役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜 作:トマホーク
(;´д`)
後半3話が暗躍系のお話です。
へっくゅん!!ズズッ……誰かに噂でもされていたんですかね。
それにしても大洗女子学園とプラウダ高校の準決勝を観に来たのは良いですが、とにかく寒いです。
まぁ、ストーブが置かれた天幕――関係者用の観覧席にいるので少しはマシなのですが。
「失礼するわ。――あら?誰かと思えば同志局長じゃない。久しぶりね」
「お久し振りです。辻局長」
おや?カチューシャ君とノンナ君が観覧席にやって来ました。
選手である彼女達がここに何か用があるのでしょうか?
今のところ私と高島君しかいないのですが。
しかし……ノンナ君が居るという事はやはり、またあの“茶番”をしないといけないんでしょうね。
トホホ……。
「お久し振りです。ノンナ君。してカチューシャ君の声がしたと思ったのですがカチューシャ君はいずこに?」
「むっ!!失礼ね!!カチューシャはここに居るわよ!!ここよ!!」
「はて。声はするのですが……」
「ムキー!!ここだって言ってるでしょ!!いっつもいっつも会うたびにこんな事して!!粛清するわよ!!」
プンスカと怒りながらカチューシャ君が両手を振り上げ、ここに居るぞと私にアピールしていますが……まだこの茶番は続けないといけないんですよね。とある人物の指示で。
「ふむ。やはり声は聞こえるのですが姿が見えませんね」
「こ、このッ……!!うぅ……ノンナ!!局長が私を苛める〜!!」
「よしよし。大丈夫ですよ、カチューシャ。全く酷い人ですね。辻局長は」
……いやいや、酷い人ですねって。この茶番をやらせてるのは貴女でしょ?ノンナ君。
私にこの茶番をさせて今のように泣き付いて来たカチューシャ君をあやしたいからって。
「ゴホン。申し訳ありません、カチューシャ君。冗談が過ぎました」
「うぅ、辻局長なんて嫌いよ!!」
うぐっ!?こ、心に言葉の刃が……。
「あらあら。カチューシャ、ダメですよ。そんな事を言っては」
「いいのよ、局長が悪いんだから!!それにもう局長なんて嫌いだし!!」
「そうですか。嫌いなのですか……しかし、カチューシャ。(辻局長が試合を見に来ていると知って)わざわざここに行きたいと言い出したのは誰でしたか?」
「し、知らないわよ!!私は別に辻局長に会うためにここに来た訳じゃないんだから!!」
「でも、試合前に辻局長に会っておきたかったんですよね?」
「う……ノ、ノンナも嫌い!!」
「あらあら。私も嫌われてしまいました」
私のフォローをしてくれるのかと思いきや……すっごく楽しそうな顔でノンナ君がカチューシャ君を弄くっています。
「困りました。カチューシャに嫌われるなんて」
「フーンだ」
「悲しいです」
「フ、フーンだ」
「嫌われてしまっては、もう子守唄を歌ってあげる事が出来ません」
「……ぅ」
「それにカチューシャの側にいることも……」
「しょ、しょうがないわね!!カチューシャは心がシベリア平原のように広いから特別に許してあげるわ!!」
「ありがとうございます。カチューシャ」
「あ、あのーカチューシャ君?その……私も許して頂けると……」
「フーンだ。私に意地悪ばかりする局長なんて許してあげない!!――でも、そうね。私の言うことを幾つか聞いてくれるんだったら特別に許してあげるわ」
「えぇ、分かりました」
「くふふ……何を頼むか今から考えておかないとね。楽しみ〜♪」
ふぅ、とりあえずいつもと同じような流れでカチューシャ君には許してもらえましたが……ノンナ君のやり遂げた顔が少し怖い。
あ……そう言えばカチューシャ君達と一緒に居るときは天災的な意味での不幸な目に合いませんね。
まぁ、その代わりに人災的な意味での不幸な目には合うのですが。
明日も更新予定