってくれ、今の話からすると、サムスさんはこの星の外から来たという事ですか?」
「...そうだ、私は他の惑星――別の星から来たんだ」
「そうだったのですか......いや、てっきりこの星の何処か遠い場所から来たのだとばかり、それにこの星以外にもまた別の星があるとは知りませんでした」
別の星、僕たちがこうして住んでいる空の向こうにまだ見ぬ場所があるのか!俄然興味が溢れ出てくる
「別の星かあ。僕たちにはまだ手の届かないところだなあ、何せ自分達の星でさえもまだ探索しきれていない所があるし――」
「そうだ、よかったら、別の『惑星』の事を教えてくれませんか?僕はもっと知りたいんです。自分たち以外の、他の人たちの事を」
「...ああ、それくらいなら教えてあげてもいいだろう。まずは以前立ち寄った商業用の星の......」
__________
話している二人と少し離れてフィオルンは呟く
「初めて見たときはちょっと怖い人だと思ったけど、やっぱり優しい所もあるのかもね、あの人」
「そうだな......ただ、1つだけ気になる事があるんだ」
「何?」
「あの人は賞金稼ぎなんだろう?しかも見たところかなりの猛者だ。俺はそんな人が普通の事故に遭うようには思えないんだよ」
「じゃあ、仕事中に犯罪者にやられちゃったとか」
「そこなんだフィオルン、もし只の事故だったらいいんだが、その犯罪者にサムスさんが撃墜されて、更にそれを追って来たとしたらどうする?」
「私たちがその巻き添えになる、ってこと?」
「ああ、まあ考えすぎかもしれんが――」
「おーい!二人ともー!早く行くよー!」
「おお、すまんな!今行くよ!」
「まあ、彼自身は悪人ではなさそうだしな、俺達に出来ることをしてやろう」
「そうよね、困っている人は、助けなきゃ」
私たちはまだ話し続けてるシュルクとサムスさんの元に駆け寄っていく
__________
歩き続けて数十分経った。ガウル平原は起伏が激しい訳じゃないんだけどかなり広いから疲れてしまう、コロニー6まではもう少しあるから、この辺りで休んでもいいだろう
「かなり歩いたね、そろそろ休憩しようか」
僕たちはカシュハパの滝近くで休憩を取ることにした
「ふーう、大丈夫かーフィオルン」
「うん、身体の調子はバッチリよ。サムスさんは?」
「...心配には及ばない」
「みんな元気そうだね、良かった」
話しながら周囲を見渡すと、滝の上に人影を見つけた。あれは――
「ごめん皆、ちょっと行ってくる!休んでて!」
「え?ちょっとシュルク!?どうしたの!?」
「行ってしまったな」
「シュルクったら、休まなくても大丈夫かな......」
「なあに、男ってもんは、何か目的を見つけたら疲れなんざ吹き飛ばして向かっていくもんさ」
「ふふっ、なにそれ?」
__________
シュルクが見えなくなってから少し経つ、サムスさんは感慨深げに周辺を見渡しているみたい
「...」
「どうしました、サムスさん」
お兄ちゃんが声をかける、お兄ちゃんも気になったんだろう
「...サムスでいい」
「......そうか、どうしたんだ、サムス」
「...ここは綺麗な所だ。最近は、広大な自然をゆっくり見渡す機会なんて無かった」
私も続けてサムスさんに話しかける
「賞金稼ぎの仕事が忙しいから、ですか」
「...そうだ、フィオルン。仕事上行く所は必ず危険な場所になってしまうし、もしこんな場所が有ったとしても、ゆっくり見渡せるような余裕は無かった」
「そうか......あんた、随分と過酷な任務をこなしていたようだな」
「...賞金稼ぎなんて、そんなものさ。金の為に、どんな危険も冒すのがこの仕事だ。軍とは違って自分の意思で動けるのは便利だが」
「...ダンバン、貴方はどうなんだ。昔軍にいたと言っていたが、その腕を見る限り、過去に相当な戦いがあったのではないのか?」
「俺か、俺は――」
「おーい!みんなー!」
「おっと、意外と早かったな。サムス、この話はまた後でしよう、まだシュルクとの話が終わってないだろ?」
「...そうしよう」
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僕が帰って来てすぐに皆で滝を出発した、それから暫くして、ようやくコロニー6の外壁が見えてきた。
「...コロニー6とはどんな所なんだ」
「鉱石の採掘が盛んで、色んな人が集まる場所です。きっとサムスさんの助けになりますよ」
「...そうか、採掘、採掘用のコロニーか...」
「どうしました?」
「...いや、なんでもない」
もう少し歩いて、コロニー6正門に僕たちは着いた
「ようやく着いたー」
正門では住人の一人が門を通る人一人ひとりに声をかけている。彼は僕たちに気づいたようだ
「ここはコロニー6です――と、あなた達でしたか、こんな説明は不要でしたね」
