役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜 作:トマホーク
「――横から失礼します。少しお話をよろしいでしょうか、カチューシャさん、ノンナさん」
うん?今まで沈黙を守っていた高島君が2人に声を掛けていますが、どうしたのでしょうか?
「えぇ、いい――よいしょっと」
「ッ!?」
イタタタッ!?カ、カチューシャ君!?
無理やり私の体によじ登るのは止めてくれませんか!?
「えぇ、いいわよ。何かしら?」
あのー……カチューシャ君?何故に私の肩の上に乗ってから高島君に返事を返すんですか?
もしやアレですか?ただ単に見下ろされたくないとかの理由ですか?
もしそうなのであればいつものようにノンナ君の肩に乗ってあげてくれませんかね?
いや、カチューシャ君が重たいから嫌だとかじゃないんですよ?
本音を言えばカチューシャ君のスベスベのフトモモが顔の横にきているので嬉し――ゴホン。
ただね、カチューシャ君の事を愛してやまない人がね……私の腰辺りにゴリッと硬いモノを押し付けているんですよ。
これって……モデルガンですよね?まさか、実銃じゃないですよね?
……実銃じゃないと言い切れない所が一番怖いんですけど。
「『そこは私の場所です。いくら辻局長と言えど赦しませんよ?』」
あとね、銃口を私の腰にゴリゴリと押し込みながら私にだけ聞こえるような小声でロシア語を話して警告を発しているんですよ。
……何気に命の危険です。
というか、カチューシャ君が自分で登ったのに私にどうしろというのか。
無理やり降ろそうとすると意固地になって余計に降りなくなるのはノンナ君も知っているはずなのに。
「お二人のご活躍を影ながら応援させて頂きます。是非ともこの試合、頑張って下さい!!」
あのー……高島君?カチューシャ君が私の肩によじ登った事はスルーなんですか?
あぁ……スルーなんですね。うん、ダメですね。
色々と無茶苦茶な事をやらかす私の近くに長く居すぎたせいで高島君の常識人的なレベルが落ちてしまっています。
そのせいで最早大抵の事には驚かず適応する力を身に付けてしまっていますね。
「そ、そう……。ま、あんな弱小チームなんてこのカチューシャ様にかかれば一捻りよ!!軽く一蹴してやるわ!!」
高島君がやけに意気込んでエールを送るもんだからカチューシャ君が若干引いてますよ。
まぁ、すぐに有頂天になって意気揚々と勝利宣言をするあたりカチューシャ君らしいですが。
「えぇ、その意気です。大洗など捻り潰してください。なんとしても、完膚なきまでに」
……高島君。なんか、応援している言葉の裏に私怨のようなモノが混じっていませんか?
「――カチューシャ、そろそろ時間です」
「分かったわ。よいしょっと……じゃ、またね同志局長。私達の2連覇を楽しみにしていて頂戴」
私の肩から降りたカチューシャ君が自信満々の笑みを浮かべながらノンナ君の肩に乗って帰って行きました。
しかし……結局、彼女達はここに何をしに来たんでしょうか?