役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜 作:トマホーク
……はぁ。唐突に1人っきりになってしまいましたが、とりあえずこれで一件落着ですかね。
あー疲れた。少し休みましょう。
ちょうどいい具合にこの天幕の中にはベンチが置いてありますし。
「失礼しまーす。あ、いたいた」
「……何だ、ケイ君ですか」
「む、何だとは失礼ね。疲れているだろうからジュースを持ってきて上げたのに」
「これは失礼しました」
良いですね、炭酸のジュース。疲れている体にはありがたいです。
「フフン、気が利く私に感謝してよね」
「えぇ、感謝して有り難く頂戴しますよ。はぁ……」
「あらら、本格的に疲れてるみたいね。大丈夫?」
「えぇ、まぁ……」
何せ原作崩壊の危機でしたからね。気を張っていたせいで精神的に疲れましたよ。
「ふーん。疲れてるんだ。なら……そうね。膝枕してあげよっか?」
「ハハハッ、昔は“気弱”だったケイ君も随分と変わりましたね。そんな大胆な事を言うようになるなんて」
「むっ、誰のせいよ、誰の」
うーん。懐かしい。
私が学園艦巡りをしていた時に図らずも偶然にケイ君とは知り合ったんですよね。
あの頃のケイ君(中1)は臆病というか人見知りというか。
とにかく、今のようなフレンドリーな性格では無かったんですよ。
なので当時はまさか彼女がケイ君だとは思わず(当時の彼女は髪がかなり短くて、しかも雰囲気が全然違っていたんです)色々と相談に乗ったりしていたら……いつの間にか今みたいな性格になっていたんですよね。
あれ……私のせい?
「さて、誰でしょうね」
「もう、そうやってまたはぐらかす!!……ま、いいわ。よいしょっと……はい、膝枕」
え?本気で膝枕してくれるの?
ショートパンツと白ニーソの間にあるあの絶対領域で?あのムチムチで艶かしいフトモモで?
「……」
「どうしたの?ほら、カモン」
「……」
「あれ?膝枕は嫌だった?」
……ゴクリ。いやいや、そこはね、うん。
大人として越えてはいけない一線がありますし、断りますよ。もちろん。
ケイ君もからかっているだけでしょうし、本気ではないと思いますから。
それに私は分別のある大人ですから。えぇ。
「いえ、お願いします!!(ケイ君、そういう事は好きな相手にでもしてあげなさい)」
……口が本音を漏らしてるぅー!!本音と建前が逆ぅう!!
このままでは変態扱いされて社会的に抹殺されかねません!!
ど、どうしたら!?
「アハハハッ、そこまで喜ばれるとは思わなかったわ。はい、どうぞ」
……変態扱いされなかっただと?
こ、これは神様が私にもたらしたご褒美に違いない!!
そうだ、これはご褒美なんだ!!
あの理想郷(アルカディア)にI Can Flyしてもいいんだ!!
ならば、いざ行かん!!理想郷(アルカディア)へ!!
「失礼します、隊長。ちょっと――」
「くぁwせdrftgyふじこlpッ!?」
「あ、あれ……もしかして、お話中でしたか?」
あ、危ない……間一髪。
もう少しでアリサ君にいい年したおっさんが膝枕されて喜んでいる姿を見られてしまう所でした。
驚きのあまり思わず気を付けの体勢になってしまいましたし、このままの流れで外にでますか。
「いえいえ、ちょうど終わった所でしたから構いませんよ。ケイ君、ジュースご馳走さまでした。今度会った時にでもお礼をしますね。では、また」
はぁ……フトモモ……残念です。
「さようならー。それで、あの隊長――」
「……」
「あ、あの……隊長?」
「なに?アリサ」
「何か……怒ってます?」
「怒ってる?アハハハッ、怒ってなんかないわよ。何でそんな事聞くの?」
「いえ、隊長……顔は笑ってますけど……その……目が、笑ってないですよ?」
「……」
「……」
「……ねぇ、アリサ」
「は、はい。何でしょうか」
「反省室、行こっか」
「ヒィ!!」