役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜 作:トマホーク
なので、今回は役人ではなく。
※角谷杏視点です※
杏side
んーお次はいよいよ去年の優勝校であるプラウダとの試合かぁ。
今までもそうだったけど、ウチとプラウダだと輪を掛けて戦力差が厳しいんだよねぇ……。
でも、戦力差があるからと言って諦める訳にはいかないし。
何が何でも優勝してウチの高校を守らないと。
それに、あの七三メガネの鼻を明かしてやらないとね。
そういや秋山ちゃん達が見つけてくれた戦車はどうなってるかな?
息抜きがてらにちょっと様子でも見てくるか。
「お邪魔するよーって……」
「あ、会長。ちょっといいですか?」
「どったの?ナカジマちゃん。それに自動車部のみんなも」
何でみんなして首捻ってるんだろ?
「いえ、それが……今回見つかったB1 bisもそうなんですけど、今まで見つかった戦車達が少しおかしいんですよ。あと色々と」
「おかしいって何が?」
この戦車もパッと見おかしな所なんてないけど。
それに今までの戦車もおかしな所なんて無かったはずなんだけどなぁ……。
「何か長期間放置する事を前提に……というか、有り体に言えば今まで見つかった戦車が全車モスボールされているんです」
「モスボール?」
「あぁ、モスボールっていうのは……簡単に言うと将来的に使用するかもしれない兵器(戦車)に劣化を防ぐ加工を施し保管しておくことです。まぁ、うちの場合は保管じゃなくて放置されてましたけど」
「へぇ〜」
「それと角谷会長。他にも使い古されてはいますが工業高校や企業にしか無いような工作機械が幾つかあります」
「あと、真っ先に売られているはずの戦車の補修パーツが何故か山ほどあるんですけど、その補修パーツの製造年代がバラバラで――いや、バラバラなのはまだいいんですけど、おかしな事に大洗が戦車道を止めた後に製造されたはずのパーツまで混ざってます。つまり大洗の戦車道が廃れてから使用用途が無い補修パーツがここに来てます」
「ふーん……そりゃおかしいね。でもいいじゃん。別にあって困るもんでもないんだし」
「それはそうなんですけど……スズキやホシノが言ったように、工作機械があったり補修パーツが沢山あったりしているっていうことは、まるで誰かが大洗の戦車道が復活する事を見越して準備していたような感じがして……」
「ハハハッ、まさかぁ〜気にしすぎだって」
私達だって廃校の危機が無かったら戦車道なんて始めなかったのに、復活を見越してあらかじめ準備しておくなんて無理だって。
それこそ未来予知でも出来ない限りさ。
「そうなのかなぁ……」
「……そんなに気になる?」
「えぇ、それはまぁ」
「分かった。なら一応調べてみるよ。その代わり戦車のレストア頑張ってよ?」
自動車部のみんなには頑張ってもらってるし、ちょっと本格的に調べてみようか。
……そういや大洗が廃校になるって学園長に伝えた時、学園長変な事言ってたっけ。
『彼の言った通りになったな』って。
あと『そうか彼女は……それにアレはこの為の準備か』って。
『彼』と『彼女』と『アレ』って……なんだろう。
「はい、それはもちろん」
「じゃ、頼んだよ」
うーん。何か“匂う”なぁ。
よし。調べるのは小山と河嶋にも手伝ってもらおっと。
「はーい。……さてと。整備とレストア頑張りますか。ツチヤ、車庫の奥に置いてあったB1 bisのエンジン持ってきて」
「分っかりました。――あ、そうだ部長。ここで見つけたこの焼け焦げた納品書の事、会長に言わなくてよかったんですか?」
「あ、忘れてた。……まぁ、後で渡しておけばいいんじゃない?その紙に辛うじて残っている名前の人は男の人っぽいから多分関係ないとは思うけど」
「それもそうですね」