役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜   作:トマホーク

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ヤンデレ強し

「廉太さん。この写真はなんですか?」

 

「そ、その写真はですね……」

 

「廉太さん。この写真はなんですか?」

 

まほちゃん、そんなにリピートしなくても聞こえていますよ。

 

そしてリピートする度に残り僅かな距離を徐々に詰めてくるのは勘弁して下さい。

 

うれ――ゴホン。怖いですから。

 

というか、何故に私は浮気がバレた旦那ばりにまほちゃんから追及を受けているのでしょうか?

 

まほちゃんが言う写真の中に居る私はカチューシャ君を肩車している事はしていますけど、ノンナ君やプラウダ高校の戦車道チームの他の子達も写っているただの集合写真なので別段目くじらを立てる要素も無いはずなのですが。

 

「ゴホン。その写真は前回の戦車道大会でプラウダ高校が優勝した時に――イタタタッ!?」

 

「前回の戦車道大会?プラウダ?優勝した時?」

 

ま、まほちゃん!?手、手ッ!!

 

君の手が私の手首を握り潰しかけています!!

 

ミシミシ言ってますから!!

 

「何故廉太さんが彼女達と写真を撮る必要があったんですか?しかも、あの時に」

 

「答えます、答えますから。ね?」

 

答える前に私の手首を解放して下さい!!

 

潰れます!!ブチって潰れますから!!

 

「あ……すみません。つい」

 

「い、いえ、いいんですよ」

 

はぁ……助かった。

 

ようやく我に返ったまほちゃんがシュンとしつつ、手の力を緩めてくれました。

 

本当に潰されるかと思いましたよ。

 

しかし……“つい”で私の手首は潰されかけたんですか。

 

「それで廉太さん。どういう訳があって彼女達と写真を?しかも、こんなに親しげな様子で」

 

「いや、まぁ、大人の事情というモノが色々とありましてね」

 

「大人の事情。……大人の事情で彼女を、カチューシャを肩に乗せるのですか?廉太さん」

 

き、気のせいかな?段々とまほちゃんの瞳の光が消えていっている気が……。

 

「その点については……その、カチューシャ君に頼まれましてね」

 

「……頼まれた?」

 

「えぇ」

 

カチューシャ君の言い分だと私の肩は乗り心地がいいそうなんですよね。

 

それで会うたびに毎回肩車をせがまれるんです。

 

「では、他意は無いのですね?」

 

「他意?」

 

「いえ、分からないのであれば(ロリコンでなければ)いいんです」

 

「はぁ」

 

なんか……まほちゃんの言葉に含みがあったような気がしないでも無いですが……。

 

まぁ、気のせいでしょう。

 

「あ、廉太さん。船が港に着いた様です。降りましょうか」

 

「えぇ、そうしましょう」

 

ふぅ……何とかこの船旅を無事に終える事が出来たようです。

 

後は下船してまほちゃんとここでお別れするだけですね。

 

「では、まほちゃん。私はここで」

 

「えぇ。さよう――……あ、廉太さん」

 

「はい、何でしょう?」

 

「廉太さんが私を受け入れてくれるまで、あと“2年”ですからね」

 

えーと?

 

これは、まさか……婚約の話を断った時にやけに食い下がってくるまほちゃんを納得させるために言った方便の事を言っているんですかね?

 

二十歳になった時にまほちゃんの考えが変わっていなければ結婚の話を検討するという。

 

……なんか検討=確定になっている気がするのは気のせいだと思いたいのですが。

 

「まほちゃん。あの条件の事をまだ覚えていたのですか?私は言ったはずですよ。世間には私などよりももっといい人が、君に相応しい人がいると」

 

「……撃てば必中、守りは堅く、進む姿は乱れなし。鉄の掟、鋼の心、それが西住流。廉太さんもご存知のはずです」

 

「えぇ」

 

「でしたら西住流は何があっても前へ進む流派。強きこと、勝つことを尊ぶのが伝統であることも」

 

「えぇ」

 

「西住流に逃げるという道はありません。そして、私の気持ちが変る事もありません。それが私の答えです。必ずや貴方を撃破してみせます」

 

「……」

 

「では、また」

 

……え?ええッ!?


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