コロニー6の近くに出来た道を調べる為の調査隊として派遣されたオレたちは、大体の通路の調査を終えたから採掘場内部を調べていた
「......懐かしいわね、ここも」
カルナが周囲を感慨深げに見渡しながら呟く
「ああ、あん時ゾードの野郎と戦ってからここに来れなくなっちまったしな」
敵――『顔つき』のゾードと戦った影響で採掘場入り口の岩盤が崩れちまって、ここにはもう来れないかと思っていたから、この道が出来た時にはビックリした
「あの時は本当にダメかと思ったから、改めて言うわ、ありがとう」
「お礼ならシュルクにも言ってやってくれよ、アイツの未来視――ビジョンのおかげでオダマさんとジュジュを助けることが出来たんだ」
そうだ、あの時シュルクが未来を見ることが出来なかったらオレたちはこうやって生き残ることは叶わなかった
「そうね、後でシュルクにも......そうだライン、ここを調べ終えたら最下層に行ってもいいかしら?あそこは採掘場の中で一番人がいた所だから、一度お参りしておきたいの。前は機神兵を倒すのに必死で、弔ってあげる余裕も無かったから」
最下層、採掘作業が最も盛んであった場所であり、オレたちがゾードと激しい戦闘を繰り広げた場所でもある。そこはカルナにとっても、オレにとっても色んな意味で思い出深い所だ
「そういうことなら俺も行くぜ、今のコロニー6がどんな感じか、それと生き残った人達がどんな生活をしてるか教えてあげたいしな」
オレとカルナが作業しつつ話している時、入り口付近で異変が起きる
「ん?何だお前ら、調査隊なら間に合って――」
調査に来ていた住人の一人、パピィはその訪問者に気づき、背中越しで話しかける。しかし彼が振り向くと、その招かれざる訪問者は黙って銃口を向けた
「おいおいマジかよ......逃げろ皆!」
パピィが叫んだ次の瞬間、銃撃が始まった。突然の攻撃に作業中の住民は反応出来るわけもなく、次々と銃弾に倒れていく。運良く隠れていた住民達は、状況を把握出来た者もいれば何がなんだか分からないといった人など様々だ
パピィは肩と腕に銃弾を受けながらもなんとか遮蔽物の後ろに隠れる
「パピィ!何が起こったんだ!」
遮蔽物越しにオレはパピィに聞く
「俺もよくわかんねえんだよ!アイツら、話しかけたら急に撃って来やがったんだ!」
何が目的でそんな......しかもあんなハサミ持った奴ら見たことがねえ、何処から来やがったんだ?
「ライン!このままじゃ怪我人が増えていくだけよ!一旦逃げないと」
同じく隠れていたカルナが叫ぶ、でもどうやって!来た道はあのバケモノみたいな奴に塞がれてしまっている
「前に使ってたエレベーターがあるわ、アレを使えばとりあえず安全な場所までいけるはず!」
そうか、採掘場内のエレベーターを使って排水口まで行けば安全に脱出出来る筈だ。しかしエレベーターは隠れる場所がないしいい的になっちまう、それにこの銃弾の中で全員が一気に逃げられるとはオレは思えねえ――
「だったら――よし、ヌークさん!」
「どうしました!ラインさん!」
ああ、よかった。ヌークさんはあまり傷を負っていないらしい、安心して頼み事ができるな
「アイツらは俺達が引き付けるから、皆を連れてエレベーターに向かってくれ!」
「まさか、二人で奴らの相手をするつもりですか!いくらなんでも危険だ!」
「大丈夫だ、心配ねえって!アンタもオレの頑丈さ知ってるだろ?先に行っててくれ!」
コロニー9にいた時のヌークさんとは見違えるような物言いに感動すら覚える、でもここでオレは引けないんだ。分かってくれヌークさん、オレは目で訴える
「......分かりました。無理はしないように」
「頼んだぜ!ヌークさん」
ヌークさんは隠れていた場所から駆け出し銃弾の中を掻い潜って怪我人の元へ移動する。それを狙おうとする奴はカルナが正確に撃ち抜いていく
「私は彼らをエレベーターまで援護するわ。その間出来るだけ敵を釘付けにして!」
おうよ!任せろ!それはオレの得意分野だ!オレは隠れていた場所から堂々飛び出し、敵の方を向く
「バーサーカー!!」
「こっち見ろオラァ!マッドタウントォ!」
狂戦士の気を身に纏い、敵全体へ挑発する。本能的に危険を感じざるを得ないのか、ほぼ全ての敵がオレの方を向いた。
「そうだこっちだ!よし、レイジで行くぜ!」
全神経を防御に集中させ、護ることだけを考える、今はそれだけでいい、ひたすらオレに攻撃を集めることだけ考えるんだ
「ドンと来い!ガードシフト!」
オレは手持ちの防盾一体型剣――アトミックバンカーを展開、地面に突き立て、防御の体制をとる。火力が集中しているが、そんなもん屁でもねえ。一歩も引かず、その場で耐え続ける
「あんたの相手はあっちよ!スリープバレット!」
カルナは催眠効果のあるエーテルを銃弾を撃ち込み、エレベーターに攻撃しようとする敵を全て眠らせる
「ライン!全員避難完了したわ!」
「よし!こっちに来てくれ!」
カルナはオレの近くに有った遮蔽物に隠れる
「とりあえず回復を頼む、ちょっと無理しすぎた」
「もう!ヒールバレット!」
カルナの放った銃弾がオレの頭上で炸裂する。内蔵されたエーテルの力で、受けていた傷が段々と塞がっていった
「普通敵の真ん中に飛び出たりする!?釘付けにしろとは言ったけど的になれとは言ってないわよ!?」