「いえ、今回は一人お客さんが......」
「...サムス、だ。このコロニー内に用事があって来た。入れてくれるか?」
すんなり入れてくれるかどうか心配だった、なにせ全身鎧の様なものだ。そんな人は見たことないだろうから多少驚いてもおかしくないし、警戒して入れてくれない可能性もある。そうなったら僕たちが説得するしかないのだけど――
「お客さんですか、歓迎しましょう。ここは様々な種族が共存する理想の街づくりを初めて成した街です」
あれ、随分あっけない。
「...ああ、ありがとう」
でも好都合だ、ユニットを修理するためにもここで立ち往生する訳にはいかない
「サムスさん、こっちです」
僕たちは中央の商店街を抜け、湖に停泊している飛行船、ジャンクスへと向かう
その途中、商店を開いている人に声をかけられる
「いらっちゃいまちぇー、きょうはとるまりんだいせーるだもー」
「あ、そこのかっこいいましーなのひと、かっていかないかも?」
「...」
「そこのあなただも」
「...私か?」
「そうだも、あなたのほかにはほむほむしかいないんだも」
ああ分かった、多分他の皆はサムスさんのことをマシーナの一人だと思ってるのか。どうりで警戒されないわけだ。
とりあえず対応に戸惑っているサムスさんに手助けしてあげよう
「ごめんね、今は用事があるから、また後で来るよ」
「そうなのかも、じゃ、またつぎをまってるも」
月並みな理由を作ってその場を一旦引く
「...助かった」
「いえ、気になさらず。そうだ、一度僕たちの種族について説明しましょう。立ち話もなんなので、公園で」
その方がいい。後で説明するつもりだったけど、今してしまおう。僕たちは公園に着いて、ベンチに座る。
「まずはさっきサムスさんに話しかけてきた人ですね」
続けてフィオルンが説明をする
「あの人たちは『ノポン』っていう種族です。見て分かったと思うんですけど、身長がわたしかなり小さいのと大きな耳の様なものを持っているのが特徴です。丸々していて可愛いですよね。でも大きさがあまり変わらないだけで寿命は私たちと同じくらいあるので、例えば私の膝位までの大きさでも30代の妻子持ちだったりします」
「...また異なった種族がいるんだな」
ダンバンさんも説明に加わる
「次はサムスが間違えられた『マシーナ』っていう種族についてだ。彼らは身体が機械と生身で出来ているから、全身機械みたいなアンタを変わったマシーナの一員だと勘違いしたんだろうな。今から会いに行こうとしてる人もマシーナの一人だ、高い技術を持っていて、飛行船なども所持しているから役に立つと思うぜ」
「...そうだったのか」
サムスさんは先程の状況に合点がいったようだ、後は僕が説明しよう
「次は『ハイエンター』です。彼らは頭から鳥の羽の様なものが生えています。この大気に溢れている『エーテル』というものの取り扱いに長けていて――」
「...エーテルだと!」
急にサムスさんが驚いた声で話す、この際だからエーテルについても説明しておこうか
「ええ、エーテルです。一重にエーテルといっても様々な種類、性質があるのですが、簡単に言えば僕たちが生きるために欠かせないものですね。生活に使うエネルギーの役割を担ったり、私たちの身体を構成したり......この世界の全てはエーテルで出来ているといっても過言ではありません」
「...そうか、説明感謝する、シュルク」
何か様子が変だ、でもあまり詮索するべきではないだろう。それも彼の任務に関することなのかもしれないし
「それでは『ハイエンター』の説明に戻りますね。彼らは意識を集中させればエーテルを操って目の前に炎を出したり雷を出したりも出来ます。またマシーナと同じくらい高い技術を持っています」
「最後に僕たちの事を、僕たちは『ホムス』っていいます。この世界の各地にここやさっきの街のようなコロニーを作っていて、そこに住んでいます。」
ここでサムスさんが口を開く
「...君たちは私が知っている種族と随分似ている、『人間』という種族だ。君達は『人間』ではないのか?」
ニンゲンか、種族としては聞いたことがないな、そんな名前初めてだ
「はい、僕たちは『ニンゲン』ではなく『ホムス』です。でも、そんなに似ているんですか?」
「...ああ、姿も生活様式も、よく似ている」
「そうなんですか、もしかしたら、この星にもいるのかもしれませんね、その『ニンゲン』っていう人達が」
「...そうかもしれないな」
これで一通り紹介は終わった。サムスさんもこれで困ることはないだろう。では改めて僕たちの目的地、ヴァネアさんがいる飛行船――ジャンクスへ向かうことにしよう。
コロニー6へ向かう道 終了。
両者に共通する単語、エーテルが出てきました。サムスが何故エーテルという単語に反応したかはメトロイドプライムのあらすじをご覧下さい。
戦闘は次の次に来る予定です。お楽しみに。