役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜 作:トマホーク
さてと。何とか事態の収拾に成功した事ですし後始末をしましょうか。
「ゴホン。すみませんが私はこちらの2人に少し話があるのでケイ君とアリサ君は席を外してもらえますか?」
「オッケー。じゃ、外に出てるわね」
「分かりました」
この先の話はケイ君とアリサ君に聞かれると不味いんですよね。
「さて、秋山さん」
「は、はい!!」
「今回は貴女方の事情を考慮し特別に取り成しましたが……次は無いと思って下さいね?」
「は、はひ……」
ゴゴゴッという擬音が付いてそうな役人オーラ全開で凄んだら優花里ちゃんも理解してくれたようです。
「あと、サ◯クルKサ◯クスの会社には謝罪に行くこと。本来であれば許されない事なのですから。その時は私も同行しますからね」
「は、はい。本当に申し訳ありませんでした」
しょんぼりと項垂れながら深々と頭を下げ深い反省の色を見せる優花里ちゃん。
「最後に1つ。もし今後偵察に出たいのであれば……」
「あれば?」
「このメールアドレスに連絡を。行きと帰りの足ぐらいなら準備しますので。あぁ、くれぐれも偵察の際には法律を守るように」
「え?あ、はい……ありがとうございます」
優花里ちゃんは確かアンツィオ高校へも潜入しますから、こうやって先に手を打っておかないと今度こそ高島君に確実な証拠を掴まれてチェックメイトをかけられてしまいかねません。
「あの……ちょっと聞きたいんですけど、いいですか?」
「何ですか?角谷君」
優花里ちゃんが私のメールアドレスを携帯に登録している隙を見計らって杏ちゃんが声を掛けてきました。
まぁ、当然ですよね。今回の一件で私に問い質したい事なんて沢山あるでしょうし。
「何で“こんなマネ”を?」
「さぁ?何ででしょうかね」
「……」
「……」
とはいえ、何も答えてはあげませんけどね。ボロが出たら嫌ですし。
深読みされて原作を逸脱するような事をされても困りますし。
「あ、あの……」
私と杏ちゃんが互いの腹の底を探りあうように視線をぶつけ合っていると、優花里ちゃんがおずおずと声を掛けて来ました。
どうしたんでしょうか?
「このメールアドレスは本当に貴方の物でありますか?」
「えぇ、そうですが?」
変な事を聞きますね、優花里ちゃんは。
この場面で他人のメールアドレスを渡す筈が無いじゃないですか。
って、何でそんなに顔を輝かせて――
「では!!貴方が『苦労人』さんでありますかッ!?私です!!私が『戦車大好きっ娘』です!!」
……ちょっと待ってぇえぇぇ!!何ですか、そのご都合主義!!
インターネットで知り合って戦車談義やら雑談やらを直接メールでやり取りするようになった相手が何で優花里ちゃんなんですか!!
偶然にも程があるでしょう!!って!!優花里ちゃん!?私に抱き付いちゃダメです!!
ほら!!杏ちゃんが弱味を握ったぜ。みたいな顔でニヤニヤ笑っていますから!!
「『苦労人』さんとは一度直接会ってみたかったんです!!それが、こんな偶然に出会えるなんて!!それに自分を助けて頂いて――っ!?し、し、しつ、失礼しました!!」
「秋山ちゃん!?あぁ、もう!!」
「……」
何なんでしょうか一体……抱き付いて来たかと思えば顔を真っ赤にして逃げて行ってしまったんですけど、優花里ちゃん。
杏ちゃんも優花里ちゃんを追って出て行ってしまいましたし。
これは新手のイジメか何かなのでしょうか?
ヒロインを増やし過ぎた気がしないでもない
(;´д`)
……まぁ、そう言いつつもまだ増えるんですが(爆)