「いやー、コレが一番いい作戦だと思ったんだけど......」
「無理するなってヌークさんに言われたばっかりじゃない!.......で!これからどうするの?何か策でも」
「ない」
「えっ」
「いや、とりあえず皆を逃がすことだけ考えてたからその後は何も」
カルナはアゼンとした表情をオレに向ける、いやだってなあ、必死だったからそこまで考えて無かったわ
「まあアンタのことだからそうじゃないかと思ってたけどさ――」
よくわかってるじゃんカルナ、まあ全く威張れないんだけど
「......じゃあ今考えるわよ。こっちは二人、あっちは十数人が入り口付近に固まってる。このままシールドで耐えてたんじゃ埒が空かないけど、人数的に近距離で戦うのは無謀ね」
なるほど、じゃあここで銃撃戦をするしかないか、いやしかし、それでもジリ貧になっちまう。だったら――
「よし、俺が突っ込むからカルナは援護してくれ」
「ひとのはなしきいてた?」
「落ち着けカルナ!ヘッドスナイプしようとしないでくれ!いいか、まさかアイツらはいきなり敵が突っ込んでくるとは思わないだろ、その裏を突くんだ」
オレの名案の説明をする、つまりは相手の油断につけ込む作戦だ。我ながらいい案だと思うんだけど――
「そんなに上手くいくかしら」
「任せろって!カルナの援護があれば大丈夫だ!」
「......分かったわ。じゃあそっちの合図でこっちも動く」
しぶしぶ納得してくれたらしい。大丈夫だ、何かあってもカルナのフォローがあれば上手くいくはずだって、そう信じてるんだ
位置取りを確認し、用意が出来たのでオレはカルナに合図を送る。カルナも了解したらしい。息を合わせる。321で飛び出す予定だ、タイミングをずらす訳にはいかない
「3」
打ち倒すべき敵を真っ直ぐ見つめる
「2」
カルナは銃を構え直す
「1」
オレは地面からアトミックバンカーを引き抜く
「行くぜ!」
そう言って、オレは盾を正面に展開して敵の真ん中に突っ込んでいく
「オラオラァ!」
敵はうろたえているが、その後当然オレを撃ち抜こうと全火力を集中させるだろうその瞬間が勝負だ
「シールドバレット!」
そう、ただ無策で突っ込むほどオレもバカじゃねえ、カルナが発射したエーテル弾によってオレは透明なエーテルのバリアに覆われる。それは敵の弾を弾き、吸収し、無効化する
だがこれも制限時間と限度量が有る、だからそのタイミングを見極める技量が必要な作戦なのだが――
「ヒールカウンター!」
最高のタイミングだ。シールドバレットが切れると同時に、次のバリアを張る。さすがカルナだぜ。このバリアは全て攻撃を防ぐというわけじゃなく、攻撃を受けた先から回復させる性質の違ったモノだが、かなりの火力を軽減することが出来る
ようやく銃撃が無駄な事に気付き、敵は近距離戦へ移行しようとブレードに持ち変えようとしたが、既に遅い。オレはもう懐へ入り込んでいる
「貰った!バレットチャーッジ!!」
今まで溜めに溜めた気合いを全て武器に乗せて、次の攻撃に今の自分の全てをかける
「食らえ!ウォースイーングッ!!」
そして力任せに武器をブン回す。ろくな防御態勢も取れていなかった敵はもろに全身全霊をかけた攻撃を受けてしまい、その場に倒れた
攻撃の範囲外に運良く残っていた敵が一人、こちらを倒そうと襲いかかってくる、でも残るはお前だけだ!
「お前で最後だ!頼むカルナ!」
「メタルブラスト!」
エーテルによって強化された弾頭が敵の脚に的中し、敵は体勢を崩す
「転べよ!ワイルドダウン!」
そのままオレは脚を狙って武器を突き出し、相手を転ばせる。転んだ衝撃で頭を打ったらしい、しばらくは起き上がりそうになかった
「ふーう、なんとかなったな」
「ええ、一時はどうなることかと――ライン!後ろ!」
戦闘が終了し、一息つこうとした時だった。オレはが急に後ろから首を絞められてしまう
「死んだふり!?そんな!」
油断してたのはオレの方だったのか、チクショウ、離しやがれ!必死で腕を振りほどこうとするが、あちらも必死なのか、全く腕が動かない。入り口に背中を向け、カルナに対面する形でオレが拘束されているためにカルナがオレを助ける為の援護射撃をすることも出来ない。何とかして向きを変えようとするが、ビクともしない
そしてオレは異変に気付く。背中から、体温なんかじゃない無機質な熱さが伝わってきた。これは、まさか
「もう少し耐えて!今そっちに――」
「駄目だカルナ!逃げろ!コイツ自爆する気だ、巻き込まれるぞ!」
「そんなこと!だったらなおさら逃げるわけにいかないじゃない!一瞬でもいい、ソイツを動かせない?射線が通ればなんとかできるわ!」
そうはいっても全然動かないコイツをどうすれば――
「ライン!早く!」
段々とオレの首に回された手が赤熱化してくる。クソっ、こんなところでオレはまだ立ち止まれねえってのによ!動け動けってんだ!
だが奮闘空しく、望みは絶たれようとしていた――
採掘場の戦い 終了。
結末は次回に続きます。
ラインはシナリオ上でもさることながら、性能面においてもパーティーになくてはならない存在です。敵を挑発し一身に攻撃を受けつつワイルドダウンしてくれるその勇姿は全プレイヤーの心に残っているはず、また自分で使ってみても大変面白いキャラなので普段シュルクしか操作しない人も一度触ってみては?
次回、シュルク編です